872.2009年10月2日(金) 2016年オリンピック開催都市はどこに決まるか。

 2016年のオリンピック夏季大会開催地を決めるIOC総会が、コペンハーゲンで開催されているが、4つの候補都市がそれぞれ世界的にも知られる大物を送り、キーノート・スピーカーとしてそれぞれの都市の開催PRのために精力的に動いている。

 シカゴは、オバマ大統領夫妻、リオ・デ・ジャネイロはルーラ大統領とサッカーのペレ元選手、マドリードはファン・カルロス国王が演説した。東京は鳩山首相が先の国連総会でアピールした環境問題を話題にして、環境を意識した、コンパクトな大会と訴えたらしい。投票による決定は日本時間今夜半過ぎである。ここまで来たらやはり東京で開催してもらいたいというのが、ほとんどの日本人の本音だろう。吉と出るか、凶と出るか。それにしても、日本のスピーカーは皇太子が難しくなり、先日まで決まらず誰がやるのか気をもませたが、鳩山首相が引き受けてくれて良かった。国連総会におけるスピーチが良いイメージを与えたので、そのイメージをそのまま持ち込んだ。健闘と言えるのではないか。仮に麻生首相だったら、まずダメだっただろう。あまり「東京開催」を期待しない方が良いと思うが、それでも明日の結果が待ち遠しい。

 先日「構想日本」の加藤秀樹代表が、政府の行政刷新会議事務局長に内定したとのニュースが流れたが、これについて昨夕「構想日本」から加藤代表名で「行政刷新会議事務局長を引き受けるに当って」というメールによる挨拶文が送られてきた。過去7年間取り組んできた事業仕分けの実績が、認められた結果だと受け止めておられる。この事業仕分けを通じて、今年度中に4兆円の財源を捻出したいと言っておられる。ただ、歳出カットだけが目的ではなく、国と地方の制度や組織に根源的な問題があると捉えておられ、行政刷新会議としては行革や地方分権につながる仕事を遂行したいと意欲的である。ご本人も自覚しておられるが、こんなに激職をいくつも引き受けて大丈夫だろうかと他人事ながら心配である。本職は慶大教授であるが、構想日本代表、日本財団理事長、そして政府の要職まで引き受けて一体大丈夫なのだろうか。良識ある加藤代表ゆえ安倍、福田ら元首相のように、途中でもうや~めたとは、決して言わないだろうが・・・。

2009年10月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

871.2009年10月1日(木) 中華人民共和国建国60周年を迎える。

 1949年に中華人民共和国が建国して60年が経った。今中国の経済発展は世界の驚きであり、脅威でもある。来年度中には国民総生産(GDP)は、日本を追い抜いて世界第2位になる。最近の新聞報道をみると、中国政府はこの60年の総括をやっているが、国威発揚のためかもっぱら自画自賛である。前半30年間は毛沢東主席の建国を、後半30年間は鄧小平の改革解放政策の成果だと褒めちぎっている。

 確かに近年の中国の大躍進は目覚しい。貿易のみならず、生産、消費の面でも主要諸国を追い上げている。中国国民の生活水準も着実に向上している。都市住民の1人当たり可処分所得は建国当時僅か100元だったものが、昨年は15,781元にまで上昇している。何と160倍である。農村では44元だったものが、4,761元に上がっている。問題はとかく話題になる都市・農村間の所得格差である。先の数字を見ただけでも4倍近い差がある。

 そして司法の腐敗と言われるように、裁判所と警察、公務員の賄賂が蔓延っていることが、国民の無気力を生んでいる。それより最大の問題は、何といっても民族問題だろう。ラサやウィグルでは、町中を武装警官が警戒しながら歩き回ったり、あちこちに監視カメラが取り付けられるようになった。天安門広場における式典や軍事パレードだって、民族問題を押さえ込み、中国国民の目を民族問題から逸らそうとの意図があることはミエミエである。中国政府のやり方は、力で国民を強引に抑えつけるの一辺倒だ。官僚が散々不正や賄賂をやっておきながら、職のない農村部から職を求めて出稼ぎにやってくる若者に圧力を加えるというのは、誰しも納得出来ないのではないか。派手に行進する軍事パレードが虚しいものに見えてくる。

