842.2009年9月2日(水) 64年前の今日、降伏文書に署名

 昨日は第2次世界大戦開戦記念日に当る。以来70年が経った。9月1日ドイツ軍がポーランドへ進軍して戦闘は開始された。独ソ不可侵条約を結んでいたソ連も呼応するように、17日にポーランドへ侵攻した。昨日ポーランドではグダニスク郊外で記念式典が行われ、ドイツからメルケル首相、ロシアからはプーチン首相も出席した。ポーランドでは今も反ロ感情が根強く、プーチン首相は和解の旅と考えられたが、相変わらずバルト3国や東欧諸国ではアンチ・ロシアの空気が強く、流石のプーチンも言い訳と反論に終始している。

 9月1日は、中国では革命60周年記念日だった。また、カダフィ大佐指導のリビアも革命40周年記念日となった。ロシア南部の北オセチア共和国で学童180人を含む330人以上が犠牲となった、ベスラン学校占拠人質事件が発生したのも5年前の9月1日である。どうも9月1日という日は、穏やかな日ではないようである。日本では86年前関東大震災が起こった。

 翻って大東亜戦争は64年前の今日ミズーリー号上で降伏文書の調印により、公式に終戦となった。日本の終戦記念日は決まりきったように「8月15日」となっているが、アメリカでは調印文書に署名された今日9月2日が終戦であると言われている。

 さて、政権移行に向けて着々手が打たれ、鳩山政権発足へむけた準備が進められているが、人事問題が水面下で蠢いているようである。一方で、先日鳩山代表のニューヨーク・タイムスに発表された内容がアメリカ国内で問題になっている。「文藝春秋」に掲載された寄稿文の要旨が掲載され、それは必ずしも鳩山氏の意図するようには伝わっていないようだが、ニューヨーク・タイムス以外のメジャー紙が取り上げ、厄介なことになりそうだ。特に、アメリカ主導の海上自衛隊によるインド洋海上給油を取り上げるかどうかという点と、沖縄の米軍基地移転問題は、アメリカから強い要請があるのではないかと極めて心配である。アメリカ政府は日本の新政権の対米姿勢が極めて気になるところで、どういう動きになるだろうと考えていた矢先に、今夜11時にオバマ大統領と鳩山代表が早速電話会談をするようになったらしい。鳩山氏はどういう対応をされるのか。どんな話し合いがなされるのか、結果に興味がある。

2009年9月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

841.2009年9月1日(火) 民主党内に早くも内紛のきざし?

 民主党が天下を取ったので、国会運営を始め役所の運営もこれまでより難しくなったようだ。国会の日程は再来週辺りに特別国会を召集して首班指名する予定だ。選挙に敗れた自民党では総裁である麻生首相が辞意を表明したにも関わらず、総裁任期が今月28日に切れるということから、総裁をその日に決定する。従ってその前の特別国会において、辞意を表明している麻生太郎を次の総理大臣候補として首班指名する、奇妙な事態になりかねない。だが、果たして全自民党員が国会の首班指名の投票用紙に「麻生太郎」という名前を書くのだろうか。流石に記者会見でもその点について質問されたが、麻生首相は一向意に介していないようだった。違った意味で「大物」である。

 目新しいところでは、民主党が官僚主導を是正するために、国会議員を各省庁へ派遣することを考えているが、それ以前に新たに「国家戦略局」と称する官僚を抑えるための組織を、各省庁とは独立した形で立ち上げる。各省庁が従来のように予算を財務省に上げるのではなく、「国家戦略局」で予算の方針と概略を決め、それを省庁へ下ろすということを検討しているようだ。予算分捕り合戦を防ぐ意味では大変効果的であるとは思う。

 昨日になって八木哲郎・知研会長から一杯やりましょうとの話があり、新宿へ出かけた。高校の先輩で知研の杉沢達也監査役、久恒啓一理事長を交えて食事をした。民主党の勝利が嬉しくて一杯やる気になったと言っておられた。以前から小沢一郎の能力を高く評価して、一度民主党に政権を取らせてやりたいと言っておられただけに、その気持ちも理解出来る。自民党の古い体質が嫌われ、新しい政党が国政を担うことになったので、確かに気持ちは高揚してこれまでのように政権は変らず、議員数がプラス・マイナスだけの変化よりは大分いい。期待は大きいながらも、民主党は寄り合い所帯だけに壊れ易い。そんな懸念材料がある中でスタート間もない民主党内に、早くも小沢前代表を取り巻くグループから不満の声が聞かれるという。その不協和音が、そのまま内紛へ発展しなければよいが・・・。

