ケネディ家の末弟、エドワード・ケネディ上院議員が亡くなった。一時は大統領への道を駆け上がる最有力候補だったが、女性とのスキャンダルで自滅した。ケネディ氏はオバマ大統領の支持者だったがゆえに大統領も特別の弔辞を述べていたが、イメージばかり先行して、結局のところ自ら蒔いた種が災いして坂道を転げ落ち、ついに幻の大統領に終ってしまった。
いかに名家に生まれ、学力が優秀であっても、この大物はセルフ・コントロールが効かなかったようである。40年も前に夜中に湖へ突っ込んだ自動車事故で同乗していた女性秘書を死に至らしめ、彼女をそのまま放置して運転していた本人はその場から逃げ出した。この不誠実で人格を疑わせる行為ひとつとってみても常識ある社会人の行動とはとても思えない。ましてや政治家として、はたまた1国の大統領としては完全に失格である。こういう人物がちやほやされること自体アメリカの気づかれない欠点であろう。死者に鞭打つ気はさらさらないが、ケネディ氏は噂ばかり先行して、政治家としての実績は医療改革以外になかった。
昨日26日はノモンハン事件発生70周年記念にあたる。例によって、またロシアの舞台露出が激しくなってきた。モンゴルの首都ウランバートルで開催された記念式典には、わざわざメドベージェフ・ロシア大統領がやってきて当時のソ連の大義を強調した。
今年は第2次世界大戦開始から数えても70周年になる。ロシアは対独戦の勝利を「ファシズムからの解放」といい、ノモンハン事件を「日本軍国主義への勝利」と宣伝している。モンゴルでは「ロシアは戦争だけでなく経済的にも助けてくれた」とロシアへの感謝の声がある一方で、大戦中バルト3国やポーランドなどソ連の圧制を経験した国々では、歴史解釈をめぐりロシアとの間に摩擦が起きている。一方ロシアは7月に欧州安保協力機構の議会が採択した人権と自由に関する決議に「20世紀の欧州はナチスとスターリン主義という2つの全体主義体制を経験した」などと記述されたことに猛反発した。それに対抗するように「ソ連とナチスドイツを同列に扱うのは許せない」との声明をロシア上院で採択し、メドベージェフ大統領はソ連の負の面を強調する歴史観を徹底的に批判した。
しかし、いくら公平に見てもロシアの国家観はどうしたって怪しいものだ。どうもロシアは覇権主義を振りかざし、自国の歴史評価の修正はヤルタ協定や、サンフランシスコ講和条約などに疑義を呈することにあるらしい。それなら「北方4島は日本が無条件降伏した第2次大戦の結果としてソ連に移り、ロシアに法的に継承された」などと言える筋合いではあるまい。日本の敗戦直前になって、日ソ不可侵条約を一方的に破棄して参戦し、そのうえサンフランシスコ条約も承認していない。さらにドイツ人捕虜と日本人捕虜を過酷なシベリアに長期間抑留して強制労働を課し、多くの犠牲者を発生させた。このナチスをも上回る残虐行為の罪をどう贖うつもりか。まだロシアの反省も贖罪も済んでいない。何を偽善者ぶって我田引水的発言をしているのか。これだからロシアは信用できない。