今朝日経新聞のコラム「春秋」を読んでいてあれっと思った。千葉県大網白里町の野老(ところ)真理子さんについて書かれていたからだった。昨年お会いして別荘にも泊めていただいた。「春秋」にはこう書いてある。
「千葉県の中規模な町にある地元不動産会社。平日午後、社員は事務や接客に余念がない。雰囲気が一変するのは夕刻だ。『ただいまー』。学校帰りの子供たちの声が響く。宿題の合間にお茶を出し、不要の紙を切りメモ用紙を作るなど大人の手伝いをこなす。野老真理子社長が社屋で学童保育を始めたのは、自身や社員の必要性からだ。親が不在なら他の社員が目を配る。後に近所の子も預かり始め、夏休みには大人数での料理教室や野外活動も開催。保育以外の市民活動にも会社として協力するようになり、今は地域とのつながりが本業にもプラスになっているという。・・・・・」
地域おこしに力を注いでいる野老さんらしいやり方だ。知り合いの土屋雄二郎さんから頼まれて、昨年5月に野老さんの会社で講演したことがある。その時の印象では、ここまでは分らなかったが、普通の会社とは少々違う、地域のコミュニティのコアのような存在になっていると感じた。野老さんも土屋さんを炊きつけて、地域おこしに巻き込んだようで、今や町全体に輪が広がっているようだった。他にも野老さんの考えに共鳴して町おこしに協力する人が増えてきた。その地道な活動を営々とやってきた。毎月行っている講演会も着実に実績を重ねてもう30回近くになっている筈である。
野老さんの素晴らしい点は仕事をきちんとこなしたうえで、会社内の施設、設備を一般の人のために活用していることである。会社の業務を終えるとテーブルを移動して、スペースを作りその場を公的なイベントに使う。私の講演の場もそこだった。しかし、講演会場として一風変わっているように思えるが、雰囲気がアット・ホームで周囲がガラス製のため明るい。洒落た公民館という感じである。
こういう試みはよほど中心人物がしっかりした考えを持っていないと出来ないと思う。また長続きもしない。その点で野老さんの存在感は今後も益々高まるだろうし、これからの活躍も大いに期待されていることと思う。