305.2008年3月14日(金) ビルマ民主化に関するペン主催シンポジウム

 日本ペンクラブは昨年10月「ミャンマー政府による新たな言論弾圧、日本人ジャーナリストの殺害、僧侶、市民の拘束に抗議し、言論の自由の回復を求める声明」を発表した。

 今日この日を獄中作家(Writers in Prison=WiP)の人権を考える日として、毎年日本ペンクラブが開催しているシンポジウムは、今年「なぜこの国を伝えたいのか」―ビルマ報道とジャーナリストの眼―のテーマを掲げて日本プレスセンターホールで開催された。

 1部と2部に分かれていたが、第1部では元NHKのビルマ語ラジオ放送で活躍していた、田辺寿夫氏がリードしながら、在日ビルマ人のチョウ・チョウ・ソウ氏とトーク形式で、フォト・ジャーナリスト長井健司氏が射殺された昨秋来のデモの経過、在日ビルマ人のビルマ民主化運動、日本人がもっとビルマに熱い関心を抱くこと、等について話を進められた。

 第2部では、それぞれ写真、報道等で活動される3人のジャーナリスト、江川紹子氏、山本宗補氏、綿井健陽氏が、夫馬基彦・日本ペンクラブWiP委員会副委員長の司会進行で報道の自由、規制、大手マス・メディアの報道姿勢、等について意見を述べられた。

 これほどの関心があるとは予想外なくらい、多くの人が訪れ、時間が足りないほど充実したシンポジウムとなった。これだけ大勢の専門家がいて、トータルで2時間は時間的に無理がある。だが、中身の濃い説明に引き込まれた。

 実は、田辺さんとは35年ほど前にビルマ戦友会の故栗原さんのお宅でお会いして以来、何度かお会いしたことがある。私のことを憶えておられるか分からなかったが、最前席に着席していた関係で、田辺さんと隣り合わせに座ることになり、名乗り出て休憩時間に少々話をした。相変わらず流暢なビルマ語を駆使する田辺さんだったが、いまはビルマ反政府活動をビルマの外で行っていると軍政から厳しい眼で見られ、入国ビザが許可されず、近年ビルマには行っていないと仰っていた。時間があまりなかったので、懐かしい話までは辿り着けなかったが、高校の先輩、山口洋一・元ビルマ特命全権大使とウ・ミャ・タウンさんについては共通認識があった。

 聞けば、山口氏とはテレビ朝日の田原総一朗氏の番組で激しい議論を戦わせたと話されていた。当然山口氏とは真っ向から対立する意見を持っておられ、対極の立場におられる。私にとっても先輩とはいえ、山口氏のあまりに独善的で、事実誤認も甚だしい暴論にはとても与することが出来ず、外交官としての見識も疑われるような人間性に失望した。ウ・ミャ・タウンさんには、随分お世話になった。田辺さんも懐かしんでおられた。久しぶりにビルマの実態を理解しておられる人と、ひとときではあるが懐かしい話が出来て、楽しくもあり有意義なシンポジウムだった。

 拙著「現代・海外武者修行のすすめ」には、ビルマに関して大分ページを割いている。田辺さんにもその点をお話して贈呈したところ、大変喜んでいただいた。

2008年3月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com