アメリカ大統領選挙も、共和党はマケイン上院議員が代議員数の過半数を獲得して共和党の大統領候補に決定した。他方で民主党は益々先行きが分からなくなった。4日の大票田、テキサス州、オハイオ州を含む4州で予備選挙が行われ、クリントン氏は全敗なら候補撤退かと噂されていたが、大口テキサス、オハイオとロードアイランドで勝ち、極少バーモント州を失っただけだった。3勝1敗である。このところオバマ氏に対して9連敗だったが、愁眉を開いたとも言える。獲得代議員数では、オバマ氏1,451人に対してクリントン氏は1,365人で、まだまだ86名の差がある。しかし、このミニ・チューズディではクリントン氏が辛うじて持ち直したように見える。それでもアメリカの専門家筋は、流れは依然としてオバマ氏に傾いており、よほど効果的な逆転打がなければ、オバマ氏優位の流れのままゴールへ走るのではないかと予想している。この大接戦からすると、最終決定は、8月末の民主党全国大会まで持ち越されそうだ。
われわれ外国人が羨ましく思うのは、各候補が大統領になったら自分ならこういう政策を実行するということを、具体的に、熱心に、真剣に国民に語りかけることである。しかも長い期間に亘り、マス・メディアを通して国民が判断する材料をふんだんに提供してくれる。各候補の熱意といい、ビジョンといい、話し方といい、まったく敬服するくらい説得力があり、国を託してもよいと思えるほどグラマラスである。演説の迫力と熱気、スピーチの巧さと雄弁さ、具体的なスピーチ内容、すべてがすべてとは言わないが、理想的だとすら思わされてしまう。
それに引き換え、日本の首相ら政治家トップの迫力に欠ける言動はどうだろうか。国家、国民のための政治というより自己の利益と政治活動のための政治だけに没頭し、国民のことは完全に頭の中から消えている。政治体制の違いもあり、選挙制度が違うが、それにしても国政政治家というのは、理念と志をもって国家と国民のためにどれだけ奉仕することが出来るかにかかっているのである。
少なくともアメリカの選挙には民主政治の匂いを嗅ぐことが出来る。わが国の政治家には失望しているが、アメリカの選挙を見ていると少しは救われる気がする。