312.2008年3月21日(金) 知研が目指す方向

 明日「知的生産の技術研究会」総会が開かれる。もう随分長い間会員になっているが、いまでは「図解」講師を委任され、毎年2回福島県研修へ派遣される。総会に合わせて全国から会員が参集するのに先立ち、「図解」講師が集まって来年度の研修内容につき、勉強会を開くことが恒例となっている。その勉強会が今夕だった。依頼される県によって研修事情が異なるが、一応知研として統一的な見解とマニュアルに基づいて講義内容、講義方法、教え方等について、各講師の考え方を拝聴しようとの試みで、このこと自体は意義のあることだと思っている。

 4月から久恒啓一理事長が県立宮城大学教授の職を辞され、多摩大学教授に就任されるので、従来のように仙台を足場にしていた活動に比べて、地理的にも理事長は活動しやすくなるのではないかと思っている。今後は理事長も東京をベースに活動されるので、知研としても相乗効果といったらよいだろうか、もっと理事長とも、さらに多摩大学とも広い分野で連携プレイが出来るのではないかと思う。

 勉強会には、八木哲郎会長以下、秋田事務局長、福岡支部常富さん、岡山支部久保田さん、東京の中村さんと私の6名が集まった。これまでに比べて各自治体では、研修を「図解」のように研修項目ごとに依頼するのではなく、一括してマネジメント会社へアウトソーシングする傾向が表出してきた。これだと各行政の担当者としては手間が省ける。果たしてこういうやり方がよいのかどうか、われわれの判断することではないが、知研にとっては厳しい状況になることは間違いない。

 このために自治体へ売り込むためのパンフレットを作成しようということになった。さらに、会長が今後の知研の発展のための目標と考えを披露された。一時期に比較して会員実数は減少しているが、新旧会員がピラミッド型に登録されていて、それぞれ熱心な会員が多いので、会員数だけを詮索することは必ずしも意味があるとは思えないという点を強調された。今後は機関誌「知研フォーラム」の充実を図っていくことが大切だとも言われた。また、「知的生産の技術研究会」というブランドをじっくり伝える努力と、梅棹忠夫先生のお名前を汚さぬように、知研との関係が分かるような啓蒙も必要ではないかということになった。

 時代の変遷に連れ、変化はしていかなければならないが、知研の目指す方向性というものを見失ってはいけないというのは、全員同じ考えだと思う。

2008年3月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

311.2008年3月20日(木) イラク戦争開戦5周年

 5年前の今日イラク戦争が勃発した。シベリア鉄道の旅を終え、ウラジオストック経由で丁度モスクワから帰ってきた、まさにその日だった。ウラジオストック空港のトランジットルームのテレビで、米軍機がイラクを攻撃している映像を見て、ついに始まったかと感慨無量だった。新潟空港へ降り立ち、JR新潟駅へ向かう途上で地元テレビ局から街頭インタビューされ、「イラク戦争が始まりましたが、ご存知ですか?」と尋ねられたことが昨日のことのように思い出されてくる。実は、その数ヶ月前霞ヶ関ビルのトラベル懇話会で旅行業界関係者を前に「アメリカは必ずイラクを攻撃する」と持論を展開して、その場に居合わせた関係者の目をパチクリさせただけに、随分印象に残るイラク戦争開戦だった。

 そのイラク戦争は、結局アルカイーダとフセイン大統領の親密な関係とか、イラクが秘密裏に核兵器の開発を進めていると、アメリカが一貫して主張していた開戦の理由が、その後根拠がなかったとアメリカが自ら弁明するに至って戦争の大義は霧消した。そして、5年間にイラクでは15万人以上が亡くなり、アメリカ兵も4千人が命を落とした。フセイン亡き後、イラク国内の混乱は益々酷くなり、テロが絶えず、宗派対立は一層激しくなり、治安は悪化する一方である。

 日本政府もサマワへ自衛隊を派遣することによって、渋々アメリカの要請による国際協力の一翼を担うことになった。イラク開戦によりアメリカは戦前の予想に反して、泥沼にのめり込んだ。駐留部隊を増やしながらも事態は好転せず、「留まるも地獄、退くも地獄」ののっぴきならない状態に喘いでいる。アメリカ国内にも厭戦気分が蔓延して、かつてのベトナム反戦運動が次第に二重写しになってくる。

