437.2008年7月24日(木) 地震と無差別殺人の連続性

 今朝未明また東北地方で大きな地震があった。岩手を中心とする東北地方全域である。昨晩このブログを書き終えてそろそろ寝ようかなとトイレに入った時だった。随分長い間小さく揺れていた。現地ではいまのところ死者は出ていないようだし、建物にもそんなに大きな被害は出ていないようだ。最近地震が多いせいか、みんな地震おたくになっていてそれを見込んでTVの解説もかなり詳しく、今度の地震は震源の深さが地下108㎞で、前回の岩手・宮城内陸地震の地下8㎞に比べるとかなり深い。そんなことも被害がそれほど大きく広がらなかった原因のひとつだそうだ。

 それにしても近年地震が増えてきた。これだって地球温暖化の影響もあるのではないだろうかと、余計なことまで考えてしまう。

 悪い事件がまた起きた。連鎖反応というのだろうか、秋葉原の無差別殺人事件に続いて、同じ無差別殺人が八王子市内であった。ビル内の書店でアルバイトの女子大学生が突然若い男に刺し殺された。逮捕された犯人の言い分は幼いまま成長が止まったように、親を困らせるために誰でもいいから殺したいと思ったと言っている。これが32歳の男の言うことだろうか。殺された女子大生も運悪くこんな男に出くわしたために、若い命を落とすことになった。

 心理学者がいろいろ研究しているだろうが、かつては見なかったこういう突発凶悪犯が最近になって頻繁に見られるようになったのは、現代病のひとつではないかと思う。素人考えだが、ある程度自分の考えが固まる前に、人生にとって不必要な下らないものに接触し、それを私有することが簡単に許されるようになったことが大きいと思っている。それに自分で汗を掻き、身体を使う厳しさを知らずにTV、携帯サイト、ゲームソフトで人とのコミュニケーションなしに、年齢と身体だけは成長し、見かけは大人になる。どうしても昔のような教育と現代の子どもの成長具合はずれてくる。結局自分に対する甘え、世間に対する甘えがこういう未成熟な人間を育てることになる。やはり、小さいときから行動規範を厳しくしつけることが基本的で、最も大切なことではないかと思う。

 それにしても酷い世の中になったものである。

2008年7月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

436.2008年7月23日(水) 日経の連載もの「ザ厚労省」が面白い。

 次のドキュメント作品の推薦文をお願いにお台場にある㈱ジャルパック本社へ行った。前会長の新町光示さんは、6月に会長を退きスペシャル・アドバイザーに就任し、旅行業界のJATA会長としての役職も6月に辞められたということである。ヨーロッパへ行かれる前の忙しさと退任のご挨拶周りもあるのだろう、中々直接の連絡をとれず、今日は秘書の方に原稿といくつかの資料をお渡ししただけだった。ヨーロッパでお読みいただきながら、素晴らしい推薦文を書いていただければ有難い。

 それにしてもこのお台場周辺の街づくりは、どうも違和感がある。人間と人間が出会うような環境ではない。ビルはすべて新しく、IT企業が入居しているような、見るからにデザインは洒落て冷たい感じである。周辺は高架鉄道の「ゆりかもめ」、地下は「りんかい線」で駅舎もステンレス製の近代建築と深いエスカレーター、外を歩いているのは、若いサラリーマンと恐らく遊びに来た男女の風太郎たちばかりで、人間的な出会いや思いがけない邂逅なんてとても期待できそうもない。あまり好きになれない環境と雰囲気だ。

 連載中の日経朝刊「ザ厚労省」の今朝の中見出しが揮っている。「安心の老朽船」「戦略なき取り繕い行政」「事なかれDNA」とある。読んでみて厚労省役人の余りにも酷い仕事ぶりに呆れかえった。すべてがすべてその通りなのか、疑問を抱くくらいである。

