1218.2010年9月13日(月) 沖縄・名護市議選の結果について

 昨日投開票された沖縄県名護市議会議員選挙で、これまで少数派だった稲嶺進市長を支持する議員が過半数を上回る議席を獲得した。名護市内には渦中の辺野古海岸がある。従来から普天間米軍基地の辺野古への移転に強く反対していた、稲嶺市長への賛意が増えたわけである。これで普天間基地移設問題は一層決断と実施が難しくなる。それにしても1地方都市の市議会議員選挙の結果に、これだけ日本国中の目が注がれたのは、極めて珍しいケースだと思う。

 一方、反市長派を応援していた仲井真弘多・沖縄県知事にとっては、ショックであり、ことは重大である。沖縄県経済全体を考えると、何とか基地問題を穏便に解決し、政府から沖縄に対する振興策として多額の交付金を引き出そうと考えている知事には、大きな痛手である。知事は表面的には普天間基地移設反対を唱えながらも、「絶対反対」ではなく、これまで「条件付容認」のスタンスで政治決着を図ろうと画策してきたのではないかと思う。

 11月に予定される県知事選に向けて、仲井真知事はこれまで県内移設反対を明言してこなかった。だが、昨日の名護市民の声を受けて、高々と「移設反対」の立場を鮮明にしなければ再選にも赤信号が灯るのではないかと考え、戦略の再検討を始めるのではないだろうか。

 明日の民主党代表選挙を前に浮き足立っている民主党閣僚の中で、仙石由人官房長官は「民意の表れのひとつとして、虚心に受け止めたい。移設計画や負担軽減の具体策について地元の意見を聞き、誠心誠意説明して理解を求める」と言っているが、鳩山前首相辞任前後の沖縄県民と政府間にしこりが残されているだけに、仙石氏のいう誠心誠意が果たして沖縄県民に素直に理解してもらえるだろうか。

 過去に政府が沖縄に対して誠実な対応をしてきたようには思えないので、民主党代表選終了後に代表、つまり首相は、いつまでものらりくらりではなく、どういう具体策を沖縄県民に示すことが出来るかということが、普天間基地移設問題解決への一里塚であり、沖縄県民の信頼をかち得る手立てである。

2010年9月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1217.2010年9月12日(日) 昨今中国は図に乗りすぎてはいないか。

 同時多発テロ9周年とあって昨日「グラウンド・ゼロ」では、厳かに追悼の儀式が行われたようだ。この近くにイスラム教のモスクを建てようという計画が、テロの犠牲者遺族を始めとしてテロを憎む人々の神経を逆撫でしているようである。

 しかし、だからといってイスラム教信者の聖典である、コーランを公衆の前で焼却しようとする非常識なキリスト教牧師の言動には、オバマ大統領以下政府要人や心あるアメリカ国民の多くが、眉を潜め口を揃えて非難した。結果的に当のジョーンズ牧師は計画を撤回したが、メディアの前で相変わらず強気に今回は計画を取り下げるが、今後については分らないと傲然と言い放つ牧師父子の傲岸不遜とも見える態度には、アメリカが事あるごとに繰り返す「草の根民主主義」の落とし穴も感じられなかった。

 いかに多くの人々に心配をかけているかということを配慮せず、自分の思うところをやり抜くという寛容の気持ちがまったくなく、これでよくも信者に対してキリスト教の原理を説教出来るものだと思う。

 実際クリントン国務長官も呆れ顔で、50人しか信者がいない一地方の教会の牧師がこれだけ大それた計画を立てたことに驚いている。

 こういう馬鹿げたパフォーマンスが連鎖的に伝播し、ジョーンズ牧師は取り止めたが、ほかに同じように非常識なキリスト教牧師やアンチ・イスラム教徒が各地でコーランに火をつける行動に出た。

 良くも悪くもアメリカ社会には、常識的、あるいは非常識な考えが許される一方で、民主主義に基づく良識によって、この諾否を判断する空気がある。時によって、非常識が許される場合があり、それが問題である。

