アメリカ大統領選の共和党候補者の指名が確実されるドナルド・トランプ氏に対する反論や批判が激しくなった。米中間の貿易赤字がアメリカにとって大幅な赤字であることについて、中国を盗人呼ばわりする過激発言に対して中国外務省も不満を滲ませる反論を返した。日本に対してはやはり貿易問題を持ち出し、日本車のアメリカ国内への輸入については、すべての車に38%を課税すると乱暴な物言いで、一体どこまで本心で話しているのか分からないくらいである。
偶々アメリカを訪問中の石破茂・地方創生相は、トランプ氏の日本の核保有容認発言に対して核不拡散条約(NPT)体制の脆弱化を招くと批判し、同時に米軍による日本防衛の対価として駐留経費全額を求めるとの発言にも日米安保条約条文をよく読んでほしいと注文もつけた。石破大臣は、日本の閣僚として最初にトランプ発言を批判したが、他にも批判的な自民党員は多いようだ。日本のみならず、他の海外諸国、特に難民問題に悩まされている国にとってトランプ発言は、言いがかりとか無用な混乱を招くと非難されている。演説会場へ登場の際流されるBGM曲をローリング・ストーンズから認めないと言われる有様である。
時恰も昨日行われたロンドン市長選で、欧米の主要都市では初めてトランプ氏が嫌うイスラム系労働党下院議員のサディク・カーン氏が当選したこともトランプ氏にとっては逆風だろう。ヨーロッパでもこれから益々トランプ批判が強まるだろう。それでも意に介さず、過激な発言を繰り返しているのは、政治家として空気が読めないセンスに欠けるからだろうし、詰まるところトランプ氏の人品骨柄のせいだろう。そう言えば、あまりの言いたい放題に、共和党内でも対応に苦慮し、大物共和党員がほとんど7月に開催される共和党全国大会へ出席しないと述べている。こんなことは共和党が劣化の道を辿ることであり、トランプ問題の根本的解決にはならないと思うのだが・・・。
支持者は主にブルーカラーの白人と言われるが、アメリカ社会でややはみ出した貧困層の一部にしか支持されていない。いずれにしてもこの御仁には世話が焼ける。何とか本選では民主党候補者がトランプ氏を打ち負かしてほしいと思う。