302.2008年3月11日(火) 北京オリンピックで大気汚染は大丈夫か。

 今日エチオピアのマラソン世界記録保持者で、シドニーとアテネ・オリンピックの10,000m金メダリスト、エチオピアのゲブレシラシェ選手が北京オリンピックではマラソンに出場しないと宣言した。気管支喘息の持病がある同選手にとっては、北京市内の大気汚染は自分の健康を損ねる恐れがあるというのがその理由である。しかし、排気ガスの多い市内道路を走るわけではなく、競技場内の10,000mレースには出場するとも述べた。また、女子マラソン世界記録保持者で、同じように喘息の持病を抱えるイギリスのラドクリフ選手も何らかの対策を検討すると言い出した。二人ともマラソンでは有力な金メダル候補者である。これが口火となって、他の有力選手に引火しなければよいがと願う。

 五輪開催まで残り5ヶ月に迫ったところで、このハプニングに北京政府は慌てて環境浄化を宣言し、クリーンな環境を提供出来ると大気汚染説打ち消しに必死である。国際オリンピック委員会(IOC)では、以前から中国オリンピック委員会に対して、大気汚染を改善するよう注意を喚起してきたが、ついにゲブレシラシェ選手のような有力選手側から忌避する行動に出られて北京五輪のイメージダウンは免れない。

 最近の北京上空を見れば、空気があまりクリーンでないことは察しがつく。日本のマラソン代表・野口みずき選手も口ごもりながら、現地を下見して検討するとも話していた。

 それにしても、こんなことは前代未聞ではないかと思う。かつてのモスクワ五輪ボイコット問題のように、政治が絡んだ問題とは異なり、選手、つまり主催者側の人間から興行主に対して、きちんと興行出来るように問題を解決しろと釘を刺されたようなものだ。中国政府から、いくらきれいな環境に自信を持っているなどと抽象的に言われても、主催者であるIOCが心配だという不安を払拭する材料と、目に見える解決策を具体的に示さなければ、主催者の心配は募るばかりである。

2008年3月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

301.2008年3月10日(月) 64回目の東京大空襲記念日

 東京大空襲があったのは、63年前のまさに今日である。最近大東亜戦争の歴史的記念日に関する報道が少なく、戦争自体に対する反省すら希薄になっている。その中で東京大空襲に関するニュースが目立つようになったのは、当然とは云え、亡くなった方々への鎮魂であり、忌まわしい戦禍を伝えていくことこそが、生き残ったわれわれの責務でもあると思う。

 昨晩のNHKドキュメンタリー番組「小田実特集」の中で、小田さんが大阪大空襲に遭い、それが小田さんの思想と行動の原点だと言っていた。大阪大空襲は東京大空襲に遅れること3日後の3月13日をきっかけにして、度々繰り返され、最後の空襲は、実に終戦前日の8月14日だった。小田さんはこの爆撃の下に恐怖を体験した。しかも、大阪市内の被害者数は10万人を超えたと言われ、広島原爆犠牲者と同じで、長崎原爆犠牲者の7万人を大きく上回った。なぜ執拗なまでに米軍は大阪を徹底的な攻撃で殲滅しようとしたのか。国際法違反の疑念も消えていない。小田さんはテレビの中で言っていた。大阪大空襲は広島、長崎への原爆投下で日本政府がポツダム宣言受諾を決めていたにも関わらず、日本が国体の護持を主張してポツダム受諾に条件をつけたために、アメリカが日本の降伏を早めるため、空から絨毯爆撃を敢行し、日本の息の根を止めようとしたと。

 戦争に正義も正当性もない。ただ無闇に人を殺し、悲劇を生んでお互いに憎しみを増幅させているだけだ。「悪」である戦争を止めさせるためには、いつも戦争する愚を精査し反省する機会を持ちたい。そのためには戦争と関わりのある歴史を風化させてはならない。

 アメリカは日本軍による中国の重慶などへの無差別攻撃を、国際法上問題があると批判していた。では、昭和20年3月10日に始まった米軍機による日本国内各都市への無差別絨毯爆撃は、アメリカの理念や平和主義とは矛盾しないのか、また国際法上何ら問題はなかったのか。アメリカ政府、市民の間にも疑義がある。

