3281.2016年5月7日(土) 困ったトランプ氏の言動

 アメリカ大統領選の共和党候補者の指名が確実されるドナルド・トランプ氏に対する反論や批判が激しくなった。米中間の貿易赤字がアメリカにとって大幅な赤字であることについて、中国を盗人呼ばわりする過激発言に対して中国外務省も不満を滲ませる反論を返した。日本に対してはやはり貿易問題を持ち出し、日本車のアメリカ国内への輸入については、すべての車に38%を課税すると乱暴な物言いで、一体どこまで本心で話しているのか分からないくらいである。

 偶々アメリカを訪問中の石破茂・地方創生相は、トランプ氏の日本の核保有容認発言に対して核不拡散条約(NPT)体制の脆弱化を招くと批判し、同時に米軍による日本防衛の対価として駐留経費全額を求めるとの発言にも日米安保条約条文をよく読んでほしいと注文もつけた。石破大臣は、日本の閣僚として最初にトランプ発言を批判したが、他にも批判的な自民党員は多いようだ。日本のみならず、他の海外諸国、特に難民問題に悩まされている国にとってトランプ発言は、言いがかりとか無用な混乱を招くと非難されている。演説会場へ登場の際流されるBGM曲をローリング・ストーンズから認めないと言われる有様である。

  時恰も昨日行われたロンドン市長選で、欧米の主要都市では初めてトランプ氏が嫌うイスラム系労働党下院議員のサディク・カーン氏が当選したこともトランプ氏にとっては逆風だろう。ヨーロッパでもこれから益々トランプ批判が強まるだろう。それでも意に介さず、過激な発言を繰り返しているのは、政治家として空気が読めないセンスに欠けるからだろうし、詰まるところトランプ氏の人品骨柄のせいだろう。そう言えば、あまりの言いたい放題に、共和党内でも対応に苦慮し、大物共和党員がほとんど7月に開催される共和党全国大会へ出席しないと述べている。こんなことは共和党が劣化の道を辿ることであり、トランプ問題の根本的解決にはならないと思うのだが・・・。

 支持者は主にブルーカラーの白人と言われるが、アメリカ社会でややはみ出した貧困層の一部にしか支持されていない。いずれにしてもこの御仁には世話が焼ける。何とか本選では民主党候補者がトランプ氏を打ち負かしてほしいと思う。

2016年5月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3280.2016年5月6日(金) ドナルド・トランプ氏でアメリカは大丈夫か。

 今朝9時半ごろから北朝鮮・平壌で第7回朝鮮労働党大会が始まった。今回異例とも言える100人を超える外国人取材陣を受け入れたが、会場内への入場を認めず建物「4.25文化会館」から200mほど離れた場所からの取材に限られた。これでは取材にならない。単に最近の首都平壌市街の風景を映像に撮るだけに終わってしまう。まだ始まったばかりでもあり、今後カーテンを開けるのを待つより取材陣としては打つ手がない。

 金正恩第1書記の指導体制の確立を内外にアピールする狙いからいずれ大会の様子は伝わって来るだろう。それにしても早々と準備を進めて来た割には、会期が何日間かもはっきりしていないのも、国家行事としてはお粗末に過ぎる。

 所詮北朝鮮の「子ども(金正恩)の日」の式典では、ドジも失態もやむを得ないだろう。

 さて、今日はアメリカでも「子どもの日」を迎えたようだ。子どもっぽい演説を繰り返していたドナルド・トランプ氏が、アメリカ大統領共和党候補者になることがほぼ確実になった。一昨日テッド・クルーズ上院議員、そして昨日はジョン・ケーシック・オハイオ州知事らライバルの選挙戦撤退によりトランプ氏が勝ち残ることになった。

 しかし、このトランプ氏の勝利は世界中を驚かせている。不動産王として確かに事業では成功を収めたが、彼の言動から推してとても最後まで大統領レースに勝ち残るとはとても思えなかった。況してや百戦錬磨の強者が揃っているアメリカ政界のトップレースで勝利を収めるとはあまりにも意外な結果だった。事業家としての実績はともかく、政治家としてはまったくその実力は未知数であり、政治活動の処女戦であるアメリカ大統領選で勝ち続けるとは、常識的にはとても考えられなかった。

