357.2008年5月5日(月) 少子化と教育問題をどうとらえるか。

 こどもの日である。いまや少子高齢化で、こどもの数は年々減少している。その分、こどもは大切にされ、やや過保護気味になってきた。しかし、これはあくまで表面上のことで、その陰でこどもに対する養育放棄や、こども虐待事件が後を絶たない。児童相談所も問題を抱え過ぎて、手に負えないところも多いようだ。

 戦後しばらくベビーブームと呼ばれ、児童数も毎年うなぎのぼりに増え、昭和24年には、270万人の新生児の誕生があった。昨年は、新生児の誕生がやっと100万人を超える程度で、ピーク時に比べて4割程度にまで減ってしまった。かつてのベビーたちは団塊の世代と呼ばれるようになり、いまや彼らのこどもたち、団塊ジュニアが問題児になっているケースが多い。

 教育面で評価の高いフィンランドでは、1人の女性が一生に産むこどもの数は、1.84人で日本の1.32人を大きく上回っている。1970年には、日本が2.2人で、フィンランドは1.8人だった。この背景には、女性がこどもを育てるための福利厚生や、教育予算の拡充が必要である。その裏づけとして、北欧諸国は概して税金、とりわけ消費税が高い。ほとんど22~25%で、高負担・高福祉が徹底している。それでも国民はそれを支持している。税金は高くても必ず自分たちに還ってくると信じている。この点が重要なポイントだと思う。高負担が結果的に国民の福祉向上、教育水準上昇に貢献していることを国民が納得し、支持している。高邁な政策を打ち出して、実行できる仕組みをしっかり構築できるかどうかが大切で、北欧の国民は政府を信頼し、政策を委ねる。この点では残念ながら、わが国はとても難しいと思う。税金を上げても消えてしまったり、無駄に使われるのがはっきり分かっているからである。それに、政治家が福祉問題にまったく熱意がなく、勉強せず、教育についても問題点そのものが分からないようでは、とても頼りにすることができない。

 フィンランドの教育施設を見学したことはないが、見学した北欧スウェーデン、オランダや、その他の欧米各国の教育機関を訪れた後の率直な感想は、学校現場においても彼我の差は、その関係する役所の差ではないかと思えたことである。日本の教育現場があまりにもお役所的に強請されているような印象を受けた。こども本位ではなく、先生が教育より書類作成に時間を費やしている。こどもの時に読むべき本は読まず、マナーやエチケットを学ぶこともなく、塾が氾濫してロボット化した頭でっかちの子が溢れている。これでは、世の中に愛情、情熱、思いやり、創造性、独立心に欠けた、嫌なガキがのさばるのも分からないでもない。

2008年5月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

356.2008年5月4日(日) 長編時代小説「大菩薩峠」を観る。

 大分前から観たいと思っていた、中里介山の映画「大菩薩峠」を観た。先日NHKで放映された番組を録画しておいたものである。私が初めて海外へ出かけた、昭和41年に製作された岡本喜八監督作品だからかなり古い。三船敏郎、西村晃のように、すでに故人になった有名俳優が大勢出演していて、主役の仲代達矢や加山雄三もまだ若い。「大菩薩峠」は、中里介山が世界最長を目指して書いた長編小説で、大正2年から昭和16年まで、約30年に亘って複数の新聞に連載した41巻の未完の大作で、作者が亡くなって連載は終わった。長すぎて中々読む機会がなく、せめて映画でも観てみようと思っていた。どうも同じように考える人が多かったと見え、戦前から度々映画化され、名優大河内伝次郎や、片岡知恵蔵らも主役として出演している。大菩薩峠という名に憧れ、実際に登ったことがある。あまり登山向きの山というイメージではなく、むしろハイキングに向いた、登りやすい山という印象だった。しかし、目前に雪を冠した南アルプスの峰々が素晴らしいランドスケープを見せてくれたことが強く印象に残っている。

