3588.2017年3月10日(金) 韓国憲法裁判所、朴槿恵大統領を罷免

 今日韓国の憲法裁判所は、職務停止中の朴槿恵大統領が知人の崔順実被告に政府高官人事などの機密文書を流したことについて、国民主権主義や法治主義に反し、違憲であるとして大統領職を罷免することを言い渡した。この結果60日以内に大統領選が行われることになった。

 朴大統領にはその他にも職権乱用、メディア弾圧、セウォル号転覆事故の際の国民に対する保護義務違反、収賄などの疑念があったと糾弾された。大統領は憲法により逮捕されない不逮捕特権が認められていたが、この憲法裁判所の判断により大統領を罷免されれば当然逮捕、起訴される可能性がある。

 現職大統領が弾劾され失職するのは韓国憲政史上初めてであり、当分韓国政界は漂流することになりそうだ。

 それにしても10月以降急速に激しい反朴大統領デモが韓国国内を覆い大統領を失職させるほど国民が過激に行動した騒ぎには、我々日本人には計り知れないほど韓国人には激情的性格が宿っていることを思い知らされた。大統領就任当初は、初の女性大統領として清新なイメージが期待され、加えて史上最も尊敬される大統領を父親に持ち、しかも両親ともに凶弾に倒れるという悲劇のヒロインで、安定長期政権の可能性を有しながら、国民から手の平を返すような仕打ちで大統領の椅子から引きずれ降ろされるとは、誰もが想像出来なかったのではないだろうか。

 退任後は、罷免のため大統領時の給与の95%、秘書官3人と運転手、大統領顕彰のための記念事業の支援、など各種の恩典を受けられる筈だったが、それも諦めねばならなくなったというから些か気の毒でもある。

 大統領が代わっても、いま膠着状態の日韓外交が好転する兆しは見られず、一昨年日韓の間で合意に至った慰安婦問題もきちんと実行されるのかあまり期待は持てそうもない。現在次期大統領候補者に挙がっている有力者は、いずれも合意を反故にすることを主張しているからである。日本の駐韓大使も日本に一時帰任してかなりの時間が経つが、いつ帰任するのか見通しは立っていない。

 中国との関係も高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)設置から悪化し、今や内憂外患で活路が開けない。対北朝鮮問題を抱えるわが国としてもお国の事情はともかく、真っ当な付き合いをしてもらわないと困る。一日も早く抱える問題を整理して、対等な外交関係を復活させるようにしてもらいたいものである。

 都内では号外も出たが、この他にも今日は大きな事案があった。

 ひとつは、南スーダンに派遣していた自衛隊PKO部隊を5月までに引き揚げることを決定したことである。過去5年間に亘り道路整備などの後方支援活動に当たってきたが、概ね任務を終えることが出来たという。この派遣には、稲田朋美防衛相の「戦闘」という言葉を巡る稚拙な対応により国会もスムーズな運営に支障を来してきた。政府軍と反政府軍が内戦状態に入っているうえに、もうひとつ別の反政府軍が戦闘に加わろうとしていて、現場は滅茶苦茶である。そんな中で昨年11月陸上自衛隊部隊350名を「かけつけ警護」の名目で派遣した。部隊撤収により取り敢えず憲法に触れるような問題が起きなくてとにかく良かったと思う。

 もう一件は、このところ連日大きな話題となっていた森友学園の国有地払い下げ問題は、森友学園が小学校設置の申請を取り下げ、混乱の責任を取って理事長自身は退任すると記者会見で発表した。昨日は、散々申請を認めて欲しいとメディアに言っていたが、一夜明ければこの通りである。国、大阪府、出入り業者、学校関係者らを手玉に取ったような籠池理事長の、教育者らしからぬ行動は厳しく批判されるべきだろう。

2017年3月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com