このところ土曜日になると韓国の首都ソウルで反朴槿恵大統領デモが起きて、回を重ねるごとにその数が増している。過去5週連続して行われたデモで、先週は27万人もの市民が大統領退陣を求めて参加した。大統領への支持率も下がり続け、ついに僅か4%にまで低下した。野党が大統領弾劾の声を上げるや、与党内の非朴派議員も同調する流れになり、与党で議員28人以上が弾劾に賛成すれば、弾劾は成立することになる。このところ与野党間で大統領の首に鈴をかけるような動きをしている。そんな時に、大統領は弾劾によって職を退く不名誉を避けようとしたのか、今日午後記者会見でついに任期内に退陣する考えを発表した。韓国では、1987年の民主化以来任期途中で辞めた大統領は初めてである。これまで粘りに粘って決断を下さなかった大統領が、事ここに至ってついに自ら決断を下した。韓国人に対するソウル市内の街頭インタビューでは、大統領がこれまで自分で決断しないことを批判していた。
さて、フランスでも来年4月に行われる大統領選挙の前哨戦である最大野党の共和党候補者に、サルコジ政権の下で首相を務めたフランソワ・フィヨン氏が選ばれた。フィヨン氏は中道右派とされ、右翼・国民戦線のルペン党首と争うことになる。現職のオランド大統領の人気があまりぱっとせず、フィヨン氏か、ルペン氏のいずれかと大統領選で争うことになるが、現時点では大統領が所属する与党・社会党からも何人かが立候補の意思表明がある。移民問題を抱えてヨーロッパでは、今これまで以上に右傾化の傾向が見られ、トランプ次期米大統領ともども世界的に保守傾向が強まってくるようだ。
そのトランプ氏とヒラリー・クリントン氏の選挙戦の結果のうち、投票数が分からなかったミシガン州では漸く投票結果を発表した。ミシガン州でもトランプ氏が勝った。トータルでトランプが勝ち取った州は30州、獲得選挙人は306人、獲得投票数は6,238万人(46.5%)に対して、クリントン氏は20州+ワシントンD.C.、232人、6,447万人(48.1%)となり、獲得選挙人数では圧倒的にトランプ氏が優ったが、獲得投票数ではクリントン氏が200万人以上もリードする結果となった。
決められた選挙制度によってトランプ氏が勝ったわけだが、1人1票の権利を行使して投票を終えた結果は、クリントン氏が勝った。一人ひとりが同じ1票の価値ある投票をして過半数の投票者から信頼されていながら敗北というのは、負けた方としては納得し難いだろうし、制度自体が民主主義に則ったものではないのではないかとの疑問が頭を掠める。我々部外者から見れば、理解し難い結果であるが、果たしてアメリカ国民はこの結果を当然と受け止めることができるのだろうか。