2009年9月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

840.2009年8月31日(月) 民主党政権移行に着手

 総選挙の投票結果は、予想通り野党第1党だった民主党の圧勝に終った。まさかこれほどまでに自民党が叩きのめされるとは思いも及ばなかった。第1党となって政権を担うことになった民主党は、308議席を獲得して改選前の115から193議席も増やした。一方で自民党は300議席から181議席も減らして119議席となった。投票率も69.28%で、90年に73.31%を記録して以来の高い投票率となった。これは国民が完全に自民党から民主党支持へ舵を切ったことの証左であろう。

 問題にしたいのは、若者の行動パターンである。彼らは投票に行ったのか。権利と義務を行使したのか。少子高齢者対策、年金問題等で若者に対してやや厳しい社会政策になりつつある現状から、若者に対してももう少し配慮するような政策が期待されている。それも頷ける。しかし、果たしてその若者たちの投票率がどの程度向上したのか。もし若者の投票率が相変わらず低いようであるなら、自分たちは行動を起こさず、任せっ放しにしておいて不満だけを口に出すということになる。義務も果たさず、権利だけを主張していることだ。前回の総選挙では、80歳代が80%台の投票率に対して、20歳代の若者のそれが、何と40%台だったことを考えると、若者の行動に対しては注視せずにはいられない。今日のところはまだ年齢別の投票率は公表されていない。

 一方、世界各国でも総選挙の結果は注目され、今朝の海外ニュースを見ても先進主要国を始めとして、カタールの「アルジャジーラ」でも、東京駐在員が市民の声を伝えていた。韓国では、歴史観がやわらかくなるのではないかとの期待がある。ロシアでは、鳩山代表が日ソ平和条約締結時の鳩山一郎首相の孫であると報道され、北方領土問題の軟化を示唆するマス・メディアがある。久しぶりに日本が世界から注目されている。海外でも、自民党の惨敗はそれほど大きな話題を提供したということだ。

 これからいろいろな事柄も話題になるだろう。女性議員の多さも驚きである。女性の当選者54人は過去最多で、復活議員の多さも異例だそうだし、新顔議員は全体の1/3にのぼるという。

 ひとつ選挙の新聞報道で気がついたが、今朝の朝日と日経の一面トップ記事の見出しは、朝日が「民主308 政権交代」、日経は「民主300超 政権交代」だった。横に白抜きでほぼ同じ大きさのタイトルである。夕刊はどうかというと、朝日の「民主 政権移行へ着手」に対して日経は「民主、政権移行に着手」である。ほとんど同じである。何と知恵のないことか。もう少しそれぞれ個性的で気の利いたタイトルが考え出せないものか。こうなると読売、毎日等、他の新聞の見出しも見てみたいものである。道理で選挙前の当選予想も各紙ともほとんど同じようなものだった。結局どこか根っこでつながっているのではないか。これが新聞は個性が失われたという噂が出てくる原因かも知れない。はっきり言ってこの程度の見出しなら、ちょっと考えれば簡単にひねり出すことが出来ると思う。

2009年8月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

839.2009年8月30日(日) 民主党単独過半数獲得!

