772.2009年6月24日(水) 寺島実郎先生にご高説を賜る。

 知研「出版プロジェクト」で楽しみにしていた寺島実郎先生への取材を今日午前都内で行った。現在マス・コミで最も売れっ子の「すべてに精通する評論家」の寺島先生は、執筆に、テレビ出演に大童の活躍ぶりである。その蓄積されたノウハウと諸外国現状分析の面で、これまでの学究的知識と頻繁な海外視察による定点観測により、その真っ当な社会解析は並外れており、分析と先行予測は類稀な正確度を誇り各界から信頼されている。財団法人日本総合研究所会長、三井物産戦略研究所会長の要職に加えて、今年4月から多摩大学学長にも就任されている。その他にも文科省・中央教育委員会委員を始め、政府関係の委員を含めて29の役職や委員を委嘱されている。有識者の中でも現在日本で最も多忙なおひとりである。

 以前よりどうしたらこれ程正確な情報分析と予測が出来るのだろうかというのが素朴な疑問だった。ご多忙の中を約1時間に亘りインタビューに応えていただいた。インタビューは、今日に備えて昨日上京された知研・仙台支部長の横野洋卯子さんが担当された。

 昨日入手した横野さん作成の事前質問は、情報収集、構想、自己表現の3つの分野に細かく分けられている。寺島先生から多くの点で印象深い示唆を受けたが、情報はかき集めるだけではダメで、他の事象との相関を考えるべきであると言われたこと、団塊世代への手厳しい指摘、現代若者についての感想、父の転勤に伴う転校体験、三井物産入社直後の海外体験、演繹法と帰納法しか解決手段を持たない秀才、等について伺った多岐に亘る話が大変興味深かった。

 九州から北海道、そして逆コースとまったく異なる土地柄の中で初中等教育を受け、高校時代にクーデンホーフ・カレルギー著「パン・ヨーロッパ」を訳された鹿島守之助氏へ大胆にも直接手紙で訳著をおねだりしたエピソードを披露してくださった。三井物産ではすぐイスラエルへ駐在して、テル・アビブ大学で学んだ体験とイランのIJPC(イラン石油化学プロジェクト)への関わりが、イスラム、或いは諸外国との相関関係の大切さを知るきっかけになったと仰った。

 三井物産へ入った動機について補足的に質問させてもらったが、答えは一般の商社マンとしての入社とは異なり、最初からシンクタンクである三井物産戦略研究所へ入り、商社の営業活動には携わっていないとお答えいただいた。現地で現場の空気を知ったことが、その国について確たる信念を持って論ずることが出来る根拠となっているというお話だった。

 それにしても、現代の若者に力がなくなったとの件では、世の中に不条理とも思える差別とか、貧困差がなくなったことで、若者の間に怒りがなくなったことが原因と仰った。知識人についてもわななくような怒りがなくなった。これはもう人間ではないとまで言われた。ご自身が団塊世代であることについてもろくなものではなく、長い日本の歴史上自由に生きてよいと言われた唯一の世代であり、公から逃げた世代だと自嘲的に話された。そこまで厳しく責めることはないのではないかとも思うが、きっと団塊世代としていたたまれないほど良心の呵責の気持ちが強いのだろう。それと同時に責任を持たずに育った団塊世代の子どもたち、団塊ジュニアについても厳しい見方をされた。団塊ジュニアは「ミーイズム」と呼ばれ、ライフスタイルは不干渉主義、好き勝手のし放題と手厳しい。ホリエモンや、秋葉原無差別殺傷犯人らを始め、「SMAP」が歌う「世界にひとつだけの花」の歌詞なんかもぼろくそだった。

 しかし、寺島語録は頷けることばかりで流石に現実をよく捉えておられると思う。実に教えられることの多い取材だった。寺島先生も終始笑顔を絶やさず、アットホームな雰囲気の中で時間いっぱい格調高いお話を伺った。同席された久恒啓一理事長には、終ってからホテルで昼食をご馳走になった。

