総選挙の投票結果は、予想通り野党第1党だった民主党の圧勝に終った。まさかこれほどまでに自民党が叩きのめされるとは思いも及ばなかった。第1党となって政権を担うことになった民主党は、308議席を獲得して改選前の115から193議席も増やした。一方で自民党は300議席から181議席も減らして119議席となった。投票率も69.28%で、90年に73.31%を記録して以来の高い投票率となった。これは国民が完全に自民党から民主党支持へ舵を切ったことの証左であろう。
問題にしたいのは、若者の行動パターンである。彼らは投票に行ったのか。権利と義務を行使したのか。少子高齢者対策、年金問題等で若者に対してやや厳しい社会政策になりつつある現状から、若者に対してももう少し配慮するような政策が期待されている。それも頷ける。しかし、果たしてその若者たちの投票率がどの程度向上したのか。もし若者の投票率が相変わらず低いようであるなら、自分たちは行動を起こさず、任せっ放しにしておいて不満だけを口に出すということになる。義務も果たさず、権利だけを主張していることだ。前回の総選挙では、80歳代が80%台の投票率に対して、20歳代の若者のそれが、何と40%台だったことを考えると、若者の行動に対しては注視せずにはいられない。今日のところはまだ年齢別の投票率は公表されていない。
一方、世界各国でも総選挙の結果は注目され、今朝の海外ニュースを見ても先進主要国を始めとして、カタールの「アルジャジーラ」でも、東京駐在員が市民の声を伝えていた。韓国では、歴史観がやわらかくなるのではないかとの期待がある。ロシアでは、鳩山代表が日ソ平和条約締結時の鳩山一郎首相の孫であると報道され、北方領土問題の軟化を示唆するマス・メディアがある。久しぶりに日本が世界から注目されている。海外でも、自民党の惨敗はそれほど大きな話題を提供したということだ。
これからいろいろな事柄も話題になるだろう。女性議員の多さも驚きである。女性の当選者54人は過去最多で、復活議員の多さも異例だそうだし、新顔議員は全体の1/3にのぼるという。
ひとつ選挙の新聞報道で気がついたが、今朝の朝日と日経の一面トップ記事の見出しは、朝日が「民主308 政権交代」、日経は「民主300超 政権交代」だった。横に白抜きでほぼ同じ大きさのタイトルである。夕刊はどうかというと、朝日の「民主 政権移行へ着手」に対して日経は「民主、政権移行に着手」である。ほとんど同じである。何と知恵のないことか。もう少しそれぞれ個性的で気の利いたタイトルが考え出せないものか。こうなると読売、毎日等、他の新聞の見出しも見てみたいものである。道理で選挙前の当選予想も各紙ともほとんど同じようなものだった。結局どこか根っこでつながっているのではないか。これが新聞は個性が失われたという噂が出てくる原因かも知れない。はっきり言ってこの程度の見出しなら、ちょっと考えれば簡単にひねり出すことが出来ると思う。