 衆議院議員総選挙投票のため妻とともに、息子たちの母校である投票所の東深沢小学校へ行ったところ、延々長蛇の列が続いているのには驚いた。やはり盛り上がっているのをこの目で確かめるような光景だった。結局投票まで25分もかかった。期日前投票の数字も前回の1.6倍増ということを考えると、全体の投票率は前回の67.5%を間違いなく上回りそうだ。

 午後1時からJR武蔵境駅前「スィングホール」で開催の吉祥寺村立雑学大学創立30周年記念行事「雑学大学サミット」に参加した。サミット実行委員会委員長の飯田ゼミの後輩・佐藤博信さんから案内をいただいたので、見学してみるくらいの軽い気持ちで参加したが、成功裏に運営出来たプロジェクトだったのではないか。多くの人から佐藤さんの優秀な実務能力を聞かされ、わがことのように嬉しかった。

 冒頭に邑上守正・武蔵野市長の挨拶、その後の西本晃二・元東大文学部長の基調講演「団塊世代と生涯学習」も割合肩の凝らない話だった。パネルディスカッションは、3つの雑学大学の代表に加えて、生涯学習の公共性の専門家、それに田中雅文・日本女子大教授がコーディネーターを務めた。

 合間に演奏されたパラグアイの民族楽器・アルパの音色にもしばしうっとりした。失礼ながら、とかく賑やかな中南米のラテン系楽器の中でこんな上品な音色を聞いたことがない。周囲の人に聞いてみても、その音色に感銘を受けたと言っていた。その後の懇親会を含めて、「雑学大学サミット」に関わった関係者は、それぞれ地域における生涯学習の拡充のために献身的に活動している。これは定年後の生きがいとしても効果的である。

 それにしても皆さんの熱意には頭が下がる。懇親会では私も司会者の指名で即席スピーチを要請されたので、現場について知りえないような実態を聞かせる話、つまり臨場感に基づいた内容が講演に参考になるのではないかとの主旨の話をした。果たしてどれほど皆さんに受け入れていただけただろうか。

 さて、夜になって各テレビ局が即日開票に伴う開票速報に注力している。現時点(午後10時)では、与党自民党の当確が54人、民主党が241人で、民主党が予想通り圧倒して過半数を獲得した。最終的にはどこまでその差が拡がるのか分からないが、ともかく一時期の特例を除いて、戦後一貫して日本の政治をリードしてきた自民党が、ついに政権を手放すことになった。戦後政治の転機であり、大きな変革である。これから国の政治の運営をどのように行って、国民の信頼を回復させるのか、民主党にとっても政権担当能力を問われる。まさに正念場である。これまで野党として無責任な発言も許されていた一面もあったが、政権を担った以上今後は責任を持って約束した政策をきちんと実行してもらいたい。

 いよいよ日本の政治も大きく動き出したと言えよう。

2009年8月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

838.2009年8月29日(土) 鳩山論文がアメリカで物議を醸している。

 明日はいよいよ総選挙投票日であるが、ちょっと気がかりなことがある。恐らく民主党が天下を取るだろう。その民主党鳩山由紀夫代表が「ニューヨーク・タイムス」に寄稿した論文が、アメリカ国内で波紋を広げている。論旨は「米ソ冷戦後日本は米国主導の市場原理主義、グローバリゼーションにさらされ、人間の尊厳が失われている」とこれまですべての面でアメリカ追従の歩みが日本経済にとっては足かせとなったと訴え、新しい関係構築を提唱したものである。

 アメリカ政府関係者や、知日派政治家には寝耳に水のようで、当然の如く反発している。鳩山氏の訴え方がどういう経緯でこのような発信力のある「ニューヨーク・タイムス」へ掲載されることになったのか定かではないが、少々勇み足の感は拭えない。しかし、近年日米間に来たした齟齬は、いずれ遅かれ早かれ表面化する下地はあった。すでに小沢代表がアメリカの対日政策に対して批判的であったし、PKO活動や海上自衛隊のインド洋海上給油活動に対しても憲法違反の恐れありとして国会でも反対の意思表示をしていたからである。

 その小沢氏に代わった鳩山氏が、同じようなスタンスで臨んでいたところへ、このようなアメリカにとって刺激的な論文をアメリカ政府関係者の手を経ずに一方的に公に発表されたことに、腹が立っているのだろう。

 しかし、これまでの日米外交は完全にアメリカの手のひらのうえで踊らされ、日本はアメリカの言い分を至極ご尤もと承っていたに過ぎない。対等とは言いながら、決してそうではなかった。アメリカにとっては飼い犬に手を噛まれたとの思いであろう。だが、アメリカにも反省すべき点は少なくない。日本がいつも言いなりなのを良いことに、かなり無理強いをしてきたのが、これまでの日米同盟交渉である。