 一昨日アメリカ領サモア諸島で地震発生とともに津波が押し寄せ、多数の犠牲者を出したが、昨日はインドネシア・スマトラ島でも大きな地震があった。今日現在500名を超える死者が出ているが、更に死者は増え数千人が犠牲となったのではないかと心配されている。テレビ報道に見る悲惨なシーンには胸を痛みつけられる。個人的にも1999年8月に遭遇した、トルコ地震の現場の倒壊したビルや道路傍の瓦礫の山を思い出す。日本ではそれほど大きな地震ではないが、それでも昨日から小さな地震が頻発している。やはり地球はつながっている。他人事ではない。

2009年10月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

870.2009 年9月30日(水) ドナルド・キーンさんの日本文学への熱意に脱帽!

 アメリカ領サモア諸島近海でマグニチュード8.3の大きな地震があり、日本でも津波警報が出された。昭和35年のチリ沖地震の際には、発生後22時間を経て北海道に津波が押し寄せ、函館駅まで海水が達した。5年前にインドネシアを襲った津波の脅威を思い出す。

 今朝の朝日新聞に1頁全面を使って日本文学者ドナルド・キーンさんのインタビュー記事が掲載されている。内容も中々面白いし、教えられることが多い。お元気そうだが、87歳のご高齢と知り、その好奇心には驚くばかりである。2年前の小田実さんの葬儀では、確か弔辞を述べられた。その後小田さんを偲ぶセミナーでもスピーチをされた。小田さんの英訳本も出されている。

 インタビュー記事を読んで、初めて知ったことも多い。日本人が大きくなり、それは国際化と共通していると述べている。しかし、グローバル化が進む一方で、日本人の外への関心も薄れたと感じておられるようだ。

 「日本人の友人で最も国際的だったのは安部公房」「明治時代の日記文学の傑作は石川啄木の『ローマ字日記』」「永井荷風に会った時、すばらしい日本語で話をするのに感動した」「外国人に日本の小説を1冊推薦するなら、谷崎潤一郎の『細雪』」「ものを書く人は古典文学を学んで欲しい」と痛いことも言っている。私の場合「ものを書く人」と言えるかどうか何とも言えないが、30年前に初めて韓国・扶余市を訪れ瓦博士として知られた、李石湖博士宅を訪れた時、博士からも「日本書紀をぜひ読みなさい」と同じように古典を読むことを薦められたことを改めて思い出す。

 それにしてもキーンさんの日本語は見事である。日本文学を学んだのはコロンビア大学だったが、その時習った日本人の先生を尊敬し、大きな影響を受けたという。日本文化を高く評価するキーンさんは、日本はヨーロッパの文化より水準が高かったと仰る。中国人は外国人を尊敬せず、外国のことを知ろうとしない。日本人は外国のことを正しく知ろうとする気持ちが強かったことが日本文化のレベルが高い原因だと分析している。キーンさんは日本文学を読んで読んでやっと日本文学の真髄が分かるようになったように思う。そのキーンさんは日本の小説が最も花開いた時期は、戦後の10年間だと見ている。その中で、谷崎潤一郎、永井荷風、志賀直哉、太宰治、三島由起夫、安部公房を評価している。一応私もそれぞれ読んではいるが、キーン先生にはとても敵わない。脱帽!

2009年9月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

869.2009年9月29日(火) 官僚の天下り禁止が動き出した。

 新内閣のスピード感のある仕事ぶりは、極めてすっきりして爽快感がある。ただ、一気に旧習を変えたりするとひずみが出たり、反感を買ったりして逆効果になることもある。これまで散々役人のやりたい放題に頭にきていた国民にとっては、とりあえず痛快事が多い。

 その中で官僚の天下り早期退職禁止は、マニフェストに盛り込まれており、首相方針として早速具体化する考えだ。独立行政法人理事長への天下りは認めないことを決めたようだ。

