今朝の朝日と読売の世論調査では、民主党代表選の形勢はいずれも菅首相有利と出た。朝日は菅:65%=小沢:17%、読売は菅:66%=小沢:18%で、ほとんど同じ割合で首相が小沢を圧倒している。
演説の内容を聞いた限りでは、演説ベタの小沢氏の方がより具体的で説得力があると思っていた。小沢氏の人気が今ひとつ盛り上がらないのは、スタート時点でカネの問題を抱えていたことが大きなマイナスになっている。それにあの仏頂面と妙に媚びた時に見せる作り笑いは女性票を失っていると思う。加えて金権政治の古い体質と思われていることが、一番痛い点ではないだろうか。
それに引き換えイラ菅と言われる首相は、市民運動からたたき上げてきた経歴から考えても見た目には誠実そうで、小沢氏に比べてかなり得な面構えである。だが、総理大臣としての実行力、リーダーシップ、思いつき発言、政治家としての哲学には些か疑問を感じる。
「選択」9月号に元朝日記者・河谷史夫氏が首相の軽率な行為に対して手厳しいコメントを書いている。「~いずれ消費増税は避けられまい。とはいえ、街頭演説でぺらぺらと増税を口にする菅の浮ついた様子に為政者としての資質を疑った」と散々である。
そうなのだ。菅首相には総理大臣としての資質が備わっているのか前から気になっていた。この選挙でこれまでの自らの政策運営が未熟だと少しは思い知り、菅長期政権へ向けて舵を切ることになれば、この代表選もまったく時間の浪費だけだったとばかりは言えなくなる。
さて、ぞっとするような騒ぎになった。ひとつはつい数日前帝京大学病院でアシネトバクター菌による院内感染により9人の患者が亡くなった可能性が高いという事件である。昨年8月以来46人の患者が感染していたが、病院側の対応は甘く、今年8月の厚労省と東京都による定期検査の際にも報告しなかった。アシネトバクター菌とは、抗生物質がまったく効かない極めて危険なものだ。
そこへ今日になって新たな細菌事件が判明した。栃木県にある独協医科大学病院で検査を受けた男性患者から新型耐性菌を検出したという。NDM1という大腸菌の一種である。日本国内で初めて検出されたということだが、この患者はインド帰りだという。この細菌はインドやパキスタンからヨーロッパへ広がっている。昨年インドへ行ったが、そんな話はまったく聞かなかった。
医学が進歩して、細菌を殺菌する抗生物質が開発され、地上から細菌がいなくなるかと思いきや、抗生物質から生きのびる細菌が出てきたわけである。まるで映画のように、細菌と人間とのイタチごっこの戦いになってきたようだ。