国内外で種々の課題がざわついてきた。国内では問題の東京都豊洲市場移転問題が延期となった食の安全問題で、今月百条委員会が開かれるが、それに先立ち小池百合子・都知事から何かと批判されていた石原慎太郎・元知事が独自の記者会見を開き、言い分と小池批判を述べた。しかし、どうも言い訳と責任逃ればかり喋っているように思えてすっきりしない。こんな会見ならやらない方が良かったのではないか。高校の先輩で、あの威勢の良かった石原元知事も晩節を汚すようなことにならなければ良いがと気になっている。
その他にこのところ集中的に取り上げられている国有地払い下げの正当性について森友学園の対応がメディアの集中砲火を浴びている。特に、今日まで分かった事実関係では、少しずつ森友学園の要望が通るようになった過程に政治家の介入がなかったのかどうかや、安倍首相夫人が私人として行動したのかどうか、などが大きく取り沙汰されている。
海外では、マレーシアで暗殺された北朝鮮労働党・金正恩委員長の異母兄・金正男暗殺事件が話題になっているが、その一方で世界的に影響力の強いトランプ政権のアメリカ・ファーストの動きが無視出来なくなってきた。その中でも世界の貿易ルールを無視するが如き発言はとても容認出来るものではない。いかに母国優先のアメリカ・ファーストであろうとも、世界貿易機関(WTO)を始め、世界各国がこれまで智慧を絞り合意点を見出し、営々と積み上げてきたルールを気に入らないからといとも簡単に無視、放擲するパフォーマンスは、世界のリーダーとして恥ずかしいことではないのだろうか。
今朝の日経紙社説に、アメリカ通商代表部(USTR)報告書がWTOは海外の不公正な貿易措置に甘く、アメリカが不利益を被ってきたと指摘したことを取り上げていた。アメリカは不公正な措置にはアメリカの国内法に基づく対抗措置をとるとして、アメリカの利益を損なうようなWTOの決定には従わないとした。自分たちの利益が守れないならルールを守らないとの理屈は、昨年中国が南沙諸島における人工島建設で、フィリピンから訴えられ国際裁判所が中国の主張と行為は国際法に反すると判断したことに、中国は受け入れられないと国際法を無視すると反論したことと何ら変わらない。その時アメリカは中国に対して何と言ったか。いみじくも中国は国際法に従うべきだと主張したのではなかったか。それが立場さえ変わると今度は中国と同じように国際ルール無視を堂々と行おうというのだ。
日経紙は更にこう指摘している。最大の経済国であるアメリカがWTOの手続きを無視して、高関税などの対抗措置を取るようになれば、世界の貿易秩序は乱れ、報復措置が相次ぐ貿易戦争になりかねないと憂慮している。その上アメリカはこんなことも考えている。自国の法人税改革の一環として輸出を免税にし、輸入費用を課税所得から控除出来ないようにするもので、国境調整措置と呼ばれているものだ。実現すれば、明らかにWTO協定違反である。大国アメリカが何をちまちましたことばかり考えるのか。それほど自分たちだけが、良い目を見たいのだろうか。良きアメリカ、良きアメリカ人の時代はとうに去ったと言わずにはおれない。