 ところで、もうひとつの大国、中国の最近の唯我独尊的行動も困ったものである。近年中国の行動が非常識なビヘイビアを伴う傾向が目立ってきた。この点では日本人の行動も、中国人の間では誤解されている面があるかも知れないが、最近中国の行動は些か突出して首を傾げたくなる。中国人に本来内在する覇権主義、中華思想、功利性が、近年の経済成長によって強まった経済力と強大になった軍事力に後押しされて発言力が強まり、越権行為に走るケースが増えて国際社会で顰蹙を買っている。

 とりわけ直近では、中国も領有権を主張する尖閣諸島周辺のトラブルがクローズアップされている。この数日問題になっているのは、中国漁船が尖閣諸島で日本の海上保安庁の巡視船に当て逃げを食らわせて捕獲され、船長が逮捕された事件である。予想されたことではあるが、自らの非を認めることなく、反日的なグループが北京の日本大使館前でデモ行進して、中国政府が日本の対応を非難するといういつもながらの強権的行為である。中国政府は尖閣諸島が中国領土であることを強調し、漁船は日本の海上保安庁の巡視船にぶつけられて不当な逮捕をされたと中国国民向けに嘘の情報を流して日本政府に抗議した。即時船長の保釈と日本政府の謝罪を要求するというものである。非礼にも休日の深夜に着任間もない日本の丹羽宇一郎・大使を国務院へ呼びつけ、抗議を突きつけるという国際儀礼上信義とエチケットに欠けるパフォーマンスであり、その挙句に近々開催予定の東シナ海におけるガス田開発を巡る条約締結交渉を一方的に延期する対抗措置を日本政府に押し付けてきた。

 最近では日本の領海内で自衛艦に異常接近を試みた中国海軍機のトラブルもあり、いつも中国の仕掛けがうやむやのまま見逃されている有様である。さらに中国農業省が派遣した魚業監視船も新たな摩擦を生んでいる。

 未だに5~6年前サッカー試合中に日本チームに対して反日的行為を働いた暴徒が、日本公使の公用車を襲った事件や、毒入りギョーザ事件はいずれも明らかに中国側に責任がありながら、謝罪の態度をまったく見せず、原因は日本側にあると強弁する中国側の姿勢には、とてもついていけない。

 知的所有権についても、その浅はかな知識と杜撰な管理で、諸外国にかなりの被害をもたらしている。日本の名産陶器「有田焼」に替わって「中国の有田焼」が本家になったり、中国人のタレントがダイアナ王妃になったり、世界中が中国に振り回されている。これを商標登録しないから、お前たちが甘いと自分たちが散々無断で各種の違法行為を行いながら、そんな中国人に傲然と言われる筋合いはないと思う。

 言い出せばキリがないが、「死の商人」的アプローチでアフリカ諸国や、イラン、北朝鮮、ビルマなどをお土産外交で懐柔し、中国の同盟国に引き入れるその手口は、日本外交にとって反面教師であり、わが国の政治家や外交官が部分的には見習わなければならない手法であるのかも知れない。

 隣国でお互いに友好親善を心がけなければならないのに、最近の中国の強引であくどいやり方には少々うんざりで頭が痛い。

2010年9月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1216.2010年9月11日(土) 世界遺産をどう保存するのか。

 来月1日に神田雑学大学で世界遺産について講義を依頼されている。パワーポイントのスライドの改訂版を作っているが、修正箇所が出てきた。去る8月に発表された今年度の登録世界遺産は21ヶ所あり、その中にこれまでに訪れたところが2箇所含まれていたので、トータルで私の訪問世界遺産は150ヶ所から152ヶ所になったと思っていた。

 ところが、昨年ドイツのドレスデン・エルベ川渓谷が世界遺産登録を取り消されていた。うっかりしていて見落としていた。これで世界遺産の訪問は151ヶ所に減ったことになる。

