6554.2025年4月23日(水) 実行力のない口先だけの国会議員

 1858年の今日、母校慶應義塾が「蘭学塾」として開校した。今日は、イギリスの文豪・シェークスピアの誕生日(1564年生まれ)であり、命日(1616年他界)でもある。また、蛇足ながら次男の誕生日でもあり、今朝お祝いのメールを送ったところである。

 ついては、昨日午後元赤坂の赤坂御苑で天皇・皇后両陛下が主催する春の園遊会が開かれた。今年は熱中症予防や皇室の方々との交流の機会を増やす方策として、62年ぶりに両陛下と皇族方が歩かれるルートを3つに分けた。両陛下がお話された人たちの中に、プロゴルファーの青木功氏や漫画家のちばてつやさんがおられたが、この中に見慣れた顔の人物がいた。何と「日本維新の会」共同代表の衆議院議員・前原誠司氏である。後ろから強引にテレビ画像に顔を出していたが、こういう場にもしゃしゃり出るのが前原氏である。この時間は衆議院で拉致問題、消費者問題の特別委員会が開かれ、その後には午後3時から国家基本政策委員会の合同審査会が開かれ、各党の党首討論が行われた筈である。当然日本維新の会代表である前原氏は立ち会う責任があると思う。ところが、今日午後テレビで国会中継を観ていたら、党首討論で前原代表は日米関係の安全保障分野について石破首相に質問していたが、昨日は問題なかったのだろうか。

 しかし、前原氏は国会で議員としての責任を果たすことより、天皇とともに一緒にいる場面を選挙民に訴えたかったのであろう。元々前原氏は国会議員としての評判は決して良いとは言えない。さしたる実績もない。以前は外務大臣、国土交通大臣の要職にありながら、繰り返して所属政党を出たり新しい政党に加入したり、腰が軽い印象が強い。特に評判が良くないのは、口は達者だが、実行力がないことである。今までにも空手形は随分発行したが、中でも私自身彼の人間性を疑ったのは、群馬県の八ッ場ダム建設計画に関わる対応だった。昭和27年に治水、利水を目的とした多目的ダム・八ッ場ダム建設計画が具体化され、居住地域がダム建設によって水没して彼らが住む場所を移転しなければならなくなり、全地域住民から強いダム建設反対の声が上がった。当時民主党政権の国交相の立場にいた前原氏は、現場を訪れ、自民党寄りの群馬県が決定した計画に異を唱えて、地元民の反対意見に賛意を示してダム建設中止を言い出した。これには、当時大澤群馬県知事が強く抗議したほどである。

 ところが、民主党が総選挙で敗れ、政権交代し、前原国交相もその座を去るや、以降自らの公約である八ッ場ダム建設中止を完全に忘れ去り、中止に一言も触れることなく、反対住民に事情を説明することもなく、まったく責任を取る素振りすら見せなかった。

 今でも恥ずかしげもなく、政党代表として発言をしているが、党首選挙で敗れ民主党を離党した際も自らの過去の言動については、他人事である。どういう行き掛かりか、「日本維新の会」のもう一人の代表である吉村洋文・大阪府知事に買いかぶられ、同党共同代表に収まり国会の活動を主導的に行って、相変わらず空疎な存在感を示しているが、党内ではあまり好意的に見られていない。こういう無責任な政治家が日本の政治を動かしているのかと思うと悲観的にならざるを得ない。

 これは偶々「前原誠司」という口先だけで実行力のない政治家の例であるが、他にも似たような政治家がまだまだいっぱいいる。我々も話が上手い政治家に騙されることなく、しっかり国会議員を選ばなければならない。

2025年4月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6553.2025年4月22日(火) 復活祭の翌日、ローマ教皇永眠

 一昨日キリストが蘇ったことを祝う復活祭に、病み上がりのローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇がサン・ピエトロ教会のテラスから挨拶を行ったばかりだったが、その第266代教皇が思いがけず昨日亡くなられた。88歳だった。復活祭を終えた翌日に神の身元へ召されるとは、教皇の旅立ちにはドラマチックなものを感じる。フランシスコ教皇は、アルゼンチン出身で中南米大陸から初めて推挙された教皇である。新しい教皇は、近日枢機卿らによるコンクラーベによって選ばれる。

 ローマを訪れれば、必ず訪れるのがバチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂である。その右隣にあるチャペルから参拝する人々に手を振っている当時の教皇を拝見したことがある。あれは、今から40年ほど以前のことだった。広場にいた人たちは静かに手を振っていたことを覚えている。教皇の行くところ信者をはじめ多くの人びとが寄って来るようだ。2019年には教皇は広島、長崎を訪れ核兵器の廃絶を訴えた。日本では仏教の最高職にある人がどういう人物で、いかなる権威がある人なのかは、ほとんど知られていない。日本人で多くの人が一目見ようと寄って来るのは、天皇をはじめとする皇室の方々くらいだろう。さもなければ、スポーツ選手が功績を上げパレードをした時くらいではないだろうか。

