慶応アルペンクラブの同期忘年会に9人の仲間が集まった。場所は最初から決めているわけではなく、新橋・第一ホテルに集合して誰が決めるともなく、銀座7丁目の蕎麦屋「よし田」へ行った。昔の山仲間が寄り集まってきたわけだが、話題は年金、健康、特に健康保険の支払額に関することである。地方にいる仲間は仕様がないが、連絡が取れなくなったのは大阪の宮田忠義くんだけだった。どこへ行ったのか、プッツンとなってしまった。学生時代には何度も一緒に山へ登ったのにこういう状況になったのも身の上に何かがあったのだろうか。結婚式にも招かれ大阪まで行ったほど親しく、よく知る山仲間だけに寂しい気もする。みんな同じ気持ちである。それでも久しぶりに旧交を温めるのはいいものだ。半年に一度集まろうとの声もあったが、どうだろうか。今日は偶々これだけ集まったが、半年に一度になるとこれだけ集まるとは思えない。楽しい会ではあるが、一年に一度がいいところだろう。
今月4日の日経夕刊紙に「日本の近代遺産50選」の建物として、広島県江田島市の旧海軍兵学校が紹介されていた。その記事の片枠に「海兵五省」の説明があった。表現は古い感じがするが、中身からは今日も通用する精神が脈々と伝わってくる。
「Ⅰ.至誠に悖(もと)るなかりしか。Ⅱ.言行に恥ずるなかりしか。Ⅲ.気力に欠くるなかりしか。Ⅳ.努力に憾(うら)みなかりしか。Ⅴ.不精に亘るなかりしか。」
かつて戦地への慰霊団の折に何度となく聞いたことがある。軍国主義の牙城であった海兵であるが、その精神は必ずしも固い軍国調ではない。むしろ自らが毎日の生活の中で自分自身の行動を反省し、律したわけで、内容的には一本筋が通っていると思う。誤解を招くのは「至誠」が天皇制とか、忠君愛国へのまごころと取られかねないことぐらいであろう。普遍的な倫理観でユニバーサルなモットーであると思う。実際戦後江田島を訪れた米海軍幹部が感銘を受けたそうで、アメリカ・アナポリスの海軍兵学校ではこの英語版を掲げている。精神は通じているからだと思う。今日日本のあらゆる分野で活躍する人々も、その言わんとしていることに気づき取り上げて欲しいと思う「海兵五省」である。