 1988年に発刊された内部資料「厚生年金保険制度回顧録」にこんなことが書いてある。「~年金を払うのは先のことだから、今のうちどんどん使ってしまって構わない。先行き困るのではないかという声もあったけれども、そんなことは問題ではない」と本当に書いてあるそうだ。信じたくはないが、これまでの無責任なやり口から考えて、多分そんなこともあるのではないかと考えてもいた。呆れるのは、「年金の船」という構想では、集めた年金資金で豪華客船を造って、高齢者を格安で世界クルーズへ案内するという毛沢東も真っ青なアイディアが真面目に議論されたという。結局この話はつぶれたが、同質の「グリーンピア」へ発展する。「今」だけ見て「先」は見ない。厚生労働省のどうにもならない体質である。あ~馬鹿馬鹿しい。

2008年7月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

435.2008年7月22日(火) 酒飲みの集まり

 「酒のペンクラブ」例会が虎ノ門で行われた。いつもながら山中会長、麻木さん、小中さん、西山さん、勝野さんらが来られ、面白い話を聞かせてもらった。

 終わって山中会長に従い、新橋で小さな飲み屋に立ち寄った。随いて行くだけだったが、共産党員だった山中さんからいろいろな話を伺った。麻布→東大の秀才コースを歩んだ山中さんから、昔の共産党の活動について伺った。話によるとかなり共産党活動に関わっていたようだ。あの清水丈夫さんの話も出た。

 そこへ何とJN協会の阿部和義さんが知人とともに入って来られ、あまりの奇遇にお互いびっくり。

 拙著の再出版、再流通について、小中さんから貴重なアドバイスをいただいた。やはり長い間に多くの出版業者とお付き合いがあるので、ご意見は大変参考になる。

 12年間も逃亡していたボスニア内戦のセルビア人勢力政治指導者、ラドバン・カラジッチ被告が身柄拘束された。国際刑事訴追され身を隠していたのではないかと思っていたが、医師としての資格を活かし、変装して医師として働いていたらしい。

 はっきり言って日本人には中々分りにくい内ゲバだった。旧ユーゴスラヴィア内戦の結果、旧ユーゴスラヴィアは6つの共和国に分れた。その間各共和国内で紛争、騒擾事件が相次ぎ、現在の形になるまで長い年月を費やした。しかし、まだセルビア国内にはコソボ自治区が独立を志向し、国民投票によって独立は正式に認められた。それをセルビア政府が認めないという点で、いまだに独立容認派アメリカ・EUが反対派ロシア・中国と対立している。セルビア人の力が一番強かったせいか、セルビアの影響力は各共和国内に広く及んでいる。そう言えばセルビア人のカラジッチという人がいたなぁという記憶はある。旧ユーゴスラヴィア国際戦犯法廷(ハーグ)が、このカラジッチを民族大虐殺の罪で起訴し、長い間身柄を追っていた。似たような民族が、何とかひとつの国家を形成していたが、それが民族独立の流れにより、民族が同じというだけの理由で分離・独立した。

 しかし、やはり民族対立があったのだろう。ベオグラード(セルビア)に住む山崎洋氏の話を聞くと、隣のクロアチアへ行ってもいつもクロアチア人から嫌がらせをされると言っていた。民族問題は、そう一筋縄にはいかないものである。

2008年7月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

434.2008年7月21日(月) 政治家や役人に比べて野茂投手の潔さ

 アメリカ球界で苦難の中を、改めて活躍の場を探っていた野茂英雄投手が先日引退を発表した。本人としては、39歳の年齢からやるべきことはすべてやったと納得したうえで、引退を決意したと見られていたがそうでもないらしい。本人としては、できれば更に可能性を探ってもう一花咲かせたいと考えていた。その辺りのことはよく分らないが、今年コロラド・ロッキーズ傘下のマイナーチームに採用され、一時はメジャーへ昇格したが、何度かKOされ、遂に戦力外通告を受け再昇格の可能性の少ないことと年齢を考慮して、不満足ながらも最後の断を下した。

