353.2008年5月1日(木) 静かなメーデーは何を意味するのか。

 今日5月1日はメーデーである。ほんの少し前までは、労働者が赤旗を振って労働歌を唄いシュプレヒコールを繰り返しながら練り歩くのが、この季節の風物詩だった。そして、社会全体のエネルギーでもあった。かつては総資本と総労働の対決とまで言われ、労働者は学生まで巻き込んで賃上げ、そして未来の平和と福祉国家建設を希求して企業経営者・資本家に対抗したものである。それが社会主義体制の崩壊によって、いまや労働運動は年々下火となり、細々と遠慮しながらデモ行進をしている情けない状態となり、社会への訴求力も弱まった。つくづく時代の流れを感じる。

 一方、労働運動に関心を示さなくなった学生たちは、何をやっているかと言えば勉強しているわけでもなく、社会に関心を抱くこともなく、一部の真面目な学生を除くとほとんどがアルバイトと遊びに熱中して、国の将来なんかまるで考えていないように思える。他人ごとに関わることを避け、世の大きな流れから一歩距離を置いている。過保護に慣らされ、わがまま三昧に育てられてきたツケであろう。

 周囲に混乱と錯綜が入り混じってはいたが、熱気に溢れていたわれわれ60年安保世代とは、大きなギャップがあるようだ。近年学生の読書量は随分減ったと言われている。基本を学んで知恵をつけた骨っぽい学生は影を潜め、小賢しく理に敏い若者が増えた。世の中は次第に白けていき、抜け殻のようになった。社会全体で何とかしないといけないと思う。学生を主とする若者が元気のない社会は、活性化しないし、発展もしない。いまの混乱した社会がそのことを象徴している。

 東京都の月刊広報紙に「広報東京都」という8頁のタブロイド判がある。今月は全フロンドページを使い、「新銀行東京への追加出資について」と題して、先ごろマス・メディアを賑わした400億円の追加出資に関する都の説明と言い訳記事を載せている。すでにマス・メディアで散々言い尽くされているが、骨子は①経営上の問題点、②中小企業を守るために追加出資が最善の策、③銀行による自主廃業と預金保険法の破綻処理は多額の損失を発生させる、④新たな体制で再建させ、平成23年度には単年度黒字化を目指す、というものである。強気の石原慎太郎知事の「旧経営陣の非常識な経営の舵取りにより、予想を超える不良債権が発生した」と、相変わらず責任転嫁の姿勢は変わらない。高校の先輩である石原知事ではあるが、近年理路整然とした説法ではなく、わがままむき出しの感情論で突っ走る傾向が強い。昨今の傲慢で周囲の意見に耳を貸さないパフォーマンスでは、いずれ都民は信用しなくなり、取り巻きは都合のよい話しか耳に入れなくなり、ついには裸の王様になってしまうことが分からないのだろうか。

 さて、今日は1件意外なことがあった。いま流行りの「振込み詐欺」である。新潟に勤務している次男を騙った「おれおれ」である。驚いたのは、1~2日前に○○から電話があったら、連絡先を聞いておいてほしいという偽息子から電話があった。これが今日の伏線である。今日はそれを確認して、まだ連絡がないと言ったら、実は連帯保証人になったとか、○○はトンズラして債務の肩代わりをしなければならない、消費者センターに相談した、弁護士を紹介してもらった、裁判所から和解の話があった、と立て続けに話が進められ、途中で疑問を感じて本人かどうかの確認を求めたら、その辺りから相手も警戒したようだ。結局息子に携帯で確認して真相が分かったが、話の誘導の仕方といい、事前の話といい、声質といい、かなり馴れている。最近「振込み詐欺」の被害が増えているらしいが、ついにわが家へも入り込んできた。遠いところにあると思っていたことが、あっという間に目の前に転がり込んでくる事態に油断ならず、空恐ろしい時代になったものである。

2008年5月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com