 さて、昨日の日経朝刊に元鳥取県知事の片山善博・慶大教授がインタビューに応えていた。それによると、官僚組織の硬直化の元凶は事務次官ポストだそうだ。元自治省役人だった人だけに、役所の内情に詳しい。こうも言っている。「今までの大臣は省庁のトップではなかった。事務次官が実質的な責任を取っていて、OBになっても影響力を行使している。大臣が責任を取り、幹部職員の人事もやるようになれば、官僚組織の頂点である事務次官はいらない」そうである。事務次官だけでなく、審議官なんてのも要らないのではないか。一般の公務員についても「国家公務員はいまだに成績至上主義です。今の職員は社会主義や弱い立場の人への思いやりが欠けている。志や正義感、気迫などにあふれた若い人をもっと採用すべきである」と的を射た言い方をしている。そして、この片山教授が、「予算編成のあり方検討会」の委員として深く関わるということだから、これからは役人の傲慢な振る舞いは許されないのではないか。大いに結構である。

 昨日の夜日本テレビのニュース番組「ZERO」で「核疑惑のイラン大統領を直撃・・・」と前宣伝され、実際村尾信尚キャスターが、とかく国際社会を惑わせるアフマディネジャド大統領にインタビューした。どんなインタビューになるのか興味津々だったが、質問はたったのひとつしか許されないうえに、もっと驚いたのは取材現場だった。村尾氏とカメラマンが一室に入ってそこでソファに座って対談かと思っていたら、何と2人の入った部屋にはテーブルやソファなんかなく、立ったままで、更に驚いたのは、その部屋の入口に大きなテーブルが持ち込まれ、バリケードで押し込められた形になった。そこへ大統領が通訳とともに、大勢のSPを連れてバリケードの向こう側にやってきて、たったひとつ核開発について質問をするという、前代未聞のインタビューになった。たったひとつの質問だけでは踏み込んだ取材とはならず、看板倒れのインタビューとなった。

 まったくこのイランの大統領には世界中が振り回されている。

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868.2009年9月28日(月) オムロン社から理解不能の商品説明

 敗軍となった自民党の次期将軍を決める自民党総裁選挙が行われ、元財務大臣・谷垣禎一氏が選出された。64歳の谷垣氏に対して、対立候補の河野太郎氏と西村康稔氏はともに46歳で、古い体質だった自民党も漸く世代交代の芽が見えてきた。これからは世代交代がどんどん進むことだろう。谷垣氏が自民党員6割の支持を受けたことは、若手の2人があまりにも激しく年長者の退場を促したことへの反感もあるのではないか。いずれにせよ惨敗を喫した自民党がこれから、どう体制を建て直し、国民の信頼を取り戻していくのか、麻生総裁に比べれば、よほどまともな谷垣氏の双肩にかかっている。ここは、しばらく谷垣氏のお手並み拝見といきたい。

 さて、20日の本ブログに取扱説明書の分かりにくさについて書いた。早速万歩計の製造会社・オムロン社へ電話してみた。ところが、always busyでつながらず、止むを得ず取扱説明書について不満を書いたブログを読んで欲しいということと、当方の憤懣やるかたない気持ちを書いてFAXを送った。4時間半後にオムロンヘルスケア㈱のお客様相談室の担当者から丁重な返事が送られてきた。だが、冒頭の時候の挨拶文からして間違っている。9月末にもなって「向暑の折から~」もないだろう。鸚鵡返しに返事を書いている習慣から、手紙に向き合っていないことが推察出来る。それでも私のブログを読んでくれたという。質問の中に説明書では分からず、これでは苦情が寄せられるのではないかと尋ねたが、やはり顧客から苦情がたくさんあると書いてあった。それはそうだろう。苦情があって当然である。

 もうひとつ、近くにオムロン直営店があればそこへ行って教えてもらいたいとの質問には、NOとあった。東京にはサービス・ステーションがないらしい。その代わりに改めて使い方が書かれてあったが、時間の合わせ方以外はやはり分からなかった。妻も分からない。使い方なら簡単に書ける筈だが、オムロン社員の中には素人に分かるように説明出来る知恵のある人がいないのだろうか。しかし、これではあまりにも顧客に対して失礼だし、無責任である。消費者がいくら努力しても使い方が分からない商品を製造し販売しているわけだ。

