昨日発行された文部科学白書に東日本大震災被災地の中学生が卒業式で述べた答辞が載っている。そのことは昨日のNHKニュースでも報道された。それは自宅工場が火災に遭い、どん底に落ち込んでいた久留米市の大の大人を唸らせ、その大人を叱咤し元気づけた。その中身とは、「大震災は天の試練というにはあまりにも厳しい。でも天を恨まず運命に耐えて自分を成長させたい」との主旨である。少しできすぎだと思えるくらいしっかりした言葉で、インパクトも強い。大した少年だと思う。政治家たちも少しはこういう少年を見習って平素から唯々諾々とせず、自分でじっくり考え率先実行してみてはどうか。
さて、ニジェールに亡命を求めていたカダフィ大佐三男に関して、ニジェール政府は明確な声明を発表していないが、身柄をリビアに送還することは否定した。その一方で、カダフィ派は最後まで徹底的な抗戦を続けると強気な意思表示を示している。
ところが、16日の国連総会では、これまでのカダフィ政権に替わってリビア国民評議会を国連代表であると承認した。国連による対リビア制裁の緩和も決定した。益々カダフィ政権は追い詰められている。親カダフィのケニアや南ア、キューバなどは反対したが、ロシアや中国などこれまでリビアに資金投資した国は今後どういう態度に出るのだろうか。昨日早々にリビアを訪問したイギリスやフランスも然りである。反カダフィ派の国民評議会に良い顔をして、政権樹立後に従来の資産保全と新しい利権を得ようとの思惑が透けて見える。
わが国は各国が進める対応策の様子を見ながら、その時点でまあまあの線を打ち出す。結局大きなアドヴァンテージは得られず、主要国の後塵を拝することになる。外交戦略がなく自己主張をせず、当たらず触らずのスタンスしか取らない。とどのつまりいつまで経っても主体性を欠いた外交を繰り返すことになる。骨のある外交官が現れず、外交的にリーダーシップが取れないまま外国に取り残され、他国からは信頼感を得られず、気がついた時には、周りには仲間がいない疎外感を味わうことになる。
政治がダメだから、外交もダメになる。国会議員は原発事故問題で参考人として国会に呼ばれた児玉龍彦・東大教授から「国会は一体何をやっているのですか」と一喝されたが、どれほど政治家としての責務を果たす努力をしているのかと問いたい。全政治家に反省を促したい。現状では政治家は何もやらず、責任を転嫁するだけだ。福島原発事故処理がどうなっているのか、詳しい報告すら国民になされていない。恐ろしく好い加減な国になったものである。