2009年6月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

771.2009年6月23日(火) 沖縄で64回目の慰霊の日

 終戦から数えて64年目の今日は、沖縄地上戦で命を落とした犠牲者を悼む「慰霊の日」と呼ばれている。戦争犠牲者の碑の前では、ほとんどの人がもう戦争は繰り返さないと誓う。しかし、現実には戦争は無くならず、むしろ近年は地域戦争や民族紛争が頻発している。激戦地となった糸満市摩文仁の丘の平和祈念公園では、沖縄全戦没者追悼式が開かれた。4,500人も参列したこの追悼式には、麻生首相も出席し追悼の言葉を述べた。残念ながら、野党代表者は誰一人として列席しなかった。いつも声高に戦争反対を叫び、国際的に注目を集める核反対運動などでは先頭に立つ共産党や社会党の党首はもちろん、野党第1党の民主党執行部からは誰も現地へ足を運び、戦没者を悼み、追悼文を述べる関係者はいなかった。

 戦没者の名を刻んだ「平和の礎(いしじ)」には、すでに24万人を超える犠牲者が祀られている。口先だけ戦争反対と言ったって、どこまで本心かは分からない。現場で慰霊碑の前に立ち、静かに戦争の情景を思い浮かべ、関係者の話を聞いて、初めて心にずしんと来るものである。僭越だが、私自身の経験から言えば、熾烈な戦いが行われた土地で体験者から話を聞いて自分のイメージをダブらせると、自然に目頭が熱くなってくるものである。そこに追悼の気持ちも生じるのである。だからこそ現場である戦地へ足を運ぶことに意味がある。然るに、憲法改正反対とか、原子力発電所建設反対、自衛隊海外派遣反対とか、とかく派手に報道される運動には力を注ぐが、日本人にとって戦後復興の原点でもある沖縄最後の地上戦と、その犠牲者に対して、そっぽを向いているかの如き、リベラルと称する面々の沈黙は一体全体何だろうか。もう少し誠実な良識と日本人としての心があっても良いのではないかと思う。併せてマス・メディアの見識も問いたい。

 今日は各地で真夏日となり、熊谷市では摂氏33.8度を記録した。この暑い中を歯科、整形外科、内科と医院のはしごである。先日抜けた歯の治療もどうやら終わりとなって、整形外科と内科は定期検査に行く。相変わらず高めの血圧については、整形医と内科医とももう少しこのまま同じ量の投薬で行こうということになった。

2009年6月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

770.2009年6月22日(月) ロマンスカー車内での取材

 知研「出版プロジェクト」で私にとって4回目のインタビューは鉄道作家であり、推理作家でもある野村正樹さんだ。野村さんの提案により小田急ロマンスカーの展望車を部分的に借り切って、そこで取材するという珍しい舞台設定になった。出版社も興味を持ってくれ、予備席を含めて22席をリザーブして、小田急電鉄にも前以てこの企画について了解を求めた。

 16座席をフロントガラスに向かって「コ」の字型にアサインして応接間空間を作り、ゆったりした雰囲気の中で取材するということになった。流石に「鉄っちゃん・野村正樹」の面目躍如で心憎いばかりの心配りと演出である。予め質問をお送りしておいたが、特に「知の現場」という書名に関する「知」に拘った質疑となった。

 恐れ入ったのは、事前の質問に対して事前に野村さんから書類により一部回答をいただいたことである。少々難しいインタビューになるかなとの懸念は見事に吹っ飛んだ。野村さんにとっての「知的生産」とは、人間としての理想である「真善美の追求」「清く正しく美しく」のために4つの「識」、つまり「知識」「常識」「見識」「美意識」を磨き、これに触媒を加えて5つの「シン」の行動、端的に言って「発信」「受信」「共振」「疑心」「確信」することであると言われた。野村イズムの斬新な命題が浮かび上がったような気がする。