 長編小説なので、映画ではストーリー全編を取り入れるのは難しいとは思っていたが、やはり相当割愛されている。この映画では話の筋をどう決着をつけようとしたのか、中途半端な印象がぬぐえない。主人公の机竜之介が新撰組の宴会で狂ったように暴れまわったまま終わったラストシーンはどうにも納得できなかった。課題が後へ持ち越されたようなエンディングである。原本では、まだ脇役が入れ替わってストーリーは続く。しかもつけ狙っていた宇津木兵馬が近くで待機しているし、始まったばかりの兵馬とお松のラブストーリーの結末はこの先どうなるのか。映画のシナリオがどうも腰砕けのような気がしてならない。実際、竜之介と兵馬の決闘、とストーリーの結末はどうなるのだと聞きたい気持ちである。主人公竜之介は生き残って極悪非道の殺人を犯し続け、ついには故郷近くで夜毎に辻斬りとして現れる。その辺りは映画ではまったく触れていない。やはり30年近くも世間に話題を提供しながら、連載された小説では、スケールが大きすぎて映画のスクリーンには納まり切れなかったのだろう。

 最近は映画もまったく観なくなってしまったが、先日来話題の「靖国YASUKUNI」も昨日から厳重警戒の下で一般に公開されている。この「靖国YASUKUNI」も機会があれば、是非とも観てみたいと思っている。

2008年5月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

355.2008年5月3日(土) 憲法審査会は何をしているのか?

 ゴールデンウィークも真っ盛りで、TV各局は交通機関の混雑した様子や、成田空港の海外旅行客、各地の天気予報、スポーツイベント等々中々賑々しい報道ぶりである。ところで、あまり大々的に報道されないが、今日は61回目の憲法記念日なのだ。GW休みで一昨日からガソリン代の値上げにも拘らず、郊外へ出かける人たちはどれだけ憲法記念日を意識しているだろうか。

 安倍政権時代に勢いのあった改憲の熱気も、このところぐっと冷えて、昨年春国民投票法案まで可決しながら、その後改憲の動きはさっばりだ。どうもあと一押しが出ない。国民投票法では衆参両議院に憲法審査会を設置することが決まった。しかし、ここから先へ進まない。昨年は勢いに乗って、本当に憲法改正まで突っ走りかねなかった。しかし、国民投票は決まったが、何歳までの国民に選挙権を与えるのか、具体的に肝心な点がまったく決まらなかった。最後の詰めが甘いのか、どうも熱しやすく冷めやすい性格は相変わらずだ。何のための国民投票法だったのだろう。いざという時に肝心なことが決められていない事態に、また肩透かしを食うようだ。安倍首相の病欠の事態に、首相代理職を置くという話があったが、それもすっかり忘れられてしまった。

 朝日の世論調査によると、憲法改正を必要と考える人が56%、必要ないと考える人は31%、しかし、9条の改正に反対する人は66%もいる。つまり現憲法には、国際社会の中で内容的に問題も出ているので、ここいらで議論しようということを言っているように思う。だが、憲法9条の改正には明らかに反対している。こういう意見を政治家はどう汲み上げるのか。もっともこれまでにも憲法違反を繰り返してきた自民党政権だから、9条改正反対の声が上がっても大して問題にもしないだろう。

 それより今朝の日経紙社説は、憲法改正でいまの二院制を抜本的に見直そうと提案している。どうも憲法改正というと何でもかんでも、9条の削除は戦争へつながると短絡的に考えがちだが、日経はもっと基本的な点を取り上げ、現行の二院制度は憲法の最大の欠陥であると指摘して、議院内閣制がきちんと機能するよう憲法を改正すべきであると主張している。要は、諸外国の二院制に比較してもわが国のそれは、機能を充分果たしていない、参議院の権力が強すぎて本来の二院制の意味を成していないという。参議院の選挙制度も抜本的に見直すべきであると提言している。

 とにかく、憲法問題は聖域に押しやられてはまずいと思う。昨年の国民投票法成立を機会に、何の動きもない憲法審査会がそろそろ前向きな議論を始める時が来ているのではないか。

2008年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

354.2008年5月2日(金) 福田政権は末期症状か?

