350.2008年4月28日(月) 政治家の二枚舌

 昨日投票が行われた衆議院山口2区補選で民主党平岡秀夫氏が大差をつけて自民党候補者・山本繁太郎氏を破り当選した。補選とは言え、全国的に注目されていた選挙である。福田首相になって初めての国政選挙であり、全党を挙げて応援していた。自民党にとっては時期的にタイミングが悪く、内容的にも極めて不都合な3点セットが足を引っ張った。暫定税率の復活、年金問題、そして後期高齢者医療制度である。どれをとっても自民党にとって説明の難しい問題だった。結局これらの問題から逃げようとしたことが、選挙民の印象を悪くしたようだ。自民党首脳陣にとってはこの敗北は痛い。山口県は過去には圧倒的に自民党が票を獲得していたから、今後この敗北による退潮傾向は雪崩現象となって、全国に広まるのではないかと懸念されている。

 政治家の不誠実さを露骨に表すのが、選挙後の敗軍の将による弁明である。従来自民党選挙参謀は幹事長が取り仕切っていた。それが、福田首相になってから、党3役の幹事長職の中から、選挙部門だけを独立させて選挙対策委員長と名づけ、幹事長職からうま味だった選挙対策関係職をはずしてしまった。今回の補選で選挙委員長だった古賀誠氏は、負けた悔しさから、民意を反映していないと恨み節を述べていたが、責任のある地位にある者が、軽々しく言ってもらいたくない弁明である。選挙に負けた悔しさから、選挙民の審判を信用しないなら選挙制度自体成立しなくなる。これでは選挙を行う意味がないのではないか。まるで、ビルマの軍政が1988年の総選挙で負けた直後に、反対勢力、国民民主連盟(NLD)指導者のアウン・サン・スー・チーさんに対して、政治が未熟で国家統治に不安があると勝手な言い分を押し付け、選挙結果を受け入れずに、政権を渡さず、挙句の果てにスー・チーさんを監禁、幽閉した所業とどこか似ている。古賀氏の抗弁は、世界中から非難されているビルマ軍政の非民主化とかわるところがない。

 そもそもこの補選は、自民党の前職を航空基地の街・岩国市の市長選挙に立候補させ空席になったために行われた。その市長選では、現職市長を破り自民党候補者が新市長となった。いままで航空基地対策で、前市長の要求に苦しんだ自民党としては、勝ったとばかりに新市長と市に対して、ご祝儀の補助金を拠出するようになり、直後には古賀氏は「民意はわが党にあった」と、得意満面で市民を持ち上げていたものだった。それが、今回攻守ところを変え、補選で敗れるやこの言葉が出ることは、二枚舌を使って住民を舐めているとしか思えない。節操がなさ過ぎる。これだから政治家は信用できない。

2008年4月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com