 大体ドレスデンが世界遺産登録を取り消されたのは、登録前から交通渋滞解消のため市内のエルベ川に新しい橋を架ける計画があり、それが風景美を損ねるので世界遺産委員会から橋の建設を止めるか、地下トンネルを造るかの選択を迫られ、1年間の猶予の末に、ドレスデン市は住民投票の結果も踏まえ、橋の建設に踏み切ることになり、世界遺産からおさらばすることになった。

 第2次世界大戦の空襲で壊滅的に破壊され、その後見事に復興を遂げ、エルベ川界隈の夜景の美しさは取り立てて素晴らしい。市内の観光施設では、ツヴィンガー宮殿とオペラハウスが特に印象に残っている。

 人間生活の利便性と、伝統的な文化とか雰囲気との優越性をどう解釈し、どちらを選択するかは、その土地の人々が決めるべきことであり、こうあるべしと判断出来ないが、旧東ドイツ領内にあってドイツの重厚な街づくりが得がたい存在だっただけに、何とも惜しい気がしてならない。

 これはオマーンの動物保護区に次いで、2つ目の世界遺産登録取り消しであるが、この次に危ぶまれているのはザンクト・ペテルスブルグ市街で、ここも市内に背高ノッポのガスプロム社ビルが建てられ、風光明媚なシーンが大きく汚されるからだそうである。

 世界遺産として人類と自然が創り上げた偉大な財産を後世の人間がいかに保存していくかということは難しい問題である。文化と伝統に対する気持ちの問題だろう。

 昨日から心配していた、フロリダのキリスト教会のジョーンズ牧師によるコーラン焼却処分は中止されたという。やれやれである。

2010年9月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1215.2010年9月10日(金) 内も外も喧しい。

  「230万人」という数字を聞いて、咄嗟にどういう人たちか分る人はほとんどいないのではないか。驚くなかれ、日本中の100歳以上の行方不明者の数である。このほかにも120歳以上の不明者が7万7千人、150歳以上の人が884人もいるという。日本国民の約300人にひとりがこの範疇に入る。尤も各自治体は、戦争や海外移住によって家族と離れ離れになり、死亡した場合にこういうケースがあり得るそうで、必ずしもすべてが自治体の責任というわけではないと言うが、地道で面倒な調査が後回しにされてきたことが今日の事態を招いたのではないか。

 いずれにしろ、法務局も漸くこの問題の解決へ向けておっとり刀で腰を上げた。対象者が120歳以上の場合は住所の記載がないことのみを理由に、自治体が職権で戸籍抹消の手続きに入れるよう運用を簡略化することにしたのである。

 さて、今日国内外で深刻な事件があった。国内の事件のひとつは日本振興銀行が破綻し、初めてペイオフが発動されたことであり、もうひとつは不正証明書発行で逮捕された厚労省の村木厚子元局長に、東京地裁で無罪判決が下されたことである。前者は2004年に中小企業向け融資専門の銀行として開業した。競争激化と景気低迷で行き詰った。昨年問題になった東京都が出資している「新銀行東京」と似たような道を辿ることになってしまった。後者は、検察の作為的なストーリーの作成と証拠品が採用されなかったことから無罪となった。疑いは晴れたが、まだ検察側が控訴する余地が残されている。

 一方、海外では明日の9.11テロ事件発生9周年を期して、フロリダ州のキリスト教牧師がイスラム教の聖典コーランを燃やす計画を打ち出し、同調するよう広く呼びかけたことに対するイスラム教信者からの強い反発である。オバマ大統領が件の牧師に考えを変えるよう要請し、ゲーツ国防長官もコーラン焼却を実行すれば、イスラム諸国に駐在する米兵らの生命を危険に晒すと電話で説得し、ローマ法王庁でも憂慮する声があがっている。

 「汝!隣人を愛せよ」の博愛をテーゼとするキリスト教の牧師ともあろう者が、それと正反対の蛮行を実行しようとするのは何たる傲慢、何たる非情、何たる堕落か。

 牧師はイスラム教指導者と、9.11同時多発テロ現場「グラウンド・ゼロ」近くにモスクを建設する予定について話し合いがついたとして、一旦計画を撤回すると発表した。

 ところが、夜になってイスラム教指導者はそんな約束はしていないと言い出す始末で、その一方でキリスト教牧師はそれなら予定通りコーラン焼却を実行すると言い出した。また振り出しに戻ってしまったらしい。もう明日まで時間はない。イスラム教信者を怒り狂わせることをやってしまうのか。さあ、牧師よ、アメリカ国民よ、どうする。