 さて、世界中に不安と混乱を与えつつあるトランプ米大統領について、最近のロイター調査によると大統領に復帰して3カ月が経ったが、その間支持率が42%とこれまでで最低に落ち込んだそうである。それでも石破首相の支持率が回復して30%となったのに比べれば、心配には及ばないと言いたいところだが、2大政党性が確立しているアメリカで支持者が半数に満たないのは、かなり支持がないということになる。その具体的な根拠として、大統領の意に反して長期金利の利下げを容認しない連邦準備制度理事会(FRB)パウエル議長を解任しようとの試み、アメリカの名門ハーバート大学に助成金支給停止処分、グリーンランド買収行為、パナマ運河奪還公言、最近関税問題で世界市場を混乱に陥れ最大のGDP5.2%下落、等々多くの人びとに傲慢な言動が脅威を与えている。そして、日米関税交渉では全く根拠のない数値などを示して日本に圧力をかけようとする身勝手な姿勢には、100%近い日本人が反感を抱いていると思う。

 今話が進められているウクライナ戦争停戦案についても、トランプ氏は現在ロシアが占領するウクライナ領土はロシアの支配下に留まることを盛り込んでいるようだが、当初よりウクライナは、2014年にロシアが一方的に侵入、占領したクリミア半島を取り返すことが戦争終結の条件と言っていたにも拘らず、トランプ氏が提案したクリミアを含め現在ロシアが占領下に置いている東部4州についてもロシアに引き渡すとの停戦条件は、ウクライナが受け入れる筈がない。それにも拘らず、トランプ大統領は停戦がまとまらなければ、数日中に手を引くだろうと、積極的に戦争終結に当たり直ぐにも実現して見せると大見えを切っていたが、不誠実にもいとも簡単に放棄している。この大統領の不誠実さが、漸くアメリカ人の間でも分かって来たのではないだろうか。

2025年4月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6552.2025年4月21日(月) 読者に分かり難い朝日新聞の意図

 結婚して来月には56年になる。それ以来朝夕とも新聞は朝日を購読している。慣れてしまうと新聞の特徴、癖など、読む要領も分かり、時折宣伝用に読んで欲しいと他の新聞を何度か配達されたことがあるが、やはりすっと入っていけない。現時点では読み慣れた朝日を読み続け、恐らく残りの人生もこのまま朝日を読み続けることになるだろう。

 ついては、この朝日新聞にもいくつか気になる点がある。最近一番不可解だと思ったのは、夕刊の題字が従来の縦書きから読売新聞と同じように横書きに変わったことである。朝刊はそのまま縦書きである。更に一面の見出し、項目が横書きになったり縦書きのままだったり、今夕は大見出しが横、中見出しが縦というように、どちらにするのか迷っているのか、読む方も戸惑うことがある。実に自己主張の強い朝日らしくないと思う。

 気になる2つ目は、朝刊紙の連載小説である。まず、前々回の小説から挿絵が姿を消してしまった。硬い小説を読んでいて、挿絵は息抜きにちょうど好い。そして文章と合わせてストーリーをイメージできるのが好い。ホッとする箇所である。それだけに断りもなく挿絵がなくなったのが残念である。他の大手新聞を見てみると挿絵は挿入されている。何故朝日はこの息抜きとも言える挿絵を止めてしまったのか分からない。

 そして、最も留意してもらいたい3点目であるが、最近連載小説につまらない小説があることである。社内でどういう小説になるのか、作者の考えや構想を聞き検討されたうえで連載することを決めたことと思う。例え著名な作家であっても、新聞連載小説になると途端につまらなくなることがある。これは私のブログにも「つまらない新聞連載小説」と何度か取り上げたところ、Googleの定例月間レポートで、この朝日の連載小説がつまらないことについて書いたブログが、何度か1番アクセスが多かった。天下の朝日に掲載される小説がなぜ面白くないのか、編集者なら分かりそうなものだと思う。最近では最も退屈したのは3年前にほんの数か月間連載された多和田葉子著「白鶴亮翅」だった。作者も良く知られた人気作家で舞台もドイツなら読者に受けるとでも思ったのだろうか、こんな退屈で筋書きのわからない、つまらない小説はなかった。幸いその後直ぐ終わったから良かった。その点で現在連載中の門井慶喜著「夫を亡くして」は、詩人だった北村透谷が自死した後に残された妻のミナがアメリカへ渡り、英語をマスターして英語教師として逞しく生きていく姿を今日まで前向きに描いて、興味津々である。ただ、残念ながらこれにも挿絵がない。しかし、小説自体は朝日にとっては1点光り輝くものである。