 ロマンスカー内での質疑は賑やかでやや落ち着きのないものだったが、中々珍しい体験で楽しいものだった。小田原駅では、知研会員の石川均さんがわざわざ年休を取ってワゴン・カーで出迎えてくれ、野村さんが連絡を取ってくれた二宮神社へ案内してくれた。野村さんは小田原で二宮尊徳博物館と報徳二宮神社見学を設営してくれていた。博物館で学芸員の説明を受けた後、草山昭・財団法人報徳福運社理事長から二宮尊徳の偉業と思想についてお話を伺った。草山理事長はかつて報徳二宮神社の宮司だった。昨年ブラジル移民100周年記念行事のためにブラジルへ行かれ、ブラジル日系人から尊徳について学びたいとの熱心な声に接した。帰国後尊徳の像を贈って普及にも力を注いでおられると仰っていた。「報徳精神」というのは、そもそも「神・儒・仏」が一体化したものだとの説明を受けたが、その考えは、神が50%、儒は25%、仏が残りの25%だと教えられた。神が半分も入っていることは中国辺りでは受け入れられないだろうと考えられるが、思想的に難しい中国でも近年二宮尊徳に関する関心が高まってきているということである。また国内でもトヨタ自動織機では、経営の参考のために、尊徳に対する教育を広めたいと言っていたそうだ。今や日本の教科書で尊徳について教えられることはなくなってしまったが、現在のような経済破綻、倫理観の失われた時代だからこそ、反ってその思想が強く求められているとのお説であった。まさにその通りだと思う。

 今日の取材は一風変わった取材になったが、二宮尊徳を見直す機会にもなった。いつまでも印象に残るものである。

2009年6月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

769.2009年6月21日(日) 時代は世紀末に近づいているか。

 一昨日懸案となっていた臓器移植法改正案が衆議院で可決された。微妙に異なる4つの案が出されていてどうなるのか国民には分かりにくかったが、結局「脳死は人間の死」との前提が認められたことになる。今日まで法制化が難しかったのは、倫理的な問題を含んでいるため是非を判定する法律に馴染まず、どの政党も国会議員も猫の首に鈴をつけたがらなかったことが原因である。わが国はこれまで高い治療費を支払って海外で手術を受けるという個人的な行為に頼り、問題解決を先送りしてきた。

 先般WHOが臓器提供者の不足から、臓器は同国内で提供されるべきであるとして、外国で臓器提供を受けることを禁ずる警告を発した。それにより日本国内で臓器提供者の少ない現実を踏まえ、臓器提供者の枠を広げようとの発想が、今回の衆議院における法律改正に辿り着いた。しかし、この法律は結果的にさまざまな問題提起を来たしている。国会審議は充分でなくバタバタと決めてしまったことが、専門家の間に不満を募らせている。

 それにしてもこの問題以外にも、この一両日の間の立法と行政のドタバタは目に余る。例えば、一度に3つの法案を可決して、こんな拙速でよいのかと考えてしまう。ここへ来て1日の内に「海賊対処法案」「国民年金法改正案」「税制改正法案」の3法案を通してしまったのである。国会開催期限のことも念頭にあったと思うが、議員はそれぞれの法案の内容が充分分かっているのだろうか。

 行政でもおかしなことがまかり通っている。建設効果が費用に見合わないとして、国土交通省がこの3月末に建設を凍結した国道18路線について、大半は事業が再開されるどんでん返しとなったことである。これでは何のための見直しか。朝令暮改を堂々と繰り返して、政治家も役人もまったく恥じない。国交省の対応には開いた口が塞がらない。金がかかるから工事を停止にしたはずであるが、族議員の要望があればすぐひっくり返してしまうのである。これなら最初から見直しなんて必要なかったのではないか。毎度こんな調子だから、政治家も役人も信用出来ない。

 さて、荒れたイラン国内情勢は、最高指導者・ハメイニ師が選挙の結果は正当であるとして、革新派のムサビ氏や支持者に反対運動の中止を促した。一旦は収まりそうに見えたが、群集は納得せず、暴動一歩手前の騒動になっている。警備隊の発砲により10人が死亡したとも伝えられている。ここもいつ平静さを取り戻すのか。北朝鮮の貨物船もどこへ行ったのか。ビルマはどうなるのか。イラクでは自爆攻撃により60人が亡くなった。

 国内では一部の人間が勝手な振る舞いをして国を劣化させ、世界では無軌道、暴動、無差別殺人が当たり前のようになって世界中に不安の種をばら蒔いている。世紀末的な影が忍び寄っている証左だろうか。