 トランプ氏の主張を聞いていると、考え方としてアメリカ第一主義を唱え内政に努めて大国アメリカの復活を担うとの意気込みが窺える。はっきり言ってこれまでのアメリカの積極的外交に比して明らかに内向きである。これまで世界の警察官として国際紛争解決のために自国軍隊を海外へ派遣したが、最早アメリカにはその財政的余裕がないから、受入国は全経費を負担せよとの思いがけない言い分である。自分の方から進出していてその必要経費を負担せよとは、随分身勝手な言い分ではないか。

 アメリカ軍の駐留はほとんどアメリカの一方的な自国の世界戦略に基づく押しかけ駐留である。米軍の駐留により、受入国は防衛面で支援されている面は確かにある。だが、想像外の好ましくない問題が派生したことも数限りなくある。そこでお互いが話し合って必要経費を受入国が一部負担することになった。日本国内における米軍駐留についても長年日米安保条約に基づいて相互の費用分担について一応の決着をみている。アメリカ国防省は、在日米軍の経費として約5830億円を支出しているが、日本政府は「思いやり予算」として年間1900億円を供出している。これが妥当かどうかの議論は別にしても、トランプ氏の乱暴な主張によって全額負担となるなら、アメリカにも家賃以外に迷惑費として在日米軍基地存続に付随する経費を負担してもらわなければなるまい。

 その他にも日本と韓国に核保有を認める発言をしているが、それで一番困るのはむしろアメリカ自身ではないのか。この辺りはまったく外交が分かっていないド素人である。また、メキシコとの国境に壁を構築して、その費用をメキシコ政府に負担させるとか、イスラム教徒の入国を認めないとか、移民を認めないとか、アメリカの歴史がどうやって出来上がったのかということを否定するような言い方である。

 アメリカ人ではない外野の我々が最も理解できないのは、アメリカ国民がどうしてこういう血迷った人物を国家の代表であり、世界のリーダーでもあるアメリカ大統領に選ぼうとするのか不思議でならない。その意味ではアメリカ人の本音やその思考回路が分からなくなるし、アメリカ人の行動パターンが信用できず不安である。トランプ氏のような人物をアメリカ大統領に選んでは世界にとって間違いなく不幸である。トランプ氏のような野卑で下品な人物が、これ以上のさばらないよう望むばかりである。

2016年5月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3279.2016年5月5日(木) 明日から北朝鮮労働党大会36年ぶりに開催

 明日から北朝鮮では36年ぶりに朝鮮労働党大会が開催される。3月ごろから国威発揚のつもりで頻繁に核実験やミサイル打ち上げを行っていたが、世界中から顰蹙を買っている。その逆風の中で、北朝鮮では昨日辺りからしきりに首都ピョンヤンの街頭風景と新しい高層ビル、マンションの目新しい風景を映像で流しては、これまでとは変わったイメージを伝えている。前回大会では金日成初代国家主席もまだ健在で、社会主義国家だったソ連、中国、東欧諸国から多くの要人を招いた中で5時間の長いスピーチを行った。金正恩第一書記の父親・金正日国家主席が後継者としてデビューした場でもあった。今年は国連を中心とする厳しい経済制裁の影響と不調な外交関係もあり各国要人を招いていないようだ。その反面アメリカを中心とする世界約10カ国から100人のメディア関係者を受け入れ、北朝鮮の現状を世界へ向けてアピールする腹のようだ。

 実は、昨日からピョンヤン市街の最近の画像を随分見せられて異様な感じを持った。これまで経済制裁と天候異変による凶作に喘ぎ、決して豊かではない北朝鮮の様子が想像とは随分違っていたことである。入国を認められた外国メディアが撮影した映像が、予想とは裏腹に豊かで落ち着いた市内の光景を伝えているのだ。新しいいくつもの高層ビル、整然とした市内、数が増えたと言われるタクシー、身なりのきちんとした人々、携帯電話を使っている市民の姿などは、これまでの北朝鮮のイメージとはまったく合わないものである。

 これには当然ながら理由がある。まず、国連の経済制裁なんかにはひるまず経済発展を続けている国家の宣伝活動である。特にここへきて金正恩第一書記体制の安定した統治を普く世界へ訴えようとの考えのようだ。