 案の定、朝日の世論調査で福田首相の人気が、ついに20%にまで下がった。毎日では18%である。日経では21%だそうだから、いずれにせよ平均して5人に1人しか福田政権を支持していないことになる。こんな低い支持率は、あの‘お坊ちゃま’首相・安倍晋三の最悪の時代にもなかった。竹下首相と森首相の退任直前の9%以来だという。この行き詰まった事態を打開する手立てが、福田首相にはあるのか。自民不人気のせいで、漁夫の利をさらったのは民主党である。支持率は自民党を抜いた。しかし、民主党の政策や、実績が支持されたわけではない。いうなれば、自民党のオウン・ゴール(自殺点)である。今回のガソリン税暫定税率問題にしても、結果的に国中を大騒ぎさせ、国民に迷惑をかけ結局元の鞘に収まっている、大騒ぎの責任は自民党ばかりでなく、全国会議員にある。民主党はもちろんのこと、共産党や民社党にも責任の一端はある。全国会議員に猛省を促したい。解散して民意を問えとの声が圧倒的に多いが、のらりくらりの福田首相はどうするのか。

 さて、前から問題視されていた静岡空港が来春の開港を前に、早くも赤字経営必至と言われている。これも発想において道路政策と変わりない。しかし、道路と違ってその必要性ありやなしやの議論が遠ざけられ、地元の中でも反対意見が強かったという。東京・名古屋間の大動脈の最高の立地にあり、既存の交通機関に恵まれ、地理的に空港を必要としない土地に、「なぜ空港なんか作る必要があるのか」との反対の声を敢えて押し切って着工した。新幹線が益々便利になる今では、新空港利用者はあまり期待できない。全発着便満席であっても黒字にはならないという、アダム・スミスも真っ青な計画を強引に実行した。この赤字は、国と静岡県が負担することになる。こうして、国家財政と地方財政はますます疲弊していくことになる。十年一日の如く、いつまでこういう馬鹿げたプロジェクトを「発明」し、税金の無駄遣いを続けるのか。

 ところが、この馬鹿げたプロジェクトにお追従する、よりアホな県があると聞いて開いた口が塞がらない。再来年春茨城空港が開港する。航空自衛隊百里基地滑走路に平行して、新滑走路を敷く。アホな茨城県は、「首都圏の北の玄関」として経済波及効果を期待しているらしいが、航空会社の関心は低く、全日空は羽田空港とは勝負にならないとつれない。当たり前だ。こういう無駄な空港を計画するお馬鹿さんの脳みそを覗いてみたいものである。

2008年5月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

353.2008年5月1日(木) 静かなメーデーは何を意味するのか。

 今日5月1日はメーデーである。ほんの少し前までは、労働者が赤旗を振って労働歌を唄いシュプレヒコールを繰り返しながら練り歩くのが、この季節の風物詩だった。そして、社会全体のエネルギーでもあった。かつては総資本と総労働の対決とまで言われ、労働者は学生まで巻き込んで賃上げ、そして未来の平和と福祉国家建設を希求して企業経営者・資本家に対抗したものである。それが社会主義体制の崩壊によって、いまや労働運動は年々下火となり、細々と遠慮しながらデモ行進をしている情けない状態となり、社会への訴求力も弱まった。つくづく時代の流れを感じる。

 一方、労働運動に関心を示さなくなった学生たちは、何をやっているかと言えば勉強しているわけでもなく、社会に関心を抱くこともなく、一部の真面目な学生を除くとほとんどがアルバイトと遊びに熱中して、国の将来なんかまるで考えていないように思える。他人ごとに関わることを避け、世の大きな流れから一歩距離を置いている。過保護に慣らされ、わがまま三昧に育てられてきたツケであろう。

 周囲に混乱と錯綜が入り混じってはいたが、熱気に溢れていたわれわれ60年安保世代とは、大きなギャップがあるようだ。近年学生の読書量は随分減ったと言われている。基本を学んで知恵をつけた骨っぽい学生は影を潜め、小賢しく理に敏い若者が増えた。世の中は次第に白けていき、抜け殻のようになった。社会全体で何とかしないといけないと思う。学生を主とする若者が元気のない社会は、活性化しないし、発展もしない。いまの混乱した社会がそのことを象徴している。

