3582.2017年3月4日(土) 2.26事件は年々忘却の彼方へ

 今年のサッカーJリーグ開幕日の翌2月26日は、横浜FCの開幕試合だったが、出場した三浦知良選手が50歳の誕生日を迎えて世界的にも珍しいリーグ最年長という話題が派手に取り上げられた一方で、81年前のこの日発生した近代日本史上唯一の衝撃的な軍部クーデタ―とされる2.26事件はほとんど話題にも挙がらなかった。メディアの関心は、今や歴史を左右しかねなかったほど重大なクーデター事件よりサッカーにあるということだろうか。

 その2.26事件については、当日の日経朝刊の「春秋」にちょっと紹介された程度である。どうしてこのように日本が軍国国家へ一気になだれこむきっかけとなった歴史上の大事件を、毎年メディアは取り上げようとしないのか、以前から不思議に思えて仕方がなかった。

 そんな中で、流石にNHKはメディアの先覚者らしくNHK特集「戒厳司令『交信を傍受せよ』2.26事件秘録」を放映した。それを録画しておき確定申告を終えた気楽さも手伝い、今日1時間のドキュメンタリーを鑑賞し、改めて考えさせられた。

 2.26事件に関心を抱くようになったのは、中学生時代に亡父から事件のあらましを度々聞かされていたことと、大分以前に松本清張著「昭和史発掘」第5~9巻を読んで2.26事件の詳細を知り、当時の時代性と青年将校らのストイックな思想に興味を抱いたことが影響している。特に日和見主義の将官クラスのリーダーに従っていたが、見事に裏切られクーデターの中心人物となった青年将校の安藤輝三大尉と栗原安秀中尉の真摯な人柄、揺るがぬ信念、そして彼らの行動力に惹かれたことが大きい。この報道番組は、1979年作品の再放送だったが、当時は観る機会がなかった。番組では私的で貴重な電話の会話が録音され、それが再生されたもので、生々しい臨場感も特に印象的だった。安藤輝三未亡人の寂しそうで無念そうな姿も心に残るものだった。

 2.26事件について軽々に評価することは出来ないが、間違いなく歴史のひとつの断面であり、多くの人々が翻弄されたことは事実である。首都東京を4日間に亘って占拠し、高橋是清蔵相、斎藤実内相ら時の要人を殺害した前代未聞の大事件だった。若手陸軍将校と1400余名の兵士たちにとっては、ただひたすら北一輝の思想を正しいものと信じ込んだ挙句に、皇道派と統制派の主導権争いに巻き込まれ「国賊」の汚名を被せられた悲劇だった。

 昨年末亡くなられたノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さんは、教育総監だった父をこの事件により自宅の居間で殺害された。

 結局昭和天皇が青年将校らの訴えた昭和維新を拒絶したことによって、青年将校たちの志は国家反乱罪と決めつけられた事件だったが、その後の昭和史を左右した歴史上も大きな影響を与えた事件だった。そんな衝撃的な歴史上の事実からメディアが目を逸らし、社会へ正確に伝えようと努力をせずに放置しているのはジャーナリスト魂を失っているからではないかと情けなく思っている。来年こそは全新聞とも広く紹介し、テレビではドキュメンタリーはもちろん、骨のある関連ドラマを制作して欲しいものだ。

2017年3月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3581.2017年3月3日(金) アメリカ・ファーストの恨みつらみ

 国内外で種々の課題がざわついてきた。国内では問題の東京都豊洲市場移転問題が延期となった食の安全問題で、今月百条委員会が開かれるが、それに先立ち小池百合子・都知事から何かと批判されていた石原慎太郎・元知事が独自の記者会見を開き、言い分と小池批判を述べた。しかし、どうも言い訳と責任逃ればかり喋っているように思えてすっきりしない。こんな会見ならやらない方が良かったのではないか。高校の先輩で、あの威勢の良かった石原元知事も晩節を汚すようなことにならなければ良いがと気になっている。

