先月5日に南米チリの鉱山で作業中に落盤事故が発生して、作業員33人は地下700mにあるシェルターに逃げ込んだが、出口が塞がれ脱出出来なくなった。33人が700mの地底に押し込められるという今どき珍しい事故で、作業員は地下に閉じ込められたままになってしまった。彼らの健康と救出作業が世界中の注目を集めている。
今年1月に発生して犠牲者20万人を出したハイチ地震と、7月に2千人の犠牲者と2千万人の罹災者を出したパキスタン西北部の大洪水も未だに被災者に充分援助の手が差し伸べられていないようだが、自然災害は年々スケールが大きくなり、手の施しようがなくなっている。
チリ鉱山落盤事故や、4月にメキシコ湾石油掘削施設の爆発により海底の石油パイプが破損して石油が流出した事故は、あくまで人為的な事故である。人為的な事故によって生態系が危機に瀕している。海底施設が受けたダメージは、今もって石油の流出を止められないでいる。
チリの鉱山事故は、落盤の後一時作業員の行方も生死も分らず心配されていたが、シェルターに避難していることが確認された。チリ全国民が彼らの無事を祈り、すぐにも懸命の救出作業が開始されるかと思いきや、救出には4ヶ月もかかると言われている。
現代社会が求める資源は、今ではそう簡単に手に入らなくなっている。危険を冒し、海底深く、地底も深く究極を求めてアプローチする。これではどうしても危険が背中合わせになるのも致し方ないといえる。
しかし、メキシコ湾海底事故の後、ここまで危険を冒し、自然を冒すのはそろそろ考え直した方がよいとする考えも出てきた。まだ石油排出口を完全に封鎖したわけではない。海底1,500mから石油を汲み上げる作業は、それだけ難しい場所なのだ。一旦事故を起こしたら莫大な経費がかかり、地球を汚し、作業員を危険に晒すほどリスクが大きい。それだけに、そろそろ智恵を働かせて別の考え方を編み出してもよい。
チリの事故は、そもそも地上から地下400mぐらいの場所の落盤事故で、更に奥深いシェルターへ作業員たちは逃げた。地上からそのシェルターへ向けて物資や、狭い場所へ閉じ込められて溜っているストレスを解消するための情報なども送っているという。救出までにあと4ヶ月とは気の遠くなるような話だ。1日も早い作業員たちの生還を祈るばかりである。