 鳩山政権が成立したら、比較的アメリカに知己の多い岡田幹事長を外相に起用して、戦後一貫して屈辱的だった関係をフィフティフィフティの立場に立って、言うべきことは言い、妙なご機嫌取りは止めるべきだろう。平等の2国間外交であるべきである。それが長期的にみて相互にとって一番メリットの多い2国間の友好関係になる。それにしてもそれが出来る政治家と外交官が、果たしているだろうか。日米同盟は日本にとって最も大事なパートナーシップである。どうも気になることである。

2009年8月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

837.2009年8月28日(金) 「責任力」って何だ?

 衆議院議員総選挙投票日が明後日に迫り、候補者の広報カーが近所を走りまわり、そのスピーカーが煩いこと夥しい。4年前の郵政選挙と称せられた選挙の時もヒートアップして自民党が圧勝に終ったが、今回はまったく逆転現象となり、政権交代を訴えている民主党が圧倒しそうである。

 新聞各紙の見方もほぼ似たような予想を立てているが、昨日の朝日新聞によると115議席だった民主党が2倍以上の伸びで307~330議席を獲得しそうだと予測している。一方自民党は300議席だったが、89~115議席にまで大幅に議席を失いそうだ。さあどうなるか。

 前回の第1四半期GDPが久しぶりに向上して景気が少し良くなってきたと多少楽観していたが、今日総務省が発表した労働力調査によると、7月の完全失業率は前月を0.3%上回る5.7%となった。家に篭っていると実感としてはあまりぴんと来ないが、完全失業率が5.7%というのは、その周辺に相当数のフリーターと非正規社員がいるということである。政権が代わってもすぐ直面する大変な問題である。

 トヨタの米カリフォルニア州におけるGMとの合弁工場をトヨタは閉鎖するという結論を出した。トヨタとしては再建中のGMが色よい返事をしてくれず、ついに諦めざるを得なかった。これにより従業員4,300名が職を失うことになり、財政状況がピンチだったカリフォルニア州にとっては新たな雇用問題を抱えることになった。

 こういう目に入ってくる経済関係のニュースを見るたびに、不況からの脱却はまだ当分遠いとの感がする。

 さて、朝日夕刊1面を見て笑ってしまった。言葉の問題であるが、昨今気になっていた「~力」という使い方である。先日麻生首相が言い出した「責任力」という言葉が、どうも違和感があり、かつてこんな言葉はなかったのではないかと疑問に思っていた。夕刊の記事はこの「~力」を皮肉ったものである。98年に作家・赤瀬川原平の「老人力」から始まるのだが、その後「常識力」「人間力」「鈍感力」「にっぽん力」等々、みんなこんな言葉があったかなあと思える単語ばかりである。最初の「老人力」などは、洒落が利いている感じで、むしろ目新しさも効いて面白い表現だなと思ったが、総理大臣が自ら責任を果たしてもいないのに、「責任力」を言い出すに至ってはとてもまともには受け取れず、ついユーモアの世界ではないかと思ってしまう。

2009年8月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

836.2009年8月27日(木) なぜロシアは偽善者として振舞えるのか。

 ケネディ家の末弟、エドワード・ケネディ上院議員が亡くなった。一時は大統領への道を駆け上がる最有力候補だったが、女性とのスキャンダルで自滅した。ケネディ氏はオバマ大統領の支持者だったがゆえに大統領も特別の弔辞を述べていたが、イメージばかり先行して、結局のところ自ら蒔いた種が災いして坂道を転げ落ち、ついに幻の大統領に終ってしまった。

 いかに名家に生まれ、学力が優秀であっても、この大物はセルフ・コントロールが効かなかったようである。40年も前に夜中に湖へ突っ込んだ自動車事故で同乗していた女性秘書を死に至らしめ、彼女をそのまま放置して運転していた本人はその場から逃げ出した。この不誠実で人格を疑わせる行為ひとつとってみても常識ある社会人の行動とはとても思えない。ましてや政治家として、はたまた1国の大統領としては完全に失格である。こういう人物がちやほやされること自体アメリカの気づかれない欠点であろう。死者に鞭打つ気はさらさらないが、ケネディ氏は噂ばかり先行して、政治家としての実績は医療改革以外になかった。

