呆れたというか、馬鹿げたというか、今国会で政府・自民党は「カジノ解禁法案」の成立を目指しているのだそうだ。一強多弱になった自民党は、今や敵なしでやりたい放題である。昨年成立させた安保関連法の下で、先月陸上自衛隊をPKO活動の範囲内として駆けつけ警護などと言い訳しながら、自衛隊を内戦下の南スーダンへ派遣したり、高齢者の年金・医療費問題で高齢者に一層負担を強いるなど、我が物顔の身勝手なやり方で突っ走っている。
この「カジノ解禁法案」というのは、カジノを含む統合型リゾートの整備を政府に促す法案だというが、自民党が先頭に立って大都市の市街地に賭博場を設置しようということに他ならない。政治家がどうしてこういうモラルに反する発想に簡単に憑りつかれるのかよく分からない。3年前に自民党が主になって同法案を提出したが、廃案になった経緯がある。それがいままた再び博打奨励法案が提出された。そこにはそれなりの理由が当然ある。博打が街の風紀上、また教育上よろしくないことは分かり切っている筈である。それでいながら法律で認めさせようというのだから、何か分からない特別な事情が隠されているのではないかと勘繰らざるを得ない。
自民党の深慮遠謀は、詰まるところ憲法改正にあるらしい。自民党内にも少しは常識派の議員もいるようだが、公明党内ではむしろ反対する議員が多いようだ。しかし、党内実力者がやると言えば、それに従っている。自民・公明両与党も所詮ヤクザの世界と変わらない。
2025年に大阪万博の誘致を目指す大阪府知事で、維新の会代表の松井一郎氏は、そのためにカジノが有利と安直に考え、日頃から気脈が通じている自民党にこの法案を成立させるよう働きかけた。維新の会への協力がいずれ憲法改正に有利に働くと考えた自民党は、国民をギャンブル依存症や、反社会的勢力のマネーロンダリングへの懸念を振り切ってでも維新の会へ貸しを作る方が得策との考えに至ったようだ。自分たちの都合しか考えないのが、政治家の頭なのだ。
今の自民党政権が考えていることは、憲法改正のためにはなりふり構わず、例え賭博が非教育的であろうとも自らに利あるとするならやってみようという腹らしい。これまでギャンブルで財産を失くしている人が大勢いることを何とも思わず、その種の被害者が増えることに手を貸していることになる。賭博が悪いことが分かっていながら、逆にそそのかしている。政府・自民党のやることは、そんな程度のことでしかない。こんな好い加減な考えで国民を良き国民に、国家を誇れる国家へ導いて行けるのだろうか。