2008年3月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

300.2008年3月9日(日) 小田実特集NHKで放映

 NHKのETV特集「小田実・遺す言葉」を夜1時間半に亘って観ていた。もう小田実さんが亡くなって7ヶ月余が過ぎた。いつも懐かしく感じる人である。余命数ヶ月に迫った病床における生の声、何度か見たことのあるフィルム、ベ平連時代のイントレピッド脱走兵救出会見、小田夫人から送っていただいたDVDにも収録されていた葬儀のシーン等が放映され、改めて小田さんの偉大さを感じた。

 小田さん自ら思想と行動の原点は大阪空襲だと声を上げていたこと、阪神淡路大震災で被災され、一般市民とともに震災被災者支援の市民立法を訴え、運動の先頭に立って行動され、法制化を実現させたこと等は心に残る。

 偶々昨日小中陽太郎さんから2通のメールをいただき、「これまでに出た小田追悼文のなかで最も愛情にあふれたものです。とりわけ近藤さん自身の受けた影響がしっかりと書かれています。奥様(玄順恵夫人)もお喜びでしょう」と、私が先日「知研フォーラム」に小田さんの個人的な思いを綴ったエッセイ「巨人小田実を追想する」を寄稿した内容について、嬉しいコメントを送って下さった。僭越であるが、ほかにも下山敏郎・元オリンパス㈱会長、ゼミの先輩である小松隆二・東北公益分科大学長、須藤甚一郎・目黒区議、岡村透・公認会計士、栗原恒夫・小田急電鉄常勤監査役、小橋隆三・茨城県鉾田市助役、山田不二雄・元文科省教科書検定官、坂倉満・三重県立亀山高校長、岸野彰夫・元兵庫県公立小学校長ら、多くの方々からご意見や反響があった。大変有難いことであり、嬉しく思っている。

 いま小田さんの「何でも見てやろう」を改めて読み返している。実に、64年、79年、88年、99年に次いで5度目だ。その著書に、日本人であることで外国人に対していばれるという件がある。日本は世界有数の工業国で、活力に富んだ国で、世界有数のインテリ国であると小田さんは旅行中世界各地で自慢するのである。そのインテリ国とは、超満員の電車の中でも人は本を、それもサルトルでもフロイトでもマルクスでも読むではないか、とまあこんな調子である。だが、残念ながら現代のインテリ?は、真面目なごく一部の通勤者を除き、電車内では漫画雑誌を読み、エロ週刊誌を読み、携帯でメール送信し、顔を塗りたくってお化粧に熱中しているのである。悲しいことに彼らは何も考えていない。初版発行以来半世紀近くを経て、小田さんも現実認識してがっかりしていたと思うが、本当のところは現代の日本人の知能をどの程度に思っていただろうか。

 それにしても番組は中々良い企画だったと思う。

2008年3月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

299.2008年3月8日(土) 悪い奴がほとんどで、良い役人はごく一部だ。

 役人の強欲、傲慢、無恥、無責任、隠蔽、不誠実、サボタージュ、不正義、無慈悲、等々の人間として最低と思われる行状がいまも堂々と繰り返されているのには、はらわたが煮えくり返る思いである。昨日公表された道路特定財源の使い道については、これまで度々その不明瞭な点が明らかにされてきたが、それも氷山の一角で、実は役所ぐるみで「悪の限り」を尽くしていると言ってもいい。

 特定財源がその所管の省庁によって自由に使える金庫となり、従来から入り口はチェックするが出口は監査せず、外部の監視も不十分だった。透明性なんかまったくない。特定財源には、一般会計と同じような予算編成時の査定や、その後の執行をチェックしないできた不明瞭さがあった。不届きな役人は、膨大な執行予算の中身をすべての使い方まで調査するのは限界だとぬかす。ならば、予算をつける必要などないではないか。予算の使い道をチェックさせないで、「金だけくれ」はないだろう。こういう悪弊をいままで見逃してきたから、この期に及んで怪しい言動や、いかがわしい「お小遣い稼ぎ」が、内部で暗黙のうちに続けられているのだ。

