「230万人」という数字を聞いて、咄嗟にどういう人たちか分る人はほとんどいないのではないか。驚くなかれ、日本中の100歳以上の行方不明者の数である。このほかにも120歳以上の不明者が7万7千人、150歳以上の人が884人もいるという。日本国民の約300人にひとりがこの範疇に入る。尤も各自治体は、戦争や海外移住によって家族と離れ離れになり、死亡した場合にこういうケースがあり得るそうで、必ずしもすべてが自治体の責任というわけではないと言うが、地道で面倒な調査が後回しにされてきたことが今日の事態を招いたのではないか。
いずれにしろ、法務局も漸くこの問題の解決へ向けておっとり刀で腰を上げた。対象者が120歳以上の場合は住所の記載がないことのみを理由に、自治体が職権で戸籍抹消の手続きに入れるよう運用を簡略化することにしたのである。
さて、今日国内外で深刻な事件があった。国内の事件のひとつは日本振興銀行が破綻し、初めてペイオフが発動されたことであり、もうひとつは不正証明書発行で逮捕された厚労省の村木厚子元局長に、東京地裁で無罪判決が下されたことである。前者は2004年に中小企業向け融資専門の銀行として開業した。競争激化と景気低迷で行き詰った。昨年問題になった東京都が出資している「新銀行東京」と似たような道を辿ることになってしまった。後者は、検察の作為的なストーリーの作成と証拠品が採用されなかったことから無罪となった。疑いは晴れたが、まだ検察側が控訴する余地が残されている。
一方、海外では明日の9.11テロ事件発生9周年を期して、フロリダ州のキリスト教牧師がイスラム教の聖典コーランを燃やす計画を打ち出し、同調するよう広く呼びかけたことに対するイスラム教信者からの強い反発である。オバマ大統領が件の牧師に考えを変えるよう要請し、ゲーツ国防長官もコーラン焼却を実行すれば、イスラム諸国に駐在する米兵らの生命を危険に晒すと電話で説得し、ローマ法王庁でも憂慮する声があがっている。
「汝!隣人を愛せよ」の博愛をテーゼとするキリスト教の牧師ともあろう者が、それと正反対の蛮行を実行しようとするのは何たる傲慢、何たる非情、何たる堕落か。
牧師はイスラム教指導者と、9.11同時多発テロ現場「グラウンド・ゼロ」近くにモスクを建設する予定について話し合いがついたとして、一旦計画を撤回すると発表した。
ところが、夜になってイスラム教指導者はそんな約束はしていないと言い出す始末で、その一方でキリスト教牧師はそれなら予定通りコーラン焼却を実行すると言い出した。また振り出しに戻ってしまったらしい。もう明日まで時間はない。イスラム教信者を怒り狂わせることをやってしまうのか。さあ、牧師よ、アメリカ国民よ、どうする。