557.2008年11月21日(金) 多面的な話に満足!

 不景気の波は日本の大手企業にも厳しく押し寄せている。金融不安の源流、アメリカではアメリカを代表する自動車産業のビッグ3が政府に公的支援を陳情する異常事態である。日本企業もご他聞に洩れず、中間決算で軒並み下方修正を公表する状態である。これを受けてニューヨーク・ダウ平均はこのところ大きく値を下げている。日経平均も昨日再び8,000円を割ってしまった。

 今夕六本木のアークヒルズ・クラブで恒例の湘南東京有志会(湘南高校OB会東京支部?)が開かれ、スピーカーのひとり、森稔・森ビル社長が景気に関する話をされた。上海に建設した国際金融センタービルの入居者が予定より少なかったことが、身に沁みているからだろう。東京の都市計画プロジェクトで計画中のマッカーサー道路を造成する際に、道路の上にビルを建て、その上を緑で覆うというアイディアを話された。国家的なプロジェクトだが、民間でも出来ることを試してみたい。同時に、国がやることを民間が出来るということは上海のビルで実現出来たとも話された。

 作曲家の湯山昭さんと初めてお話した。76歳なのに黒々とした髪で若々しく、締めに校歌合唱の指揮をされた。北原白秋作詩、山田耕筰作曲の素晴らしい校歌であるが、歌詞が堅すぎ、大時代的で、良い詩ではあるが、表現上いかがかと思うことがところどころに見られる。特に3番の「~剛健、ここに勢ふ我等、膽大に、意図は壮なり。立身報告期せよ友よ~」の箇所が在校時からどうも素直に馴染めなかった。この点について湯山さんに話すと、古い歌詞は現代風に変えることがあると仰った。しかし、森進一の「おふくろさん」歌詞変更問題、それ以上に何と言っても天下の北原白秋の詩に手をつけることはあまりにも恐れ多いということだろう。後輩たちは綿々と歌い続けている。

 川井校長が湘南再建のためにご苦労されていることがよく分る。慶応アルペンクラブの後輩、淀くんの山形・興譲館高校山岳部の後輩であることも奇遇である。ひところの勢いがなくなった湘南再建のために、大分頑張っておられる様子が話の中に窺えた。やっと高校日本一が出たと嬉しそうに報告していた。慶応高、法政二高、湘南高の生徒3人でチームを組んだ神奈川県国体代表少年フェンシング・チームの一員として今年の国体に優勝したそうである。少しずつでもよいから、ひとつ起爆剤としてどんな形であれ、実績を残すことである。

 竹内謙・前鎌倉市長も今経営しているインターネット新聞の経験上から、アメリカ大統領選挙に触れ、新聞販売が伸びず、テレビは大丈夫と思っていたが、今の様子だといずれそれもインターネットに追い込まれていくと言っていた。

 今年は30名少々の出席者で、やや寂しい感じもしたが、皆さんからユニークな話を聞いて気分はワクワクだった。

2008年11月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

556.2008年11月20日(木) さすが反骨の評論家・佐高信氏

 多摩大学公開講座の今日の講師は佐高信氏だった。この人の話はいつも辛口で論点の核心を突くので実に面白い。テレビとは違い、学生が多いというのも佐高氏にとっては若干やりにくいのかも知れない。多少学生を意識したような発言をされていた。対極にある立場から見れば、実に手ごわい論客であるし、理論的にも鋭い論法で攻めるので、必ずしもマス・メディアからは歓迎されないようだ。今日聞いた話から言えば、私には佐高氏の話はすべて正論であるし、納得のいくものだった。

 冒頭事前に配られた故筑紫哲也氏を悼む記事に触れ、筑紫氏の思い出を語られた。

 本論では、まず日本の権力構造から話された。今何がタブーなのかと。結局、わが国は官僚国家であり、会社国家である。どうしてこうなったのか? 国民は政治家が何もしないことを知っているからである。

 佐高氏の舌鋒は、小泉改革に向けられた。小泉純一郎・元首相は、民主党の小沢一郎代表、浜四津敏子・公明党副代表と並んで慶応義塾大学の同級生である。小泉改革は真の改革ではない。郵政改革はやったが、財務省を批判するようなことは何もやっていない。中川昭一・財政金融担当大臣という職責を見れば、今や財政と金融の分離も崩れてしまった。過去大蔵、財務に逆らった首相はいない。大蔵、財務を改革しなければ本当の改革ではない。

