769.2009年6月21日(日) 時代は世紀末に近づいているか。

 一昨日懸案となっていた臓器移植法改正案が衆議院で可決された。微妙に異なる4つの案が出されていてどうなるのか国民には分かりにくかったが、結局「脳死は人間の死」との前提が認められたことになる。今日まで法制化が難しかったのは、倫理的な問題を含んでいるため是非を判定する法律に馴染まず、どの政党も国会議員も猫の首に鈴をつけたがらなかったことが原因である。わが国はこれまで高い治療費を支払って海外で手術を受けるという個人的な行為に頼り、問題解決を先送りしてきた。

 先般WHOが臓器提供者の不足から、臓器は同国内で提供されるべきであるとして、外国で臓器提供を受けることを禁ずる警告を発した。それにより日本国内で臓器提供者の少ない現実を踏まえ、臓器提供者の枠を広げようとの発想が、今回の衆議院における法律改正に辿り着いた。しかし、この法律は結果的にさまざまな問題提起を来たしている。国会審議は充分でなくバタバタと決めてしまったことが、専門家の間に不満を募らせている。

 それにしてもこの問題以外にも、この一両日の間の立法と行政のドタバタは目に余る。例えば、一度に3つの法案を可決して、こんな拙速でよいのかと考えてしまう。ここへ来て1日の内に「海賊対処法案」「国民年金法改正案」「税制改正法案」の3法案を通してしまったのである。国会開催期限のことも念頭にあったと思うが、議員はそれぞれの法案の内容が充分分かっているのだろうか。

 行政でもおかしなことがまかり通っている。建設効果が費用に見合わないとして、国土交通省がこの3月末に建設を凍結した国道18路線について、大半は事業が再開されるどんでん返しとなったことである。これでは何のための見直しか。朝令暮改を堂々と繰り返して、政治家も役人もまったく恥じない。国交省の対応には開いた口が塞がらない。金がかかるから工事を停止にしたはずであるが、族議員の要望があればすぐひっくり返してしまうのである。これなら最初から見直しなんて必要なかったのではないか。毎度こんな調子だから、政治家も役人も信用出来ない。

 さて、荒れたイラン国内情勢は、最高指導者・ハメイニ師が選挙の結果は正当であるとして、革新派のムサビ氏や支持者に反対運動の中止を促した。一旦は収まりそうに見えたが、群集は納得せず、暴動一歩手前の騒動になっている。警備隊の発砲により10人が死亡したとも伝えられている。ここもいつ平静さを取り戻すのか。北朝鮮の貨物船もどこへ行ったのか。ビルマはどうなるのか。イラクでは自爆攻撃により60人が亡くなった。

 国内では一部の人間が勝手な振る舞いをして国を劣化させ、世界では無軌道、暴動、無差別殺人が当たり前のようになって世界中に不安の種をばら蒔いている。世紀末的な影が忍び寄っている証左だろうか。

2009年6月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com