2010年9月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1214.2010年9月9日(木) 和文にアラビア数字は馴染まないと思うが・・・。

 昨夕小中陽太郎さんご夫妻と利光國夫さんご夫妻、われわれ夫婦の3カップルでハイアット・リージェンシー東京の中華レストラン「翡翠宮」で会食した。先月食事をしましょうということになり、小中さんと利光さんのご都合を合わせて、ちょうど空いていた昨日に予定を決めた。生憎天候は台風の影響を受け荒れ狂っていた。小中さんは今日が76回目の誕生日であるので、昨夕は前夜祭だったということになる。誕生日が二百十日で、毎年決まって台風がやってくると笑っておられた。「翡翠宮」は名門中華店として知られているだけに、シェフご自慢の中華はなかなか美味で食事を満喫した。

 小中さんも、利光さんもそれぞれ知識人であり、功成り名を遂げた方であるので、話題には事欠かない。私はやらないが、お2人ともゴルフがお好きだし、奥様同士は音楽好きなので、大いに盛り上がって3時間以上も愉しい雰囲気を味わうことが出来た。今月初めての飲酒となる上品なアルコールも味わい久しぶりに良い気分に浸った。

 今日の日経夕刊紙のエッセイ「あすへの話題」に、東洋英和女学院大学の村上陽一郎学長が「数字をどう書くか」と題してペンを揮っている。村上先生は日本文章上の数字は、漢数字であるべしとの持論のようだが、最近では新聞を始めとしてアラビア数字が主流になりつつあることに少々疑問を抱かれておられる。寡聞にして知らなかったが、国語審議会では、戦後まもなく日本語表記は漢字・仮名交じり文とすることを定めているという。

 私にも思い当たるふしがあるし、こだわりもある。昨年出版された共著「知の現場」で、東洋経済新報社の担当者は、アラビア数字が最近の傾向だと強く主張し、縦書き日本文の数字は漢数字を使用すべきとの私の持論を採用してくれなかった。アラビア数字を使用すると1桁の場合善しとしても、2桁以上の場合はどうするのかとの疑問には、2桁は半角で表現し、3桁以上の場合は1桁ずつ縦に書くという意見を述べた。刷り上った「知の現場」はすべてそのようになっている。

 まあ時代とともに表現法は変わると思ってはいるが、なぜか無理やりそのように仕向けている感じがしないでもない。

 いま製作中の共著「そこが知りたい 観光・都市・環境」は横書きなので、アラビア数字に決まっており、その点では問題はない。

 しかし、縦書きの和文にアラビア数字の使用は、ひとつの流行ではあるかも知れないが、村上先生同様馴染まないと思っている。

2010年9月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1213.2010年9月8日(水) 教育への公的支出は主要国で最低

 まったくしばらくぶりである。台風のお陰で今朝からポツポツ雨が降っていたが、昼過ぎからかなり激しい雨となった。やはり台風時の雨は普通の降雨と違って激しく力強い。

 先日共著「そこが知りたい 観光・都市・環境」の校正打ち合わせを行ったが、初校原稿を推敲したので、同じく推敲を終えた北村嵩さんと一緒に交通新聞社で編集者の邑口さんと話し合って校正原稿を手渡した。いつも後から後から修正箇所がたくさん出てくる。北村さんはあまり訂正・修正がなかったようだが、私の場合は推敲を重ねるたびに修正箇所が出て編集者を煩わせる。他の人の原稿でも1~2ほど気がついた問題点も出てきた。すべての校正を終えるまで、まだ少し時間がかかるかも知れない。