2009年6月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

768.2009年6月20日(土) ペトロ岐部の殉教

 日本キリスト教団中目黒教会で伝道集会が開かれ、「ローマまで歩いた日本人、ペトロ岐部の殉教」のお話があると小中陽太郎さんから案内をいただいていた。中目黒教会へは以前1度訪れたことがあるが、今日の催しは中々興味深い趣向だった。キリスト教については、それほど詳しく分からないが、出席者の質問の中には、プロテスタント教会でカトリックの人たちを主題に催しを行うことは稀で、その意欲的な試みを評価する声があった。

 実はペトロ岐部という人物がどういう人で、歴史上どういう役割を果たしたのかよく分からなかった。話をされたのは、川村信三・上智大学准教授だったが、ローマで学んだので流石に詳しい。

 ペトロ岐部は天正少年遣欧使節団より20年ほど遅れて、キリシタン禁教令の下で外国人神父や仲間とともに追われるように長崎を発って行った。些か恥ずかしかったが、ペトロ岐部は少年遣欧使節のひとりだと思っていた。船と自分の足で目指すローマへ向かい、お仕置きを覚悟で日本へ帰り、殉教した。川村講師の話によると井上筑後守が処刑の決断を下した際に、ペトロ岐部の強い信仰心と揺るがぬ決意に感動したようである。その辿ったルートを見るとホルムズ海峡から砂漠の中をペルシア、イラク、シリアを経由してエルサレムへ到着した。その後ベネツィアから、ローマへ入り、マドリード、リスボンを経て海路東南アジアを経由して帰国した。

 1614年に発って16年後の1630年に日本へ戻ったというから、この時代では宇宙的な大旅行だったことが分かる。今日の出席者からペトロ岐部が処刑されたのは、江戸・札の辻だという説明があった。新知識ばかりだ。出席された人たちはそのあたりの薀蓄にかけては詳しく、質問でも話の内容でもとても私にはついていけるものでなかった。

 進行は小中さんのリードで進められたが、奥さまともども熱心なクリスチャンである小中さんは、素敵なコーディネーター役をこなしておられた。賛美歌から取った「勝利をのぞみ」という歌詞が、懐かしい‘We shall overcome’であるとは知らなかった。かつてはベトナム反戦デモの際よく英語歌詞で歌ったものである。浅はかな知識から、この歌はフォーク歌手ジョーン・バエズが作ったものだとばかり思っていた。終ってから階下で手に入れた90頁ほどの小冊子‘PETRO KIBE’「ローマまで歩いた男」はざっと目を通しただけだが、コンパクトによくまとまっている。ペトロ岐部について新たな一面を知ることが出来たように思う。

 目黒区議の須藤甚一郎さんも来ておられた。教会を出て歩道で須藤さんがご存知のタレント・久本雅美さんにばったり逢った。以前の仕事の関係で須藤さんもお顔が広い。そのまま自由が丘へ出て、小中さんご夫妻のおごりで、須藤さん、それに最近ソマリア沖の海賊対策でジブッティへ行かれた防衛省深山秘書課長とともに食事をした。

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767.2009 年6月19日(金) ブラウン英首相がビルマ軍政を非難

 イギリスのブラウン首相が、今日ビルマのアウン・サン・スー・チーさん64歳の誕生日に際して、ビルマ軍政に対する極めて強い調子の寄稿文を朝日新聞に寄せた。スー・チーさんはもう13年も軍の厳しい監視下に置かれて外出も思うように出来ない。ブラウン首相は国際社会がビルマの悲劇を忘却の彼方へ追いやってしまうことを恐れるかのように、世界中の人々に軍政に対して強い行動を起こすよう呼びかけている。元々イギリスの植民地であったという負い目があるのかも知れないが、日本をはじめ近隣諸国があまりビルマに対して、本来の支援活動を起こさないことに対する苛立ちが発散されたようだ。イギリス政府はビルマ軍政の正統性を認めておらず、ビルマが軍政になってから国名をミャンマーと変更したが、イギリスは受け入れず、依然としてビルマと呼んでいる。一時的にビルマが話題になることはあるが、国際社会からはすっかり忘れられた存在になっている。