 しかし、この一見繁栄を見せつける思惑の陰で農村部などでの貧しい暮らしぶりは覗えない。外国人報道人らには、視察・訪問に制限を加えて都合の悪い場所は見せないようにしている。結局北朝鮮は本当の姿をどこまで見せようというのだろうか。

 明日金正恩第一書記はどんなスピーチをして存在感をアピールし、同時にどのように盤石な体制を築いたことを見せつけることができるのか注目される。

 今日は日本では「子どもの日」だが、明日は北朝鮮の「子ども(金正恩)の日」である。精神的に健やかに成長することを望みたいものである。

2016年5月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3278.2016年5月4日(水) テレビ東京の理不尽をBPOにアピール

 早朝から風が強いが、全国的に気温は高く都心でも27℃、奥多摩地方では30℃を超え今年初めての真夏日となり、今年最高の暑さとなった。困ったことに先日近くの郵便ポストが撤去されたため、止むを得ず強い風が吹きつける中をわざわざ郵便局のポストへ手紙を投函に行った。

 この手紙は放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会の委員長以下9名の委員に宛てて、テレビ東京による戦没者遺骨収集事業の虚偽放送と湯川秀樹博士の経歴に関して不注意なミスを2度までも犯したこと、そしてそれらを指摘したにも拘わらず、却って同社から不誠実で理不尽な対応を受けたことで調査をお願いしたものである。この件について放送の公共性と責務からテレビ東京への指導をお願いしたもので、A4版用紙5頁に亘りびっしり私の考えを具体的に書き詰めたものである。同委員会は川端和治委員長以下弁護士3名、映画監督1名、大学教授2名、ジャーナリスト・エッセイスト3名で構成されている。エッセイスト岸本葉子さんは高校の後輩である。どんな対応をしてくれるかは何とも言えないが、テレビ東京のあまりにも視聴者を無視し、取り合おうとしない上から目線の対応にしびれをきらして告発状を送ったものであり、希望的には何らかの意見を伺わせてもらえれば有難いと思っている。

 さて、終盤戦に入ったアメリカ大統領選挙インディアナ州予備選で共和党候補者ドナルド・トランプ氏がテッド・クルーズ氏に対して旗色が悪いとの前評判だったが、圧勝したことによりクルーズ氏は選挙戦から撤退することを表明した。この結果、トランプ氏の共和党大統領候補指名獲得が確実となった。これでこれまで対抗馬だったクルーズ氏をこき下ろしていたトランプ氏は、クルーズ氏がトランプ支援に回ると述べたことを受け、一転してトランプ氏をべた褒めである。撤退を表明するクルーズ氏に付き添うようにした1人の女性は、恐らく夫人であろうが、涙目でクルーズ氏を見つめている姿は哀れを誘うが、男同士は裏取引がまとまったのではないかと穿った見方をされている。つまり、トランプ氏が大統領に選ばれた暁には、クルーズ氏が副大統領に就任するとの約束だ。

 一方の民主党では、やはり勝つだろうと予想されていたヒラリー・クリントン氏がバーニー・サンダース氏に敗れた。若い層を取り込めなかったのが敗因と見られている。しかし、現状ではクリントン氏が依然優位にある。もし、このまま11月の本選挙でクリントン氏とトランプ氏が相まみえた場合、厄介なことになると考えている。特にトランプ氏の場合、大国アメリカの復活、アメリカ第一主義を叫ぶあまり少しでもアメリカにとって不利な外交関係を結んでいる国々に対して、バッシング発言を繰り返しており、恐らく世界中から歓迎されないスピーチを浴びせられるだろう。それでも多少本選を意識したのか、当選したらアメリカと同盟国双方が利益を得られる外交をとこれまで決して言ったことがないようなことを言い始めている。日本もアメリカも政治家というはどうもその言動が素直に受け取れない。

2016年5月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3277.2016年5月3日(火) 憲法改正に国民の意識は健全

 今日5月3日は、言わずと知れた憲法記念日である。戦後まもなく発布されて69年になる。昨今は「昭和の日」「みどりの日」「こどもの日」に挟まれ、「メーデー」も影が薄くなってきた。その中で真剣に考えさせる祭日は「憲法記念日」だけである。流石に新聞は憲法問題に大きなスペースを割いている。安倍反動内閣が誕生して早3年となり、安倍政権が憲法改正を企んでいることは明白であり、これからどんな足取りを辿って誓願成就をしようというのだろうか。前回の総選挙の結果、自民・公明党の与党が2/3以上の衆議院議席を獲得し、憲法改正のひとつのステップはクリアした。参議院ではまだ2/3を獲得できず、来る7月の参院選でどの程度議席を確保できるかによって憲法改正への道筋が変わってくる。