 一昨日国会で取り上げられたのは、国土交通省所管の財団法人「公共用地補償機構」が、職員旅行の費用まで全額負担していたことだ。こんな財団があることなんか国民のうち、果たして何人が知っていただろうか。自分たちの慰安旅行に、国の金、つまり国民の税金を使って何ら悪びれない。これを内部で誰も咎めようともしない。この図々しさは普通ではない。一体この悪行はどこから来るのか。役人どもはどこかネジが狂っている。ぬけぬけと福利厚生の一環であり問題はないとまで言う。国民はこんな屁理屈を言う盗人猛々しい役人根性を誰も信用しないだろう。国民と役人の考えにはこれだけ大きなギャップがある。そして、詰問されるや居直って、問題ありとするなら今後止めるという。いかにもその場限りの浅はかさで国税を無駄遣いしていたかが明瞭であろう。これまでも公費を無駄遣いして健康器具を購入したり、大金を支払ってミュージカルを主催してきた。他にも道路財源を使った貸付金制度もあり、これは財団法人「道路開発振興センター」なる組織が運用している。ガラガラの駐車場整備に資金を貸し付けている、財団法人「駐車場整備推進機構」なる税金を捨てている組織まであるのだ。また、東京メトロ副都心線開業事業費のうち、道路特定財源から総事業費の2割(約530億円)もの資金を投入している。地下鉄網を整備すれば、道路渋滞が緩和されるからだという。完全に拡大解釈したこじつけ論理である。こういう構図を見ていると、「先に予算ありき」だということがよく分かる。

 ここには国会で論議する以前に役人の体質自体に問題がある。厚生労働省、社会保険庁、防衛省、等々散々税金の無駄遣いとサボタージュをやって、国民に対して何の痛痒も感じない。神経が麻痺しているとしか思えない。事件が起きると一部の人間だけが悪いのであって、他の大多数の役人は真面目に仕事をしていると自己弁護している。そうだろうか。これだけスキャンダラスな行為が表面化するのは、役所の体質と思い上がった役人根性に問題がある。

 敢えて言ってやろう。役人どもよ! 一部の人間だけが悪いのだと言って頬被りしているが、本当は役人のほとんどは悪い奴で、立派な役人なんてほんの一部だけじゃないか。

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298.2008年3月7日(金) 多摩大学公開講座に期待

 先月恒例の「知研セミナー」で寺島実郎氏の講演を聞いた折に、寺島講師から今春多摩大学で開講のリレー公開講座を社会人にも開放するとの話だったので、大学へ問い合わせ早速申し込んだ。寺島氏自身が直接関わった「寺島実郎監修リレー講座」で、「現代世界解析講座」春学期全12回と銘打ったもので、昨日そのパンフレットが届いた。中々講師陣が充実しており期待出来そうだ。カリキュラム内容を見ても興味深いタイトルばかりだ。4月から7月まで毎木曜日の午後2:40~4:10の1時間半の間に、各界の蒼々たる著名人の講義を受講出来て、春季全12回分の受講料が僅か12,000円というのも魅力的である。講師陣には、「知研」理事長・久恒啓一氏、東京外大教授で元アジア経済研究所研究員の酒井啓子氏、沈才彬・多摩大教授、金美徳・三井物産戦略研究所研究員、明石康・前国連事務次長、ジャーナリスト・江川紹子氏、浅野史郎・前宮城県知事、中谷巌・多摩大学長、弁護士・堀田力氏、そして寺島氏自身が3回も講座を持たれる。酒井氏はイラク問題の専門家でアジア経済研究所在職時にイラク戦争が勃発し、度々テレビで解説されておられたが、よくイラク情勢に精通していて、メリハリの利いた分かりやすい解説には随分教えられたものだ。それにしても、これだけ充実した講座は一寸珍しいのではないか。アカデミックな中に一服の清涼剤である。社会人枠が当初150人だったのが、すでに一杯になり枠を追加拡大したとのこと。頷ける話である。

 久恒「知研」理事長もこの三月をもって、永年務めた県立宮城大学教授を辞めて、4月からはこの多摩大教授に就任されるという。これから東京に腰を据えて「知研」の活動にさらに力を入れていただき、「知研」が一層活性化するようになれば嬉しい限りである。幸い「知研」でも本講座に参加される会員も多く、八木哲郎会長、秋田英澪子事務局長をはじめ、数名の会員がすでに申し込んでおられる。毎週ポジティブな「知研」会員が集い語り合う機会が増えるのも、「知研」として大きな起爆剤になるのではないか。