 これからどういう道筋を辿って最終的に終戦へ収束させていくのか。アメリカの正義によるものだと度々アメリカは世界に向かって宣言していたが、つまるところ正義ではなく、アメリカの都合だった。戦争に勝者はないといわれるが、この閉塞状況を今秋の大統領選挙へ向け、アメリカはどのように世論を納得させるのか。前途は厳しく、気が重くなる話だ。

2008年3月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

310.2008年3月19日(水) メディアは自らを壊している。

 昨日のブログに書き込みした「中国製ネズミ死体混入食品」について、やはり今日のテレビ、新聞はどこも報じなかった。これは一体どういうことなのか。1月に起きた日本国内のギョーザ農薬混入事件の際は、各マス・メディアが寄ってたかって報道を競い合う騒ぎだったが、同種の事件が韓国で発生したことに対する取り組みは、突きっ放したような印象を与え、少々違和感がある。製造会社の中国と輸入販売先の日本と韓国が共同で原因捜査、究明し、当事国の3国が共同して真相を調べる必要がある。そのためには、同じように情報を共有してことに当らなければならない。ひとつの国が情報を公開しているにも関わらず、他の国で知りませんでは話にならない。

 同じ1月に起きたソウル市郊外の利川倉庫大爆発事故について、インターネットで改めて検索してみると、2つのことが分かった。これも日本国内では、ちょろっと小出しにして後は蓋をしてしまった事故である。

 どうも分かりにくい。利川事故そのものの死者が40名で、そのうち出稼ぎの中国人が12名も犠牲者となって、目下中韓両国が外交ベースで補償問題等の話し合い中である。国籍とはまったく関係なく大惨事である。爆発事故が日本では共同通信社を通して配信されていることが確認出来た。日本の地方新聞社はほとんど共同通信と配信契約を結んでおり、地方新聞社はこのニュースを手元に抱えていたことになる。それにも関わらず各社とも大手メディアと横並びで一斉に報道を控えた。何か隠された不透明さがある。

 もうひとつ、ゆるがせに出来ない事実は、いくつかの情報にクリックしたところ、WEBサイト上の「朝鮮日報」情報の相当数がウィルス駆除のためとか、他の理由によって記事が削除されていることである。1月末に覗いた時には、写真入りで詳細が記載されていた。どうも恣意的な感じがしてならない。

 これらの現象は何を意味しているのか。些か大政翼賛的ではないか。わが国では巷に情報が出回り過ぎて情報の洪水に飲み込まれそうなくらい報道の自由を謳歌しているような空気がある。それに引き比べて、先日のビルマの民主化シンポジウムでは、日本へ亡命したビルマ人が、ビルマの自由抑圧に比べて日本が自由で、書きたいことを何でも書ける自由が素晴らしいと、日本の報道の自由を褒めちぎり羨ましがっていた。だが、日本のジャーナリズムには表面的に自由があると思われながら、実は情けないことに、報道の当事者が自ら伝える自由に自己規制を課している構図がある。ジャーナリズムは意識しない間に、自らの権利と責任を放棄しているのだ。これこそが一番恐ろしい。ジャーナリズムは少しずつ内部崩壊しているのに、自分たちはまったく気づいていない。

2008年3月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

309.2008年3月18日(月) 韓国で見つかった中国製ネズミ死体混入食品

 昨日のテレビニュースによれば、韓国でも中国製食品から異物が発見された。それも驚くなかれ、異物とは「ネズミの死体」の一部というのだから恐れ入った。並みの混入事件ではない。韓国側は早々に韓国内で混入される可能性はまったくなく、明らかに中国国内で混入されたものだと断言した。自国で調べたところ韓国側の事情による可能性は100%なく、自信たっぷりに、思い切って中国産に問題ありと断言した点が、先般の日本側の自信なさそうなコメントや、万事控えめな対応とは大分異なる。中国にはこのくらいはっきりものを言った方が結局は早い解決になる。