 昨日26日はノモンハン事件発生70周年記念にあたる。例によって、またロシアの舞台露出が激しくなってきた。モンゴルの首都ウランバートルで開催された記念式典には、わざわざメドベージェフ・ロシア大統領がやってきて当時のソ連の大義を強調した。

 今年は第2次世界大戦開始から数えても70周年になる。ロシアは対独戦の勝利を「ファシズムからの解放」といい、ノモンハン事件を「日本軍国主義への勝利」と宣伝している。モンゴルでは「ロシアは戦争だけでなく経済的にも助けてくれた」とロシアへの感謝の声がある一方で、大戦中バルト3国やポーランドなどソ連の圧制を経験した国々では、歴史解釈をめぐりロシアとの間に摩擦が起きている。一方ロシアは7月に欧州安保協力機構の議会が採択した人権と自由に関する決議に「20世紀の欧州はナチスとスターリン主義という2つの全体主義体制を経験した」などと記述されたことに猛反発した。それに対抗するように「ソ連とナチスドイツを同列に扱うのは許せない」との声明をロシア上院で採択し、メドベージェフ大統領はソ連の負の面を強調する歴史観を徹底的に批判した。

 しかし、いくら公平に見てもロシアの国家観はどうしたって怪しいものだ。どうもロシアは覇権主義を振りかざし、自国の歴史評価の修正はヤルタ協定や、サンフランシスコ講和条約などに疑義を呈することにあるらしい。それなら「北方4島は日本が無条件降伏した第2次大戦の結果としてソ連に移り、ロシアに法的に継承された」などと言える筋合いではあるまい。日本の敗戦直前になって、日ソ不可侵条約を一方的に破棄して参戦し、そのうえサンフランシスコ条約も承認していない。さらにドイツ人捕虜と日本人捕虜を過酷なシベリアに長期間抑留して強制労働を課し、多くの犠牲者を発生させた。このナチスをも上回る残虐行為の罪をどう贖うつもりか。まだロシアの反省も贖罪も済んでいない。何を偽善者ぶって我田引水的発言をしているのか。これだからロシアは信用できない。

2009年8月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

835.2009年8月26日(水) 黒い稲妻、トニー・ザイラー逝く。

 昨日オーストリアのアルペン・スキー花形選手だった、トニー・ザイラー氏が亡くなった。1956年のコルチーナ・ダンペッツォ(イタリア)冬季オリンピックで史上初めてアルペン3冠王となった。その後映画界で活躍して日本映画でも主演俳優として出演し、スキーファンのみならず、多くの日本人に愛されたスポーツマンのひとりだった。われわれの学生時代には憧れの選手だった。名画「白銀は招くよ」「黒い稲妻」のカッコいい雄姿が懐かしい。

 2003年にかつてのオリンピック会場だったコルチーナを訪れた時、最初に瞼に浮かんだ人物は、日本人ではザイラー選手に次いで銀メダルを獲得して日本人として、アルペン種目初のメダリストとなった猪谷千春選手と金メダリストのザイラー選手だった。コルチーナのロープウェイ駅にはイタリア、オーストリア、その他の国旗と並んで日の丸が掲げられ、青空の中にへんぽんと翻っている光景が何とも言えず心強かったことを思い出した。聞けば、コルチーナではメダリスト・猪谷選手は最も有名な日本人とのことだった。

 思い返してみると、現在のスキー界では、かつての花形種目だったアルペン、ジャンプ、複合、ノルディック長距離に対して、モーグルとか、エアリアル、フリースタイルなどが人気を高めてきた。しかし、われわれには学生時代に楽しんだアルペン・スキーのスピードと爽快感が忘れられない。