 ところで、国連制裁を受けている北朝鮮の貨物船が出国して中国沿岸部に沿って南下している。アメリカ政府は積荷の検査を、入港した国へ要求すると上空から監視しながら尾行を続けている。その入港先がビルマらしい。一両日内に判明するだろうが、ビルマは北朝鮮の貨物船を受け入れ、その場合アメリカの要求通り積荷の検査に応じるのだろうか。両国ともによくよく物議を醸す国である。

 今日は1日中忙しく、池袋から新宿、そして駒澤大学と移動ばかりしていた。池袋では、外人向インバウンドツアーの紹介と立会いで、以前に会ったことのある王一仁さんに話を聞いた。中国を中心にアジアからの旅行客に小田急の施設を利用してもらおうとの試みである。‘VISIT JAPAN’を標榜する観光立国政策の影響もあり、年々訪日客が増えているが、国内の受け入れ施設が整備されないようでは話にならない。その最たるものがガイド不足である。王さんの話によると、ガイド資格試験の合格率が低くて絶対数が不足しがちであるという。それでいて、日本にはガイド数を増やそうとの気持ちが感じられないという。それは、中国人が中国語ガイドの資格試験で、歴史、地理、文化等は合格点に達していながら、本家本元の中国語で落とされるという椿事があるという。韓国語でも、韓国人が語学で落ちるというミステリーにどうしたら良いのか分からないと率直に話してくれた。まあこんな愚かなことをやっている国土交通省の役人は、本丸がどこか分からず、政策立案だけやっている感じである。これで観光立国とは少々お粗末ではないか。日本のお役所仕事というのは、いつもこうだ。

2009年6月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

766.2009年6月18日(木) 広告会社が戦争を仕掛ける?

 1年ぶりに多摩大学でジャーナリスト・江川招子氏の講義を聞いた。昨年の講義が面白かったので、期待していたが、正直に言って内容的には昨年ほどの面白さはなかった。しかし、中々説得力のある魅力的な話しぶりで、近年メディアが抱える問題、取材の現場の苦労話を聞かせてくれた。また、想定外な話も聞いて興味は尽きなかった。題して「新聞の読み方・テレビの見方」である。

 今日の講義で江川講師はいくつかの問題点を提起されたが、大きな問題としてマス・メディア業界全体に、不況の影響による広告量の減少、それが新聞の頁数の減少となり、記事より写真が増える傾向にあると指摘された。

 実際今朝の朝日などはかつては考えられなかったような2流、3流の広告が載っていた。メディア内部の問題としては、①「週刊新潮」の誤報、というより意図的とも思える朝日新聞神戸支局員殺害事件のニセ犯人問題、②奈良県少年放火殺人事件、を例証された。現在事件の情報源が罪に問われるケースが深刻になっている。同時に、「SLAPE」と呼ばれる公的発言を封じる行為が問題視されている。例えば、真実を究明した結果、逆に裁判に訴えられた場合、対抗上弁護士に相談せざるを得ない。時間のやりくりも大変だが、それ以上に高い弁護士費用を払えないケースが出てくる。講師自身もオウム真理教から坂本弁護士殺害事件に関連して、訴えられた体験を話された。それが行き過ぎるとジャーナリストもつい無難な記事を書く傾向に陥る。こういう流れをどう食い止めるか。

 また、広告掲出企業を悪く書かない傾向も見えてくる。最近では一部にかなり批判されたトヨタの奥田氏とキャノンの御手洗氏のメディアに対する嫌がらせ発言の例がある。

 怖いのは、広告会社が広告を作る際、広告会社のイメージで作る場合であると非難していた。外国では、湾岸戦争やユーゴスラビア解体直前の恣意的なCMが戦争を引き起こす結果になったと、「戦争広告代理店」とまで呼んで糾弾しておられた。現在の傾向としては、「見るものが欲しがるものを出す」ということと、「何事も短く」というのが時代の風潮であり、キーワードのようである。

 考えてみるとこういう風潮が進むと、マス・メディアは徐々に内部崩壊していくのではないか。広告会社が戦争を仕掛けるとはまったくもって考えたことがなかった。

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765.2009年6月17日(水) イランの民主化?