 東京都の月刊広報紙に「広報東京都」という8頁のタブロイド判がある。今月は全フロンドページを使い、「新銀行東京への追加出資について」と題して、先ごろマス・メディアを賑わした400億円の追加出資に関する都の説明と言い訳記事を載せている。すでにマス・メディアで散々言い尽くされているが、骨子は①経営上の問題点、②中小企業を守るために追加出資が最善の策、③銀行による自主廃業と預金保険法の破綻処理は多額の損失を発生させる、④新たな体制で再建させ、平成23年度には単年度黒字化を目指す、というものである。強気の石原慎太郎知事の「旧経営陣の非常識な経営の舵取りにより、予想を超える不良債権が発生した」と、相変わらず責任転嫁の姿勢は変わらない。高校の先輩である石原知事ではあるが、近年理路整然とした説法ではなく、わがままむき出しの感情論で突っ走る傾向が強い。昨今の傲慢で周囲の意見に耳を貸さないパフォーマンスでは、いずれ都民は信用しなくなり、取り巻きは都合のよい話しか耳に入れなくなり、ついには裸の王様になってしまうことが分からないのだろうか。

 さて、今日は1件意外なことがあった。いま流行りの「振込み詐欺」である。新潟に勤務している次男を騙った「おれおれ」である。驚いたのは、1~2日前に○○から電話があったら、連絡先を聞いておいてほしいという偽息子から電話があった。これが今日の伏線である。今日はそれを確認して、まだ連絡がないと言ったら、実は連帯保証人になったとか、○○はトンズラして債務の肩代わりをしなければならない、消費者センターに相談した、弁護士を紹介してもらった、裁判所から和解の話があった、と立て続けに話が進められ、途中で疑問を感じて本人かどうかの確認を求めたら、その辺りから相手も警戒したようだ。結局息子に携帯で確認して真相が分かったが、話の誘導の仕方といい、事前の話といい、声質といい、かなり馴れている。最近「振込み詐欺」の被害が増えているらしいが、ついにわが家へも入り込んできた。遠いところにあると思っていたことが、あっという間に目の前に転がり込んでくる事態に油断ならず、空恐ろしい時代になったものである。

2008年5月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

352.2008年4月30日(水) また始まった政治家と役人の国民いじめ

 すったもんだした挙句に、先月末決まったガソリン料金暫定税率撤廃を復活させるべく、自民党は衆議院本会議で法案を提出した。民主党議員が欠席したことにより、出席議員の三分の二の賛成を得て、暫定税率復活が決定し、明日からガソリン料金に再び税金が上乗せされることになり、1㍑当り30円前後値上がりする見込みである。

 ひどいものである。国会議員は自らの機能不全により、僅か1ヶ月の間にガソリン料金を上下させる混乱を引き起こしていながら、国民に対して謝罪する気持ちをまったく見せず、「地方によって必要な道路は作らないと地方経済は沈滞するばかりである」と悪びれず尤もらしい持論を述べている。しかし、国民に対して分かりやすい説明が、あまりにも不足しているのではないか。国民がある程度納得できる丁寧な解説と、その理由を政府は説明する責任がある。いまの状態は、ガソリン税は必要なんだ、国民は我慢してほしいと自己主張するだけで、弱いものいじめをやって政治家の無能と無責任を曝け出しているだけではないか。

 政治家がダメなら、役人のデタラメも言ってやろう。今晩二つのTV報道番組で、食品売り場からバターが消えつつあることを特集していた。全国のスーパーや食品売り場で、食事に欠かせないバターが払底している状態を伝えていた。何たる農政の失態か。確か去年か一昨年、酪農農家が牛乳の消費量減少で在庫がだぶつき、橋から川へ投げ捨てて、相当の牛乳を廃棄処分にしていたが、そのツケが早くもやって来た。バターの原料である牛乳が足りないために、バターを作れないというお粗末ぶりである。余ったからと言って、ただ前後の見境もなく牛乳を川へ廃棄してしまったのである。酪農農家も涙ながらに、もう少し真剣に農政に取り組んでもらいたいと訴えていた。農政の大元締めである農林水産省の、甘い需要予測と魂のない国策によってもたらされた大失態である。もちろん農水省には誰も責任をとる職員はいないだろう。これから先当分不足するバターをどうやって手に入れるのか。海外でも中国が、若者の需要増大で10年前に比べ、バターの消費量が40倍に増えているという。

