3587.2017年3月9日(木) アウシュビッツを訪れてみたい。

 今年はどうにかしてホロコーストで知られるアウシュビッツのユダヤ人収容所があったビルケナウ博物館へ出かけたいと思っている。収容所内の犠牲者の数は110万人と言われる。アウシュビッツ全体の面積は東京ドームの37倍もあり、だだっ広く周囲には建物がまったく見当たらない。今では博物館はポーランドの世界遺産にもなって、昨年は200万人の見学者が世界各地から訪れたという。

 偶々先月末にアウシュビッツを取材したドキュメントがNHKから放映された。「ただ涙を流すのではなく~分断する世界とアウシュビッツ~」と題して、ビルケナウ博物館公認のただひとりの日本人ガイド中谷剛さんの案内と考え方を通して、アウシュビッツの悲しい歴史を視聴者にも考えてもらおうという趣向である。今年50歳でガイド暦20年の中谷さんは、悲惨な歴史や収容所内の模型などについて説明しながらも自らの考え方を押し付けず、見学者自身に見て考えてもらうという点に拘り、自分の考えや意見を押し付けることはしない。それは師カジミェシュ・スモーレン氏から強い影響を受けたからである。現在のような分断的な世界の中でアウシュビッツの悲劇を考えるという点に重点を置き、見学者に情報を提供して収容所内の事物を説明しながら見学者が自分なりに考えてくれるようヒントを与えるようなガイドぶりというのは、ここならではの特異なガイドだと思う。現場に足を踏み入れれば、ここは恐らく現代社会とは異次元の世界へ身を置いたような気持に捉われるに違いない。ぜひとも現地を訪れ、出来れば中谷さんのガイドぶりに接してみたいものである。

 さて、明日は東京大空襲から72年目に当たる。その後終戦までに東京は度々米軍機の空襲に襲われた。3月10日の空襲では、死者10万人以上、罹災者は100万人を超える犠牲者を生んだ。偶々明後日が東日本大震災から6年になることもあって、東京大空襲と東日本大地震の報道が殊更多い。72年も経ち、大空襲は今や昔になってしまったが、その直後わが家は湘南の地から南房州の安房勝山町(現鋸南町)へ引っ越した。夜になると遥か東京方面の空が赤く焼けているように見えたものである。その後すぐ勝山国民学校初等科に入学して4カ月後の夏休み中に終戦となった。安房勝山町では大きな空襲はなかったが、空襲というとどうしても鋸山の方角の遥か遠方に見えた夜空に真っ赤な空が、子ども心に今でも強く印象に残っている。もう戦争は終わったと父親から聞いた時ホッとした覚えがある。今世界各地で保守主義から右翼思想が蔓延り出し、加えて北朝鮮のミサイル発射など戦争への道へ足を突っ込みそうなムードが高まりつつある。人間の知恵と自制心がどこまで戦争の暴発を抑えてくれるのか。あまり当てには出来ない一方で、密かに、しかも強く期待したいところだ。

2017年3月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com