 もう一方で国の立場を代表する外(害)務省は、アメリカと中国を同じように扱わないから北朝鮮に強い影響力のある中国と親しく出来ず、結果的に拉致問題は解決しない。小泉首相以来、すべての首相がアメリカ一辺倒だった。

 会社国家というのは、国民が個人的に力をつけるより、会社経営者をやりやすくするよう力点をおいている。前者の側には城山三郎、内橋克人、佐高信氏らが立ち、後者には長谷川慶太郎、堺屋太一、竹中平蔵らで、派遣労働者を労働現場に定着させた。会社はCMで圧力をかけて新聞に不利、或いは批判的な記事を書かせない。記事の差し止めまで行う。佐高氏はCMのない新聞、当然書くべきことは書く新聞として「週刊金曜日」代表を務めている。

 勲章の馬鹿馬鹿しさについても触れた。史上最低の首相・宇野宗佑氏が勲一等で、世界的な写真家・土門拳が勲四等というのは解せない。城山三郎氏の葬儀で弔辞を述べた時隣席に中曽根元首相、小泉元首相がいた。受勲を拒否した城山氏を褒め称えた時、大勲位の中曽根氏は微動だにしなかったという。どこか昨日の篠田正浩氏の米軍司令官へ叙勲された話と通じる話だ。

 いずれにしても中々山葵の利いた話ばかりで、1時間半の間飽きさせることなく終始した。実に反体制的で味のある講義内容だった。

 終ってから聖蹟桜ヶ丘駅近くの居酒屋で、知研八木会長、久恒理事長、秋田事務局長、高橋茂人さんと食事を伴にして会長からご馳走になった。

 帰路渋谷駅で、先日修復を終え通路壁に掲げられるようになった、岡本太郎の大作「明日の神話」を初めて目にした。かなりの通行人が立ち止まっては見ていた。大きな絵画だけに、流石に迫力がある。このような名画を見ようと思えば、いつでも見られるのは有難いことだ。

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555.2008年11月19 日(水) 山崎さんと篠田監督、そして「海ゆかば」

 ベオグラード在住の山崎洋さんが、映画監督の篠田正浩氏と「ゾルゲ事件をめぐって」のテーマで対談する企画が織り込まれた「第2回武蔵天平の郷・信時潔コンサート’08」に出かけた。会場は西国分寺駅前の立地のよい「国分寺市立いずみホール」である。 

 ホールは市立で場所も便利だし、中々立派なものだ。セルビアから来日のチェリスト夫妻を交えたヴァイオリン、チェロ、ピアノの三重奏による国分寺所縁の信時潔の作品と、バッハ、ヘンデル、チャイコフスキーの作品を演奏してくれた。信時の「電車ごっこ」「海ゆかば」以外は知らない曲ばかりだったが、「海ゆかば」はチェロの重苦しい音色が胸にずっしりと沁み込み、感動した。仕事で戦没者の慰霊や遺骨収集事業に長らく関わっていたせいもあり、度々聞かされた「海ゆかば」はやはり他の曲とは違うおごそかな感情で受け入れてしまう。

 山崎さんと篠田氏の対談で新しい知識を得た。ひとつは、「海ゆかば」の作詩者はこれまで大伴家持と聞かされていたが、篠田氏の語るところによれば、聖武天皇が作った歌を大伴家持へ下賜したものだということ。もうひとつは、日本の天皇家は元来仏教徒であり、神道というのは明治維新後のことだということである。篠田監督は、その根拠のひとつとして、東大寺は752年孝謙天皇によって建立された。また、京都三十三問堂は1164年後白河法皇によって建立された。いずれの天皇、法皇も仏教徒である。「スパイ・ゾルゲ」では篠田氏は監督でありながらチョイ役で出演もしている。山崎さんの祖父役である。そんな話を2人はゾルゲ事件を絡ませながら丁々発止と語り合った。篠田氏の話した言葉の中で、時代が尾崎秀実と山崎さんの父・ブランコ・ブケリッチのようなプロのスパイではない人たちを、スパイ事件へ巻き込んでしまった。しかし、尾崎にしても、ブケリッチにしても優秀な取材がプロのスパイである、ゾルゲやクラウゼンにヒントを与えたと仰った。これほどの情報収集力を示したふたりは、スパイとしてではなくジャーナリストとして優秀だったと締めくくられた。

