ゴールデンウィークも真っ盛りで、TV各局は交通機関の混雑した様子や、成田空港の海外旅行客、各地の天気予報、スポーツイベント等々中々賑々しい報道ぶりである。ところで、あまり大々的に報道されないが、今日は61回目の憲法記念日なのだ。GW休みで一昨日からガソリン代の値上げにも拘らず、郊外へ出かける人たちはどれだけ憲法記念日を意識しているだろうか。
安倍政権時代に勢いのあった改憲の熱気も、このところぐっと冷えて、昨年春国民投票法案まで可決しながら、その後改憲の動きはさっばりだ。どうもあと一押しが出ない。国民投票法では衆参両議院に憲法審査会を設置することが決まった。しかし、ここから先へ進まない。昨年は勢いに乗って、本当に憲法改正まで突っ走りかねなかった。しかし、国民投票は決まったが、何歳までの国民に選挙権を与えるのか、具体的に肝心な点がまったく決まらなかった。最後の詰めが甘いのか、どうも熱しやすく冷めやすい性格は相変わらずだ。何のための国民投票法だったのだろう。いざという時に肝心なことが決められていない事態に、また肩透かしを食うようだ。安倍首相の病欠の事態に、首相代理職を置くという話があったが、それもすっかり忘れられてしまった。
朝日の世論調査によると、憲法改正を必要と考える人が56%、必要ないと考える人は31%、しかし、9条の改正に反対する人は66%もいる。つまり現憲法には、国際社会の中で内容的に問題も出ているので、ここいらで議論しようということを言っているように思う。だが、憲法9条の改正には明らかに反対している。こういう意見を政治家はどう汲み上げるのか。もっともこれまでにも憲法違反を繰り返してきた自民党政権だから、9条改正反対の声が上がっても大して問題にもしないだろう。
それより今朝の日経紙社説は、憲法改正でいまの二院制を抜本的に見直そうと提案している。どうも憲法改正というと何でもかんでも、9条の削除は戦争へつながると短絡的に考えがちだが、日経はもっと基本的な点を取り上げ、現行の二院制度は憲法の最大の欠陥であると指摘して、議院内閣制がきちんと機能するよう憲法を改正すべきであると主張している。要は、諸外国の二院制に比較してもわが国のそれは、機能を充分果たしていない、参議院の権力が強すぎて本来の二院制の意味を成していないという。参議院の選挙制度も抜本的に見直すべきであると提言している。
とにかく、憲法問題は聖域に押しやられてはまずいと思う。昨年の国民投票法成立を機会に、何の動きもない憲法審査会がそろそろ前向きな議論を始める時が来ているのではないか。