 どうして顧客へのサービスにサービス・ステーションぐらい開設出来ないのか。これでは売りっぱなしで、売った以上後は買った人が自分で考えろと言っているようなものではないか。酷いものである。こんなことが一流の企業として許されるのだろうか。オムロン社の販売姿勢を問いたい。結局中途半端のまま万歩計を使うことになるが、いつまで我慢出来るか。いくら読んでも理解出来ないということは、メーカーに購買者に分かってもらおうとの気持ちがないことと、説明がうまくないからだ。これはもう欠陥商品と呼んでもよいのではないか。いずれ近いうちにこういう欠陥商品を売りっぱなしにしている会社の不条理について、消費者センターに問い合わせてみようと思っている。

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867.2009年9月27日(日) 鳩山外交に成果あり

 昨夜鳩山由紀夫首相が帰国された。最近の日本の首相外遊でその大きな存在感を世界に示したのは、今回の鳩山訪米が断然際立っていたと思う。ほとんどの国民も今度の訪米の成果を喜んでいる筈である。

 実績は大きくいって2つあると思う。その第1は、2020年までに1990年対比25%減の排出ガス削減を世界に向かって宣言したことである。この数値目標は、目標を示せなかったアメリカや中国をもたじろがせたのではないか。第2は、国連総会会議場で世界へ向かって核不拡散、核廃絶へ向かって進もうと強く呼びかけたことである。いずれも実現出来るかどうか、課題は多いが、それでも内に秘めているだけではなく、はっきり世界へ向かって意思表示することで、自分にも責任感と義務感を持たせて、空気をその方向へ向けて努力することは最も大切なことである。

 これで世界の日本、また鳩山首相に対する見方が大きく変わり、今後は一層注目されるようになるだろう。国民にとっても、何となく力強い気持ちになる。ともするとこれまでは、日本の首脳はおざなりのスピーチしかしないで、お飾りという空気だった。残念ながら説得力はまるでなかった。なまじ金持ちであることから、その金庫のおかげであまり外国から厳しい批判を受けることはなかったが、心ある外国人からは、主体性がなく自分の意見を述べないのが典型的な日本人と見られていただけに、各国首脳から賞賛され高い評価を受けたことは、これまでの「黙して語らず」からの脱却であり、大人の行動と言ってもいい。これからが鳩山外交の正念場になると思うので、今回と同じペースで鳩山流の存在感を示し続けて欲しい。

 鳩山首相が外交で活躍している間に、国内では新閣僚が所管事業について積極的に行動している。その最たるものは、国土交通省の前原大臣である。一昨日は中止を決めた八ツ場ダム現場を訪れ、地元関係者に中止の方針を伝えた。昨日はすでに熊本県が建設中止を決めていた川辺川ダム現場を訪れた。今後ダムの建設について、ひとつの基準と方向性が示される試金石となるので、各ダム現場も注視している。それにしても、ダム建設中止問題は、進むも地獄、退くも地獄の典型的なパターンである。八ツ場ダムに至ってはほぼ建設資金の7割を投資してしまったので、引っ込みがつかない。仮に建設を止めても今後諸々かかる経費が、引き続き建設続行の場合に使われる費用を上回るという馬鹿げた話だそうだ。政権が交代したからとの理由だけで、地元住民を悩ませ、巨額の税金を注ぎ込んで無駄にして、この責任を政治家や国交省はどう取るというのか。

 この財政難の時代に無駄に税金が使われるのだけは、もう願い下げにして欲しい。

2009年9月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

866.2009年9月26日(土) 学生相手の講義は楽しい。

 昨年に続いて、池袋にある東京交通短大の「平成21年度特別教養講座カリキュラム」の一環として学生相手に講義を持った。昨年は少々時間配分に失敗して時間が足りなくなってしまったので、今日は昨年よりパワーポイントのスライドを大幅に減らし、最後に時間調整の出来るスライドを1枚入れた。与えられた1時間半の制限の中でどんぴしゃりだった。100名弱の受講生だったが、今日が2学期最初の講座ということもあって、学生の目は輝いていた。話し甲斐もあった。尤もここの短大生の就職先としては、鉄道会社や旅行会社が概して人気があるようだ。その点で、私の鉄道会社員と旅行会社員としての経験は、大分参考になると考えられ、元部下だった桑原賢二助教に誘われたものだ。