 とにかく4月から新たな楽しみが増えた。

2008年3月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

297.2008年3月6日(木) ヒラリー・クリントン氏の粘り腰

 アメリカ大統領選挙も、共和党はマケイン上院議員が代議員数の過半数を獲得して共和党の大統領候補に決定した。他方で民主党は益々先行きが分からなくなった。4日の大票田、テキサス州、オハイオ州を含む4州で予備選挙が行われ、クリントン氏は全敗なら候補撤退かと噂されていたが、大口テキサス、オハイオとロードアイランドで勝ち、極少バーモント州を失っただけだった。3勝1敗である。このところオバマ氏に対して9連敗だったが、愁眉を開いたとも言える。獲得代議員数では、オバマ氏1,451人に対してクリントン氏は1,365人で、まだまだ86名の差がある。しかし、このミニ・チューズディではクリントン氏が辛うじて持ち直したように見える。それでもアメリカの専門家筋は、流れは依然としてオバマ氏に傾いており、よほど効果的な逆転打がなければ、オバマ氏優位の流れのままゴールへ走るのではないかと予想している。この大接戦からすると、最終決定は、8月末の民主党全国大会まで持ち越されそうだ。

 われわれ外国人が羨ましく思うのは、各候補が大統領になったら自分ならこういう政策を実行するということを、具体的に、熱心に、真剣に国民に語りかけることである。しかも長い期間に亘り、マス・メディアを通して国民が判断する材料をふんだんに提供してくれる。各候補の熱意といい、ビジョンといい、話し方といい、まったく敬服するくらい説得力があり、国を託してもよいと思えるほどグラマラスである。演説の迫力と熱気、スピーチの巧さと雄弁さ、具体的なスピーチ内容、すべてがすべてとは言わないが、理想的だとすら思わされてしまう。

 それに引き換え、日本の首相ら政治家トップの迫力に欠ける言動はどうだろうか。国家、国民のための政治というより自己の利益と政治活動のための政治だけに没頭し、国民のことは完全に頭の中から消えている。政治体制の違いもあり、選挙制度が違うが、それにしても国政政治家というのは、理念と志をもって国家と国民のためにどれだけ奉仕することが出来るかにかかっているのである。

 少なくともアメリカの選挙には民主政治の匂いを嗅ぐことが出来る。わが国の政治家には失望しているが、アメリカの選挙を見ていると少しは救われる気がする。

2008年3月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

296.2008年3月5日(水) 東京湾アクアライン川崎側出口表示の不親切

 暖かい南房総の海岸沿いは可憐な春の花が有名で、最近ではTVの旅番組でもしばしば取り上げられている。昨年も南房総を訪れたが、時期的に可憐な花を見られなかったので、残念ながらベストシーズンとはいかなかった。1度お花が満開の季節に訪れてみたいと思い、今日妻と観光がてら車で出かけた。

 川崎から東京湾アクアラインを通り、房総半島の館山自動車道を南下して千倉町へ行くプランだったが、カーナビがヘソを曲げて言うことを聞かず、道路標識も分かりにくく、結果的に回り道をして漸く千倉町白津間のお花畑へ辿り着いた。流石にお花畑に植えられた、ポピー、キンギョソウ、菜の花等々が彩りも鮮やかに花盛りで、時期的にグッドタイミングだった。団体さんも観光バスでやってきていた。早速お花畑に入り、いくつか花束を買い、まずはドライブと花のページェントを楽しんできた。

 ところが、問題がひとつ見つかった。往路同様に帰路もアクアラインの「海ホタル」から海底トンネルを通って、川崎側の出口分岐点の看板表示が分かりにくく最悪であることに気づいた。実は昨年もトンネルを出る辺りから、分かりずらくて進路を見間違え往生した。今日は昨年の轍を踏むまいと心して道路標識を注視しながらドライブした。なぜ昨年あれほど迷ったのかと反省しながら現場に差し掛かった。そこで初歩的な看板の表示ミスに気づいた。

 川崎側出口の上部にランプで掲示された行き先表示と、その大分手前の2車線の路面に白色のペンキで書かれた表示が異なっているのだ。こんなお粗末なことがあるだろうか。分岐点のランプは、右は川崎方面、左は横浜・東京方面となっている。しかし、その手前路面上の表記では右車線は東京、左車線が横浜と大きく書かれている。「海ホタル」から進行してきた車は、まず道路上のサインに従い東京方面へ行く車は当然右車線を走る。ところが、分岐点へ来ると標識では左車線を走れと指示される。出口の分岐点で予定外のランプ表示を見てアレッと思っても咄嗟に左車線へ変更出来ず、また川崎から東京へ行けると思い込んだ車は、そのまま流れに乗って右車線から川崎市内へ出てしまうことも考えられる。