 それにしてもまだ73歳で、猪谷氏は自分より5歳も若いのにと言って嘆いていた。

 奇しくも今年7月に開催されたユネスコ世界遺産委員会で、コルチーナを含むドロミテ山塊地区が世界遺産として登録されることが決まった。実際に現地を訪れて味わった山の中の空気は本当に美味しく気持ちのよいものだった。山の景色、湖周辺の美しい環境、山に囲まれた街の雰囲気、どれをとっても一級品である。今まで日本人が訪れることが少なかったのは、交通アクセスがあまり便利でなかったことによる。30年ほど前にイタリア北東部のボルツァーノを文部省教員視察団とともに訪れた時、当地の教育長からぜひコルチーナを訪れて、イタリアの山の素晴らしさも堪能して欲しいと強く勧められたが、時間的に訪れることは出来なかった。6年前に夢にまで見た景勝地へ初めて足を踏み入れ、素晴らしい観光地へ来ることが出来て芯から幸福感に浸ったものだった。

 ドロミテ周辺が世界遺産に登録されたことは当然とも言えるが、今あの場所で名を上げたザイラー選手の訃報を聞くにつけ、コルチーナと併せ考え感慨無量の思いである。

2009年8月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

834.2009年8月25日(火) 危険な学童集団登山が富山県で行われている。

 昨日のNHK「にっぽん紀行」という番組が「十二歳の成人」と称する興味深いテーマを取り上げ放映した。12歳の成人という言葉に、些かの疑問と興味を感じて観た。それによると富山県のある小学校では、6年生が全員霊峰・立山山頂を目指すことを長い間学校行事として続けてきたという。子どものころ体験した親も、良かったと評価していた。

 しかし、はてと考えてしまった。2泊3日の体験学習として、小学6年生にここまで過酷で危険なエクスカーションを行う必要があるのだろうかと思った。大げさに言えば、生と死の瀬戸際にある学校行事といって差し支えないと思う。

 今夏は北海道の大雪山を中心とする各地の山々で犠牲者を生んだ遭難事故が発生した。そのほとんどが旅行業者の主催するツアー登山による事故である。ゆとりのないスケジュールに、天候の激変、疲労、判断の間違い等がその原因として取り沙汰された。しかし、私の経験上言えば、登山では低山のハイキングならともかく一般的に高山に集団で登ること自体馴染まない。特に、知らない者同士が旅行業者の指定する集合場所で初めて顔合わせするような団体ツアーでは、大切なチームワークが芽生えようはずがない。

 テレビ放映された富山県小学生の学習登山は、旅行業者が主催するようなツアー登山とは異なりあくまで学校が主催するものであるが、その反面別の視点から問題がある。まず、体力的にも未成熟な100名を超える小学生を団体で一度に3,000m超の高山へ連れて行く必要があるだろうか。一言で言えば無謀である。引率する教師らの気苦労も計り知れないものがある。もっと他に幼い6年生の体力に合った教育的な体験学習が考えられるのではないか。高原のキャンプでは駄目なのだろうか。これほど危険を冒してまで12歳という年齢を祝う必要があるだろうか。こんな危険な学校行事を私は聞いたことがない。私も大学生になってから何度かこの立山連峰の主峰雄山(標高3,003m)に登頂した経験があるが、幸い天候に恵まれた。しかし、3,000m級の高山にはそれなりに厳しい道のりがあった。景色は良かったし、天然記念物「雷鳥」を見ることも出来た。だが、そこには危険が背中合わせに隠されているのだ。高山で樹林はなく岩と石ばかりで遮るもののない山頂周辺は1度天候が狂えば、風雨から身を避ける場所がない。しかも痩せた尾根で、突風でも吹けば大人でも危険で、小さい子どもには必死になって岩にしがみついても吹き飛ばされる恐れがある。テレビ放映を観ていても、天候が3日間安定していたわけでもなく、これは引き返すべきだと思ったくらいである。幸いにして遭難事故とはならなかったが、その可能性は頗る高い。

 こういう危険な行事を学校、教育委員会が黙認し、奨励するがごとき対応は児童の生命軽視と思われても仕方がない。彼らが誰もその危険性に気づかなかったり、疑問を唱えなかったとすれば、最早教育者としては失格だと思う。このように教育に名を借りた、その土地だけの特殊で危険極まりない行事は即刻中止すべきであると考えるが、目の前が見えなくなっている富山県教育委員会はどう考えるか。もし来年もこのままこの立山集団登山を強行するようなら、間違いなく遭難の危険性が秘められていることを警告しておきたい。

