会社の同僚だった鯉江徹さんが、中途退職されて趣味の竹道を歩み始め、腕を磨いて鯉江丈山と名乗って尺八・都山流一門の総帥・師匠になったのはかなり前のことだ。その鯉江さんが支部長を務める日本尺八連盟東京支部主催による本年度の関東演奏大会が、今日日比谷公会堂で開かれた。毎年招待券を送っていただくので、後半部で演奏の「岩清水」「六段の調」「磯馴松(尺八合奏)」に見当をつけ午後になってから出かけた。
尺八だけに留まらず、お琴と三味線の合奏は整然として演奏され、そのハーモニーは見事なものだった。特に「岩清水」は鯉江さんの独奏で、尺八の染み透る音色が耳に心地よく胸に響いてくる。「六段の調」では大勢の尺八演奏者、謡曲、お琴、三味線がいいハーモニーとなって、和楽もよいものだなあとつくづく思う。
鯉江さんとの思い出で最も印象深いのは、30年以上も前にビルマ各地の戦跡地をともに陸軍航空慰霊団の添乗員として訪ねた時のことだ。その時旧戦跡地で戦没者に対する慰霊祭を行い、鈴木崇之・元第五飛行師団参謀長の詩吟朗詠に合わせて、鯉江さんが粛々と尺八を伴奏された姿が目に焼きついている。寂しい原野に流れる尺八の音色は、参加した戦友の涙を誘った。その時参加された方が、あの時の尺八の音色がいつまでも忘れられないと言っておられたのが、特に印象に残っている。
その行きがけに自由が丘駅前で自民党の佐藤ゆかり衆議院議員が、中川秀直前幹事長の応援を得て大勢の聴衆を前に演説していたが、解散・総選挙間近しと睨んで早くも選挙演説を始めたのだろうか。佐藤代議士は、前回岐阜で自民党から出て、非公認候補者だった野田聖子代議士に敗れ、比例代表で復活した。しかし、次回の選挙では自民党は野田を公認し、佐藤は東京4区から引退する小杉隆・元文相に代わって立つらしい。自民党内のお家の事情は複雑のようだが、いくら知名度が高いからと言って岐阜で出た人が、急に東京から出てもそうは問屋がおろさないと思う。民主党の手塚氏との一騎打ちが面白そうだ。
自民党は山口県の補選で敗れたが、このうえガソリン税の暫定税率を恥じも外聞もなく明日衆議院で再可決して復活させようと考えている。これでまた自民党の人気は下がると思うが、もっと不真面目なのは、政治家が法律の変更を軽率に考えすぎていることだ。明日暫定税率が復活したら、またガソリン料金が上がり、今月下げたガソリン料金が来月から再び上がることになる。理由は分からなくもないが、そのやり方が国民不在であまりにもお粗末だ。ガソリン・スタンドでは、この1ヶ月間このために振り回されている。結局いまの国会議員は、国民に迷惑をかけるために職に就いているようなものだ。最近の代議士の行動を見ているとあまりにも不真面目で、やはり、現国会議員を全員総入れ替えしなければだめだ。