 しかし、最初から路面上にも右車線を川崎方面、左車線を横浜・東京と表記してくれれば混乱と間違いは起こらないのに、どうしてドライバーを悩ませる、こういう複雑怪奇な案内になるのだろうか。そして、これまで面食らったドライバーは相当数に上ると想像される。にも関わらず、この初歩的ミスが10年間も放置されているのだ。私自身は昨年の失敗を繰り返さないために、東京方面の路面表示を敢えて無視して左車線を走り、分岐点で予定通り「東京」方面の指示に従い、今回はスムーズに自宅へ戻ることが出来た。

 こんな初歩的な表示間違いを、開通10年にもなるというのに、なぜ未だに利用者を悩ませる表示のまま放置しているのか。初めて運転したドライバーを道に迷わせるためだけの不親切な表示を、早く訂正することは出来ないのか。

 一度管理会社になぜ高い利用料金を徴収していながら、こんな不親切な案内をいまも平気で続けている理由を尋ねてみたい。

2008年3月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

295.2008年3月4日(火) 三浦和義容疑者の裁判の行方は?

 先日ロス疑惑事件の三浦和義容疑者がサイパンで逮捕されたが、すでに日本では無罪が確定しており、同じ容疑で2度逮捕、訴追されることがあるのかと、昨日あたりマス・メディアが克明に報じていた。結審後に2度と同じ事件で訴追することはない「一事不再理」という社会通念が普遍的に通用するし、その方か筋が通っているというのがわれわれの解釈である。

 そもそもサイパンがアメリカの自治領であることを知らないで、今まで度々サイパンに行っていたとは、三浦の迂闊さと不注意さが信じられない。まさにこれまで世間を舐めきっていた三浦の「不徳の致すところ」だろう。このような三浦自身の軽率で無知な行動が騒ぎの発端であるが、ロス市警は確信を持って三浦をお縄頂戴としたようだ。確かに日本では無罪だが、属地主義を採っているアメリカにしてみると、国内法として充分立件出来ると踏んだようである。しかも、ロス市警が活動するカリフォルニア州法では、2004年にこの「一事不再理」を認めなくなった。この点でロス市警側と三浦側の解釈と言い分が対立する。ロス市警側はアメリカ国内で発生した事件であり、「一事不再理」なる法則もカリフォルニア州法にはいまはないと主張している。証拠は充分ありとして、三浦をサイパンからロスへ移送することを要求している。

 しかし、日本で無罪が確定したのが2003年であり、その後に採用されなくなった「一事不再理」だが、このケースでは一般的には有効であると考えられると思う。しかるに、「刑法では新法が優先する」との意見を述べる日本の専門家もいて、専門家の間でも法解釈が分かれるところである。つまり遡って裁判によって一旦下された無罪は有罪に、有罪は無罪に変えられる可能性があるという解釈も成り立つということだ。

 それにしてもロス疑惑事件の真相もよく分からないし、今度のサイパンにおける逮捕もなおよく分からない。この三浦先生もよく宿題を出してくれて、不勉強になったわれわれの尻を叩いてくれる。

 ともあれこの先の推移を注目しよう。

2008年3月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

294.2008年3月3日(月) 次期ロシア大統領はメドベージェフ副首相に

 プーチン現大統領の後ろ盾を得て、昨日の次期大統領選出選挙はやはりメドベージェフ氏の圧勝だった。得票率70%を上回るという化け物的数字だった。大国ロシアの大統領選挙とあって、さすがに今日は朝夕とも新聞紙上はトップ報道だった。しかし、どこかしらけた感じで、解説者は実に冷静に結果を分析していた。プーチン路線継承、有権者に選択の余地なし、「禅譲」追認の儀式、等々メドベージェフ氏の能力とか、可能性を評価するものでなく、プーチンの黒衣に徹する大統領とまで言われて、今後どれだけ独自色を出すことが出来るだろうか。選挙自体は完全に出来レースで、プーチンの一声で決まったと言ってもいい。プーチンとしては手なずけていた、後輩で何でも言うことを聴く可愛い奴だった。何だか、大学の体育会的組織に見えてしようがない。プーチンが部を仕切る親分肌のボスで、茶坊主のようにまつわりついているのが下級生メドベージェフという構図である。お手並み拝見であるが、世界の大国のトップ人事が、こんな体育会的な組織のような決め方でいいんでしょうかと聞いてみたい。これではロシアの民主化なんて遥か先の話だろう。そこに行き着くまでに何度ゆり戻しが来ることだろうか。

