昨日今月に入ってから北朝鮮が3度目の弾道ミサイルを日本海へ向けて発射した。国連安保理事会が厳しい制裁決議を出したばかりである。北はアメリカと韓国が合同軍事演習を行っていることに反発を強めている。アメリカ軍が特殊部隊を参加させて金正恩第1書記を狙った「斬首作戦」を試みていることに、とりわけ神経を尖らせているようだ。それにしてもいつも幼稚な威嚇で、相手を従わせようとする北の作戦はこれまでも通用していない。むしろ、国連制裁で各国からも厳しい対応を求められ、自らの首を絞めるばかりである。所詮出来損ないの世襲の頭領ではやること、なすことすべて思うように行かず、地団太を踏んでいるだけだ。こんな好い加減な国に毎度近くにドカンとミサイルを打ち込まれたのでは日本も堪ったものではない。
さて、今年8月にはブラジルでリオ・オリンピックが開催される。オリンピック開催には巨額の投資が必要であり、発展途上国では開催する余裕なぞない。当然ブラジルはこれまで高い成長率を背景に開催するに必要な準備を備えてきた。加えて、昨年はオリンピック以上に世界中の目を奪うサッカー・ワールドカップがブラジル各地で開催された。南米初のオリンピックには、南米各国からも期待され、羨ましがれている。それが最近になって様子がおかしくなりオリンピックに黄信号が灯り始めた。その最大の要因は急激に悪化した国家経済であり、2番目には政権の汚職疑惑であり、3番目はジカ熱の大流行である。
経済成長を成し遂げたルラ前大統領が2期8年の任期を終え、現在のルセフ大統領に政権移譲してから経済が下降し始めた。前政権末期にはアップダウンしながらも国内総生産(GDP) が爆発的に40%台の伸びを示した年もあった。それがルセラ大統領になってから景気は下る一方で、2014年にはマイナス成長となる有様でオリンピック開催が懸念されている。
ブラジル経済は2000年以降世界的な資源ブームに乗って資源の輸出により高成長を記録したが、中国など世界経済の景気減速により資源価値も下落して、国内で高インフレ、雇用条件悪化などにより増税や社会保障削減が進められ市民生活を直撃した。その最中に大規模な汚職が露見して国民を怒らせることになった。今月13日にはブラジル全土で350万人以上が繰り出す過去最大の反政権デモが行われるほど国内は荒れた状態になっている。
南米最大の経済大国を作り上げたルラ大統領政権支持率は、実に80%超えていたが、今やルセフ大統領への支持率は10%程度にまで下がった。
そこへルセフ政権が火に油を注ぐ事態を招いてしまった。現状打開のためにルセフ大統領はカリスマ的人気のあるルラ前大統領を新官房長官に招き入れた。ところが、当てにしていたルラ氏が汚職事件に関与したとして家宅捜査が行われたばかりだったため、入閣は捜査逃れと見られ、裁判所はルラ氏の入閣に待ったをかける始末である。ブラジルではいま日系企業まで影響を受けて国中が混乱の最中にある。オリンピック開催まで残りあと5ヶ月である。はてさてこれからどうなることやら。北朝鮮とは別の意味でブラジルの先行きが心配である。