577.2008年12月11日(木) 今も通用するか。「海兵五省」

 慶応アルペンクラブの同期忘年会に9人の仲間が集まった。場所は最初から決めているわけではなく、新橋・第一ホテルに集合して誰が決めるともなく、銀座7丁目の蕎麦屋「よし田」へ行った。昔の山仲間が寄り集まってきたわけだが、話題は年金、健康、特に健康保険の支払額に関することである。地方にいる仲間は仕様がないが、連絡が取れなくなったのは大阪の宮田忠義くんだけだった。どこへ行ったのか、プッツンとなってしまった。学生時代には何度も一緒に山へ登ったのにこういう状況になったのも身の上に何かがあったのだろうか。結婚式にも招かれ大阪まで行ったほど親しく、よく知る山仲間だけに寂しい気もする。みんな同じ気持ちである。それでも久しぶりに旧交を温めるのはいいものだ。半年に一度集まろうとの声もあったが、どうだろうか。今日は偶々これだけ集まったが、半年に一度になるとこれだけ集まるとは思えない。楽しい会ではあるが、一年に一度がいいところだろう。

 今月4日の日経夕刊紙に「日本の近代遺産50選」の建物として、広島県江田島市の旧海軍兵学校が紹介されていた。その記事の片枠に「海兵五省」の説明があった。表現は古い感じがするが、中身からは今日も通用する精神が脈々と伝わってくる。

 「Ⅰ.至誠に悖(もと)るなかりしか。Ⅱ.言行に恥ずるなかりしか。Ⅲ.気力に欠くるなかりしか。Ⅳ.努力に憾(うら)みなかりしか。Ⅴ.不精に亘るなかりしか。」

 かつて戦地への慰霊団の折に何度となく聞いたことがある。軍国主義の牙城であった海兵であるが、その精神は必ずしも固い軍国調ではない。むしろ自らが毎日の生活の中で自分自身の行動を反省し、律したわけで、内容的には一本筋が通っていると思う。誤解を招くのは「至誠」が天皇制とか、忠君愛国へのまごころと取られかねないことぐらいであろう。普遍的な倫理観でユニバーサルなモットーであると思う。実際戦後江田島を訪れた米海軍幹部が感銘を受けたそうで、アメリカ・アナポリスの海軍兵学校ではこの英語版を掲げている。精神は通じているからだと思う。今日日本のあらゆる分野で活躍する人々も、その言わんとしていることに気づき取り上げて欲しいと思う「海兵五省」である。

2008年12月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

576.2008年12月10日(水) 労働者に厳しい不況の嵐

 自動車産業の景気が悪いとは聞いていた。昨日の酒のペンクラブ席上でも名古屋から参加した会員の話では、愛知県豊田市内はトヨタ自動車の不景気による影響を受けて市全体が沈んでいる。法人事業税の減収が市当局を慌てさせてもいる。トヨタ社員が市内で飲み食い、買い物をしないとも言っていた。その自動車産業に歩調を合わせるかの如く、ソニーが大幅の人員削減に踏み切ると公表した。世界中の事業所の正社員を含む16,000人を来年春までに解雇するという。

 一足早くトヨタが3,000人の削減を発表していた。日産が1,500人、マツダは1,300人、三菱1,100人、いすゞ1,400人という具合に自動車メーカーは軒並み人員削減に踏み切った。彼らはほとんどが期間従業員か、派遣従業員だが、ソニーは半数の8,000人が正社員だという。この傾向は止むことがないようだ。

 どうしたら良いのか。本当に金融不安から始まった全般的な不景気風の影響を受けたのだろうか。ソニーは大幅なコスト削減を行った結果、今年3月期の売上高と純利益は過去最高と胸を張って見せた。それが全体の8割に当る海外取引の重さが円高による直撃、株安で金融事業の利益減少、そして消費低迷で三重苦だという。恰も自分らに責任がないような言い方である。それにしてもソニーはここ10年の間に3度も大きな人員削減をやっている。これだけ激しいアップダウンを繰り返すのは、他人事のようなことを言っているが、実は会社の経営のあり方にも問題があるのではないだろうか。アメリカのビッグ3にせよ、日本の自動車メーカーやリーディング・カンパニーのソニーにせよ、世の中を少々甘く見ていたのではないだろうか。