 1931年生まれの篠田氏は、いろいろ苦労を知っているだけに、重い言葉を述べられた。広島、長崎の原爆投下の責任者である米軍空軍司令官に対して日本政府が最高の栄誉である勲章を贈ったのは完全に間違いであり、返してほしいと厳しい口調で述べた。最近の田母神発言に対しても極めて厳しく糾弾していた。

 終了後山崎さんには知り合いが多く寄っていたので、挨拶と近著をあげて、ゼミの後輩・堀勇弘くんと東横線都立大学駅前で遅い夕食をした。堀くんのご家族の系譜も日中戦争史とかなり強いつながりがあると感じた。新しい一面を後輩の話の中で知った。

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554.2008年11月18日(火) 殺伐とした最近の世相

 駒沢大学で受講している3科目がすべて、マス・メディア論なのでどうしても毎日報道されるニュース性を追ったテーマと内容になる。今日の2科目でも、悪評サクサクの定額給付金が話題になった。

 小泉前首相がかつて国会で「米百俵」を紹介して話題になった。米百俵とは、戊辰の役で窮乏の極みにあった長岡藩を見かねて、三根藩より届けられた百俵の支援米を、時の大参事・小林虎三郎は「当座をしのぐために配給しても数日ももたぬ」として、国漢学校設立資金等として人材育成に充てた。後に国漢学校からは多くの人材が輩出し、将来を見据えた大参事の英断として高く評価されたストーリーである。定額給付金はこの百俵の米がばらまかれてしまうのではないか、もう少し国民にとって有意義な使い道がないのかとの不安が野火の如く広がっている。

 ところでこの米百俵にあやかった日本酒「米百俵」を飲む機会があった。今月の酒のペンクラブ例会で喉を潤した時のことである。新潟産の銘酒だが、佐賀の日本酒「東長」、熊本の米焼酎「水鏡無私」、鹿児島の芋焼酎「なかまた」と同様、都内北区の水塚高野というお酒店さんが蔵元の酒ということで商いを続けているものである。蔵元は、明治37年創立の長岡市の栃倉酒造㈱で、現当主は3代目だという。あまり酒の味が分らないので、コメントをうまく言えないが、吟醸酒「米百俵」は飲んでも米はばらまくなと言いたい。

 いずれにせよ、近年定額給付金ほど評判の悪いものはない。しかもまだ細かい取り決めがなされていない。どうしようもない。

 嫌な事件が続く。酔っ払い運転の末に人を轢いて、そのまま引きずって被害者が亡くなるという残酷な事件が連続して起きている。更に、今朝さいたま市内の住宅では、元厚生省事務次官夫妻が玄関で殺害されているのが発見された。夕方になって、中野区の元厚生省事務次官宅でも夫人が玄関で宅急便を襲おう男に刺され怪我をした。ふたりの元厚生事務次官は、年齢は離れているが、経歴がほとんど同じで、しかもいずれも年金局長を経験している。警視庁では断定していないが、まず2つの事件に相関性がありそうだ。どういう理由でこうなったかはまだ不明だが、このところ年金関係で厚労省、社会保険庁の杜撰な業務が糾弾されていただけに、年金に関する不満が犯人をしてこのようなテロ的凶行に走らせた可能性はある。それにしても、最近殺伐とした薄ら寒い事件が多すぎる。嫌な世の中になったものである。

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553.2008年11月17日(月) 国際社会における日本の存在感

 世界の舞台へ出ると、どうしてこうも日本のトップの存在感は薄くなるのだろうか。昨日閉幕したG20サミットについても「歴史的な会合だったと後世言われる」と大見得を切り、①金融危機をかつて乗り越えた経験を述べ、②不良債権の迅速な処理の重要性を指摘し、③IMFへ最大1,000億$(約10兆円)を融資することを訴え、「ドル機軸の通貨体制を支える努力を払うべき」と主張した、首相自身の一連の言動を自画自賛した。

