ベルリンで開催中の世界陸上で、昨日は女子マラソンの尾崎好美選手が銀メダルを、男子やり投げで村上幸史選手が銅メダルを獲得した。女子マラソンは団体でも2位となった。他にも前日男子400mリレーで日本は4位に入賞した。やり投げは、ハンマー投げの室伏広治選手が目立つ活躍をしながら、同じ投てき部門でこれまで国際舞台で活躍する選手は出なかったが、これでようやく曙光が見えてきたかも知れない。村上選手は日本選手権でも10連覇を達成している。これも見上げた好成績である。瀬戸内海の小さな島、生名島の出身で、お母さんの素朴な語り口や、家族、地元の皆さんの声援が微笑ましい。村役場では、早速お祝いの垂れ幕を作るそうだが、その飾らない素朴さが爽やかである。
観光関係でも変ったことがあった。ひとつは、「世界ジオパーク」に日本から3箇所が選定された。2つ目は、憧れの「オリエント急行」が今年限りで廃止されるそうだ。3つ目は、ドイツ・ハンブルグ中央駅で騒がれた日本人観光客の無神経な行為である。
「世界ジオパーク」というのは、世界的に貴重な地形や地層を認定している「世界遺産」とはまったく別の評定である。今回日本で認定されたのは、①火山活動による洞爺湖有珠山周辺の地形、②巨大な断層、糸魚川―静岡構造線の特徴的な地質、③火砕流に襲われた島原半島、である。こういう制度があること自体を知らなかったが、かなりアカデミックで、専門的な点もある。2004年に認定制度がスタートして、現在19ヶ国63地域が含まれているそうである。認定された地元では、観光にも好影響を期待して大喜びである。しかし、一見派手な世界遺産に比べて、中々踏み込みにくい地域であり、啓蒙化させて知名度を高めていくのは相当な努力が求められると思う。
「オリエント急行」が終幕を迎えるとはいかにも寂しい。アガサ・クリスティの推理小説で一躍有名になったが、望みながらもついに私には乗車する機会がなかった。廃止の理由は高いコストと乗客離れとのことである。ヴェネチアでも、イスタンブールでも列車が駅に停車しているところは見たが、廃止せざるを得なかったのは、結局スピードが緩く、運賃が高いというだけの理由ではなく、現代人がゆっくり鉄道の旅を楽しむ心の余裕がなくなったからではないかと思う。廃止を嘆き悲しむ落胆派鉄道オタクには、私自身5度ほど乗ったことがあるタイ・マレー鉄道が別名「オリエント・エキスプレス」であるので、同じ夢をこれに乗って味わって欲しいものである。
ドイツ・ハンブルグ中央駅の事件は、少々無神経でお粗末だった。去る21日に中央駅ホームのベンチにチェーンで固定された荷物が置かれているのが、警察によって発見され不審物扱いされ、爆発物の恐れありと処理班が出動した。駅は1時間半の間閉鎖され、40本の列車が遅れ、2本が運休した。この荷物の持ち主は近くに観光に出かけていたということが分かったが、鉄道会社からは損害賠償が請求されると看做され、その額は数百万円を上回ると考えられている。地元紙では「文化的な誤解か、はたまた単なる鈍感か」と極めて批判的である。こういうバカ者が世界を歩き回るのは困る。常識的に考えれば分かりそうなものだ。これは平和ボケで外の世界をよく見ず、普段からものを考えない「罪のない」単純馬鹿の日本人が犯した大きなミステークである。これなどは、洒落にもならない。
総選挙を前に遊説を続けている麻生首相が都内の学生との対話集会で、「若者に結婚するだけのお金がないから結婚が進まず、少子化になるのではないか」と聞かれて、「金がねえなら結婚しない方がいい、おれもそう思う。うかつにそんなことしないほうがいい」と応えた。少子化対策が政府の懸案事項になっている時にどうもいただけない。今更説明する必要もないほど、わが総理大臣はKYで、内部劣化している。お手上げだ。