 さて、今日駒沢大学で赤羽講師が通信社というものについて講義された。日本の同盟通信から分かれた共同通信と時事通信、世界の5大通信社、AP、UPI、ロイター、タス、AFPの成り立ち等について解説された。共同通信が株式会社ではなく、社団法人であることも初めて知った。5月から始まった駒沢大学公開講座も来週が最終講義である。通信社である共同通信社屋の見学が楽しみだ。

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575.2008年12月9日(火) 今年最後の酒のペンクラブ例会

 駒沢大学の講義を2つ聞いてから酒のペンクラブ12月例会へ出かける。駒沢大一時限目では菱山講師が先日贈呈した拙著のPRをやってくれたうえ、今日のテーマ「出版ジャーナリズム論」に関連づけて突然私に出版の苦労話をするよう指名されたので、僭越ではあったが、60年安保の時代から最近の上梓に至るまでの間文章を書くことについて考えていることを簡単に話した。2時限目の片山講師には岩波市民セミナーの原講師の講義内容について報告がてらお話した。良い話だったと感想を述べたら、納得されておられたようだった。

 17時50分に授業が終了してから、18時に始まる酒ペンへは時間的にタイトで毎度遅刻するが、今日は18時40分会場の麹町にある「ふくおか会館」に着いた。近況報告の際、山崎洋さんがセルビア語に翻訳され、出版された「古事記」を回覧して何語で書かれているか、クイズ形式で尋ねてみたら誰も分らなかった。無理もないと思う。やはりセルビア語は日本では馴染みのない特殊な言葉である。

 いつも安くて食べて飲んで楽しい会合だが、今日は長老の山中さんから懸案の佐賀旅行について触れられ、その後西岡・佐賀県東京事務所長から1泊2日のスケジュール「佐賀の酒と肴を巡る旅」案が示された。費用は48,000円程度とのことであったが、高いとか安いとか、2月中旬がよいとか下旬が好都合とか、ピーチクパーチクでまとまらず、もっと安くして2月中旬で見学酒蔵も減らし、序に2月例会も下旬にするという線が出された。これから西岡所長が悪戦苦闘することになる。

 散会して雨の中を小中陽太郎さんと歩いていると、小中さんの携帯に日経の西山さんから麹町にある佐賀の飲み屋「まつら」で待っているとのお誘いに、小中さんともども合流することになり、再び飲み始める。その席で小中さんが酒ペンの会報フロントの巻頭言執筆者のひとりとして私にも書くように中心人物である、山中保学さん、麻木正美さん、西山貢さんに持ちかけている。小中さんを含め、それぞれジャーナリズム界の大物がペンを取っていた重要なスペースで、書こうと思えば書けないことはないが、ちょっと荷が重い気がする。

 いずれにしても酒ペンは案外気楽な会合で皆さん好い人ばかりで中々楽しい雰囲気である。

2008年12月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

574.2008年12月8日(月) 共同通信・原寿雄氏と菅生事件

 28年前の今日ビートルズのジョン・レノンが殺された。文部省海外教員派遣団にお供してちょうどマルセイユにいた時、そのニュースを聞いた。もう30年近くも経ってしまったのかと思うと感慨無量である。大東亜戦争開戦記念日も今日である。この戦争にまつわる戦没者のための、遺骨収集事業や戦跡慰霊団のおかげで今の旅行ジャーナリストの立場もある程度固まったと考えるとこれも自分にとっては感慨を憶えるところである。 

 新聞各紙が世論調査で麻生政権の支持率というのを出している。朝日の内閣支持率は僅か22%で、麻生政権発足以来2ヶ月で急降下した。首相にはあの小沢一郎氏の方が適しているとの声が上回ったそうだから、その不人気ぶりが別の意味で興味を呼んでいる。スポーツ紙や夕刊紙などでも一面トップに、この「麻生人気急降下」という話題を取り上げている。わが国の最高責任者がこの不人気で、国民から信頼されていないのは嘆かわしいが、本人がノー天気だからどうしようもないか。

 今日はPCの講習を受けてから、先週に続いて岩波アネックスビルで岩波市民セミナーを受講した。前回の講義が質的に高く素晴らしい内容だったので、今日も楽しみに駆けつけた。