 率直に言ってこれまでの野茂投手の活躍には敬意を表したい。見方はいろいろあるだろうが、私が一番評価したいのは、2度のノーヒットノーラン達成、新人王獲得を含む投手としての赫々たる実績はもちろんだが、そのほかに野茂のパイオニア精神と「退路を断つ」潔さである。1995年メジャーに挑戦すると突然公表した時は、近鉄と契約でもめ、メジャーリーグがストライキ中で下手をするとメジャーへ行っても試合ができないという追い詰められた状況の中で、当時のマス・メディアも野茂の行動に不審の目を向けていた。しかも日米球界間には選手移籍契約もなく、野茂が帰国しても日本球界には復帰できない状態だった。明らかに「退路を断った」のである。その中を自力で壁を乗り越え、力を発揮してアメリカのファンに歓迎された。その後の日本人メジャーリーガーの誕生は、野茂の功績と言うこともできる。現在活躍中のメージャーリーガーはみな、野茂に対して感謝の言葉を述べている。

 1996年6月にヘルシンキ滞在中に、野茂投手が完封勝利を挙げたことを写真入りで報じていた英字新聞を誇らしい気持ちで読んだことを懐かしく思い出す。

 自分の腕に自信があるからこそ、思い切って飛び込んだ世界だったが、孤軍奮闘見事に力を発揮して見せた。それにしても今の時勢とは合わない一本気とか、潔さ、自分の力を信じる、と野茂の人生観と生きざまが爽やかに感じられる。潔さを欠く政治家や役人どもは、国民を騙したり、税金を無駄使いしたりせず、自力で勝負してみろと言いたい。

2008年7月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

433.2008年7月20日(日) ガソリン高騰に漁師が音を上げている。

 ガソリン代の高騰が世界的な問題になり、洞爺湖サミットG8でも当然議題になるかと思いきやほんのお印程度のトークで空振りに終わった。ガソリンの高騰で今一番困っているのは、漁業関係者と漁師だそうである。毎日出漁するが、とても漁獲量はガソリン代に見合わないという。出漁すればするだけ赤字になる。出漁しても魚が獲れる様子を見てせっかく出た漁だが、損益分岐点を判断して途中で漁を打ち切りにする厳しいケースもあるという。

 TVニュース解説でも、漁業の仕組み、魚の価格決定の仕組みについて説明していた。生鮮食料品や一般の商品に比べて、コストが小売価格に反映しにくいのが、魚の値段だという。漁師にとっては泣き所らしい。小売業者がほとんど価格を決定する立場にいるので、生産者である漁業関係者にとっては、コスト高がそのまま経営に直結する。消費者が価格を決定すると言えば、聞こえはいいが、大量仕入れで価格決定の生殺与奪の権力を握っているのは、スーパー等の大型小売店である。

 ヨーロッパでも漁夫の反乱があった。EUでは保証金らしきもので漁業関係者に一部補填することになった。日本では、保証金の話は政府内に持ち上がったが、結局うやむやになった。

 食糧自給化が話題になるが、魚の国内自給率も低く5割だそうである。日本人は、魚を選んで食べている。しかも年々贅沢になるので、高級魚を食べる傾向がある。遂には、海に囲まれた国でありながら、栄養価が高く人骨にも栄養分をもたらし、丈夫な骨格を作るご近所を泳いでいる魚を食するより、海外からマグロのような高級魚を輸入しグルメと称して味わうのが、現在日本の食卓の構図になっている。

 これは農林水産省の所管であるが、この役所は昔から食糧問題を解決しようとの気持ちがまったくないので、これから先が心配である。今の若林大臣は入閣要請があった時、最も遠慮したかったケチのついた大臣の椅子だと言ったくらいである。こんな大臣の下では、健康に関わる重要課題はとても解決できないだろう。

2008年7月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

432.2008年7月19日(土) 教員不正採用事件と凶悪事件の低年齢化

 もう1週間以上も前に発覚した大分県の教職員採用不正事件が、日本中を席巻している。採用試験で不正が行われ教育委員会の有力者が逮捕されたり、校長や教頭のような要職にある教職関係者が辞めたり、校長不在の学校があったり、大騒ぎになっている。その大分県が今日来年度の採用試験を行った。受験生の気持ちも複雑だろう。教職員の子どもに教員が多いのは事実である。親が教師として教育する姿を見ていて、自分も子どもたちの教育に携わりたいと考えたとしても当然だし、何ら不思議ではない。だが、何かそこには内々に裏の道があるのではないかとは思っていた。東京のような首都圏の教員採用試験に比べて、地方では教員試験の倍率が異常に高く、相当難関が予想されている。そんな中で不正合格者のためにはみ出して不合格となった受験者の心中を思うと気の毒である。他の都道府県でも似たようなケースはあるかも知れないが、大分のケースはかなり以前から伝統的に行われていたようだ。公平であるべき場で最高幹部が、金をもらい便宜を図るという、公職の場であってはならないことをやっていた。

