先日ロス疑惑事件の三浦和義容疑者がサイパンで逮捕されたが、すでに日本では無罪が確定しており、同じ容疑で2度逮捕、訴追されることがあるのかと、昨日あたりマス・メディアが克明に報じていた。結審後に2度と同じ事件で訴追することはない「一事不再理」という社会通念が普遍的に通用するし、その方か筋が通っているというのがわれわれの解釈である。
そもそもサイパンがアメリカの自治領であることを知らないで、今まで度々サイパンに行っていたとは、三浦の迂闊さと不注意さが信じられない。まさにこれまで世間を舐めきっていた三浦の「不徳の致すところ」だろう。このような三浦自身の軽率で無知な行動が騒ぎの発端であるが、ロス市警は確信を持って三浦をお縄頂戴としたようだ。確かに日本では無罪だが、属地主義を採っているアメリカにしてみると、国内法として充分立件出来ると踏んだようである。しかも、ロス市警が活動するカリフォルニア州法では、2004年にこの「一事不再理」を認めなくなった。この点でロス市警側と三浦側の解釈と言い分が対立する。ロス市警側はアメリカ国内で発生した事件であり、「一事不再理」なる法則もカリフォルニア州法にはいまはないと主張している。証拠は充分ありとして、三浦をサイパンからロスへ移送することを要求している。
しかし、日本で無罪が確定したのが2003年であり、その後に採用されなくなった「一事不再理」だが、このケースでは一般的には有効であると考えられると思う。しかるに、「刑法では新法が優先する」との意見を述べる日本の専門家もいて、専門家の間でも法解釈が分かれるところである。つまり遡って裁判によって一旦下された無罪は有罪に、有罪は無罪に変えられる可能性があるという解釈も成り立つということだ。
それにしてもロス疑惑事件の真相もよく分からないし、今度のサイパンにおける逮捕もなおよく分からない。この三浦先生もよく宿題を出してくれて、不勉強になったわれわれの尻を叩いてくれる。
ともあれこの先の推移を注目しよう。