307.2008年3月16日(日) チベット騒乱の行方

 チベットではやはり相当の死者が出ている模様だ。今朝の朝日によると、チベット亡命政府の発表として30人が死亡と報道されている。夕刻のテレビニュースでは、その数は80人を超えたと伝えていた。まだ、未確認情報ではあるが、中国政府の慌てぶりから察するとそれほど現実離れした死亡者数でもなさそうだ。天安門事件の二の舞ではないかとの声もある。

 大体中華人民共和国が1951年にチベットのラサへ中国軍を進駐させ、チベット民族を弾圧、支配したことがそもそも本事件の遠因である。その後チベットを中国政府の一行政区、チベット自治区として、漢民族による中央集権支配体制が確立させていった。その過程で、チベット民族の自治権の制限や、チベット文化の軽視に対して、チベット民族が反発し、それが59年の暴動となった。その後も表面的にはともかく水面下では、中国政府の強圧的な支配に対するチベット住民の反感が燻っていたようである。

 世界各国から中国政府に対して、人権面で充分配慮するように要望が出されているが、現時点でアメリカ政府が情報収集のために担当者をチベット自治区へ派遣する要請を中国側が即座に拒否したり、出来るだけ事件を外国人の目に晒さないよう、また中国政府の非人道的行為が報道されないよう、外国人のチベット自治区への立ち入りを制限し出した。すでにラサとの電話交信が出来ないとも言われている。これは明らかに中国政府の意図的な報道管制と言える。実際、私が先日ラサのホテルから日本へPC交信出来たくらい通信は、充分行き届いていた。

 これから少しずつ実態が明らかになるだろうが、下手をすると北京オリンピック棄権や、忌避の動きが、モスクワ・オリンピックに続いて持ち上がってこないとも限らない。いま中国政府は、住民弾圧とか、迫害という自由拘束の流れと受け取られないよう情報化社会の中で、何とか自国が傷つかないように処理しようと、懸命に隠蔽作戦を展開しているように思える。

 日本政府も漸く、中国政府に対して自制を促したとの小さなステートメントを発表したが、どれほどの効果があるだろうか。5月に来日する胡錦寿主席への遠慮があるせいだ。胡主席自身、チベット自治区の統治者としてデモを弾圧し、収束した実績を評価されて、国家主席の座を掴んだと言われている。触れられたくないアイテムである。

 しかし、中国は果たして世界の目をいつまでも欺き通すことが出来るだろうか。

2008年3月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com