 さあ、どうする。バターと言えば、「大砲とバター」に象徴されるように、戦争に使用される大砲よりも、日常生活ではバターの方がずっと大切である、ということを戦後日本人は骨の髄まで学んだ筈だった。そのバターがないという。米の減反政策と同じ愚を再び犯している。バター生産は最低2年間元へ戻らない。米はほとんど戻りそうもない。この農政の失敗はどう辻褄を合わせるのか。もうこうなったら、役人は必要ない。政策決定は、専門の学者や経済人がやって、実務はアウトソーシングしたらどうか。

 スイスからヤスコ・シュランツさんが母親の世話のために一時帰国中で、今日4年ぶりにお会いしたが、相変わらず元気そうでほっとした。企画したスイス方面のツアーが好評だったのも彼女のおかげである。インテリで親切でパワーフルな女性である。企画したスイスのツアーが好評だったのも、彼女のおかげである。待ち合わせの時間を間違えて迷惑をかけてしまったが、スイス人の性格とか、スイスの生活レベルの話を聞いて考えさせられた。日本とは歴史的にもすべての面で異なる国であるが、凡人の国・ニッポンは、賢人の国・スイスから少しは学んではどうか。

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351.2008年4月29日(火) 胸を打つ尺八の音色

 会社の同僚だった鯉江徹さんが、中途退職されて趣味の竹道を歩み始め、腕を磨いて鯉江丈山と名乗って尺八・都山流一門の総帥・師匠になったのはかなり前のことだ。その鯉江さんが支部長を務める日本尺八連盟東京支部主催による本年度の関東演奏大会が、今日日比谷公会堂で開かれた。毎年招待券を送っていただくので、後半部で演奏の「岩清水」「六段の調」「磯馴松(尺八合奏)」に見当をつけ午後になってから出かけた。

 尺八だけに留まらず、お琴と三味線の合奏は整然として演奏され、そのハーモニーは見事なものだった。特に「岩清水」は鯉江さんの独奏で、尺八の染み透る音色が耳に心地よく胸に響いてくる。「六段の調」では大勢の尺八演奏者、謡曲、お琴、三味線がいいハーモニーとなって、和楽もよいものだなあとつくづく思う。

 鯉江さんとの思い出で最も印象深いのは、30年以上も前にビルマ各地の戦跡地をともに陸軍航空慰霊団の添乗員として訪ねた時のことだ。その時旧戦跡地で戦没者に対する慰霊祭を行い、鈴木崇之・元第五飛行師団参謀長の詩吟朗詠に合わせて、鯉江さんが粛々と尺八を伴奏された姿が目に焼きついている。寂しい原野に流れる尺八の音色は、参加した戦友の涙を誘った。その時参加された方が、あの時の尺八の音色がいつまでも忘れられないと言っておられたのが、特に印象に残っている。

 その行きがけに自由が丘駅前で自民党の佐藤ゆかり衆議院議員が、中川秀直前幹事長の応援を得て大勢の聴衆を前に演説していたが、解散・総選挙間近しと睨んで早くも選挙演説を始めたのだろうか。佐藤代議士は、前回岐阜で自民党から出て、非公認候補者だった野田聖子代議士に敗れ、比例代表で復活した。しかし、次回の選挙では自民党は野田を公認し、佐藤は東京4区から引退する小杉隆・元文相に代わって立つらしい。自民党内のお家の事情は複雑のようだが、いくら知名度が高いからと言って岐阜で出た人が、急に東京から出てもそうは問屋がおろさないと思う。民主党の手塚氏との一騎打ちが面白そうだ。