 その他にこのところ集中的に取り上げられている国有地払い下げの正当性について森友学園の対応がメディアの集中砲火を浴びている。特に、今日まで分かった事実関係では、少しずつ森友学園の要望が通るようになった過程に政治家の介入がなかったのかどうかや、安倍首相夫人が私人として行動したのかどうか、などが大きく取り沙汰されている。

 海外では、マレーシアで暗殺された北朝鮮労働党・金正恩委員長の異母兄・金正男暗殺事件が話題になっているが、その一方で世界的に影響力の強いトランプ政権のアメリカ・ファーストの動きが無視出来なくなってきた。その中でも世界の貿易ルールを無視するが如き発言はとても容認出来るものではない。いかに母国優先のアメリカ・ファーストであろうとも、世界貿易機関(WTO)を始め、世界各国がこれまで智慧を絞り合意点を見出し、営々と積み上げてきたルールを気に入らないからといとも簡単に無視、放擲するパフォーマンスは、世界のリーダーとして恥ずかしいことではないのだろうか。

 今朝の日経紙社説に、アメリカ通商代表部(USTR)報告書がWTOは海外の不公正な貿易措置に甘く、アメリカが不利益を被ってきたと指摘したことを取り上げていた。アメリカは不公正な措置にはアメリカの国内法に基づく対抗措置をとるとして、アメリカの利益を損なうようなWTOの決定には従わないとした。自分たちの利益が守れないならルールを守らないとの理屈は、昨年中国が南沙諸島における人工島建設で、フィリピンから訴えられ国際裁判所が中国の主張と行為は国際法に反すると判断したことに、中国は受け入れられないと国際法を無視すると反論したことと何ら変わらない。その時アメリカは中国に対して何と言ったか。いみじくも中国は国際法に従うべきだと主張したのではなかったか。それが立場さえ変わると今度は中国と同じように国際ルール無視を堂々と行おうというのだ。

 日経紙は更にこう指摘している。最大の経済国であるアメリカがWTOの手続きを無視して、高関税などの対抗措置を取るようになれば、世界の貿易秩序は乱れ、報復措置が相次ぐ貿易戦争になりかねないと憂慮している。その上アメリカはこんなことも考えている。自国の法人税改革の一環として輸出を免税にし、輸入費用を課税所得から控除出来ないようにするもので、国境調整措置と呼ばれているものだ。実現すれば、明らかにWTO協定違反である。大国アメリカが何をちまちましたことばかり考えるのか。それほど自分たちだけが、良い目を見たいのだろうか。良きアメリカ、良きアメリカ人の時代はとうに去ったと言わずにはおれない。

2017年3月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3580.2017年3月2日(木) 両陛下ベトナムで元日本兵の妻に優しい言葉を

 一昨日ベトナムを訪れた天皇・皇后両陛下は今日ベトナム残留日本兵の妻にお会いになった。1950年代当時の北ベトナム政府は、ベトナム独立同盟(ベトミン)に加わってベトナム独立のために戦った残留日本兵に対しても、ベトナム人妻と子どもを残して単身帰国することを求めた。今日両陛下が会われたその日本兵妻のひとりであるベトナム人グエン・ティ・スアンさんは、3人の子どもを抱えて生き抜き今年93歳になった。日本へ帰国した夫はその後日本で結婚し子どもを3人得たが、その夫が50年振りにベトナムを訪れた時、妻は夫を待ち続けていたため再婚はしていなかった。この話を両陛下はどんな思いで聞いただろうか。

 以前慰霊団でビルマを訪れた時、慰霊団に参加した旧日本軍兵士と結婚したビルマ人妻は、夫がビルマに再び帰って来ると約束した言葉を信じて再婚せずにひたすら夫を待っていた。戦後再訪した夫は日本で結婚し子どもも儲けた。ビルマ人妻は約束を破ったと夫に恨み節を投げかけたのを間近に見ている。その時彼らの1人息子はすでにビルマ軍兵士として成人していた。傍で見ている私たちもいたたまれないような気になったことをよく覚えている。戦争は悲劇しか生まない。