 ところで国民の憲法改正に関する意識はどうだろうか。朝日新聞の世論調査によると、「憲法を変える必要がない」という声が、昨年の48%から55%に増えた。その一方で、「変える必要がある」は、43%から37%に減った。憲法改正の動きの中で、憲法に指揮権発動的危険性が伴う緊急事態条項に賛成は33%で、反対の52%が上回った。このままなら国民の意識はまず健全というところだ。ところが、今日開かれた憲法改正反対グループと新しい憲法を作る会がそれぞれ会合を開いたが、後者のある会では、ヨーロッパへ出かけている安倍首相がテレビ画面で、「憲法を変えさせないとか、指一本触れさせないという声には耳を傾けない」ような主旨のメッセージを送った。国民は健全だが、首相の考えが健全ではないことを図らずも露呈した。

 さて、今日のサッカー、イングランドのプレミア・リーグで万年下位の弱小チームのレスターが、創部以来132年間の歴史上初めての優勝を飾ったことが、世界中のサッカー・ファンを驚かせている。しかも、初優勝チームの中で活躍したのが、日本代表の岡崎慎司選手だからテレビが取り上げて騒ぐのも無理もない。シーズン前には、レスター優勝の掛け率は、5千倍だったというから途方もない。イギリスにも面白い譬え話をする人が多いようで、その5千倍の優勝確率というのは、プレスリーが生きている確率や、ネス湖でネッシーが見つかる確率に匹敵するという。因みにラグビー日本代表がワールドカップで優勝する確率は67倍だった。岡崎選手も移籍した1年目で自らびっくりする大番狂わせに酔いしれている。当分イギリス国内はこの132年目の正直に話題持ち切りだろうが、明日の朝刊には岡崎選手はモテモテだろう。久しぶりに愉快な話題である。

2016年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3276.2016年5月2日(月) 極東国際軍事裁判と昭和天皇

 GWの中休みと言うには、過激すぎる現象がある。今日日経平均株価が518円も急降下すると同時に、円高も106円台にまで進んだ。アメリカ国内で囁かれていた、根も葉もない根拠の日本の財政当局による円安誘導へお灸をすえる案もこれでひとまず一時停止となるだろうか。

 さて、明日は憲法記念日であるが、同時に戦後日本の大きな精神的な影となった極東国際軍事裁判が1946年に始まって70年目の1日でもある。2年半の長い時間をかけて審理を尽くし、48年11月に判決が言い渡された。今日に至るも専門家の間でも、一般の人々の間でも正当性や公平性に疑問、不満がくすぶっている。絞首刑となった7人のA級戦犯の人選にも疑問が残されたが、判事団のひとり、インドのパル判事は侵略の定義は困難として被告全員の無罪を主張したことが頭に残っている。今日の日本では、裁判の判決に異を唱える人の中では戦後世代が多いという。

 その中で今日最も禍根を残したのは、78年の彼らA級戦犯の靖国神社への合祀だろう。これが政治家の靖国参拝を巡って中韓両国からとかくの批判を浴びている。私自身も戦友会の方々と何度となく靖国神社へ参拝している。それは決してA級戦犯を慰霊するのではなく、戦友会のお仲間で戦没された方々への慰霊のつもりであった。A級戦犯のひとり、板垣征四郎陸軍大将の子息正氏は長年日本遺族会事務局長を務められていて遺骨収集事業で随分お世話になった。広田弘毅に因んだ広田通りも鵠沼の実家近くにあった。

 その他にやはり気がかりなのは昭和天皇の戦争責任論である。この問題には結論が出されていない。アメリカは戦後占領統治をやり易く実施するために天皇の戦争責任を追及することを恣意的に避けたが、これは公平に見て正しい選択だったのだろうか。アメリカの立場に立てば、彼らの深謀が窺える。それは広島・長崎への原爆投下についてアメリカに責任はないとするアメリカ世論を生み出すきっかけになり、言い訳のひとつにもなっていないだろうか。これが今もアメリカ現職大統領が広島と長崎を訪れない大きな理由となっている。結局納得できる結論を出さないとウヤムヤはいつまでも残り、後顧に憂いを残すということになる。