 しかし、残念ながら麻生首相のパフォーマンスは、必ずしもそれほど高い評価を得られたわけではなかった。相も変わらずである。フランスのサルコジ大統領がドルの機軸通貨の時代は終ったとまで述べて欧州圏の立場を浮きぼらせたり、ブラウン英首相がアジア、アフリカの首脳に電話をかけまくって自分の考えで説得していたのに比べて、麻生首相は対米追従スタンスを変えることなく、「機軸通貨国には赤字の体質を改めてもらう。必要以上に外需に依存している国には内需拡大に努めてもらう」と役人が書いたペーパーを読んだだけだった。閉会後の集合写真では、目立ちたがりやのシン・インド首相やサウジ・アラビア首脳らに圧倒され、後列の端の方にやっと顔を出す有様である。確かに外国から評価された事案はある。しかし、アメリカが地盤沈下してアメリカべったりの日本が浮き上がって目立っただけだ。はっきり言って目だったのはIMFへの資金融資だけだった。

 結局全体会議としては大山鳴動して3匹のネズミが現れた。各国が自国の経済の動きを監視すること、IMFを強化すること、そして各国が景気対策を行うことが3匹のネズミである。

 麻生首相の自慢は「私がいろいろ指摘したものは共有された」だった。漢字もまともに読めないオッサンが何を言うか。

 今日早稲田出版の大塚編集長から、「停年オヤジの海外武者修行」が印刷会社から手元に入ったと連絡があった。そこそこ問い合わせがあるというから、これから販促をうまくやりたいと思う。懸案となっていた拙著の出版記念会について、先日来ホテルから情報を収集していたが、2月でないと会場が抑えられない。やるなら何とか2月に行おうと思う。前回の例を参考に、平日の比較的早い時間に開催した方が参加予定者には都合がよいのではないかと思っている。これから段取りを考えなければいけない。

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552.2008年11月16日(日) 地域おこしのひとつの見本

 今朝日経新聞のコラム「春秋」を読んでいてあれっと思った。千葉県大網白里町の野老(ところ)真理子さんについて書かれていたからだった。昨年お会いして別荘にも泊めていただいた。「春秋」にはこう書いてある。

 「千葉県の中規模な町にある地元不動産会社。平日午後、社員は事務や接客に余念がない。雰囲気が一変するのは夕刻だ。『ただいまー』。学校帰りの子供たちの声が響く。宿題の合間にお茶を出し、不要の紙を切りメモ用紙を作るなど大人の手伝いをこなす。野老真理子社長が社屋で学童保育を始めたのは、自身や社員の必要性からだ。親が不在なら他の社員が目を配る。後に近所の子も預かり始め、夏休みには大人数での料理教室や野外活動も開催。保育以外の市民活動にも会社として協力するようになり、今は地域とのつながりが本業にもプラスになっているという。・・・・・」

 地域おこしに力を注いでいる野老さんらしいやり方だ。知り合いの土屋雄二郎さんから頼まれて、昨年5月に野老さんの会社で講演したことがある。その時の印象では、ここまでは分らなかったが、普通の会社とは少々違う、地域のコミュニティのコアのような存在になっていると感じた。野老さんも土屋さんを炊きつけて、地域おこしに巻き込んだようで、今や町全体に輪が広がっているようだった。他にも野老さんの考えに共鳴して町おこしに協力する人が増えてきた。その地道な活動を営々とやってきた。毎月行っている講演会も着実に実績を重ねてもう30回近くになっている筈である。

 野老さんの素晴らしい点は仕事をきちんとこなしたうえで、会社内の施設、設備を一般の人のために活用していることである。会社の業務を終えるとテーブルを移動して、スペースを作りその場を公的なイベントに使う。私の講演の場もそこだった。しかし、講演会場として一風変わっているように思えるが、雰囲気がアット・ホームで周囲がガラス製のため明るい。洒落た公民館という感じである。

 こういう試みはよほど中心人物がしっかりした考えを持っていないと出来ないと思う。また長続きもしない。その点で野老さんの存在感は今後も益々高まるだろうし、これからの活躍も大いに期待されていることと思う。

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551.2008年11月15日(土) 山崎さん、セルビアから一時帰国

