日本車もそうだが、本家アメリカの自動車産業も不景気の真っ只中にある。むしろアメリカの方が悪いくらいである。日米自動車会社の売り上げは前年に比較してほぼ30%強の売り上げダウンである。トップ企業、GMに至っては2ヶ月連続で対前年40%以上の売り上げ減少である。ついにアメリカのビッグ3は政府に金融支援を要請することになった。GMの1兆7千億円を含めてビッグ3だけで、その総額が何と3兆2千億円というから凄い。自由経済市場を建前にしているアメリカ経済界は、政府による民間会社支援に対しては批判的であり、かなり壁が厚い。すでに先月第1回の公聴会が開かれたが、3社の経営トップに対しては議員から厳しい質問がなされた。支援要請の前に、自社の具体的再建策を明示し、コスト削減を明らかにせよとの厳しい要求があった。そのコスト削減もトップが公聴会出席のためにワシントンへ自家用機でやってきたことを取り上げ、贅沢な自家用機を処分するかどうかまで突っ込んで質問する有様である。経営トップの高待遇も非難される大きな要因である。日本とは桁違いの高給取りばかりで中には年収100億円というのもいるというから、これでは国民の税金で賄われる支援資金を素直に、企業に提供するというわけにはいかないだろう。
定期購読している「選択」12月号に「『民主党内閣』を予想してみると」という3頁からなる気を持たせる記事が掲載されている。具体的な閣僚名簿まで書かれている。特ダネというか、3人の写真入りの抜擢人事が特別目に付いた。誰あろう、寺島実郎、笹森清、榊原英資の3氏が名を連ねていたからである。次の選挙では、自民党が敗北することを想定したうえで、現実的な民主党閣僚名簿を挙げているのだ。それは、これまでの「シャドウ・キャビネット」とか、「影の内閣」という話題つくり内閣とは異なり、そこからは誰も選ばれていないことでも現実味を帯びている。
実際どこまで現実的なのか分らないが、確かに興味をそそる。ちなみに寺島氏は「経済財政担当兼金融担当相」であり、前連合会長の笹森氏は「国土交通相」、榊原氏は「財務相」である。笹森氏が適任であるかどうか分らないが、寺島氏と榊原氏は適任かも知れない。ただ、最近寺島氏の空気に接する機会が多いことから考えると寺島氏は、多摩大学の学長含みという期待を背負わされておられるので、果たして政治家を引き受けるだろうか。しかもかつて北海道知事選立候補への自民党からの要請を断った経緯もある。
それはともかく、他の大臣候補を見渡しても中々魅力的で、実行力のありそうな人を選出している。小沢一郎の総理大臣は当然として、官房長官に岡田克也、外務大臣に自民党を離脱する?加藤紘一、厚生労働大臣に長妻昭、経済産業大臣に国民新党の亀井静香、環境大臣兼少子化担当相に社民党の福島瑞穂、行革担当大臣は菅直人、地方分権担当相は新党日本の田中康夫という顔ぶれである。世間話としても面白い。
でもこの内閣なら少なくとも現在の内閣より重量感もあり、期待も持てる。