 イランが荒れている。先日行われた大統領選挙が、予想を超える現職の圧勝という結果に終ったことが原因である。現職のアフマディネジャド大統領が圧勝したが、対立候補のムサビ元首相支持者が現大統領圧勝の陰で選挙結果における不正があったと異議を唱え出したからである。1979年イスラム革命以後イラン国内でこのような大規模なデモが行われたことはなかった。反米一辺倒の保守派・アフマディネジャド大統領の磐石な体制も案外揺さぶられている。当初現職が圧倒的な勝利を収めるかに見えたが、選挙戦中盤から革新派のムサビが追い込んで投票日直前には僅差の勝負になるとみられていた。しかし、結果は現職の圧勝だった。これが騒ぎの原因だったから分らないものである。最近のイランの動きを見ていても、是非は別にしてもやはりアフマディネジャド氏が強いのではないかとは思っていた。

 一般にイスラム国家というのは、政治的には非民主的である。イランはイスラム体制だが、中東では珍しく民主主義制度の残る国である。その少ないイスラム民主主義国家の中で、イランは堂々総選挙で国民に信を問うている。しかし、それはまだ見せかけだけで民主化は体制組織の中ではごく一部で、国家の権力構造は宗教指導者の権限が相変わらず強い。その証拠に最高指導者は大統領ではなく、聖職者・ハメネイ師と言われている。この国が大統領の一方的な独裁色を打ち出すのは、革命防衛隊という組織が力を握ったからで、政府幹部もほとんどこの革命防衛隊の出身者である。ハメネイ師自身体制維持のために防衛革命隊に頼るという、奇妙な相関関係があるからだろう。だが、民主化へ進む一歩として、この何やら秘密めいた革命防衛隊なるものの存在を明らかにする必要があるのではないか。

 今回のデモが多少民主化への目を開かせてくれたかと思いきや、イラン政府は許可のない海外マス・メディアの取材を一方的に禁止するありさまである。枠を広げて大勢の外国人ジャーナリストに臨時ビザを発行して、自国の民主化をPRするつもりだったが、暗に反してそうは行かなくなってしまった。

 私自身2度に亘ってイラン国内を歩き回り、このイスラム国への思い込みが強いだけに、今の強硬姿勢にはどうしても違和感と反発を覚える。もっと素直に国民の声を反映させることは出来ないものか。このままでは国際社会から益々嫌われてしまうのではないか。

2009年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

764.2009年6月16日(火) 生命保険の契約変更

 高校ラグビー部の後輩、鈴木敦雄くんに生命保険をお世話になっている。7年前まとまった金額を一括払いして、死亡の場合にいただける保険金はその倍額になる契約を結んだ。しかし、最近になってその保険料がそのまま塩漬けになって、このまま使えなくなっては自分の金でありながら自分の金ではないような気がしてどうするのがベストかしみじみ考えるようになった。一旦現在の契約を解約して、毎月定額保険料を支払う契約を交わした方がよいのではないかとも考え、今日後輩に会って相談したところ良いアイディアを提示してくれた。年齢的に解約は不利で、生保会社から保険料総額の9割以内で借金して利息を定額保険料として支払うのがベターではないかとアドバイスしてくれた。しかも金利は年利3%ということなので、あまり負担にならない。金利は最終的に遺族が保険金を受領する際に相殺されるということだった。流石はプロの的確なサジェスチョンである。これなら極めて好都合であり、早速信頼出来るアドバイスに従うことにした。まあ生命保険なんかであまり頭を使いたくない。これからずっとこのまま行きたい。

 朝刊紙で「週刊女性」誌の広告を見てびっくりした。タイトルは「王貞治『老老介護苦汁の現実』」となっていた。失礼ながら王さんの母上はすでに亡くなられたのではないかと思っていた。1901年9月のご誕生だから、現在107歳のはずである。長い間王家の皆さまと交流があったので、母上のことはある程度承知していた。ご家族がおそろいのころは、毎年正月に箱根旅行をお世話していた。王一族打ち揃ってハワイ旅行をされた時などは、母上は帰国日が運勢上良くないと仰ってそのまま自宅には帰らず、成田にお1人で1泊されたこともあった。8年前の百賀のお祝いのパーティも王貞治前監督の兄上で医師の王鐵城先生から依頼されて新宿センチュリー・ハイアットで設営したこともある。

