一昨日ベトナムを訪れた天皇・皇后両陛下は今日ベトナム残留日本兵の妻にお会いになった。1950年代当時の北ベトナム政府は、ベトナム独立同盟(ベトミン)に加わってベトナム独立のために戦った残留日本兵に対しても、ベトナム人妻と子どもを残して単身帰国することを求めた。今日両陛下が会われたその日本兵妻のひとりであるベトナム人グエン・ティ・スアンさんは、3人の子どもを抱えて生き抜き今年93歳になった。日本へ帰国した夫はその後日本で結婚し子どもを3人得たが、その夫が50年振りにベトナムを訪れた時、妻は夫を待ち続けていたため再婚はしていなかった。この話を両陛下はどんな思いで聞いただろうか。
以前慰霊団でビルマを訪れた時、慰霊団に参加した旧日本軍兵士と結婚したビルマ人妻は、夫がビルマに再び帰って来ると約束した言葉を信じて再婚せずにひたすら夫を待っていた。戦後再訪した夫は日本で結婚し子どもも儲けた。ビルマ人妻は約束を破ったと夫に恨み節を投げかけたのを間近に見ている。その時彼らの1人息子はすでにビルマ軍兵士として成人していた。傍で見ている私たちもいたたまれないような気になったことをよく覚えている。戦争は悲劇しか生まない。
それにしても両陛下はこのように戦争により気の毒な人生を送ることになった人たちへ、優しい気持ちを伝えて少しでも彼らの気持ちを慰め、救っていると思う。中々出来ることではないと思う。
さて、昨日ロック・ミュージシャンのムッシュかまやつさんが亡くなった。ロックミュージックには通暁していないので、彼の音楽や人柄についてコメントをすることはおこがましいが、時折テレビで観る姿にはほのぼのとするような憎めない人柄が滲み出ていたように思う。吉田拓郎が作詞・作曲した♪我が良き友よ♪が大ヒットしたことは印象に残っている。ザ・スパイダース時代の仲間だった、堺正章や井上順らもそれぞれ年齢を重ねたが、未だそれなりに活躍しているのが頼もしい。ムッシュは、私と同じ78歳だった。自分自身に照らし合わせてみてもまだ彼岸へ旅立つのはきっと心残りだったと思う。ご冥福をお祈りしたい。