 テーマは「現場から真実をつかめ!」としたが、あまり人気を呼ぶような、派手なテーマではないと思われたかも知れない。ただ、学生たちの期待を裏切らない講義は出来る自信はあったし、他の講師には絶対不可能な材料、コンテンツ、そして体験を持っていると確信していたので、珍しい写真を交え、臨場感について実体験を織り交ぜながら話し続けた。特に、臨場感を覚れば、危機意識も身についてくるし、危険予知も出来ると話した。その1例として、私自身がカイバル峠を訪れ、そこで銃砲店が流行っている状況を目の当たりにして、反米テロ、とりわけニユーヨーク同時多発テロを予知したことを述べた時には、目を光らせて見つめてくれた。これも臨場感のある話の例だが、赤裸々な実体験が若者には興味があると痛感した。若い学生を相手に自分の破天荒な経験を話すことが出来るのは、実に楽しい。

 学生たちを見ていると結構楽しんで聞いているように見受けられたので、時折り脱線しながらもある程度まとめられたと思っている。

 ここの学生が礼儀正しいのには感心した。最近の若い人はあまりエチケットというか、常識も備えていない人が多いが、顔を会わせると目礼してくれたり、ひとりひとりきちんと挨拶をしてくれる。ごく当たり前のことだが、中々出来ないのが当世の若者である。その点でも楽しく有意義な1日だった。

2009年9月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

865.2009年9月25日(金) 裁判員制度は時期尚早か?

 50年前の明日、伊勢湾台風が紀伊半島から中京地区を襲い、1日にして5,000名を超える犠牲者を生んだ。あの時の猛威は胸に強く焼き付いている。小中陽太郎さんもNHK名古屋に勤めていた時、報道現場に出て犠牲者の家族が遺体を焼くシーンを見て強い衝撃を受けたと仰っていた。

 今日駒沢大学の講座で、清田義昭講師が見せてくれたドキュメンタリー・ビデオ「出所した男」には深く考えさせられた。清田講師は冒頭今年から実施されている裁判員制度について疑問を呈した。時期尚早だというのである。このままだと冤罪が多くなることを心配されていた。そう述べた後に、このビデオを鑑賞することになった。7年前に毎日放送が制作した作品で、地味な作品だがいくつかの賞を受賞したものだそうである。浜松市に住む河合利彦という42歳の元殺人犯の再審手続きを追ったものだ。内縁の妻の連れ子を殺害した罪で起訴され、女の「河合が殺した」の一言で、その翌日女を信用していた河合は自白してしまう。問題は、河合の自白直前に女が罪を認めたにも関わらず、女の自白のテープは秘匿され、作為的な監察医の報告書により立件されてしまう。その後に件の監察医の診断より、見識のある別の監察医が、殺害時間から推して河合殺害の不自然さを報告した。それを受けて河合は最高裁へ上告した。結果はその監察医報告は信用出来ないという理由から、再審却下となった。女は罪を問われず、河合は10年の刑期を終えて出所したが前科者のままで終結となった。

 心が重くなるドキュメントに考えさせられた。講師が心配する、裁判員制度により冤罪が増えるとの懸念は、次の理由からである。

 裁判に関して素人の市民は、罪への意識と被害者への同情が強くなり、それが犯人を成敗する気持ちに変わり、死刑制度を採用しなくなる世界的風潮の中で、ともすると罪を重くする傾向に傾き、仮に死刑に値しなかった犯人に死刑を課した時、冤罪となる恐れがあると危惧しておられた。確かに講師が言われたことも理解出来る。私も一般論として、まだ裁判員制度導入には、まだ環境整備が充分でなく検討課題が多すぎると思う。すでに走り出した制度ではあるが、これまで表に出なかった裁判官と検察との取引等も洗いざらい公開して、ひとつひとつつぶして行くような愚鈍な進め方も考えてみてはどうだろうか。