 見知らぬ方から書状を受け取った。国分寺市にお住まいの音楽プロデューサー・野口真一郎さんと仰る方で、電話をかけて尋ねてみたところ、19日に国分寺市立いずみホールで国分寺に所縁の深い作曲家・信時潔氏の曲に因んだ音楽会を開催するが、その後のトークショー(というべきかどうか)に何と友人の山崎洋さんが映画監督・篠田正浩氏と対談するという。山崎さんから私に連絡をするようにと言付かったという話だった。その山崎さんは今日成田へ着いたということである。

 実はそろそろ「慶38」第3号の原稿締め切りになることもあって、編集作業を一手に引き受けている杉田士郎さんに昨日やっと拙稿を送ったところだった。山崎さんには9月末までと期限付きで原稿を依頼したのだが、まだ届いていない。多分忙しくて書く余裕がないのではないかと杉田さんと話し合ったばかりだった。偶然というか、不思議なタイミングである。19日には国分寺へ駆けつけいろいろ話をしてみたいが、序に原稿の方はどうだろうかこれも尋ねてみようと思う。

 それにしても、篠田氏には6月に明治大学で開かれたセミナーで、山崎さんに関してこっそり質問をしたことがあった。不思議なご縁だと思っている。

 ゼミの仲間に連絡して、出来ればひとりでも多く参加してくれればよい。

 ところで慶応義塾塾歌の作曲家・信時潔が「海ゆかば」の作曲者だったとは知らなかった。思想に関係なく、この歌は国内のみならず、海外で戦没者追悼慰霊祭の都度必ず聞かされていた。こころの底に訴えるような随分悲しい曲である。

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550.2008年11月14日(金) 迷走する定額給付金の取り扱い

 一応政府は全国民に対して定額給付金を支払うことに決めた。これで2兆円という大金を支出するのだ。2兆円という金額は生活保護者への補助金予算と同額だという。にもかかわらず、この大金支出を担保する法案が、細かいところまできちんと決められていない。手取り収入が1,800万円を超える人は辞退して欲しいというのが政府の希望である。実に好い加減なのである。法律であるにも拘らず、きちんとルールを決めずに現場に丸投げして曖昧さを残したままだ。そもそもこれが混乱の素である。取扱方を各市町村に任せたために、そうでなくてもこれから多忙な年末に向かう矢先に多くの事務作業を負わされた地方自治体の反発は烈しい。

 言い出しっぺの麻生首相は、緊急金融サミットに出席するため訪米してしまった。20カ国首脳が出席するサミットで、日本はIMFに資金を投入する。お金だけでインパクトを与えるような主張は期待されていないらしい。毎度のことに好い加減うんざりする。20カ国の首脳なら、世界のリーダーではないか。少しは自国の意見を主張したらどうか。尤も、麻生首相には日本語も満足に読めないらしいから期待することが無理かも知れない。「踏襲」を「ふしゅう」と読んだり、「未曾有」を「みぞうゆう」とか、「頻繁」を「はんざつ」と読み違えたり、まともな高校生なら苦もなく読める漢字を満足に読めない。これが経済大国日本の総理大臣の国語力なのである。国語力も充分ではない首相が、国際舞台の場でどれだけ自分の考えていることを相手に伝えることが出来るか。

 また、役人天国を象徴する嫌なニュースが公にされた。団塊の世代が定年退職期を迎え、退職金を支払いきれなくなった自治体が、地方債を発行してその原資を賄おうとしている。つまり、将来の世代にこれから辞める公務員の退職金を負担してもらおうというわけである。全国47都道府県のうち、起債しないのは東京都、島根県、鳥取県の3自治体だけである。専門家も予測されていた事態に何の対策も対応も取らなかった自治体にきついお灸をすえている。今年だけなら、まだ何とかなるかも知れないが、将来もこんな杜撰な長期計画を練っているとしたら、毎年赤字が累積していくばかりだ。せこい役人根性はどこへ行っても、いつまで経っても直らないのだろうか。

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549.2008年11月13日(木) 魅力的な中村桂子講師

