1591.2011年9月21日(水) 官僚、国策企業、御用学者が国をダメにする。

 久しぶりに台風の直撃を受けたように思う。四国沖合から紀伊半島沿いに大量の雨をもたらせた台風15号は中京地区から東海地方を襲い、午後2時ごろ浜松市に上陸、首都圏西から宇都宮を通り抜け福島方面へ縦断して行った。夕方になって一層激しい雨が降ってきた。案の定各地で河川の氾濫や家屋の浸水被害が出ている。いま午後10時だが、相変わらず避難勧告が出ているところが多い。これから台風は東日本大震災被災地へ向かうようだ。被災地の中でも大槌町では仮設住宅に住んでいる人たちにも避難勧告が出された。今度の台風15号は日本列島の東側を舐めるように襲った。気の毒なのは、震災の被災者である。先日12号では紀伊半島がやられたが、つくづくわが国は自然の脅威に曝されている国土だと痛感する。福島原発では、多少落ち着いてきたという程度で、相変わらずいつ放射能事故を収束できるのか楽観視できない。その原発に大量の降雨があると、更に汚染水が増えると見なければならない。やれやれである。
 さて、菅直人・前首相がテレビ・インタビューで、一時東電が福島第一原発から撤退したいと申し出たことに対して断固認めなかったことをいくらか誇らしげに応えていたと一昨日の本欄で書いた。それでも菅さんはなおテレビだけではこの「ご自慢の決断」をアピールできないと思ったか、今朝の日経紙の全一面(広告なし)で思いのたけをぶちまけている。いかに菅さんが東電の対応に不信感を抱き、躍起になって東電幹部に叱咤しながら指令を出していたかが分る。見出しだけを取り出してみよう。
 「原発事故・問われた初動」「最悪、国会移転も想定」「東電、話せる相手2人だけ」「首相官邸X原子力保安院―『炉心溶融』食い違った」「重大事故の想定ゼロ」「原発再稼動問題・知らぬ間に既成事実化」「福島を自然エネ拠点に」とざっとこんな具合である。これを見ると菅さんと経産省、原子力保安院、東電とまったく意見を異にしていたことは明確である。当事者同志が最初から意思の疎通を欠いていたのでは、初動が遅れるわけだ。そして、それが取り返しのつかない後手後手の対応となってしまった。
 この春?沖縄はたかり、ゆすりの名人と沖縄県民を愚弄したような発言をしてアメリカ国務省日本部長を更迭されたケビン・メア氏が、最近「決断できない日本」なる1冊を文春新書から出版した。その中で「大津波襲来による電源喪失から一週間が経過したその日、日本という大きな国家がなし得ることがヘリ一機による放水に過ぎなかったことに米政府は絶望的な気分さえ味わった」と書いている。日本を見下したようなこの御仁には、日本人のやること、なすことすべてが稚拙で小児病的に見えるようだが、この言葉には案外正鵠を射ている点がある。
 日本では政治家はダメだが、官僚がしっかりしていると思い込まされているが、とんでもない。官僚なんてとんだ食わせ者だったということが上記のインタビュー記事からよく分る。官僚にゴマをする国策企業、御用学者等々、みんな信用できない。その点では、菅さんなんか手法は拙かったが、行おうとしたことは案外的を射ていたのではないか。

2011年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com