2009年9月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

864.2009年9月24日(木) 鳩山新政権順調にスタート

 鳩山内閣の行動がてきぱきしていてスピード感があり、国民の信頼もうなぎ登りの様子である。鳩山首相自身国連総会出席のため訪米中であるが、最初の試練である環境サミットにおけるスピーチで男を上げた。二酸化炭素排出を2020年には、1990年比で25%削減のような高い数値を国際公約として具体的に発表したことは、主要国の高い評価を得た。その一方で、アメリカと中国の両巨大ガス排出国が著しい排出ガス削減を目指すという抽象的で、数値の裏づけのない演説をしたのとは大きな違いである。

 過去にわが国は数値目標を掲げることから逃げて抽象的過ぎると言われ続けてきた。それが、今回の鳩山訪米では、主要国に先駆けて打って変わって世界に向け約束ごとを公表した。これが、うまく予定通り実行できたら世界中の日本に対する信頼は、一段と高まるだろう。仮に思惑通り行かなかった場合は、日本への信頼は忽ち失墜するだろう。日本経団連はぐずぐず言っているようだが、もう待ったなしである。やるっきゃない。 

 それにしても、大臣を筆頭に各省庁の仕事ぶりは、失速しないか心配なほどである。その気概や良しと二重丸を上げたいところだが、問題は亀井静香・金融担当相の、中小企業融資やサラリーマンの住宅ローンの返済に対して金融筋が3年間猶予する法案の立案を検討させていることである。これは、確かに中小企業等にとっては朗報であろうが、金融機関にとってはきつい。民間の商業活動に対して国家が法律で縛るのは問題ありとする不安説がある一方で、金融機関が今後貸し渋りを増やすのではないかとの懸念材料もある。それにしても、大臣が代わっただけで今まで大して騒がれなかったことが、一気に法律化という短兵急な事態にまで発展しようとは、まさに驚きである。もう少し静かにやってもらいたいものである。この調子だと、また別のところで別の問題が噴火しかねない。

 今日の朝日夕刊の一面に、「行政刷新会議事務局長、加藤秀樹氏を起用へ」と出ていた。加藤氏の肩書きに「構想日本代表」とある。加藤氏には何度もお会いしている。堅実に「構想日本」を影響力のあるシンクタンクに育て上げてきた。度々セミナーにも出席したが、明晰な頭脳で歯切れの良いスピーチは垢抜けている。

 本当に加藤氏が新ポストに就くなら、確かに適任であろう。最近は、中央、及び地方自治体における「構想日本」主導の「事業仕分け」が功を奏しつつある。実績を上げていた「事業仕分け」を国家的に実施できれば、どれだけ国の財政にとって救いとなるか。国家予算の1割を削減できると言っておられるので、ぜひやってもらいたい。

2009年9月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

863.2009年9月23日(水) NHKドラマ「白洲次郎」にまつわるエピソード

 一昨日から今日まで3夜連続でNHK番組「白洲次郎―戦争を背負った男」が放映された。今年2月末に2回放映されたが、3回目は準主役の吉田茂役の俳優が健康を害して撮影出来ず、今回その最終回分を加えて連続3回分を一気に見せてくれた。合計4時間半にのぼるテレビドラマを観たのはほとんど記憶にない。評価としては難しいが、結構楽しめた。今日の最終回で白洲がケンブリッジ大学でケインズ教授に学んだとは初めて知った。あのアカデミックなケンブリッジの街とキャンパスの雰囲気は、中々落ち着いていていい。1995年春ロンドンに駐在中だったアルペンクラブの大林玄一さんご夫妻に、妻ともども車で案内してもらったことを懐かしく思い出した。

 2月は関心がありながら、部分的に観た程度だったので、話の筋が通らなかった点もあり、今度は3回分をしっかり観るつもりで待ち構えていた。

 主役の白洲次郎が最近になって脚光を浴びているが、それは白洲のようなイギリス帰りで英語を解し、自分で確たるプリンシプルを持っている人物が今世間から渇望されている証拠であるのかも知れない。終戦後マッカーザーに堂々と抗議をした潔い行動と、戦後日本経済復興のための礎を作るために通産省の再建に取り組み、吉田茂の懐刀としてサンフランシスコ平和条約調印のために随行員として同行し、吉田の手となり、足となって活躍しナビゲーターぶりを発揮した姿を描いたものである。