 教育の荒廃が叫ばれて久しい。戦後の日教組の活動が教育を壊したとか、家庭教育がなってないとか、いろいろな声が聞かれる。社会のあり方も問われている。遠因としては、社会教育、学校教育、家庭教育に、それぞれ子どものしつけが欠けていることが教育崩壊の最大の理由であると言われている。

 今回明らかになった学校教育の上部組織で悪の論理を実践されたのでは、家庭教育の場でもしらけるだろう。

 ところで、16日、そして中2日明けて今日19日、とても中学生がやったとは思えぬ事件が連続的に引き起こされた。

 16日JR東海バスが14歳の中学生によってハイジャックされた。両親から厳しく注意されたことから、親に迷惑をかけ困らせることが目的で実行したと少年は語った。今日は、埼玉県の女子中学生が夜中に父親をナイフで刺し殺した。家庭的にはまったく問題はなかったという。

 凶悪犯罪が低年齢化してきたが、ついにここまで来たかというのが、うんざりした感想である。これは家庭が見かけ上外部からいくら良く見えても、実際に家庭の中はどうだったのかと本当の家庭のあり方に関わってくる。将来この低年齢化傾向はどうなっていくのだろうか。重い課題である。

 しかし、教育の本家で、肝心要の教育を差し置いて金で地位を買ったり、便宜を図ったりしていては、子どもの教育どころではないのではないか。どこをどう修正すれば、こういう馬鹿げた事件が防げるのだろうか。

2008年7月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

431.2008年7月18日(金) 11月に前作品再出版・再流通決定

 約束通り午後2時に新宿御苑前の文芸社を訪問し、同社編成企画部主任の松谷和則氏に会って拙著の再販について1時間ほど話を伺った。出版としては良い話だったので、契約を取り交わした。内容的には一部修正箇所があるにせよ、ほぼ原文のまま再び出版されることになった。写真や地図はそのままだが、表紙は新風舎のデザイナーに版権があるので、新たに作り直すことになった。書名は「現代 海外武者修行のすすめ」を新版として「新・現代 海外武者修行のすすめ」に変え、ハードカバーにする。販売価格は希望を尋ねられたが、当方として格別の希望はなく、売りやすい販売価格にしたいので、お任せすることにした。

 版権は新風舎から文芸社へ移譲され、原稿・写真は手渡されたが、発行書が1冊も手渡されなかったということで、今日2冊差し上げ訂正箇所の確認をした。文芸社では、表紙は変えざるを得ないが、できれば帯文に書かれた小中陽太郎氏の名推薦文を引き続き掲載したいと希望があった。もちろん望むところでもあり、一応小中さんのご了解を得ることにしたい。

 11月上旬には手元に入り、その後書店に出回るとのことだったので、今度はどの程度販売できるのか期待している。いずれにしろ、一時は絶版への道を辿りかねなかったので、息を吹き返しただけでも嬉しい。これで、次のドキュメント「停年オヤジの海外武者修行」の上梓についても、前著と張り合っていい意味でモチベーションが高まる。

 さて、11日に松本整形外科で、炎症反応CRPの異常な高数値につき森内科医にも相談して欲しいと言われ、今日やっと森内科医に診ていただいた。昨年6月以来ほぼ隔月間に測ったCRPのトレンド表と、松本先生からいただいた前回の血液検査の医師用の専門数値表を森先生に診ていただき、松本先生のコメントも伝えた。何も自覚症状がなく、炎症数値だけは高い現象に森先生も首を傾げておられ、即座に胸のレントゲン写真を撮ったが、これもまったく問題なく、よく判らないまま様子を見るという結論になった。ただ、日ごろから計測している血圧が安定してきて、高い血圧が110~120になっているので、当分血圧降圧剤を使用しないで様子をみようということになった。どうもすっきりしないが、こればかりはお医者さん任せなので手の施しようがない。