 それにしても両陛下はこのように戦争により気の毒な人生を送ることになった人たちへ、優しい気持ちを伝えて少しでも彼らの気持ちを慰め、救っていると思う。中々出来ることではないと思う。

 さて、昨日ロック・ミュージシャンのムッシュかまやつさんが亡くなった。ロックミュージックには通暁していないので、彼の音楽や人柄についてコメントをすることはおこがましいが、時折テレビで観る姿にはほのぼのとするような憎めない人柄が滲み出ていたように思う。吉田拓郎が作詞・作曲した♪我が良き友よ♪が大ヒットしたことは印象に残っている。ザ・スパイダース時代の仲間だった、堺正章や井上順らもそれぞれ年齢を重ねたが、未だそれなりに活躍しているのが頼もしい。ムッシュは、私と同じ78歳だった。自分自身に照らし合わせてみてもまだ彼岸へ旅立つのはきっと心残りだったと思う。ご冥福をお祈りしたい。

2017年3月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3579.2017年3月1日(水) 平成28年青色確定申告を済ませる。

 今日恒例行事のひとつである税務署への昨年分所得の確定申告を済ませてホッとしたところである。毎年年が明けるとボチボチ書類作成に取り掛かる。そして1ヶ月近くかけて帳簿の記入に始まり、必要書類の整理から作成にいたる面倒臭い作業を済ませる。最初の内は来年こそソフトを使ってパソコンで書類作成をしようと考えたが、時間が経つとそれも忘れて、同じように手作業を繰り返している。発展性がないと言えば、その通りで少々情けない。今年も手作業のつもりでスケジュールを追ってきたが、先月半ばになって急に忙しくなり、作業が遅れてしまった。今日玉川青色申告会へ出向いて作成した資料や書類を提示して申告書類をパソコンで作成してもらい、書類が出来上がったところで申告会事務所の背中合わせにある玉川税務署へ立ち寄り、書類を提出して一連の作業を終えることが出来た。これでしばらく余裕が出来る。

 振り返ってみると昨年は2月17日に税務署へ書類を提出している。まああまり気の向かない作業だが、これで向こう1年間はのんびり出来る。

 さて、アメリカではトランプ大統領になって大分厳しい様子に変わってきたが、発言も不法移民問題に関して若干ニュアンスが変わってきた。今日上下院議会でアメリカ国内の不法移民に合法的な滞在の道を開く法律の検討を始めたと演説した。現実的でアメリカの役に立つ移民制度改革は可能だと言い出した。あれだけ強気の自己主張を繰り返してきたトランプ大統領も、やはりある面で妥協しないと運営が難しいと気づいたのだろう。「選択」3月号に「トランプは早晩『普通の大統領』になる」と書かれているが、時間とともにあの強情なトランプ大統領もエスタブリッシュメントら陰の支配者の矯正によって少しずつ世論に寄り添っていくようになると見られている。

 ただ、現時点では選挙中に訴えた①メキシコとの国境に壁建設、②TPP離脱、③オバマ・ケアの撤廃、④海外からテロリスト流入阻止、などは変える考えはないようだ。そのうえで国防費の大幅な増額、インフラ投資に1兆㌦を投資して経済を再起動することを議会に同意を求めた。さあて、アメリカはトランプ大統領によってどう変えられるのか。

2017年3月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3578.2017年2月28日(火) 安倍首相夫妻の私学とのきな臭い関わり方

 いま国会で大きな論点となっているのが、大阪・豊中市内に建設中の私立森友学園「瑞穂の国記念小学院」への国有地売却問題である。それはとても正当な相場価格と言えるものではなく、国有地の払い下げと受け止められるような大幅に値下げした価格だったからである。その背後に政治家の関わりや暗躍がなかった筈はない。当分安倍首相と追及する野党議員との間で論戦が続くと見られている。