2009年8月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

833.2009年8月24日(月) 世の中いろいろあら~なぁ

 ベルリンで開催中の世界陸上で、昨日は女子マラソンの尾崎好美選手が銀メダルを、男子やり投げで村上幸史選手が銅メダルを獲得した。女子マラソンは団体でも2位となった。他にも前日男子400mリレーで日本は4位に入賞した。やり投げは、ハンマー投げの室伏広治選手が目立つ活躍をしながら、同じ投てき部門でこれまで国際舞台で活躍する選手は出なかったが、これでようやく曙光が見えてきたかも知れない。村上選手は日本選手権でも10連覇を達成している。これも見上げた好成績である。瀬戸内海の小さな島、生名島の出身で、お母さんの素朴な語り口や、家族、地元の皆さんの声援が微笑ましい。村役場では、早速お祝いの垂れ幕を作るそうだが、その飾らない素朴さが爽やかである。

 観光関係でも変ったことがあった。ひとつは、「世界ジオパーク」に日本から3箇所が選定された。2つ目は、憧れの「オリエント急行」が今年限りで廃止されるそうだ。3つ目は、ドイツ・ハンブルグ中央駅で騒がれた日本人観光客の無神経な行為である。

 「世界ジオパーク」というのは、世界的に貴重な地形や地層を認定している「世界遺産」とはまったく別の評定である。今回日本で認定されたのは、①火山活動による洞爺湖有珠山周辺の地形、②巨大な断層、糸魚川―静岡構造線の特徴的な地質、③火砕流に襲われた島原半島、である。こういう制度があること自体を知らなかったが、かなりアカデミックで、専門的な点もある。2004年に認定制度がスタートして、現在19ヶ国63地域が含まれているそうである。認定された地元では、観光にも好影響を期待して大喜びである。しかし、一見派手な世界遺産に比べて、中々踏み込みにくい地域であり、啓蒙化させて知名度を高めていくのは相当な努力が求められると思う。

 「オリエント急行」が終幕を迎えるとはいかにも寂しい。アガサ・クリスティの推理小説で一躍有名になったが、望みながらもついに私には乗車する機会がなかった。廃止の理由は高いコストと乗客離れとのことである。ヴェネチアでも、イスタンブールでも列車が駅に停車しているところは見たが、廃止せざるを得なかったのは、結局スピードが緩く、運賃が高いというだけの理由ではなく、現代人がゆっくり鉄道の旅を楽しむ心の余裕がなくなったからではないかと思う。廃止を嘆き悲しむ落胆派鉄道オタクには、私自身5度ほど乗ったことがあるタイ・マレー鉄道が別名「オリエント・エキスプレス」であるので、同じ夢をこれに乗って味わって欲しいものである。

 ドイツ・ハンブルグ中央駅の事件は、少々無神経でお粗末だった。去る21日に中央駅ホームのベンチにチェーンで固定された荷物が置かれているのが、警察によって発見され不審物扱いされ、爆発物の恐れありと処理班が出動した。駅は1時間半の間閉鎖され、40本の列車が遅れ、2本が運休した。この荷物の持ち主は近くに観光に出かけていたということが分かったが、鉄道会社からは損害賠償が請求されると看做され、その額は数百万円を上回ると考えられている。地元紙では「文化的な誤解か、はたまた単なる鈍感か」と極めて批判的である。こういうバカ者が世界を歩き回るのは困る。常識的に考えれば分かりそうなものだ。これは平和ボケで外の世界をよく見ず、普段からものを考えない「罪のない」単純馬鹿の日本人が犯した大きなミステークである。これなどは、洒落にもならない。

 総選挙を前に遊説を続けている麻生首相が都内の学生との対話集会で、「若者に結婚するだけのお金がないから結婚が進まず、少子化になるのではないか」と聞かれて、「金がねえなら結婚しない方がいい、おれもそう思う。うかつにそんなことしないほうがいい」と応えた。少子化対策が政府の懸案事項になっている時にどうもいただけない。今更説明する必要もないほど、わが総理大臣はKYで、内部劣化している。お手上げだ。

2009年8月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com