 さて、最高裁へ上告していた「新党大地」代表の鈴木宗男・衆議院議員が、最高裁で上告を却下され懲役2年の実刑と追徴金1,100万円が確定した。3日内に異議申し立てが出来るが、それが却下された場合、直ちに収監される。先月議員在職25年の表彰を受けたばかりだが、公職選挙法と国会法によりその議員も失職することになる。容疑は北海道開発庁長官時代の受託収賄罪、あっせん収賄罪、政治資金規正法違反、議員証言法違反である。よくもこれだけの罪を重ね犯して、「密室で検察の誘導により作られた意図的、政治的な判断」と強弁出来るものだ。この心臓の強さはとても人並みではない。この人と先日背任容疑で逮捕された浜田幸一議員周辺には、かねがねその行動に疑わしい雰囲気が漂っていた。一時的に法の手を逃れても、いずれは司直の手に落ちるものだということを天下に再確認させることになった。

 それにしても、国会議員の品性の悪さにはほとほと呆れ果てるばかりである。

 ところで、このほど経済協力開発機構(OECD)が発表した、GDPに占める教育機関への公的支出の割合が比較可能な主要28ヶ国中日本が最下位であることが分った。1位はアイスランドで、以下デンマーク、スウェーデンで、韓国が20位に、チリ26位、スロバキア27位である。これには私立への費用や塾などが含まれないので、教育負担の絶対額が少ないというわけではないが、教育への関心が高く、教育水準が高いと思われているわが国としては、座視出来ない数字だろう。それでも日本の私費負担割合は各国平均の17.4%に比べて33.3%と極めて高いので、それを考えればそれほど悲観すべき数字ではないかも知れない。特に、今年になって児童手当を支給したので、来年は確実に順位は上がる。

 それでも、外国でどう受け取られているかと思うとあまり良い気持ちはしない。

2010年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1212.2010年9月7日(火) 匠の技に感動、話題作品に「?」

 テレビ朝日に「ちい散歩」という番組がある。俳優の地井武男が首都圏の街角を歩いて、市井の人々にインタビューする企画で気軽に観ることができる。今日は横須賀市久里浜海岸周辺の木工屋へ立ち寄った時、「木組み」という木材と他の木材を組み合わせる手法を紹介してくれた。日本の伝統的な木造建築の職人芸にいたく感心した。角材の端と他の角材の端をつなぎ合わせるのに、釘や接着剤を一切使わずに、くりぬいた凹凸をうまく組み合わせる。古来日本の湿気のある気候の下で、一方の木材が腐食しても他の木材にその腐食が伝播しないよう昔ながらに智恵と工夫を積み重ねた結果だという。

 すごい匠の技だと感服するのだが、やはり継承する人が少なくなっていると聞くと、ちょっと寂しい気がしてくる。

 さて、北米の映画祭で最大規模と称されるモントリオール世界映画祭で、主演女優・深津絵里さんが主演女優賞を受賞した。彼女が主演した「悪人」は前々から評判にはなっていた。芥川賞作家・吉田修一の原作「悪人」を読んだ主演男優・妻夫木聰が是非とも主人公役を演じたいと売り込んだほどの注目作品だったといわれている。作者自身全力を注いだ自信作と言って憚らず、脚本も李相日監督と共同執筆したほどの惚れこみようである。

 実は、「悪人」は4年前に朝日夕刊に連載されていたので、毎日読んでいた。しかし、その当時私の興味とかけ離れていたせいもあるのかも知れないが、読んでいてちっとも面白いとは思わなかった。連載終了後に朝日が単行本化して、鉦や太鼓で力作と宣伝していた。著者も自分の作品を書き続けてきて、これが総決算になると自画自賛していた。だが、どうして著者がかくも自信満々に、「悪人」をアピールするのだろうかとむしろ不思議な感じがしたくらいの作品である。映画会社も主演俳優も作品をベタ誉めだった。その作品の主演女優が立派な賞をいただいたのだから、天晴れと言うべきだろうが、どうも釈然としないのは私の眼力が世間レベルから遥かに落ちてしまったせいだろうか、或いは単にへそ曲がりのせいだろうか。