 それと気になるのが、森友学園幼稚園の異常な教育方針である。ところがつい最近4月開校予定の小学校名誉校長を辞任した安倍首相夫人は、その教育方針をべた褒めしていたのだった。幼稚園園児に五カ条のご誓文や戦前の教育勅語を教え込ませ、中国と韓国に対する人種差別的なスローガンを暗記させ、あまつさえ「安倍首相がんばれ」とか、「安保法制国会通過よかった」のような政治的なシュプレヒコールを繰り返させている。こんなことを幼児に暗記させ、運動会で宣誓させている教育者が他にいるだろうか。明らかに教育基本法が禁じている教育の現場に政治的活動を持ち込んでいるのである。

 いくら学園理事長が超保守団体「日本会議」の役員で、自民党実力者と顔見知りであろうとも少々度を越しているのではないか。安倍首相の名前を使って寄付金を募っていたとの報道もある。

 今朝の朝日新聞に4月開校予定の小学校名誉校長をつい最近辞任した安倍首相夫人が、一昨年幼稚園の講演で述べた記事が掲載されていた。

 「この幼稚園でやっていることが本当にすばらしいんですけども、それがこの幼稚園で終わってしまう。ここから普通の公立の学校に行くと、普通の公立の学校の教育を受ける。せっかくここで芯ができたものが、またその学校に入ったとたんに揺らいでしまう」。

 これでは公立校の学校教育を誹謗し、貶めることになるのではないか。公立校で教育を受けたら支障があるかの如き発言で少々非常識ではないだろうか。この問題に安倍首相自身もさることながら当事者となった首相夫人も本人たちがどう言おうと、森友学園に深く関わっていたことは疑いようがない。夫妻揃って何とかこのスキャンダルから逃れようとしているが、堂々と学校との関わりを正直に国民に事実を説明し、国民の審判を仰ぐべきではないだろうか。

2017年2月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3577.2017年2月27日(月) 冬季アジア大会で日本メダルラッシュ

 アメリカ映画界の祭典である第89回アカデミー賞授賞式が今朝(日本時間)行われた。トランプ政権の移民政策への抗議のため授賞式を欠席した、イランのアスガー・ファルハディ監督の「セールスマン」が外国語映画賞を受賞した。代理出席した助監督がメッセージを読み上げ、トランプ大統領令は社会を分断するとしてトランプ政権を厳しく非難した。ファルハディ監督は、授賞式欠席の理由としてイランと他の6ヶ国の人々のアメリカ入国が、非人間的な決まりによって禁止されたためだと語っている。同時にトランプ政権に対しては、アメリカ人俳優らの間でも強い反対の声が上がっている。

 授賞式では、司会者が冒頭からトランプ大統領を批判し、メキシコ人俳優も分断するあらゆる壁に反対すると発言した。

 これだけ世論や、有識者らの反対の声が上がるトランプ政策を、アメリカ・ファーストと言いつつ保護主義の徹底や、テロや犯罪防止のための入国禁止とか、およそ現代社会の空気にそぐわない形で実行している。各地で多くのトラブルを引き起こすことが、果たして国のリーダーたるべき人物のやることだろうか。閣僚名簿も中々決まらず、中には辞退する人もいたが、今日陸軍大臣と海軍大臣も揃って就任を辞退した。大統領機のエンジンが中々全面稼働しないのだ。この様子では今にトランプ政権は空中分解するのではないか。考えようによっては、むしろその方がアメリカのためになるのではないかとも思う。