 微妙な問題を孕んでいて未だに在野には天皇有責任論には触れたがらないアンタッチャブルな風潮があるが、果たして本当にそれでよいのだろうか。国としてきちんと向き合っていないように思う。つまり日本人として天皇の戦争責任問題について明確な結論を出していない。戦時中の天皇の写真を見ると、どう見ても近寄りがたい絶大な権力を有し、飛びぬけた最上位の座から下命しているような様子が読み取れる。そして「天皇陛下万歳!」「天皇陛下のために命を投げ出す」などという国民の言葉は、最高権力者として君臨した天皇には責任がなく、天皇ご自身は知らなかったというような話にはならないと思う。

 極東裁判から70年も経ち、昭和天皇も世を去った今感情論とは切り離して、反省すべきは反省して正しい歴史認識と戦争責任というものを整理しておいた方が後世のためには良いと思っているが、どうだろう。

2016年5月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3275.2016年5月1日(日) 年々静かになるメーデー

 今日から爽やかな五月である。5月1日と言えば、かつてはメーデーとして労働者が華やかに通りを歩いてはシュプレヒコールを上げ、代々木公園に集合して社会党や共産党、或いは総評幹部らの激励を受けて賃上げを勝ち取るぞと威勢の好い雄叫びを挙げていたものである。それがいつのころからか、静かなメーデーとなり、新聞でもテレビでもメーデーについてほとんど触れられない時代になってしまった。

 それは東西対立の雪解けから、ソ連や東側諸国の社会主義体制が崩壊したことが何といっても大きい。カリスマ的に労働者が最も敬われていた社会主義国家における体制崩壊により、徐々に労働者が現実社会の混乱に巻き込まれ、厳しい生存競争に追い詰められ右往左往している間に力を失っていくことになった。一方で社会主義体制を打ち破った資本家は、経済発展の過程で利益を上げることに注力し、そのおこぼれを賃金アップという形で労働者に還元して従わせた。飼いならされた労働者は、スト権を放棄して従順な飼い犬となった。この変化が近年の静かなメーデーとなった労働者の根底にある行動パターンである。

 経済力の向上とともに、富める者と貧しい者との格差はどんどん広がっていく。対資本闘争や反体制デモが巷に見られなくなった原因は、労働者が幾ばくかのお小遣いをいただくことに甘んじて、以前より豊かな暮らしを送ることができるようになったからである。しかし、実際には資本家と労働者の貧富格差は年々拡大しているということを知っておくことが大切である。

 新聞、テレビでほとんど報じられなかったが、ネットで情報を得たところによると今日代々木公園で開かれたメーデー中央集会では、次のようなメインスローガンを掲げていたようだ。

・戦争法廃止  立憲主義、民主主義を取り戻せ!

・明文改憲反対  STOP!安倍「暴走」政治  戦争法廃止へ野党の選挙協力を

・なくせ貧困と格差  大幅賃上げ実現で景気回復

・いますぐ最賃1000円に  全国一律最賃制の実現

・壊すな「8時間労働」  労働法制改悪反対、働くルールの確立

・年金・医療・介護など社会保障制度の拡充

・消費税10%増税の中止  TPPの国会承認反対

・被災者が希望の持てる復興  原発の再稼動反対  原発ゼロの日本

・集団的自衛権の行使容認撤回  特定秘密保護法の廃止と共謀罪・盗聴法反対

・安倍「教育再生」ストップ

・辺野古新基地建設反対  オスプレイ配備・訓練反対

・核兵器の全面禁止・廃絶

 ちょっと欲張り過ぎているし、やや現実感には欠けるような気もするが、どうだろうか。

2016年5月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3274.2016年4月30日(土) 朝日新聞の記事は公平か。

 朝日新聞社の元論説主幹で主筆だった若宮啓文氏が一昨日訪問先の北京で客死された。海外で客死されたジャーナリストとしては、ヘルシンキ・オリンピックからの帰途ロンドンで亡くなられたNHKの和田信賢アナを思い出す。その当時まだ中学生だったが、強烈な印象として残っている。