 途中渋谷の紀伊国屋書店を覗いてみたら、嬉しいことに拙著「停年オヤジの海外武者修行」が平積みされていた。

 セミナーの主題は「記者として学んだもの」だったが、主に戦後の官憲によるでっち上げ事件として長らく話題になっていた「菅生事件」を取り上げられた。原講師はこの奇怪な事件に深く関わっていた関係から、説明を聞いて事件の実態をかなり理解できた。事件としては、警察がスパイを使って菅生村交番に爆弾を仕掛けて当時広く活動していた共産党つぶしを企んだものと伝えられ、私自身もその程度の知識しか持ち合わせていなかった。その背景には、破防法(破壊活動防止法)を成立させたいという政治の思惑が絡んでいた。主犯と見られていた「戸高公徳」が偽名「市木春秋」を名乗った警察官だったということは初耳だった。

 事件発生は昭和27年だったが、主犯格の市木は姿を隠し、他に5人が逮捕され、昭和30年大分地裁で4人が懲役刑を、一人が執行猶予刑を受けた。32年になって謎の人物「市木」の素性が明らかになり本名・戸高公徳の追っかけが始まった。新宿の春風荘に潜伏中に、講師・原寿雄氏がバーへ連れ出して警察隊に囲まれた。事件は33年に戸高が有罪となり、最高裁へ上告したが、35年上告棄却により落着となった。

 こういう武勇伝を持った方だとは存じ上げなかったが、やはり話の内容も筋が通っており、説得力も充分で、素晴らしい講義だった。

 第1回で今仮に満州事変が起きたら、朝日は関東軍の謀略を暴露することができたか、と疑問を投げかけられたが、今日出席された朝日記者はできなかっただろうと言っておられたし、後になって朝日は転向するかとの問いに対してもありうると説明された。

 現場に足場を置かない現代のジャーナリストには真の情報がキャッチできないだろうし、どんどん現場に出て臨場感に触れるようでなくては報道ジャーナリストとは言えないと、僭越であるが自分自身のベトナム、中東、カイバル峠の体験談を交えて、原講師の見解を尋ねたところ、当然その点については分っておられた。ただ、メディアの苦しい立場も説明された。一般論としては私の質問は理解できるが、現実的な話としては会社、個人の異なる事情もあり現段階ではあまり突っ込まないで欲しいというのが、本音ではないだろうか。ニューヨーク同時テロの一ヶ月後、10月11日の朝日特集では2面もの大きなスペースを取って、テロへの取材活動に対する言い訳ばかりが書かれていたが、その点の朝日への追求に対して朝日記者からは何の応答もなかった。

 いずれにせよ、これほど充実したセミナーも珍しいと思う。あと2回を楽しみにしたい。

2008年12月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

573.2008年12月7日(日) 「椿姫」鑑賞とセルビア語版「古事記」

 半年に1回行われる浅草上野フィルハーモニー管弦楽団第45回定期演奏会の日で、妻とともに浅草公会堂へ出かけた。勿論狙いはゼミの1年後輩の赤松晋さんのチェロ演奏である。いつも比較的馴染みのない交響曲が演奏される傾向にあるが、今日の演目は名の通ったメンデルスゾーン交響曲第4番イ長調作品90「イタリア」と、ヴェルディの歌劇「椿姫」ハイライトで、全般的に今までで一番良かった。特に「椿姫」の演出が良かった。浪曲師の玉川奈々福さんが語りを入れる珍しい趣向で、ヴィオレッタ、アルフレード、そしてジェルモン役歌い手の声量一杯の歌声が耳に心地よく、飯田ゼミの仲間はみな感銘を受けていたようだった。終ってから浅草寺へお参りして、いつも通り夫婦連れで「神谷バー」で会食となり久しぶりの交流をエンジョイした。

 今朝成田空港にいる山崎洋さんから電話を受けた。これからベオグラードへ帰るという。昨日彼からベオグラード大学院生3名と一緒に翻訳したセルビア語版「KODIKI」を郵便で受け取ったところである。382頁からなる貴重な日本古典文学資料である。先日富士霊園へ行く道すがら「古事記」翻訳に至る苦労話をいろいろ聞いた。ハードカバーの立派な装丁を見て、これだけの書物をどこからの援助もなくパイオニア的に仕上げるのは、汗の結晶以外には考えられない。この翻訳書の出版については、当初外務省を通じて現地大使館から助成金が支出される筈だったが、釈然としない理由で助成金は出なくなったという。古事記クラスでもセルビアあたりではその価値を中々理解してくれる人が少ない。しかし、せっかくここまで完成にこぎつけた翻訳作業を中途半端に無にするのは忍びないと、自腹を切って出版にこぎつけたと言っていた。表紙は伝説により天照大神の絵を伊勢神宮で保存されている屏風絵からカメラに収めたという。ところが、この天照大神伝説は古事記ではなく日本書紀だということから、屏風絵の絵から金鵄を外し、それは裏表紙で復活させることにしたと苦心のアイディアを語ってくれた。