2008年7月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

430.2008年7月17日(木) 拙著の再出版、及び再販について

 昨年12月に倒産した新風舎の債権・債務を引き継いだ、文芸社から連絡を待っていたところ、本日やっと連絡があった。1月に文芸社顧問弁護士名で書状が送られてきて、事業を引き継ぐが個々の対応と処方箋については時間がかかるとの連絡だった。やっと拙著「現代・海外武者修行のすすめ」の発行について話し合う機会を持てることになった。

 本書はすでに2刷を経て、昨年倒産前の新風舎と販売計画が立てられると意見の一致をみて、第3刷の話し合いを進めていた矢先に、突然思いがけずに新風舎の倒産により計画が頓挫した。折角拡大販売に夢を持っていたのに、そのまま絶版とはいくらなんでも著者にとって厳しすぎる。何とかしてまだ販売余力のある自著を何とか市場で売りたいというのが本当の気持ちである。そういう願いで文芸社の対応を待っていた。この会社はこれまで自費出版で実績を伸ばしてきた。

 しかし、文芸社は新風舎から引き継いだ大量約7千冊の書籍をどう著者の要望に応えていくのか難しい判断を迫られているところだろう。時間もかかるし、個々の要望に対してきちんと応えられるのか。とりあえず手始めに百人の読者の要望に応えるとのことだったので、それに応募したところ連絡が還ってきた。細かい打ち合わせのために、明日文芸社へ直接出かけて話を聞いてくる。

 希望は今のまま「現代・海外武者修行のすすめ」をずっと書籍の市場で販売されることである。つかの間に担当者に尋ねたところ、次の出版は3刷にはならず、初版第1刷になるということなので、それなら新風舎版と差別化する意味でも、若干書名を変えてみようかなと考えている。いずれにしろ明日打ち合わせた際、はっきりする。とにかく絶版にならず、拙著が市場に残る可能性がはっきり見えてきた。やれやれである。

2008年7月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

429.2008年7月16日(水) 古代エジプト展を観る。

 今日も福岡市内において文化鑑賞で時間を費やした。久しぶりに国立九州博物館へ行こうと思っていたところ、福岡市博物館で先月末から8月いっぱい「吉村作治の新発見!エジプト展」をやっていることに気づいた。昨日は美術館、今日は博物館でいずれも展示品は、私にとって興味のあるもので、東京でもあまり見られない。まさに千載一遇のチャンスである。早速西鉄バスで博物館へ駆けつける。昨日ほどではないが、かなりの見学者がいた。やはり昨日同様若い人たちの姿は少ない。

 吉村先生の昨年秋のミイラ新発見については、メディアでも報道された。ダシュフールで発掘された親子のミイラ(展示は一体だけ)と、同じ場所から夫婦の棺おけが発掘され、棺おけのレプリカが展示されていた。ミイラを作る工程を模型で展示していたが、古代エジプト時代の医療技術のレベルの高さには驚いた。

 ダシュフールは、屈折ピラミッドのあるサッカラの近くで、一度訪れたことがあるので、何となく雰囲気は分るが、それにしても最近になってこの周辺で後から後から古代の遺跡、遺品が発見されるのは、何か理由があるのだろうか。何でも割合最近になって、エジプトで発掘された遺跡類は、海外へ持ち出さないという取り決めができたそうで、特例を除きエジプトの古代遺品は現地で見学するより方法がない。今回も吉村教授が発掘したことから、エジプト考古学当局も格別の詮議により、福岡で開催、展示されることになったようだ。

 しかし、何と言っても対象物が大きすぎるので、簡単に持ち運びできない。それが展示作品数が少なくなる理由であろう。前日の浮世絵に比べると資料の点数では遥かに劣勢だったが、それでもまあ満足すべきものだったと思う。トランシーバー・ガイドが吉村教授自身の声だったのが、お愛嬌である。