 井戸敏三・兵庫県知事が関東大震災云々発言を撤回し言い訳を付して謝罪した。一方、持論に頑なに拘って主張を変えようとしないのは、自衛隊を定年退職した田母神俊雄・前航空幕僚長である。井戸知事は軽率で役人馬鹿であるから形成不利となれば、態度を変えるが、田母神氏はすでに退職し論文も自分の信念だから曲げようとしないだろう。

 さて、2週間ぶりに多摩大学講座に出席した。今日の講師は今までの講師陣とは幾分タイプが異なるJT生命誌研究館館長の中村桂子氏である。分子生物学者というタイトルをお持ちで、早大教授も歴任された方である。登壇された時と講演中の様子を見ているととても72歳には見えない。精々50歳前後にしか見えない。お名前は承知していたが、「生命誌」って一体何だろう。お仕事は何を研究しておられるのかよく分らなかったし、今でも本当のところはよく分らない。話を伺っていると人間の生命と自然界、科学との関わりと環境問題を研究している研究機関のようである。

 信念のように抱いているモットーは「人間は生き物であり自然の一部である」であると仰った。講義の核心は、人間が生きることに改めて目を向け、考え直そうと提言しているとみた。そのためには自然と人間との共生、そして人工的なものとの融合、混在に目を向けようと訴えておられた。

 パワーポイントで映写された図が簡潔に整理されていて分りやすかった。生命誌の「誌」は、「史」であることにも気づかされた。1枚の図の中に沢山の動物が描かれていたが、大小あり、昆虫が1番大きく、象が1番小さいのは生存数だという。地球上にはそれだけ虫類が多いということだ。

 中村講師は持論も披瀝された。先進国について、その定義は①一極集中していない、②食糧自給率が少なくとも80%以上である、そうである。これでは日本は完全に失格である。講師は自然の破壊を強く警戒しておられる。虫一匹が他の動物とも関係がある。ともに共生していかなければならないと仰った。日本の地勢や季節感の素晴らしさは、「源氏物語」「堤中納言物語」によく表現されていると言って話を結ばれた。

 コワモテのままマイペースでしゃべる講義ではなく、時折ジョークも交えながら終始魅力的な語り口で飽きさせなかった。中々面白い発想の話で、失礼かも知れないが話しぶりも中々チャーミングな講師だった。

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548.2008年11月12日(水) 物事を決められない首相と軽佻浮薄な知事

 漸く「定額給付金」の形がちょっとばかり見えてきた。しかし、相変わらず細かい点は先送りにし、国の政策であるにも拘らず事務手続きを地方自治体に丸投げし、地方に負担をかけることになる。決まったのは支給金額だけで、細かい点、特に高額所得者の所得制限枠を決めるのは地方に委ねるという。まだ法律すら通っていないが、こんな法案は見たことがない。トップの麻生首相に確たる哲学や信念がないから、法律ひとつを作り実行するにしてもふらふらしている。まだ「定額給付金」を支給すると発言しただけに過ぎない。安倍元首相に勝るとも劣らないお粗末ぶりである。

 またひとり馬鹿な知事が現れた。兵庫県の井戸敏三知事である。何が井戸知事を馬鹿と言わせるか。近畿ブロック知事会議で「関東大震災なんかが起これば(首都圏は)相当ダメージを受ける。これはチャンス。首都機能を関西が引き受けられる準備をしておかないといけない」と駄弁を口にした。こういう他人の不幸を喜ぶような無神経な人間は人の上に立つ資格がない。ましてや兵庫県は阪神・淡路大震災で大打撃を受け、全国から支援の手が差し伸べられた経験があるはずである。やはり言うことが元役人である。人の弱みが分らない。石原都知事がいみじくも言っていた「役人の浅知恵だな」と。井戸知事は自らの暴言に対して、反省はするが謝罪はしない。見上げた図々しさである。他県の知事からも批判的な意見が寄せられている。こういう人を知事に選ぶことは、何と言おうと兵庫県の民度の低レベルを表していることになるのではないか。

 この井戸知事にしろ、田母神前航空幕僚長にしろ、いずれも傍から注意され、批判されても一向に気にしない。強情というより唯我独尊である。こういう個性的で自己主張の強い人間が、人を指導するようになると余程注意を払って監視していないといけない。この馬鹿な知事にも監視人がいたのかどうか。

2008年11月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com