 自民党は山口県の補選で敗れたが、このうえガソリン税の暫定税率を恥じも外聞もなく明日衆議院で再可決して復活させようと考えている。これでまた自民党の人気は下がると思うが、もっと不真面目なのは、政治家が法律の変更を軽率に考えすぎていることだ。明日暫定税率が復活したら、またガソリン料金が上がり、今月下げたガソリン料金が来月から再び上がることになる。理由は分からなくもないが、そのやり方が国民不在であまりにもお粗末だ。ガソリン・スタンドでは、この1ヶ月間このために振り回されている。結局いまの国会議員は、国民に迷惑をかけるために職に就いているようなものだ。最近の代議士の行動を見ているとあまりにも不真面目で、やはり、現国会議員を全員総入れ替えしなければだめだ。

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350.2008年4月28日(月) 政治家の二枚舌

 昨日投票が行われた衆議院山口2区補選で民主党平岡秀夫氏が大差をつけて自民党候補者・山本繁太郎氏を破り当選した。補選とは言え、全国的に注目されていた選挙である。福田首相になって初めての国政選挙であり、全党を挙げて応援していた。自民党にとっては時期的にタイミングが悪く、内容的にも極めて不都合な3点セットが足を引っ張った。暫定税率の復活、年金問題、そして後期高齢者医療制度である。どれをとっても自民党にとって説明の難しい問題だった。結局これらの問題から逃げようとしたことが、選挙民の印象を悪くしたようだ。自民党首脳陣にとってはこの敗北は痛い。山口県は過去には圧倒的に自民党が票を獲得していたから、今後この敗北による退潮傾向は雪崩現象となって、全国に広まるのではないかと懸念されている。

 政治家の不誠実さを露骨に表すのが、選挙後の敗軍の将による弁明である。従来自民党選挙参謀は幹事長が取り仕切っていた。それが、福田首相になってから、党3役の幹事長職の中から、選挙部門だけを独立させて選挙対策委員長と名づけ、幹事長職からうま味だった選挙対策関係職をはずしてしまった。今回の補選で選挙委員長だった古賀誠氏は、負けた悔しさから、民意を反映していないと恨み節を述べていたが、責任のある地位にある者が、軽々しく言ってもらいたくない弁明である。選挙に負けた悔しさから、選挙民の審判を信用しないなら選挙制度自体成立しなくなる。これでは選挙を行う意味がないのではないか。まるで、ビルマの軍政が1988年の総選挙で負けた直後に、反対勢力、国民民主連盟(NLD)指導者のアウン・サン・スー・チーさんに対して、政治が未熟で国家統治に不安があると勝手な言い分を押し付け、選挙結果を受け入れずに、政権を渡さず、挙句の果てにスー・チーさんを監禁、幽閉した所業とどこか似ている。古賀氏の抗弁は、世界中から非難されているビルマ軍政の非民主化とかわるところがない。

 そもそもこの補選は、自民党の前職を航空基地の街・岩国市の市長選挙に立候補させ空席になったために行われた。その市長選では、現職市長を破り自民党候補者が新市長となった。いままで航空基地対策で、前市長の要求に苦しんだ自民党としては、勝ったとばかりに新市長と市に対して、ご祝儀の補助金を拠出するようになり、直後には古賀氏は「民意はわが党にあった」と、得意満面で市民を持ち上げていたものだった。それが、今回攻守ところを変え、補選で敗れるやこの言葉が出ることは、二枚舌を使って住民を舐めているとしか思えない。節操がなさ過ぎる。これだから政治家は信用できない。

2008年4月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

349.2008年4月27日(日) 新書の衝動買い

 さぼりがちの日課の散歩を、いつもの駒沢公園ではなく自由が丘駅に向かいそのまま書店に立ち寄った。多摩大学の次回公開講座では、酒井啓子講師が専門のイラク問題を話されるので楽しみにしているが、いままで酒井講師の著書に目を通していないので、時間的にはちょっと間に合わないが、できる限り事前研修しておこうと書店で書を探してみた。売れっ子学者で、話題の講師でもあるのですぐに見つかったが、つい衝動買いで新書を4冊も購入してしまった。いま話題のチベット関係書は探してみたが、見つからなかった。