2010年9月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1211.2010年9月6日(月) 新型耐性菌、国内で初めて検出

 今朝の朝日と読売の世論調査では、民主党代表選の形勢はいずれも菅首相有利と出た。朝日は菅:65%=小沢:17%、読売は菅:66%=小沢:18%で、ほとんど同じ割合で首相が小沢を圧倒している。

 演説の内容を聞いた限りでは、演説ベタの小沢氏の方がより具体的で説得力があると思っていた。小沢氏の人気が今ひとつ盛り上がらないのは、スタート時点でカネの問題を抱えていたことが大きなマイナスになっている。それにあの仏頂面と妙に媚びた時に見せる作り笑いは女性票を失っていると思う。加えて金権政治の古い体質と思われていることが、一番痛い点ではないだろうか。

 それに引き換えイラ菅と言われる首相は、市民運動からたたき上げてきた経歴から考えても見た目には誠実そうで、小沢氏に比べてかなり得な面構えである。だが、総理大臣としての実行力、リーダーシップ、思いつき発言、政治家としての哲学には些か疑問を感じる。

 「選択」9月号に元朝日記者・河谷史夫氏が首相の軽率な行為に対して手厳しいコメントを書いている。「~いずれ消費増税は避けられまい。とはいえ、街頭演説でぺらぺらと増税を口にする菅の浮ついた様子に為政者としての資質を疑った」と散々である。

 そうなのだ。菅首相には総理大臣としての資質が備わっているのか前から気になっていた。この選挙でこれまでの自らの政策運営が未熟だと少しは思い知り、菅長期政権へ向けて舵を切ることになれば、この代表選もまったく時間の浪費だけだったとばかりは言えなくなる。

 さて、ぞっとするような騒ぎになった。ひとつはつい数日前帝京大学病院でアシネトバクター菌による院内感染により9人の患者が亡くなった可能性が高いという事件である。昨年8月以来46人の患者が感染していたが、病院側の対応は甘く、今年8月の厚労省と東京都による定期検査の際にも報告しなかった。アシネトバクター菌とは、抗生物質がまったく効かない極めて危険なものだ。

 そこへ今日になって新たな細菌事件が判明した。栃木県にある独協医科大学病院で検査を受けた男性患者から新型耐性菌を検出したという。NDM1という大腸菌の一種である。日本国内で初めて検出されたということだが、この患者はインド帰りだという。この細菌はインドやパキスタンからヨーロッパへ広がっている。昨年インドへ行ったが、そんな話はまったく聞かなかった。

 医学が進歩して、細菌を殺菌する抗生物質が開発され、地上から細菌がいなくなるかと思いきや、抗生物質から生きのびる細菌が出てきたわけである。まるで映画のように、細菌と人間とのイタチごっこの戦いになってきたようだ。

2010年9月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1210.2010年9月5日(日) どうも腑に落ちない民主党代表選

 14日の民主党代表選投票へ向けて、菅直人首相と小沢一郎氏が猛烈に支持票獲得に走り出している。これは日本の総理大臣を決める重要な選挙ではあるが、公職選挙法に基づいて国民の投票によって行われるものではない。にも拘わらず昨日辺りから2人が一緒になって街頭へ出て、直接国民に自分たちの考えを訴えたり、相手の考えを批判したりしている。

 今のところ菅首相は熱心さと清潔さで好感を得ているようだ。そして、小沢氏のカネにまつわる不透明さを指摘している。一方の小沢氏は具体的な政策を提言して共感を得ている。町の声では五分五分のようだ。

 この代表選には、国会議員票のほかに、地方議員票、さらに党員・サポーター票というのがあり、国会議員に比べてウェイトは重くないが、それでもかなりのポイントがつくので、ともに必死にこのサポーター票を獲得しようと運動しているわけである。