 さて、札幌で開かれていた冬季アジア大会で日本選手が大活躍して多くのメダルを獲得した。普段雪が降らない国から参加した選手も数多くいただけに、雪の降る日本の選手は有利であり、これを当然と受け止める空気がある。実際金メダルを獲得したのは僅か4カ国の選手だけである。その中で最近の国際大会では日本はほとんど勝てない中国や、韓国をもメダル獲得数で圧倒したから上出来だろう。全部で64個の金メダルのうち、日本が27個、韓国16個、中国12個、カザフスタン9個だった。尤も中韓に本音を聞けば、本気でやっていないとの気持ちがあるのかも知れない。

 その国際大会中にカナダのバンクーバーで行われたスピード・スケートの短距離世界一を決める「世界スプリント選手権」で、今季絶好調の小平奈緒選手が初優勝を飾った。女子選手としては初めてである。2日間に亘って2度行われた500mと1000mで1位を3度、2位1度、初日は両種目とも日本新記録を出し、得点は世界新記録だった。30歳であるが、来年の平昌オリンピックで期待される。

 日本選手もやるものだ。やはり日本選手の活躍は嬉しい。

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3576.2017年2月26日(日) ついに言論弾圧をやったトランプ大統領

 トラブル続きと言おうか、もめ事満載と言おうか、トランプ大統領の言動に反発する人々の憤りを込めた行動がクローズアップされている。オバマ政権時代に実現した心身の調和がとり難いトランスジェンダーの生徒らを保護する通達を、トランプ政権が撤回したことに対して抗議する集会がグリニッチビレッジで開かれた。抗議する人々は、オバマ前大統領のように寛容を説く大統領が当たり前だと思っていたが、トランプ大統領になってイスラム教徒ら少数派への憎悪が公然となったと語り、たった1回の選挙で社会の雰囲気がこんなに変わったことが恐ろしいと述べていた。同じく移民対策についてビバリーヒルズで映画俳優らが反対する集会を開いた。著名な女優ジョディ・フォスターさんは「移民を追い出すことは人間の尊厳への攻撃」と厳しく非難し、徐々に反トランプへの火の手が燃え上がりつつある。だが、反対が強まる一方で、トランプ支持派の数がそれほど衰えないことも事実であり、このまま時が経つとアメリカ社会は分断の傾向が強まっていくことは間違いないと思う。

 そんな折も折トランプ大統領が言論の封鎖、というか言論の弾圧をやってのけた。政権に批判的な報道陣を取材の場から閉め出し、好意的な報道機関と見られたメディアだけを選んで取材に応じた。閉め出されたメディアは、大手ではニューヨーク・タイムズ紙、CNNテレビ、イギリスのBBC、ディリーメール紙などの他、日本取材班も閉め出された。参加を認められたのは、ウォールストリート・ジャーナル紙、FOXテレビなどがあるが、良心的なタイム誌やAP通信などは取材を認められたが、会見に参加することを辞退した。

 かつてわが国でも佐藤栄作首相が報道関係者の一人もいないテレビ記者会見を行ったのを偶々テレビで観たことがある。あの時記者会見場が始まる前は満席だった。佐藤首相は、冒頭の発言でテレビはそのまま発言を伝えてくれるが、新聞は嘘をつくから嫌いだ。できればテレビだけに伝えたいというようなニュアンスのことを述べた。その時最前列に座っていた当時毎日新聞政治記者だった岸井成格氏が、全新聞記者を代表してそれでは出ましょうかと全員に声をかけ賛同した記者たちがその場から全員退場し、首相がただひとりでマイクに向かって話す奇妙な独り芝居が始まった。トランプ大統領と佐藤首相は、報道陣嫌いをこのように同じ形で演出した。

 しかし、こんな形で政権が大事な国家の政策を伝える先兵の役割を果たすメディアと対立したまま事態が進むのは、お互いどころか、アメリカ合衆国にとって、また全世界にとっても大きな不幸であり、マイナスである。トランプ大統領は頑固でそう簡単に持論を変えるとは思えない。するとこのまま事態は推移するのか。それを考えるとぞっとする。

2017年2月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3575.2017年2月25日(土) 金正男暗殺事件と国有地売却の闇