 しかし、われわれも読んでいない古事記について、セルビア人の日本古典理解のために翻訳書を出されるとは、その努力に敬服するばかりである。山崎さんの健闘を祈るや切である。

2008年12月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

572.2008年12月6日(土) 「知の巨人」加藤周一氏逝く。

 2人の大きな人の死が悲しい。今朝作曲家の遠藤実さんが亡くなられた。数々の演歌を作曲して文化功労者にも選ばれた方である。口ひげがお愛嬌で優しく話す独特の語り口も人柄を表していた。「高校三年生」「くちなしの花」「北国の春」等々のヒット曲を後から後へ生み出した。家が貧しく高等小学校しか出ていないで、作曲はまったくの独学で自分で流しをやっていた経験と自分の感性だけで歌作りをやったというから凄い。どんな世界であろうとこういう苦労人がいるものだが、我慢を成長のバネにする点は尊敬してしまう。享年76歳だった。

 さて、いろんな意味で私自身大きな影響を受けた評論家のひとり、加藤周一氏が昨日亡くなった。学生時代に月刊誌「世界」を通してその気骨のある文体に触れて以来、そのリベラルで焦点が明確に定まった、卓越した論文を書かれる氏の姿をまぶしく見守っていた。確かベルリン自由大学教授をなさっていたころは、まだ東西冷戦の時代だったが、それだけに対立の接点に足場を置き、鋭い評論を発表したことに、私自身随分教えられたものである。私も参列した小田実氏の葬儀に加藤氏も参列され、小田さんは組織作りの名人であるというような弔辞を述べていたように記憶している。つい最近まで朝日新聞に毎月「夕陽妄語」というコラムを書いておられたので、お元気だと思っていたが今春「がん」が見つかって爾来療養されていたようだ。

 今朝の朝日に「日本の文化の特色として取り出されたのは、『今=いま』を重視する部分主義だった。それは決して悪いことばかりではない。柔軟な現実主義に通じ、明治の近代化や戦後の経済復興を生んだ。しかし、それは内向きな思想につながり世界全体を見渡すことが苦手で、例えば、無謀な戦争の推進力となった」と加藤氏の考えを的確に解説している。文章はやや難解ではあったが、全体に一本筋が通っており氏の文章を読み通すことがノルマを果たしたような気にさせてくれたものだ。

 加藤氏の思想には、根底に「自由」があった。それが氏に進歩的知識人の憧憬するマルクス主義と距離を置かせる、氏独自のリベラルな立場へのこだわりとなった。「知の巨人」と呼ばれるに値する実績を残された。不遜にも「知の狩人・知の旅人」を自称する私自身はとても加藤氏の足元にも及ばないが、せめてその考え方を積極的に取り入れ、一歩でも近づきたいと考えている。いずれ名著「羊の歌」を再び読み返してみたいと思う。享年89歳だった。心よりご冥福をお祈りしたい。   合掌 

2008年12月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

571.2008年12月5日(金) 拙著販売促進に歩く。

 このところ不況ニュースのオンパレードである。昨日は派遣社員の首切りで、自動車会社が槍玉に挙げられていた。自動車、電機、工作機械等の製造業を中心に非正社員の大規模な削減が相次いでいる。日ごとに増えて来年3月までに非解雇者は約3万人になるという。益々雇用問題が深刻さを加えている。麻生首相が経団連の御手洗会長を官邸へ呼んで、非正規雇用の維持を求めて間もなく、御手洗会長の会社キャノンの子会社である、大分キャノンが同社で働く請負会社の従業員を年内に1,100人も削減する見通しとなった。

 派手なのは野村HDがロンドン支店従業員を約1,000人解雇する。その中にはリーマン・ブラザース欧州支店社員だった者もいるから驚く。今日夕方入ったニュースでは、自動車産業の不振から、ついにホンダが来年以降F1レースから撤退することを社長が公表したことである。それにしてもこのF1を維持するのは、大変だったらしい。もちろんプラス面も大きいが、維持経費が年間500億円から600億円もかかると聞いては、ホンダ経営陣の苦渋の決断が分るような気がする。