 問題視したいのは、このネズミ死体事件がその後マス・メディアを通して、まったく報道されないことである。テレビでは一切オンエアーされることはなく、新聞も今日の朝日、日経どちらの朝夕刊にも記事は一行たりとも掲載されていない。1月7日に起きた利川倉庫大爆発事件となにやら似通っている。利川事故では、その時点ですでに40名の死者が出たことが報道され、その後ニュースとしては伝えられなくなった。日本のマス・メディアには不思議な現象が起きるものである。韓国当局から報道規制の圧力なり、依頼があったのではないかと勘ぐっていたところ、インターネットを通して分かったことだが、「朝鮮日報」紙では堂々と報道されていた。それがなぜ日本では一度はニュースとして賑々しく取り上げられながら、ピタッと伝えることを止めてしまったのか、不明瞭で怪しげな事件だった。いまだに詳細は不明である。

 ネズミ死体混入事件に関する報道は、利川倉庫爆発大事故とまったく同じ経路を辿っている。明日はどうなるだろう。このニュースを報道することは、ギョーザ事件がうやむやになりかかっている今、大きく報道する責任と価値があると思う。

 それにしても隣国・韓国で発生したセンセーショナルな事件を、日本国内でまったく報道しないというのは、裏に何か意図的な理由があって隠されているとしか考えられない。今年になって2度目である。日本のマス・メディア側から何らかの説明があって然るべきだと考える。

2008年3月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

308.2008年3月17日(月) 日本経済はこのままで大丈夫なのか?

 昨日は久しぶりにラグビー日本選手権決勝戦の三洋電機対サントリー戦をテレビ観戦した。一昔前に比べてレベルも上がってきたが、選手の頑健な体格と、試合運びはかつてとはまったく違った一面が表れているように見える。多分昔の選手では、いまの選手には太刀打ち出来ないのではないかと思えるぐらい、いまのラグビーはチーム力、個人技、試合運び、それぞれにかつてのそれを大きく上回っていると思う。外人選手が増えたこともあるが、何といっても他のスポーツ同様、フィットネス・トレーニングの成果が表れたことと、外国チームとの交流が深まったことによるものと思う。試合は40(三洋)-18(サントリー)と点差は開いたが、中々良いゲームだった。

 さて、益々勢いが増している「円高」「株価」の動きが、少々気がかりになってきた。持ち株の値が相当下がり実質資産が大きくダウンしたので、手放しにくくなってしまっていたが、これ以上さらに含み損を増やしたくなくなり、今朝の日経紙の悲観的な先行予測を読んで、思い切って全株を手放した。今後も当分株安傾向が継続すると見込んだうえでの決断である。

 世界不安の元凶、ドル安も亢進し、ついに一時1$=95円台にまで落ち込んだ。これは12年ぶりとのことである。これで輸出関連株価は大きく値を下げるだろう。日経平均株価もついに12,000円台を割り込み、終値は11,787円、先週末比で454円安となった。

 この末期的な株式不況の中で、明後日福井・日銀総裁の任期が切れるが、まだ後任が決まらない。福井総裁の続投とか、副総裁の総裁代行の案も入れ替わり立ち代り出てくるが、野党が賛成しない。こうして、貴重な日時を無駄にしている。まったく決断力のない首相というのも困ったものである。

 次期アメリカ大統領選出代議員選挙は益々ヒートアップし、台湾でも総統選挙が5日後に迫って熾烈な戦いを繰り広げているにも関わらず、平和国家日本だけは、マイペースでのろのろ動いている。その間に国民の生活は益々苦しくなっていく。政治家というのは、この状態を放っておいてよくも罪悪感を感じないものだ。もう彼らにつける薬はない。

2008年3月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

307.2008年3月16日(日) チベット騒乱の行方

 チベットではやはり相当の死者が出ている模様だ。今朝の朝日によると、チベット亡命政府の発表として30人が死亡と報道されている。夕刻のテレビニュースでは、その数は80人を超えたと伝えていた。まだ、未確認情報ではあるが、中国政府の慌てぶりから察するとそれほど現実離れした死亡者数でもなさそうだ。天安門事件の二の舞ではないかとの声もある。

 大体中華人民共和国が1951年にチベットのラサへ中国軍を進駐させ、チベット民族を弾圧、支配したことがそもそも本事件の遠因である。その後チベットを中国政府の一行政区、チベット自治区として、漢民族による中央集権支配体制が確立させていった。その過程で、チベット民族の自治権の制限や、チベット文化の軽視に対して、チベット民族が反発し、それが59年の暴動となった。その後も表面的にはともかく水面下では、中国政府の強圧的な支配に対するチベット住民の反感が燻っていたようである。