 若宮氏は朝日新聞社を退職されたが、フリー・ジャーナリストとして活躍していたことは承知している。年齢的にもまだ68歳で彼岸へはちょっと早過ぎる。今後も若宮氏独自の視点からリベラルで建設的な論調を期待していただけに実に惜しい。氏は朝日社内でも異色な行動で存在感があり、かなり思い切ったことをやるタイプではなかったかと思う。世界中を颯爽と駆け巡り美人秘書を連れ海外へ行ったことが週刊誌にスキャンダラスに取り上げられて物議を醸したこともあった。とにかく良いにつけ悪しきにつけ話題の人だった。

 ジャーナリストとしては一流レベルの人で、私も氏の斬新な切り口の文章を何度も納得して読んでいる。氏を最も有名にしたのは、4年前に海外新聞幹部とともに大統領復帰前のプーチン首相と会見して、北方領土問題を日ロ引き分けで解決しようとの発言をプーチン首相から引き出したことである。

 その若宮氏が例えいかに優れた朝日OBとは言え、昨日の朝刊は氏の写真入り4段記事で大々的にその死を伝えたのは少々やり過ぎで如何かと思う。そのうえ昨日に引き続き、今日もまた大きく若宮氏の死を取り上げた。今朝の第3面の半分を若宮氏の死亡記事に割き、ライバル読売の渡辺恒雄会長の「親友として敬愛していた」などと思いも寄らないコメントを載せたうえに、「中韓からも哀悼」との誘い見出しで国際面に、北京で開催予定の「日中韓公共外交フォーラム」の中韓関係者から、出席予定だった若宮氏の死を惜しむコメントを大きく取り扱う仰々しさである。

 天下の公器とされる新聞記事の取扱いについて、異常とも思える自社元社員の死にのめりこんだような取り上げ方は、聊か常軌を逸していると考えざるを得ない。これでは元自社社員を称える記事ばかり目立って紙面がいびつな構成になっていることに気が付かないのだろうか。昨今朝日が陥っている典型的な言行不一致、バランス感覚欠如、読者無視の表れである。行き過ぎた自社社員賛美記事は、とても公平な紙面作りとは言えない。尤もこれが近年の朝日流儀なのだろうか。

 実は朝日は、23日付朝刊にも2月に亡くなった同社社主お別れの会の模様を2段記事扱いで載せている。ここでも「天下の公器」を堂々私物化している。最近朝日とのやり取りを通して、庶民とは別格と吹聴する思い上がった「朝日人」の上から目線意識が鼻持ちならないと強く感じているが、こんなところにも傲慢朝日の他人を見下す「俺様意識」が見られる。

 普段周囲からのプレッシャーに耐えていると言いながら、自分たち身内のネタとなると大々的に伝えて自社の存在をここぞとばかりPRしようとする。しかも、読者の質問には一切応えようとせず、朝日にとって都合の悪いことは一切無視する。これが世の高齢者を蔑視、愚弄している朝日新聞の本質なのだろうか。いずれ傲岸不遜街道を得意顔で歩き転んで大けがをするのが関の山だろう。

2016年4月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3273.2016年4月29日(金) 舛添東京都知事にまつわる乱脈な公的出費

 昭和なら今日は旗日の天皇誕生日に当る。今では昭和の日というごく普通の祭日になった。しかし、今日から多くの人々にとって楽しみでもある連休GWが始まる。この間多くの人々が海外へ出かけたようだ。その意味では平和な光景と言えよう。我が家では、長男が偶々出張で上京してきたので、孫2人を含む二男家族4人とともに7人で風の強い中を多磨墓地と中野の宝仙寺へお墓参りへ出かけ、帰りに夕食をして和気藹々の内にのんびりとした半日を過ごした。

 ところで、相変わらず熊本地方の地震は余震が相次ぎ、土砂災害が各地で起きている。昨日で発生以来2週間が経過した。この間震度1以上の揺れは1037回を数えた。これは昨年1年間に全国で感じた同じ揺れ1842回に比べて如何に多いかが明らかである。震度4以上に至ってはこの2週間に感じた97回は、昨年1年間に全国で同じ揺れが僅か44回だったことを考えると、今回の地震の異常さが分かる。