 昨日小田急電鉄の鈴木正俊常勤監査役を訪ねて、小田急OXストアの店舗内書店「ODAKYU BOOKMATES」で拙著を販売してもらえるようお願いした。今朝鈴木さんから電話がありコンタクトすべき担当者の名前が分ったので、直接連絡をとるようアドバイスいただいた。早速10月に完成したばかりのOXストアの本社(小田急商事)へ伺い、担当の筋野さんに前著の焼き直し版と新刊の説明をして、同社7書店で2つの作品を販売してもらえるようお願いした。筋野さんは好意的に聞いて下さり、直ぐにでもトーハンを通じて仕入れして、全店舗で平積み販売しましようとまで言っていただいた。実にありがたい。こんな時、古巣の会社が大きな商業施設展開をしているのは心強い。先日も小田急百貨店内の三省堂書店で販売していただけるよう山田尚相談役にお願いしたが、うまく行けばいいなあと願っている。やはり著者がその気になって一所懸命売らないとなかなか販売数は伸びないと思っている。

2008年12月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

570.2008年12月4日(木) ツアー企画者の気持ち

 友人と出雲方面のツアーに参加した妻を早朝羽田空港まで車で送った。このツアーのパンフレットを改めて見てみると、僭越だが、ちょっと手抜きではないかと思えるくらい情報伝達方法が稚拙である。あまり顧客の求める形になっていない。

 実は、ケースは違うが最も大切な連絡事項としてではなく、付属的な情報として伝えていたということを私自身もやったことがある。完璧ということはないというのは言い訳であって、事前の旅行情報としてはやはり完璧であるべきである。ましてやソフト面ではなく、ハード面の情報の場合ではことさらそうである。過去の例の場合は、後に自分でこうすれば良かったという反省が残り、顧客に大きな迷惑をかけることはなかったが、後々まで気になって仕方がなかった。

 今回妻が手にした2枚の「説明書」では、2枚とも表面はまったく同じ内容で、1枚の裏面はスケジュール表、そしてもう1枚の裏面には宿泊旅館が書かれている。どうしてこういうムダな書類を作るのか。それでいて留守宅用のスケジュール表と宿泊旅館リストがない。当方でコピーをせよということなのだろうか。もしそうだとするならせービス業としては失格である。2枚の説明書を作成するくらいなら、同じ内容は要約して1枚にまとめて参加者用と留守宅用にすべきではないかと思う。参加者は非効率な書類に不信感を抱き、必要な書類を誰が、どういう手順で作り、誰が承認して参加者へ送り届けるのか疑問に感じると思う。特に、留守宅では参加者と同じスケジュール表が欲しいものだ。どうして留守宅用のコピーが送られてこないのか。また、このツアーのスケジュールでは松江市内で中途半端な自由時間をとっているが、それでいて肝心な松江城の観光が入っていない(経費的な問題ではないと思う)。主催会社はどういう意図でこのツアーを企画したのか、少々理解に苦しむ。

 長い間旅行会社でツアーを企画していた立場、また顧客にツアーを販売していた立場からすると、やはり気になるツアーである。まあトラブルになることはあるまいが、自分ならツアー内容をもっとアップして、もっと分りやすい説明書を作成することができるとつい思ってしまう。

 まあ昔の思い込みはこのくらいにしておこう。それにしても明日の松江地方は雪が降るらしい。

2008年12月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

569.2008年12月3日(水) 米自動車産業の不振に資金供給か?

 日本車もそうだが、本家アメリカの自動車産業も不景気の真っ只中にある。むしろアメリカの方が悪いくらいである。日米自動車会社の売り上げは前年に比較してほぼ30%強の売り上げダウンである。トップ企業、GMに至っては2ヶ月連続で対前年40%以上の売り上げ減少である。ついにアメリカのビッグ3は政府に金融支援を要請することになった。GMの1兆7千億円を含めてビッグ3だけで、その総額が何と3兆2千億円というから凄い。自由経済市場を建前にしているアメリカ経済界は、政府による民間会社支援に対しては批判的であり、かなり壁が厚い。すでに先月第1回の公聴会が開かれたが、3社の経営トップに対しては議員から厳しい質問がなされた。支援要請の前に、自社の具体的再建策を明示し、コスト削減を明らかにせよとの厳しい要求があった。そのコスト削減もトップが公聴会出席のためにワシントンへ自家用機でやってきたことを取り上げ、贅沢な自家用機を処分するかどうかまで突っ込んで質問する有様である。経営トップの高待遇も非難される大きな要因である。日本とは桁違いの高給取りばかりで中には年収100億円というのもいるというから、これでは国民の税金で賄われる支援資金を素直に、企業に提供するというわけにはいかないだろう。