 クアラルンプール国際空港で金正恩・北朝鮮労働党委員長の異母兄・金正男が暗殺されてから10日以上経つが、事件後暗殺実行犯や指示者、或いは北朝鮮国内外の関係者の名前や行動が徐々に明らかにされ、今では北朝鮮大使館の2等書記官や、高麗航空社員らが重要参考人として名前が挙がっている。死因についてもマレーシア警察は、猛毒の「VX」が国外から持ち込まれたとの見解を示した。捜査について情報提供を求めるマレーシア側に対して北朝鮮が応じず、むしろ金正男の遺体の引き渡しを求める過程で、それぞれの言い分のぶつかりあいになり、下手をすると事態はマレーシアと北朝鮮の国交断絶へ進みかねないほど前途暗澹たるものとなった。

 これからマレーシアと北朝鮮両政府のガチンコ勝負になるのだろうが、相手が一筋縄では行かない北朝鮮故、マレーシアも相当手を焼くことだろう。

 一方、国内では釈然としない事象が起きている。安倍首相夫人が絡んだ国有財産売却が大きな問題を提起している。今朝の「天声人語」でも取り上げられているくらい異常な取引である。現在大阪・豊中市に建設中の私立小学校の土地売買を巡って今や国会でも論戦たけなわである。確かにいくつか疑問が残る。当初校名を「安倍晋三記念小学校」と名付ける予定が、首相の辞退で取り止められ「瑞穂の國記念小学院」と変えられた。その後首相夫人が名誉校長に就任することになったが、売却問題が表面化すると名誉校長のメッセージが学校のHPから消え、間もなくして首相夫人は名誉校長就任を辞退した。どうも理解し難いパフォーマンスである。問題はその間学校側と首相側に本当に何らの貸借関係も、裏取引もなかったのかという点に疑問が残されたままである。

 大体売却価格が市価の約10%と言われている。そこに何らかの恣意的な動きはなかったのか。聞けば、当該小学校を経営しようとする学校法人森友学園理事長は、保守団体「日本会議」地区代表者であるらしい。当然自民党とのパイプは強い。首相を始め、首相事務所はこの件に関して関与を否定しているが、政界の事情に詳しい人はこの状況を政治家が暗躍するチャンスと捉えているようだ。国会でも揉めているが、安倍首相だって疑いの目で見られたのでは不本意だろう。それなら自ら進んで事態解明のために手を貸すべきだろう。一日も早くこのスキャンダラスな事態をスッキリさせて欲しいものである。

2017年2月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3574.2017年2月24日(金) プレミアム・フライデー始まる。

 話題になっていたプレミアム・フライデーが今日から始まった。毎月最後の金曜日は午後3時を期して退社を奨励し、それによって消費喚起を促すことを目標にするということらしい。小売りや外食産業ではそれなりの目玉商品を準備しているようだが、問題は企業側や雇用主に早期退社にどれほどの理解があるかということだ。

 あるアンケートでは、プレミアム・フライデーが導入されたら、何を最もやってみたいかとの問いに対して、①旅行、②買い物、③外食、とほぼ予想通りの順位が示された。旅行業界や外食業界では消費が増えて経済が活性化され、狙い通りの効果が出そうだが、その一方でオフィス街の飲食店では、歓迎していないようだ。その最たる理由は、オフィス街では仮に3時に退社だとそんな早い時間帯から飲むわけにも行かず、帰宅してしまうということらしい。

 そもそもアベノミクスのイメージアップのために、周囲があの手この手を考えて実用化しようとしているのだ。これも高校同級生の実兄であるアベノミクスの知恵袋、内閣官房参与の浜田宏一博士が指南役となっているのだろうか。

 だが、アベノミクスも中々思うように景気押し上げとはいかないようだ。今日の日経平均株価をみても対前日87円安で3日連続下げている。ところが、問題発言ばかりのトランプ相場は連続10日間もダウ平均最高値を更新している好景気である。