 世界各国から中国政府に対して、人権面で充分配慮するように要望が出されているが、現時点でアメリカ政府が情報収集のために担当者をチベット自治区へ派遣する要請を中国側が即座に拒否したり、出来るだけ事件を外国人の目に晒さないよう、また中国政府の非人道的行為が報道されないよう、外国人のチベット自治区への立ち入りを制限し出した。すでにラサとの電話交信が出来ないとも言われている。これは明らかに中国政府の意図的な報道管制と言える。実際、私が先日ラサのホテルから日本へPC交信出来たくらい通信は、充分行き届いていた。

 これから少しずつ実態が明らかになるだろうが、下手をすると北京オリンピック棄権や、忌避の動きが、モスクワ・オリンピックに続いて持ち上がってこないとも限らない。いま中国政府は、住民弾圧とか、迫害という自由拘束の流れと受け取られないよう情報化社会の中で、何とか自国が傷つかないように処理しようと、懸命に隠蔽作戦を展開しているように思える。

 日本政府も漸く、中国政府に対して自制を促したとの小さなステートメントを発表したが、どれほどの効果があるだろうか。5月に来日する胡錦寿主席への遠慮があるせいだ。胡主席自身、チベット自治区の統治者としてデモを弾圧し、収束した実績を評価されて、国家主席の座を掴んだと言われている。触れられたくないアイテムである。

 しかし、中国は果たして世界の目をいつまでも欺き通すことが出来るだろうか。

2008年3月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

306.2008年3月15日(土) チベットの雲行きが怪しい。

 俄かにチベットの雲行きが怪しくなってきた。一昨日鎌倉でチベットについて話す機会があったが、ちょうどその頃インド北部ダラムサラでチベット亡命政府を支持する反中国デモがあった。デモ騒ぎについては一切知らなかったので、その時はチベットへの旅行について思うままに感じたことを述べた。高山病について話す一方で、健康ならぜひ一度行ってみることを薦めると結んだ。

 しかし、今日の報道をみると今度はラサ市内で大きな騒動になっている。せっかく青海チベット鉄道の開通により、チベット観光に光が見えてきた矢先だけに非常に残念である。すでにチベット地区への旅行を自粛するよう中国政府、チベット自治区、日本外務省から警告が発せられており、当分の間チベットへの旅行は難しくなるのではないかと気がかりである。

 最初にインド国内でデモが起きたが、その日のうちにインド政府はデモ隊を排除した。インドは以前からチベット亡命政府の政治的活動を制限している。今度のデモ騒ぎに対しても冷静に対処して中国政府に微妙な気遣いをしている。

 今朝の新聞は大々的にこの事件を取り上げている。先日訪れたジョカン(大昭寺)前広場に暴徒と化した群集によって、火をつけられ横倒しになった車の写真が載っている。新聞の見出しを見ると「チベット、デモ激化」「チベット、僧侶大規模でも」「チベット騒乱、中国『ダライ・ラマ派策動』」「チベット暴動『死者10人』」「騒乱拡大、五輪に暗雲」とチベットの先行きが懸念される記事ばかりである。

 中国政府としては、一部のダライ・ラマ支持派の策略によるものだとアッピールすることによって、海外からの批判をかわしながら事件を早く押さえ込み収束させようと企てる魂胆がありありである。北京オリンピックを控え、中国としてはいま極力イメージダウンを避けたい。食物、大気汚染、と嫌なムードが流れているうえに、治安の不安が大きくなったら、オリンピック開催も危なくなってくる。中国の非民主化政策は、近年ではスーダンのダルフール紛争で実験済みである。過去の例を振り返ってみても、29年前のチベット紛争以来、中国はすべての紛争を力づくによって鎮圧してきた。チベット民族の権利、伝統、文化を重視することなく、ひとつの自治区として中央政府が力づくで統治することがどれほどチベット民族に幸福をもたらすのか。いつも外部の意見を斟酌しようとしない中国人だけに、チベット民族に対する中国政府の出方から目を放してはならない。

 アメリカ、EU各国はすでに中国政府に対して、チベット人の人権に配慮するよう慎重なコメントを発表している。

2008年3月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

305.2008年3月14日(金) ビルマ民主化に関するペン主催シンポジウム

 日本ペンクラブは昨年10月「ミャンマー政府による新たな言論弾圧、日本人ジャーナリストの殺害、僧侶、市民の拘束に抗議し、言論の自由の回復を求める声明」を発表した。

 今日この日を獄中作家(Writers in Prison=WiP)の人権を考える日として、毎年日本ペンクラブが開催しているシンポジウムは、今年「なぜこの国を伝えたいのか」―ビルマ報道とジャーナリストの眼―のテーマを掲げて日本プレスセンターホールで開催された。