 定期購読している「選択」12月号に「『民主党内閣』を予想してみると」という3頁からなる気を持たせる記事が掲載されている。具体的な閣僚名簿まで書かれている。特ダネというか、3人の写真入りの抜擢人事が特別目に付いた。誰あろう、寺島実郎、笹森清、榊原英資の3氏が名を連ねていたからである。次の選挙では、自民党が敗北することを想定したうえで、現実的な民主党閣僚名簿を挙げているのだ。それは、これまでの「シャドウ・キャビネット」とか、「影の内閣」という話題つくり内閣とは異なり、そこからは誰も選ばれていないことでも現実味を帯びている。

 実際どこまで現実的なのか分らないが、確かに興味をそそる。ちなみに寺島氏は「経済財政担当兼金融担当相」であり、前連合会長の笹森氏は「国土交通相」、榊原氏は「財務相」である。笹森氏が適任であるかどうか分らないが、寺島氏と榊原氏は適任かも知れない。ただ、最近寺島氏の空気に接する機会が多いことから考えると寺島氏は、多摩大学の学長含みという期待を背負わされておられるので、果たして政治家を引き受けるだろうか。しかもかつて北海道知事選立候補への自民党からの要請を断った経緯もある。

 それはともかく、他の大臣候補を見渡しても中々魅力的で、実行力のありそうな人を選出している。小沢一郎の総理大臣は当然として、官房長官に岡田克也、外務大臣に自民党を離脱する?加藤紘一、厚生労働大臣に長妻昭、経済産業大臣に国民新党の亀井静香、環境大臣兼少子化担当相に社民党の福島瑞穂、行革担当大臣は菅直人、地方分権担当相は新党日本の田中康夫という顔ぶれである。世間話としても面白い。

 でもこの内閣なら少なくとも現在の内閣より重量感もあり、期待も持てる。

2008年12月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

568.2008年12月2日(火) バンコック空港占拠解放へ

 まさにどんでん返しの決着である。膠着状態だった反政府デモ隊によるバンコック空港占拠問題が急転直下解決の様相を見せてきた。軍部や警察が2つの空港を占拠していたデモ隊を力で排除したわけではない。また、デモ隊側に含むところがあって、自発的に身を引いたわけでもない。思わぬところから「神の手」が飛び出してきた。

 現在チェンマイに滞在中のソムチャイ首相と「国民の力党」を含む与党3党が前の選挙で犯した違反が憲法裁判所から断罪され、党は解党を、また首相は5年間の被選挙権停止を命じられた。これによってソムチャイ政権は空中分解して崩壊した。意外な結果でソムチャイ首相退陣を要求していた民主市民連合(PAD)の要求が通った形になり、デモ隊は首相府、2つの空港から退去することになった。

 詳細は実際のところよくは分らないが、双方とも憲法裁判所の考え方や、この事態を想定できなかったのだろうか。ところが、現地筋の伝えるところでは、ソムチャイ首相は失脚することになっても、政党解党は別の時点で新党を結党して解党された与党議員が新党に加入すれば実態は変わらないことになる。実際どうも政府側にはタクシン元首相派が裏で暗躍している節がある。また、タクシン派と反タクシン派の駆け引きやら、政争が繰り返されるのだろう。取りあえず空港占拠は解放されるであろうが、次期首相をどう選出するのか、しばらくは目を離せない。タイ政界は一寸先は闇との感じがしてきた。

 闇と言えば、日本経済の先行きも闇である。今日の東証株価は533円も下がり、日経平均でまた7,000円台(7,862円)まで下がった。日銀が中小企業融資として3兆円も支援しようと決断したのに、本家本元の政治がガタガタだから一向に足場が固まらない。3月に福田前首相が道路確定財源は、一般会計へ繰り込むと明言したにもかかわらず、道路族が抵抗して元の木阿弥、福田発言を反故にしようとしている。自分に有利な利得だけを考えて行動する国会議員なんて、どだい話にならない。

 先週の血液検査の結果、CRPが3.33まで低下したのがせめてもの慰めである。3月に2.22だったのだが、その後上がりっ放しで8月には8.01まで達した。松本先生と相談しながら、0.3以下まで下げる努力を続けている。このままの状態が継続されるようだと血圧を上げる結果につながる薬剤を飲み続けなければならない。

2008年12月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com