来月1日に神田雑学大学で世界遺産について講義を依頼されている。パワーポイントのスライドの改訂版を作っているが、修正箇所が出てきた。去る8月に発表された今年度の登録世界遺産は21ヶ所あり、その中にこれまでに訪れたところが2箇所含まれていたので、トータルで私の訪問世界遺産は150ヶ所から152ヶ所になったと思っていた。
ところが、昨年ドイツのドレスデン・エルベ川渓谷が世界遺産登録を取り消されていた。うっかりしていて見落としていた。これで世界遺産の訪問は151ヶ所に減ったことになる。
大体ドレスデンが世界遺産登録を取り消されたのは、登録前から交通渋滞解消のため市内のエルベ川に新しい橋を架ける計画があり、それが風景美を損ねるので世界遺産委員会から橋の建設を止めるか、地下トンネルを造るかの選択を迫られ、1年間の猶予の末に、ドレスデン市は住民投票の結果も踏まえ、橋の建設に踏み切ることになり、世界遺産からおさらばすることになった。
第2次世界大戦の空襲で壊滅的に破壊され、その後見事に復興を遂げ、エルベ川界隈の夜景の美しさは取り立てて素晴らしい。市内の観光施設では、ツヴィンガー宮殿とオペラハウスが特に印象に残っている。
人間生活の利便性と、伝統的な文化とか雰囲気との優越性をどう解釈し、どちらを選択するかは、その土地の人々が決めるべきことであり、こうあるべしと判断出来ないが、旧東ドイツ領内にあってドイツの重厚な街づくりが得がたい存在だっただけに、何とも惜しい気がしてならない。
これはオマーンの動物保護区に次いで、2つ目の世界遺産登録取り消しであるが、この次に危ぶまれているのはザンクト・ペテルスブルグ市街で、ここも市内に背高ノッポのガスプロム社ビルが建てられ、風光明媚なシーンが大きく汚されるからだそうである。
世界遺産として人類と自然が創り上げた偉大な財産を後世の人間がいかに保存していくかということは難しい問題である。文化と伝統に対する気持ちの問題だろう。
昨日から心配していた、フロリダのキリスト教会のジョーンズ牧師によるコーラン焼却処分は中止されたという。やれやれである。