明日はいよいよ総選挙投票日であるが、ちょっと気がかりなことがある。恐らく民主党が天下を取るだろう。その民主党鳩山由紀夫代表が「ニューヨーク・タイムス」に寄稿した論文が、アメリカ国内で波紋を広げている。論旨は「米ソ冷戦後日本は米国主導の市場原理主義、グローバリゼーションにさらされ、人間の尊厳が失われている」とこれまですべての面でアメリカ追従の歩みが日本経済にとっては足かせとなったと訴え、新しい関係構築を提唱したものである。
アメリカ政府関係者や、知日派政治家には寝耳に水のようで、当然の如く反発している。鳩山氏の訴え方がどういう経緯でこのような発信力のある「ニューヨーク・タイムス」へ掲載されることになったのか定かではないが、少々勇み足の感は拭えない。しかし、近年日米間に来たした齟齬は、いずれ遅かれ早かれ表面化する下地はあった。すでに小沢代表がアメリカの対日政策に対して批判的であったし、PKO活動や海上自衛隊のインド洋海上給油活動に対しても憲法違反の恐れありとして国会でも反対の意思表示をしていたからである。
その小沢氏に代わった鳩山氏が、同じようなスタンスで臨んでいたところへ、このようなアメリカにとって刺激的な論文をアメリカ政府関係者の手を経ずに一方的に公に発表されたことに、腹が立っているのだろう。
しかし、これまでの日米外交は完全にアメリカの手のひらのうえで踊らされ、日本はアメリカの言い分を至極ご尤もと承っていたに過ぎない。対等とは言いながら、決してそうではなかった。アメリカにとっては飼い犬に手を噛まれたとの思いであろう。だが、アメリカにも反省すべき点は少なくない。日本がいつも言いなりなのを良いことに、かなり無理強いをしてきたのが、これまでの日米同盟交渉である。
鳩山政権が成立したら、比較的アメリカに知己の多い岡田幹事長を外相に起用して、戦後一貫して屈辱的だった関係をフィフティフィフティの立場に立って、言うべきことは言い、妙なご機嫌取りは止めるべきだろう。平等の2国間外交であるべきである。それが長期的にみて相互にとって一番メリットの多い2国間の友好関係になる。それにしてもそれが出来る政治家と外交官が、果たしているだろうか。日米同盟は日本にとって最も大事なパートナーシップである。どうも気になることである。