一昨日は東日本大震災発生5年目の1日だった。震災発生後の5月に初めて震災地の復興と被災者を支援するクラシック・チャリティコンサートが新宿の東京オペラシティで行われた。爾来毎年3月11日前後にこのチャリティコンサートが開催されている。第6回目の今年は、今日午後同じ東京オペラシティで開催された。
今日のコンサートに当たっては、予め事前に妻が入場券を予約していたので、車で会場のコンサートホールへ出かけた。コンサートの正式名は「東日本大震災復興支援 チャリティ コンサート」と名付けられ「クラシック・エイドVol.6」と副題が掲げられていた。
プログラムを見て著名なオペラ歌手や楽器演奏者に胸の高まるような期待をしていた。幸い前から2列目の座席に妻と並んで座っていた。1部と2部に分かれていたが、驚いたことに2部開演の直前になって後部座席の方からざわざわした物音がして、聴衆が立ち上がったので振り向いたところ2階中央最前部席に、何と天皇・皇后両陛下が着席されようとしておられた。両陛下とも手を挙げ聴衆の拍手にお応えになっておられた。場内放送は特になく、出演者も特別両陛下に対する言葉もなく、ごく自然に次々とパフォーマンスは続けられた。
第1部は渡辺一正(以下敬称略)のチェンバロによる指揮、とヴァイオリンのアンサンブルによるバッハの協奏曲、金子三勇士と中野翔太のピアノ合奏による「ジュピター」演奏、そして第1部の終わりに昨年総理大臣賞を受賞した県立郡山高校合唱部が混声合唱を披露してくれた。
第2部では、ソプラノの森麻季、メゾ・ソプラノの林美智子、テノールの錦織健が迫力満点に自慢ののどを聞かせてくれた。もうひとり期待していたのは、「左手のピアニスト」館野泉のピアノ独奏だった。残念だったのは、座席が正面に向かって右側だったので、左手で鍵盤を叩くシーンを見ることが出来なかったことだ。他にピアニストとして著名な横山幸雄、山岸茂人ら多彩な音楽家が名曲を奏でてくれ2時間半に亘ってたっぷり一流のパフォーマンスを楽しませてもらった。最後に森麻季と郡山高校生が震災支援歌「花は咲く」を唄った後、アンコールに応えるように出演者全員と会場が一体となって「故郷」の大合唱となり幕を下ろした。
天皇・皇后両陛下も堅苦しい公式行事とは異なり、お好きなクラシックを幾分かはエンジョイされたのではないかと思う。終演後聴衆の拍手の中を手を挙げて会場を立ち去られた。
楽しいコンサートだった。光栄にも両陛下と同じホールで同じクラシックを耳にすることが出来たことは良い思い出になった。
偶々今月のNPO法人「JAPAN NOW観光情報協会」紙のコラム欄に、1964年1月箱根スケート国体開会式にご出席されるため当時皇太子・同妃殿下であった両陛下がロマンスカーで箱根へ向かわれたが、その時玉川学園前駅1号踏切で周辺警戒のため臨時に踏切番に狩り出された思い出話を寄稿したところだが、両陛下に格別身近な印象を持ったのはそれ以来である。
妻ともどもすっかり好い気分になって、そのまま近くのハイアット・リージェンシー東京で贅沢なディナーを済ませて鼻歌混じりでご帰還となった。今日は久しぶりにクラシック音楽を両陛下とともに素晴らしい雰囲気の中で堪能する幸運に恵まれた。今夜はきっと良い夢を見られるだろう。