 1部と2部に分かれていたが、第1部では元NHKのビルマ語ラジオ放送で活躍していた、田辺寿夫氏がリードしながら、在日ビルマ人のチョウ・チョウ・ソウ氏とトーク形式で、フォト・ジャーナリスト長井健司氏が射殺された昨秋来のデモの経過、在日ビルマ人のビルマ民主化運動、日本人がもっとビルマに熱い関心を抱くこと、等について話を進められた。

 第2部では、それぞれ写真、報道等で活動される3人のジャーナリスト、江川紹子氏、山本宗補氏、綿井健陽氏が、夫馬基彦・日本ペンクラブWiP委員会副委員長の司会進行で報道の自由、規制、大手マス・メディアの報道姿勢、等について意見を述べられた。

 これほどの関心があるとは予想外なくらい、多くの人が訪れ、時間が足りないほど充実したシンポジウムとなった。これだけ大勢の専門家がいて、トータルで2時間は時間的に無理がある。だが、中身の濃い説明に引き込まれた。

 実は、田辺さんとは35年ほど前にビルマ戦友会の故栗原さんのお宅でお会いして以来、何度かお会いしたことがある。私のことを憶えておられるか分からなかったが、最前席に着席していた関係で、田辺さんと隣り合わせに座ることになり、名乗り出て休憩時間に少々話をした。相変わらず流暢なビルマ語を駆使する田辺さんだったが、いまはビルマ反政府活動をビルマの外で行っていると軍政から厳しい眼で見られ、入国ビザが許可されず、近年ビルマには行っていないと仰っていた。時間があまりなかったので、懐かしい話までは辿り着けなかったが、高校の先輩、山口洋一・元ビルマ特命全権大使とウ・ミャ・タウンさんについては共通認識があった。

 聞けば、山口氏とはテレビ朝日の田原総一朗氏の番組で激しい議論を戦わせたと話されていた。当然山口氏とは真っ向から対立する意見を持っておられ、対極の立場におられる。私にとっても先輩とはいえ、山口氏のあまりに独善的で、事実誤認も甚だしい暴論にはとても与することが出来ず、外交官としての見識も疑われるような人間性に失望した。ウ・ミャ・タウンさんには、随分お世話になった。田辺さんも懐かしんでおられた。久しぶりにビルマの実態を理解しておられる人と、ひとときではあるが懐かしい話が出来て、楽しくもあり有意義なシンポジウムだった。

 拙著「現代・海外武者修行のすすめ」には、ビルマに関して大分ページを割いている。田辺さんにもその点をお話して贈呈したところ、大変喜んでいただいた。

2008年3月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

304.2008年3月13日(木) チベットについて講演

 鎌倉の「湘南話し方友の会」例会で講演を依頼され、JR鎌倉駅前の「鎌倉生涯学習センター」で「高地チベットへの旅」と題して1時間半あまりお話をしてきた。この会では、2年前にもお話したことがある。自宅で入念にパワーポイントをチェックしたところ、普段使っているPCとの接続がうまくいかず、止むを得ず、お蔵入りで以前使用していたPCを持参した。会場ではPCの画面が消えて若干当惑したが、プロジェクターからスクリーンには映し出されていたので、話を進めるに当っては特段の支障はなかった。代表者が高校同級生の小山清くんなので、私からも他の同級生にも声をかけたせいもあり、永嶋喜一郎くん、山田勝久くん、轟貞雄くんが参加してくれた。轟くんなんか会社の帰りにわざわざ寄ってくれた。高校時代の友人が一声かけただけでも駆けつけてくれるのは、有難く嬉しいことである。

 チベットは青海チベット鉄道開業以来、観光地として脚光を浴びつつあり、日本人旅行者の関心も高く利用者の数もうなぎ昇りである。しかし、昨年後半だけでも8人の日本人旅行者が死亡しており、そのほとんどが高齢者で、高地特有の高山病が直接の原因である。今日の受講生の中にも熱烈なまでにチベットへ行きたいと考えられている方がおられたが、高山病について警告に近い話をしたので、皆さんがどう受け取られたか。

