政権崩壊の道を辿っていたカダフィ大佐が姿を消してから、カダフィ大佐の三男がニジェール政府に亡命の意思を示したり、明日にも国民評議会による暫定政府擁立の動きが見えてきて、同時にキャメロン・英国首相とサルコジ・フランス大統領がともにリビアを訪れ、アブドルジャリル国民評議会議長とポスト・カダフィ政権について話し合いを始めた。これではいかに強気のカダフィ大佐がわめいても流れは止めようがないだろう。ここにも「奢れる者は久しからず」が映し出されている。いよいよカダフィ大佐も追い詰められた。リビア独裁政権崩壊の後で、次に崩壊するのは、イェメンのサレハ政権か、はたまた長らく父子で独裁を継承してきたシリアのアサド政権か。
日本の臨時国会は、会期が14日間延長されることに決まった。当初から会期がたった4日間と聞き、これでは野田首相の所信表明演説だけで終ってしまい法案決定は先送りだと思っていたところ、野党側の強硬な要求を受け入れ、野党要望の28日間をその半分の14日間に値切って延長することがいとも簡単に決まった。まったく朝令暮改である。そもそも4日間の会期に絞った理由を聞かれたある閣僚が野田内閣はまだ力足らずだからというような主旨のことをしゃべった。閣内に身内を信用していないことを軽薄に漏らす閣僚がいるとは恐れ入った。これでは野田首相としても危なっかしくて、超安全運転で進まざるを得ない。このような現状で問題山積の日本を仕切ることができるだろうか、心配である。
これにより予算委員会で復興予算を盛り込んだ今年度第3次補正予算について、与野党の議論が交わされる。円高対策を含む震災関連経費に、台風12号被害への対応経費を合せて、政府税制調査会が総額11兆円規模の増税案を決定した。問題はその11兆円をどうやって捻出するかということであり、今日時点では部分的に法人税と所得税、それにタバコ税を値上げする案が出ているようだ。今回も消費税値上げはないという話だ。小沢グループが消費税の値上げは考えないとしたマニフェスト遵守を主張しているので、野田首相が配慮したのではないかと思う。
しかし、ここは消費税の値上げを検討すべきではないかと思っている。震災復興のための費用の捻出には、国民的理解が得られると思う。それに引き換え、所得税は一般家計に響くのではないか。消費税論議は、不景気な折から盛んに話題にはなるが、まったく議論されることなく彼方へ押しやられている。外国の消費税率を考えても日本よりかなり高い。大きなお世話だが、IMFが日本の妥当な消費税率として17%を提言しているほどだ。今の消費税5%に3~5%の積み上げは、もっと真剣に検討されて然るべきだと考えている。