 実は、今取りかかっている「知の現場」出版プロジェクトでは、22人の著名な言論人を取材しているが、3月末にこの番組の原作者のひとり、北康利氏をインタビューした。その折り北氏は、評伝作家として事実関係に誤りが発見された場合、どう対処されるかとの質問に対して、至極率直に事実が判明すれば、次の機会に訂正すると仰った。その一例が、昨日放映されたシーンの中にあった。白洲がGHQに乗り込んだ場面について、2月のテレビ放送後、マッカーサー財団からクレームがついたという。財団によれば、白洲がGHQを訪れた記録はまったく残っていないと言われたそうである。テレビではあれだけ何度も白洲がGHQを訪れる場面を映し出している。そんな馬鹿な話がとは思うが、実際に訪問記録が残っていないのでは、その訪問記録を証明しようがない。そこで、北氏はその当時マッカーサー総司令官が駐日アメリカ大使館に起居していたことを調べ上げ、白洲のアメリカ大使館訪問記録をチェックして、その訪問の事実が判明した。結局、それまでGHQだとばかり思っていた白洲のマッカーサーとの面会は、実はアメリカ大使館内であったことが分かったのである。

 こういう事実関係についてメールとハガキで友人に知らせたところ、結構意外な反応もあった。しっかり観てみると言う声が多かったが、昨夜放送されたテレビでは、舞台は相変わらずGHQだった。しかし、これは膨大な制作費を注ぎ込んだので、改めてアメリカ大使館を舞台にしたシーンを撮影するわけには行かなかったのだろう。その他にも、ゼミの堀勇弘氏から、主役・白洲次郎役を演じた俳優・伊勢谷友介が子息の小・中学時代の同級生だという知らせをいただいた。中々の熱演だったと思う。

 もうひとつ最終回の場面で、白洲チームとGHQスタッフチームとの憲法解釈について激論を交わす場面で、旧憲法の「天皇を輔弼する」の「輔弼」の語義について「advice」か、或いは「agreement」か、の議論が面白かった。改めて辞書を引いてみると「輔弼」には、「advice」「assistance」「counsel」と記されていた。

 北氏との取材記は私自身が書き終え、校正も終えて年内に共著として上梓されることになっている。メールでその点も知らせたところ、多くの友人が発行され次第買って読んでみたいと言ってくれている。その他にも、私自身は作家の小中陽太郎氏、同じく野村正樹氏、経済アナリストの武者陵司氏を取材した。どんな書物に出来上がるか、大きな楽しみである。

 さて、プロ野球セ・リーグで巨人軍が優勝を決めた。3連覇で33回目の優勝である。巨人軍オーナーを務めているゼミの同輩・滝鼻卓雄くんも今夜はいい気分で酔っ払っているだろう。

 子どものころから大の巨人ファンだったが、寄る年波か、このところ昔ほど野球に興味を持てなくなった。テレビでもほとんど観戦しなくなった。それでも巨人軍の試合結果は少々気にはなる。マジック「1」となったので、優勝決定シーンを観てみようと6回表からずっと観ていて、優勝決定の瞬間を見られ、取り敢えず良かった。これから、クライマックス・シリーズ(CS)、そして日本シリーズへと続くのだが、数日来少々話題になっているのが、両リーグともCSへの出場権を賭けた3位争いでセ・リーグでは目下阪神、広島、ヤクルトの3チームが争っている。問題は、セ・リーグの3位を争っているチームの勝率が5割を割りそうなことで、仮にそうなってそのチームがCSで勝ち上がり、日本シリーズでも勝ってしまうとセ・リーグでは巨人が優勝だが、日本一の座にペナントレーズで半分も勝てなかったチームが座るという奇妙なことになる。何だか不条理な話でもある。こうなるとペナントレースの意味とか、価値がなくなるのではないかと思う。やはりこれはおかしい。CSへの出場権は勝率5割を上回るという前提条件でもつけないと、しらけた空気が流れるのではないか。こんな逆転現象ぐらいプロ野球関係者は予測できそうなものだが、こういう些細なことを軽視することが、プロ野球人気に陰を落とすことになるのだ。

2009年9月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com