 旅行中の血圧と脈拍の数値変化表を、スライドとレジュメに載せて説明したので、かなり関心を持ってもらえたと思う。特に、海抜4,000m前後と5,000m地点の脈拍の亢進を示すグラフ変化は分かりやすく理解していただけたのではないかと勝手に想像している。脈拍数がチベット滞在中は平常値のほぼ2倍にまで上昇したことは、私自身も驚いたくらいなので、初めて知った人たちにとっては新鮮な驚きではないかと思う。

 今日準備段階で感じたことだが、講演の機会が増えるに連れ、パワーポイントを使用するケースも増加しているが、しばらく時間が空くとついパワーポイントの起動が不安になる。情けないことに、まだ完全に習得したわけではなく、これなら絶対大丈夫というまでの確信が持てない。自信を持って取り扱えるようにしないとこれからも常に不安を抱えることになるし、何とかそのようにしないといけないと思っている。

 講演を終えてから夕食をご馳走になりながら、中心メンバーの方々と話をしたが、小山くんに聞けばこの趣味の会が出来てから、もう32年にもなるという。よくもこれほど長く続いたものだと、幹部の方のご努力に敬服するばかりである。また新たなテーマでお話出来たらいいと思っている。

 さて、このところアメリカの景気不安で日本でもドル安と円高が同時進行し、それが日本の株価まで大きく引き下げている。今日は帰宅した途端、妻から1ドル100円を割ったと聞いてびっくりである。円相場が1ドル=100円を突破したのは、12年ぶりである。8年前に妻とエーゲ海をクルーズした時には、1ドルが150円に近かったほどの円安に海外での物価の高さを痛感したものだ。それが現在はこの円高である。これで訪日観光客が減少しなければ良いがと願う。株価も下がりっ放しで、日経平均でも前日比427円安でお先真っ暗である。多分有効な術は打たないだろう。

 一方でわが国の愚鈍な政治家たちは、政局を絡ませつつ国家、国民のことを頭から忘れ去り、この緊急時に金融当局のトップ人事も決められない体たらくである。やはり、本当の意味で政治改革をやって政治家の質を向上させなければいけないと痛感する。

2008年3月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

303.2008年3月12日(水) もめる新日銀総裁人事

 JAPAN NOW観光情報協会理事会が開催された。最大の目的は、5月の総会に向けた予算・決算の報告と事業報告、それに役員改選である。私も理事のひとりとして再選されることになった。今年8年目を迎えるNPOが、多くの会員を集め、組織を発展させ、観光振興の一翼を担っていくためのアイディアのひとつとして、広い分野で講師紹介・斡旋をして、併せて手数料収入を得ようとの考え方も披露された。私自身も登録することになるが、うまくいけばよいと思う。

 今日参議院本会議で、次期日本銀行総裁人事案が否決された。これも衆参のねじれ現象のなせる業で、与党としては参議院では議員数において過半数を握っていないために、投票になれば負けるのは分かっている。これで日銀総裁人事は完全に行き詰まってしまった。まもなく福井現総裁の任期が切れる。そうなると総裁空席という異例の事態になる。世界的に金融市場が大荒れで、経済の舵取りが難しい時期に、金融のトップがいない未曾有の事態は避けなければならない。だが、現状は与野党の政局が絡んでにっちもさっちも行かなくなってしまった。各党の代表者がともに自己の都合ばかり主張して、国民不在の政治取引にうつつを抜かしているからだ。

 投票の結果では、総裁候補は否決され、副総裁候補は一人(白川方明氏)が同意され、もう一人(伊藤隆敏氏)が否決された。否決されたのは財務省OBで、財政と金融の分離がなされないという野党の主張通りとなった。

 それにしても新日銀総裁候補の筆頭だった武藤敏郎・現副総裁としてはやりきれない思いだろう。針のムシロだろう。夕べも「報道ステーション」で加藤千洋氏が、武藤さんはこれでもまだやりたいのでしょうか、などと発言していたが、本人も本音としてはもうやりたくない心境だろう。ただ、自民党が熱心に推してくれるのに、当の自分が自ら降りたのでは、自民党首脳の面子をつぶすので、止めるに止められない気持ちなのではないだろうか。

 ところで、金融の舵取りは当面どうするつもりなのか。

2008年3月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com