 ただ、どうもよく分らないのは、あちこち街頭で一般の国民に訴えても、それを聞いて国民はどちらかに投票するというわけにはいかないことである。関心はあっても投票出来ないもどかしさを感じながら、手の届かないところで国のトップが決まってしまう。この納得出来ない気持ちを考えてみると、総理大臣は直接であれ、間接であれ、われわれ国民の投票によって決められるべきである。首相の任期切れ、或いは解散・総選挙による手順で首相を選ぶことを妨げているのは、与党政党の代表選挙が公職選挙法の精神を汲み取ったものではないからである。現時点で一気呵成に制度改正というわけにはいかないだろうが、今の気持ちとしては、どうも与党民主党代表選挙の仕組みが腑に落ちない。

 さて、昨日、今日の2日間、日本テレビ・BSで「新スポット満載!新発見の南イタリア」を観ていて、各地を紹介して歩いているイタリア人っぽい海外旅行スペシャリストが、どこかで見た顔だなと考えていたがハタッと思い当たった。

 何と「迫田健路」さんではないか。元々ハーフで背が高くバタくさい顔立ちだった。取材して案内するばかりでなく番組の企画まで担当している。相変わらずイタリア人のような軽口を叩きながら、シチリア島内を案内していた。彼とは1983年にヴァリグ・ブラジル航空のブラジル研修旅行で一緒にアマゾン奥地やイグアスの滝へ行き、ともにアマゾン川で泳いだり、ピラニアを釣ったりしたものだ。その後一度私の会社へ訪ねてくれたことがある。愉しい話を聞かせてくれる中々愉快で明るい人だった。すっかりご無沙汰してしまったが、1度連絡をとってまた愉しい話を聞かせてもらいたいと思っている。それにしても何より元気そうで良かった。

2010年9月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1209.2010年9月4日(土) チリ鉱山落盤事故に思う。

 先月5日に南米チリの鉱山で作業中に落盤事故が発生して、作業員33人は地下700mにあるシェルターに逃げ込んだが、出口が塞がれ脱出出来なくなった。33人が700mの地底に押し込められるという今どき珍しい事故で、作業員は地下に閉じ込められたままになってしまった。彼らの健康と救出作業が世界中の注目を集めている。

 今年1月に発生して犠牲者20万人を出したハイチ地震と、7月に2千人の犠牲者と2千万人の罹災者を出したパキスタン西北部の大洪水も未だに被災者に充分援助の手が差し伸べられていないようだが、自然災害は年々スケールが大きくなり、手の施しようがなくなっている。

 チリ鉱山落盤事故や、4月にメキシコ湾石油掘削施設の爆発により海底の石油パイプが破損して石油が流出した事故は、あくまで人為的な事故である。人為的な事故によって生態系が危機に瀕している。海底施設が受けたダメージは、今もって石油の流出を止められないでいる。

 チリの鉱山事故は、落盤の後一時作業員の行方も生死も分らず心配されていたが、シェルターに避難していることが確認された。チリ全国民が彼らの無事を祈り、すぐにも懸命の救出作業が開始されるかと思いきや、救出には4ヶ月もかかると言われている。

 現代社会が求める資源は、今ではそう簡単に手に入らなくなっている。危険を冒し、海底深く、地底も深く究極を求めてアプローチする。これではどうしても危険が背中合わせになるのも致し方ないといえる。

 しかし、メキシコ湾海底事故の後、ここまで危険を冒し、自然を冒すのはそろそろ考え直した方がよいとする考えも出てきた。まだ石油排出口を完全に封鎖したわけではない。海底1,500mから石油を汲み上げる作業は、それだけ難しい場所なのだ。一旦事故を起こしたら莫大な経費がかかり、地球を汚し、作業員を危険に晒すほどリスクが大きい。それだけに、そろそろ智恵を働かせて別の考え方を編み出してもよい。

 チリの事故は、そもそも地上から地下400mぐらいの場所の落盤事故で、更に奥深いシェルターへ作業員たちは逃げた。地上からそのシェルターへ向けて物資や、狭い場所へ閉じ込められて溜っているストレスを解消するための情報なども送っているという。救出までにあと4ヶ月とは気の遠くなるような話だ。1日も早い作業員たちの生還を祈るばかりである。

2010年9月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com