 さて、いま問題になっていることのひとつに東京都舛添要一知事の過剰な海外出張旅費がある。知事は一昨年2月に就任して以来すでに9回海外出張をしている。都知事が海外出張すること、そしてそれなりの費用がかかることは業務上から考えてある程度認められる。東京都は日本の首都であり、海外の大都市、首都との交流や、共同行事もあり視察した方がメリットがあることが多い。特に大きな国際的な行事やイベントには、地方行政のトップとして現地を訪れ、土地の人と会い事物を見て臨場感に触れることは大切である。況してやラグビー・ワールドカップやオリンピックを控えて、敵情視察は欠かすことはできない。

 問題はその程度問題だと思う。いかにセキュリティ面とか、要人との会談場を準備したり視察には想定以上の費用がかかるといっても、そこには自ずから限度がある筈である。しかも、東京都の条例には出張の内規がある。舛添知事の場合は、放漫と受け取られかねないほど規定額を大幅に上回る出張経費が支払われていた。加えて最近明かされた情報では、知事は週末になると湯河原の別荘に出かけてはその都度公用車を使用し、公私混同だと非難されている。舛添知事の日頃の思い上った人間性は自らの行動には甘くなり、指摘されると海外出張費と公用車使用のいずれも業務で行っていることで認められるべきだと傲慢にも居直ることである。誰がこんな身勝手な言い分に素直に納得するだろうか。普通ならはたと気付いて、内規の中で収めるとか、車は自家用車を使うとか、もっと納税者を納得させることが言えないのだろうか。黒岩祐治・神奈川県知事や片山善博・元鳥取県知事もあまりにも高い宿泊費を厳しく批判し、呆れている。

 都民税を納めている我々としても、舛添知事に対してはもう少し謙虚に反省して然るべきではないかと一言言いたい。

2016年4月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3272.2016年4月28日(木) 外国人向箱根パック商品の再開発

 地震発生からちょうど2週間が経過して、熊本、大分では相も変わらず余震が続き、自宅に住めなくなった避難者は4万人近くに達している。この間震度1以上の地震回数は1千回を超えた。仮設住宅の建設も急ピッチで進んでいる。

 どうにも落ち着かない日本列島であるが、昨年の今ごろ箱根でも火山活動が活発化して立ち入り禁止区域が設定され、小田急グループでも箱根ロープウェイが区間運休の厳しい自制措置を取らざるを得なかった。それがほぼ1年ぶりに、去る23日姥子~大涌谷間が解除されホッとしたが、このロープウェイ路線は大涌谷~早雲山間の大涌谷上空を通過するところが醍醐味であり、その点ではまだ充分とは言えない。気象庁によると箱根山の火山活動は落ち着いてきているが、火口や噴気孔ではまだ活動が続いているそうだから、果たしていつ以前のように箱根観光を楽しめようになるか現時点では分からない。憂鬱である。

 これに関連して今日小田急電鉄の山木社長に宛てて、かつて在職中私がプロジェクト・リーダーとなって企画開発した外人向箱根パッケージ商品の再企画を検討されるよう提言した書状を送ったところである。1982年1月、この華麗なるパック商品はデビューした。1人でも参加できる外国人観光客用ツアーと銘打ったユニークなツアーで、JNTO(元国際観光振興会)などからも高い評価をいただいた。American Expressでも同社の旅行雑誌に‘AN UNUSUAL TOUR OF JAPAN’S  MT.FUJI-HAKONE AREA’とこのパック商品を好意的に紹介してくれた。残念ながら当時は時代的にやや早かったせいと、我々に販促力が伴わなかったために、期待した成果を上げられず中途で挫折してしまった。あれからすでに34年が経った。旅行マーケットも変貌したが、とりわけ外国人旅行者の数が増えた。その意味では外国人旅行客が増加しつつある今こそ、このパック商品は受け入れられると信じて、その再企画を社長に提案したところである。実は去る15日に社友会でお会いした折、このパック商品について社長とお話をしてご関心があるように感じたので、30年以上も前の資料を添えて再企画を提案させていただいた。

 どんなご回答をいただけるか何とも言えないが、これこそ箱根ロープウェイが全線復活した折には、復活記念として地域を活性化させるパック商品でもあると思っている。何とかニュー・パック商品の再登場を期待したい。

2016年4月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com