 それにしても、国内に多くの資源エネルギーが埋蔵されている国家は、自力で努力しなくても自然に懐に資金が入ってくるだけに、国家を統治するトップ政治家にとってはこんなにラッキーで恵まれていることはない。財政は安定するし、大胆な経済政策を思い切って実行出来る。それがすべて自分の実績になる。わが国の世襲代議士の幸運度とどこか似ていやしないか。

 こんな盛り上がらない最高権力者選出選挙は、好い加減にしてもらいたい。その点、アメリカの大統領選挙は分かりにくいが、国民が真剣にリーダーを観察し熟慮して選んでいるという気がする。国際社会でいま失点続きのアメリカではあるが、民主的という観点では、ロシアとは比較にならない。そのアメリカ大統領選挙の民主党候補の戦いは、いよいよ佳境に入ってきた。

 明日4日は、テキサス州とオハイオ州で予備選挙が行われるが、この結果次第では帰趨が決まりそうな雲行きになってきた。クリントンと出るか、オバマと出るか。

2008年3月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

293.2008年3月2日(日) ロシア大統領選挙は一体何のために?

 先日韓国の大統領選挙で李明博氏が当選した。新大統領は大阪生まれで戦後母国に帰り、苦労の末に現代自動車の社長を務め、その後ソウル市長となって市財政立て直しをやり遂げた立志伝中の人物と言われる。北朝鮮に対しても、北が核装置停止を実行したうえで、是々非々の立場をとるとの姿勢を示し、前ノ・ム・ヒョン大統領の南北融和政策とはかなり考え方や路線が異なるようである。

 アメリカはいま選挙戦の真っ最中で、民主党ではこれまで優勢と見られていたヒラリー・クリントン候補に対して、最近の9連勝によって逆にバラク・オバマ候補が一歩リードし、4日の大票田テキサス州の予備選挙の結果次第では、ある程度この先が読める流れになってきた。

 さて、問題はロシアである。ロシアでは今日が大統領選挙投票日であるが、国民の意向を長期間に亘り広く掬い上げるアメリカ大統領選挙とは大違いで、すでに人気磐石のプーチン大統領の後継者指名により、メドベージェフ副首相の圧勝が予想されている。メドベージェフ氏が大統領になってもプーチンが後見役として首相になるシナリオから、プーチン首相が背後で操る院政が当然予想される。権力強大化、独裁制の歯止めのためにアメリカ同様、大統領任期は2期8年までと憲法で規定されているにも関わらず、合法的にその裏をかき共和制から議院内閣制に形を変え、名前も「大統領」から「首相」に変えただけで、ロシアの支配体制は実質的には変わらない。これでは大統領選挙なんか行う必要がないではないか。よくもまあ、こんなえげつない仕組みを考え出すものだ。民主主義政治を施行するために作り上げた制度、法律を国家の最高責任者たる者が自分の権力欲でいとも簡単に骨抜きにしてしまう国家、それを許し有難がるような国民とは一体国家にいかなる理念を求め、どういう国家を希求して生きようとするのか。

 偶々今NHK教育番組で、ドストイェフスキー著「カラマーゾフの兄弟」を新訳版でヒットした亀山郁夫・東京外国語大学学長が、ロシア人女流文学者に尋ねていた。彼女のコメントは90年代に自由を得たロシア人は、その後経済的に苦しんだ。今日資源エネルギーにより国家の経済的立場は回復し強固になったが、ロシア人は一旦自由を得て味わった苦衷の経験から、必ずしも民主主義的自由が良いとも思わず、反ってある程度の規制、国家管理の方に賛同するということであった。なるほどこういう考え方もあるのだと思い、帝政、革命、共産主義、ペレストロイカ、どん底自由経済を経て歴史の変遷に翻弄されたロシア人のニヒリズムを感じた。

 昨年のフランス大統領選挙、先日のパキスタン国民選挙が大分派手に報道されたのに引き比べて、今日一日中ロシア大統領選挙に関する速報がなかった。ニュースバリューがないのだろう。

2008年3月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com