 3年前に王先生にお会いした時、母上は大分弱っているので信頼出来る施設にお世話になっていると仰っていた。昨年暮れにその王先生が亡くなられた時、葬儀の場に母上の姿はなく、お名前も掲示されていなかったので、やはりもう鬼籍に入られたと早合点していた。それが何と今朝の週刊誌の広告である。

 早速週刊誌を買って読むと、特別な内容ではなく、先年恭子夫人を亡くされた王貞治氏が、ひとりで、或いは娘さんと時折母上をお見舞いしているという週刊誌のトップ記事として大騒ぎするほどのものではない。

 今や実兄の王鐵城先生も亡くなられ、夫人にも先立たれ、大きなお世話かも知れないが、野球人としては最高位を極めた王貞治氏にとって、家庭的にはあまり恵まれているようには見えない。王先生夫妻と私たち夫婦で一緒にヨーロッパ旅行をして、王家の方々とは随分親しくご厚誼をいただいただけに、とてもお気の毒で少々寂しい気もする。人柄の素晴らしい王貞治氏は私より2歳若いが、いつまでも元気でいて欲しいと願うばかりである。

2009年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

763.2009年6月15日(月) 現職高級官僚逮捕と31歳の新市長

 昨日世間をあっと言わせる出来事が2つあった。ひとつは、障害者郵便物特別割引料金を悪用したとして現職高級官僚が逮捕されたことであり、もうひとつは公共工事にからむ収賄事件で逮捕された千葉市長の後任選出選挙で、全国最年少市長として、民主党推薦の31歳の前市議が大差をつけて自民党推薦候補者を破り当選したことである。

 前者は、「凛の会」という実態のない障害者団体に、女性の厚生労働省局長が自分の権限で証明書を不正発行したり、郵便局へ電話して特別扱いを要求した悪質な行為である。そもそも障害者だけにしか認められていない制度を悪用して、大型電器店のDMに利用させて億単位の金を支払わずに済ませたという。この事件は2つの点で問題を曝け出した。

 第1点はまだ解明されていないが、政治家が官僚に頼んだルートに沿って、電器店から相当なキックバックが障害者団体を通して政治家へ流れ、仲介した官僚には政治家から何がしかの色よい報酬があったのではないか。

 第2点は、郵便料金の決定に根本的な誤りと不適切さがあるということを露呈したことである。普通は製品が安値で販売され原価割れになれば、赤字になって生産を停止するのが常識である。ところがこれだけ多額の料金を騙されても、赤字が表面化したわけではなく、はっきり言って誰も実損を蒙ってはいないと思う。末端で怪しいと疑念を持たれて調べた結果今回の不祥事が明るみに出た。このことは、料金設定がもともと根拠のない相場と雑な料金計算によって決められていたのではないかと思う。結論から言えば、郵便料金が高いものだということを証明したのではないか。

 後者の千葉市長選挙について言えば、びっくりしたというのが本音である。31歳の熊谷俊人・新市長の誕生にはそれなりの理由があったのだろう。それにしても新市長は若い。議員経験としても2年前に市議に当選したばかりで、それまではIT企業に勤めていたサラリーマンだった。地方の小さな都市ならともかく、千葉市と言えば人口50万人以上の政令指定都市である。全国800近い市のうち、僅か18都市しかない。実力は未知数であり、期待もある反面、不安もある。自転車で走り回りながら政策を有権者に訴えたという。自民党の人気が降り気味である幸運もあった。しかし、新市長の真剣な熱意が有権者に届いたのだろう。現職副市長で自民党の支援を受けた対抗馬に圧勝した。若くて未知数ではあるが、可能性と清潔さに賭けた千葉市民の期待を裏切らないで欲しいものだ。時代が刻一刻と変わっているということだろう。

2009年6月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com