 考古学は面白い。これに関わっている人が羨ましい。来世生まれ変わったら考古学者になろうと思っているので、とりわけエジプト古代王朝の遺跡には興味が尽きない。JAPAN NOW観光情報協会の観光立国セミナーに参加目的で福岡を訪れたが、セミナーは覗く機会がなく、むしろ自由に浮世絵とか、エジプトの遺跡を見学できて、ひょうたんから駒の思いである。

 さて、安売り航空券制度も随分変わった。今回はJTBの航空券とホテルがセットされたお得なパックで出かけた。安い航空券だと、従来は往復とも同じ航空会社利用が常識だったが、初めて往路全日空、復路日航で手配されたものだった。これは完全に航空会社が戦略として打ち出した裏の手だ。こうなるともう正規運賃を支払って航空券を購入する利用者がいなくなるのではないか。加えて、全日空のチェックインと日航のそれのシステムが違い、福岡空港では係員に教えを受けながら「チケットレス・サービス」を受けるという、元エージェントとしては少々恥ずかしい体験をさせられた。

2008年7月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

428.2008年7月15日(月) 「ボストン美術館の浮世絵」展がすごい。

 福岡滞在2日目は何をしようかと考えるまでもなく、地下鉄内の中吊り広告を見ていたら、3日前から8月いっぱい福岡市美術館で「ボストン美術館浮世絵名品展」をやっている。ありがたい。これは僥倖ではないかと、ホテルから大豪公園近くの美術館へ駆けつける。日本の浮世絵が一番揃っているのは、世界でもこのボストン美術館を措いてほかにはないと思う。

 昭和51年初めての文部省教員海外派遣団添乗員として、ボストンでいくつかの思い出があったが、フェンウェイパークのMJB・レッドソックスの試合観戦と並んで印象に残っているのが、この美術館見学だった。あまりに整然と、日本の美術品が丁寧に、そして上品に展示されている様子を目の当たりにして、一緒に見学した先生方もうなっていた。そして、「反って日本で保管するよりもきちんと管理されているのではないか」と仰っていたのが、言葉として頭に残っている。

 美術館はそれなりの入場者がいたが、概して年配者が多く、ここにも年配者の美術・文化への評価と憧憬を感じ取った一方で、ほとんど大学生らしい姿が見えなかったのは、大学生が授業を受けている時間という単純な理由だけでもなさそうだ。アルバイトに忙しい現代学生の勉学意欲とインテリジェンスが少しずつ劣化しているのだ。気になる傾向である。

 展示作品は、版画、肉筆画、版本、掛け軸等136点をボストン美術館所蔵品5万点、700品から借り受けたものである。これまで知るところでは、明治維新時に国内で日本文化否定論が沸き上がり、当時日本美術を評価していたモース、フェノロサ、ビゲローらが廉価で買い取ったと言われたが、実際には1876年アメリカ合衆国独立100年記念のボストン万博の際、日本が大量の美術品を展示して、そのままボストン美術館にお祝いの意味も込めて安く買い取ってもらったというのが真相のようである。

 それにしても、トランスシーバー・ガイドでじっくり見学したが、2時間近く経ってしまった。すべての作品を4章に分けて展示している。第1章浮世絵初期の大家たち、第2章春信様式の時代、第3章錦絵の黄金時代、第4章幕末のビッグネームたち、に手際よく分けられ作品に判りやすい説明が加えられている。いずれも和紙に描かれたものだが、その保存状況の良いのには驚くばかりで、江戸文化の高い水準を今日にまで正確に伝えてくれている。著名な鈴木春信に始まり、喜多川歌麿、東洲斎写楽、菱川師宣、葛飾北斎、安藤広重らの名画が目白押しである。「石部金吉」というのは、真面目な堅物だとばかり思っていたが、写楽の版画によれば「非情な悪役」だったとは初めて知った。気障のようだが、久しぶりに文化の一端に触れたような気がした。

2008年7月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com