 そのトランプ大統領は、今日また問題発言を行った。アメリカの核戦力増強に積極的な姿勢を示したのである。「核戦争なき世界」を目指したオバマ前大統領が2010年にロシアとの間で、戦略核弾道の配備上限を1550発と、両国の核軍縮で最低水準に設定した新戦略兵器削減条約(新START)に署名したことに逆らうように、見直し作業に着手しようというのである。悉く前政権の行動を否定し、その挙句に今日は側近のバノン首席戦略官・上級顧問が環太平洋経済連携協定(TPP)からの撤退を近代アメリカ史上極めて重要と自画自賛している。アメリカ・ファーストを実践出来れば、他国のことなどどうでも好いと考えているとしか思えない。

 アメリカの外交には、今後まったく期待出来ないことを証言しているようなものだ。

2017年2月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3573.2017年2月23日(木) キリスタン弾圧の映画「沈黙」を観て

 昨日公開して1ヶ月が経ち何とかして観たいと念願していた遠藤周作著「沈黙」を原本にしたアメリカ映画「沈黙」を渋谷で観ることができた。今日が千秋楽なので何とか間に合って良かった。

 映画はキリスト教が邪教として禁じられていた17世紀江戸時代の筑後藩におけるキリスト教信者への弾圧と、お上が信者に棄教を迫る惨い受難を描いた中々の秀逸作品だと思う。スコセッシ監督自身この国際映画はずっと考えて来たことの延長線上にあると断言している。あの時代にキリスタンを苛めぬいたお上の苛め方があまりにも残酷に描写されているが、どこまで事実なのかは何とも言えない。どうしても分からなかったのは、踏み絵をして棄教した信徒が果たして本当に信者であることを止めたのかという点である。当時のキリスタンがこれほどまでの厳しい仕打ち、弾圧に耐え抜いてキリスト教を守り抜いたのは、奇跡にすら思えて来る。

 実は、先日原作を買い読んではいたが、まだ半分でちょっと残念な気がした。映画のストーリーは、原作と大きな隔たりはない。もっと早めに読んでおけば良かったが、こうと分かれば今更後半部分を読む気にはならない。

 それにしても久しぶりに素晴らしい作品に出合った。アメリカ人であるスコセッシ監督が、日本人の本性、それも中世の封建国家だった当時の日本の実情を汲み取り、それを日本的に掘り下げて日本人に、また世界に向かってキリスト教受難時代の事象を訴えたのは実に見事であると思う。

 映画鑑賞の後、4月にキューバについてセミナー講師を引き受けたので、主催者と代々木のすし店で簡単な打ち合わせを行ったが、この「沈黙」について議論が高まり、集まった5人がそれぞれ「沈黙」「キリスト教」「棄教」などについて自論を話し合った。1人は本も読んだし、映画も観たと言っていた。もう1人は千秋楽の今日映画を観ると言っていた。

 そして今日は、知人の元朝日新聞カメラマンの林荘佑さんからお誘いがあった、8年前と2年前に彼が訪れたキューバを撮った「キューバ写真展」へ出かけた。今朝林さんからメールでまだ来ないが今日が千秋楽だ、体調でも悪いのかとお尋ねがあった。午後になって天候が回復したので、銀座へ出かけた。

 展示写真の中で印象的だったひとつは、サンタクララの線路内にゴミが散らかっていたが、これ以外はどこにも街中にはゴミや塵が写されていないこととである。私も昨年訪れた時にはどこにもゴミがない清潔さに感心したものである。もうひとつは、2008年にアメリカ大使館の前に建てられた数多くのポールに黒い旗が翻っている写真に対して、2015年に撮られた写真では、ポールこそそのままであるが、黒い旗が撤去されていたことである。アメリカとの国交断絶時代と回復後の両国の外交関係を象徴的に示していたことである。

2017年2月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com