 酒井講師の著書は、岩波新書「イラク・戦争と占領」、同「イラクは食べる-革命と日常の風景-」の2冊で、後者は5日前に第1刷発行だから、まだほやほやである。パラパラとめくったばかりだが、なかなかユニークな内容で面白そうだ。ほかに、ロシア関係の新書を2冊求めた。「ロシア・闇と魂の国家」(文春新書)と「インテリジェンス-武器なき戦争」(幻冬舎新書)でいずれも対談形式の内容になっており、2冊とも外務省休職中の佐藤優氏が対談を行っている。前者の対談相手は亀山郁夫・東京外語大学長で「カラマーゾフの兄弟」の分かりやすい新訳書で一躍有名になったロシア文学家であり、後者の対談相手は元NHKキャスターの手嶋龍一・慶大教授である。いずれも最近のロシア事情に精通している専門家の対談で、きっと内容的にも興味深いものと思われる。

 時も時、いま福田首相がロシアを訪問中で、プーチン大統領とメドベージェフ次期大統領とも会談した。ロシアという国はまったくおかしな国で、憲法の規定により、来月には大統領を辞めるプーチンが、メドベージェフ次期大統領の下で首相を務める。腹のうちは大統領から首相職を罷免されないよう身分保障として、与党の党首を兼ねるというから自分の地位を守るためのウルトラCカードを切ったことになる。

 福田首相がこの時期にわざわざプーチンに会いに行ったのは、洞爺湖サミットの前にロシアに仁義を切りに行ったのだろう。首脳会談の内容は、東シベリアの油田共同開発と北方領土問題解決に向けた話し合いを継続するというものである。前段の話はともかく、懸案の領土問題は愁眉を開くことができるだろうか。領土的野心の強いロシアが、話し合いに応じること自体、前段の話を自国優位に取り込むための単なるポーズだと思っている。

2008年4月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

348.2008年4月26日(土) 北京オリンピック聖火リレー無事終わる。

 今月初めから北京五輪の聖火リレーが、世界各地で妨害やコース変更等により大きな騒ぎになっているが、今日長野市内でその聖火リレーが厳戒警備体制の中行われた。先日出発地の善光寺が場所提供を辞退したために、日本でも一部に論争が起きていた。その善光寺ではチベット仏教徒へのシンパシーから、今回の騒動で亡くなったチベット人と中国人を追悼する儀式を行った。

 ギリシャ・オリンピアの採火式を妨害した「国境なき記者団」事務局長も昨日来日したが、善光寺の追悼式に参加して表立って聖火リレーにアクションを起すようなことはなかった。昨日中国・新華社が中国政府はダライ・ラマ14世側と話し合いに応じてもよいと発表したことが幸いしたのか、今日は小競り合いがあったり、リレーを妨害する人が出たり、6人の逮捕者と4人の負傷者は出たが、全体的に大きな混乱はなく終了してやれやれだった。

 今回の聖火リレーについて長野市民の気持ちとしては、やりきれないものがあったと思う。安全優先は理解できるが、聖火リレーの厳しい警備は五輪の友好精神とは相容れないもので、こういう聖火リレーは残念だという声が圧倒的だった。沿道のファンから温かく迎えられ、友好の実を挙げることが目的の筈だったが、聖火とファンとの間に垣根を作られランナーも周囲の警察や、中国から派遣された2人のフレームアテンダントによってコントロールされ、彼らが心から望んだオリンピック精神の発揮ということにはならなかった。

 それにしても、この馬鹿騒ぎはどうしたことか。こんな聖火リレーになるなら、次のロンドン大会は聖火リレーの廃止を含めて全面的に検討した方がよい。当初予想されたことではなかったにしても、これだけ世界中で物議を醸し、聖火リレー実施国に対して多大の迷惑をかけて本来の主旨とかけ離れたのでは聖火リレーを行う意味がない。

 聖火隊は、今晩次の目的地、韓国へ向かった。「一難去ってまた一難」とならなければいいが・・・。

2008年4月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com