1949年に中華人民共和国が建国して60年が経った。今中国の経済発展は世界の驚きであり、脅威でもある。来年度中には国民総生産(GDP)は、日本を追い抜いて世界第2位になる。最近の新聞報道をみると、中国政府はこの60年の総括をやっているが、国威発揚のためかもっぱら自画自賛である。前半30年間は毛沢東主席の建国を、後半30年間は鄧小平の改革解放政策の成果だと褒めちぎっている。
確かに近年の中国の大躍進は目覚しい。貿易のみならず、生産、消費の面でも主要諸国を追い上げている。中国国民の生活水準も着実に向上している。都市住民の1人当たり可処分所得は建国当時僅か100元だったものが、昨年は15,781元にまで上昇している。何と160倍である。農村では44元だったものが、4,761元に上がっている。問題はとかく話題になる都市・農村間の所得格差である。先の数字を見ただけでも4倍近い差がある。
そして司法の腐敗と言われるように、裁判所と警察、公務員の賄賂が蔓延っていることが、国民の無気力を生んでいる。それより最大の問題は、何といっても民族問題だろう。ラサやウィグルでは、町中を武装警官が警戒しながら歩き回ったり、あちこちに監視カメラが取り付けられるようになった。天安門広場における式典や軍事パレードだって、民族問題を押さえ込み、中国国民の目を民族問題から逸らそうとの意図があることはミエミエである。中国政府のやり方は、力で国民を強引に抑えつけるの一辺倒だ。官僚が散々不正や賄賂をやっておきながら、職のない農村部から職を求めて出稼ぎにやってくる若者に圧力を加えるというのは、誰しも納得出来ないのではないか。派手に行進する軍事パレードが虚しいものに見えてくる。
一昨日アメリカ領サモア諸島で地震発生とともに津波が押し寄せ、多数の犠牲者を出したが、昨日はインドネシア・スマトラ島でも大きな地震があった。今日現在500名を超える死者が出ているが、更に死者は増え数千人が犠牲となったのではないかと心配されている。テレビ報道に見る悲惨なシーンには胸を痛みつけられる。個人的にも1999年8月に遭遇した、トルコ地震の現場の倒壊したビルや道路傍の瓦礫の山を思い出す。日本ではそれほど大きな地震ではないが、それでも昨日から小さな地震が頻発している。やはり地球はつながっている。他人事ではない。