 気になる4点目は、連載中の4コマ漫画である。実は、漫画には興味がないので、目を通すこともなく、どんな漫画が掲載されているのかさえ知らなかったが、偶々昨日隣の記事を読んでいてつい目が漫画に行った。これが、「ののちゃん」という「いしいひさいち氏が描く連載漫画」で、驚いたことに連載9848回とある。まもなく1万回である。30年近くも長い間連載されていたのに、昨日まで全く気付かなかったことになる。ただ、個人的に厳しく指摘するなら、昨日の漫画の意味はまったく分からない。ストーリーにも漫画にもなっていない。漫画というのは、絵・イラストを見れば一目瞭然であるべきであるが、昨日の4コマ漫画はいくら考えてもその意図するところが理解出来ない。読者を煙に巻くのが朝日の不思議なところと厭らしさなのだろうか。まぁ謎解きのような面白さがあると言えば、そうも言えるのだが・・・。朝日ももう少し視野を広げ、目線を下げた方が良いのではないかと思っている。

2025年4月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6551.2025年4月20日(日) 復活祭をプーチン大統領が利用するとは?

 日本ではあまり大きな話題にはならないが、キリスト教徒にとって今日は復活祭としてクリスマスと並ぶ記念すべき1日である。キリスト教では、イエス・キリストが十字架にかけられ処刑されてから、3日目に復活したことを記念してこの日を復活祭、イースターと呼んでいる。

 第3次中東戦争直後に訪問して以来45年ぶりとなる2012年再びヨルダンを訪れた。その後初めて陸路イスラエルに入り、パレスチナ自治区も訪れた。そして東エルサレムの「嘆きの壁」を訪れてから、キリストが磔の刑に処せられたゴルゴダの丘にある聖墳墓教会を訪れた。教会内に入ったらちょうど教会内ではミサが行われていて厳粛な気分になった。ここはキリストのお墓でもある。何もかも古い話だと思うとつい軽く考えがちだが、歴史的な裏付けのある話で、イエス・キリストがこのゴルゴダの丘まで約600mのヴィア・ドロローサを十字架を背負って歩かされた末にここにたどり着いた。史実に則っているが、今では狭い商店街のヴィア・ドロローサの両側には小さなストアがびっしり建ち並んでいる。そして、その後パレスチナのベツレヘムにあるキリストが誕生した馬小屋、聖誕教会を訪れた。キリスト教については、あまり知識はないが、それでも観光地化したエルサレムでこのようにキリスト教に関する施設を訪れ見学してみると勉強になるし感慨深いものがある。

 キリスト教国だけにしか、この復活祭には縁がないと思っていたら、あのロシアのプーチン大統領が、昨日ウクライナ戦争を復活祭に合わせて一時的に停戦すると突然宣言した。ロシアと言えば、一応主たる宗教はロシア正教である。トランプ大統領が就任前に自らが大統領になったらウクライナ戦争は即座に停止してみせるとホラを吹いていたが、結局は実現していない。そしてキリスト教信者というより、むしろユダヤ教徒ではないかと思えるトランプ大統領が停戦協議に匙を投げたところへ、ロシア正教のプーチン大統領が復活祭に合わせて30時間の停戦を言い出したのである。復活祭を都合よく利用しているという感じがしなくもない。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、先月仲介案として提案したトランプ大統領の停戦案を拒否したプーチン大統領を信用していないと語っている。ゼレンスキー大統領は、これまでもロシアに対して現在続けている砲撃を止めて真の停戦を求めている。プーチン大統領が復活祭をこれ幸いとした停戦案には、ウクライナばかりでなくアメリカも素直に受け入れることはないだろう。

 その点から考えると日本では一応仏教徒が一番多いわけだが、仏教にはこのような特別な日はない。仏教関係の主たる日としては、お釈迦様が生まれた4月8日をお花まつりと称したり、亡くなった2月15日、仏教誕生のきっかけとなった成道会12月8日があるが、これとて何かのきっかけとするような日ではない。むしろ日本では国民の祝日とか、祭日を当てはめているケースが多いのではないかと思う。

2025年4月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6550.2025年4月19日(土) 米価の高騰に無策だった国の責任

 このところ米不足による価格高騰に、レストランや弁当屋などでは耐えられず、販売価格の値上げに踏み切ったところが多い。遂に政府も動き出し、先月初めから備蓄米を放出し始めた。しかし、備蓄米の放出はコメ価格の押し下げに一定の効果はもたらしたものの、全体的な価格の低下にはなっていない。元々農業政策にこれという根本的な政策を考えていないわが政府は、所詮何をやってもだめだろう。

 そもそもコメ価格高騰は、国内の米の需要、消費量に対して供給量が不足していることに根本的な原因がある。昔から政府は農業政策に自信がなく、かつて米の生産が多く、生産過剰となった米の生産量を抑制するために、1971年に安易に減反政策を行った。だが、2018年にそれも廃止された。

 従来より日本政府には、わが国が農業国であったにも拘らず、農業に精通した専門家が少なく、確たる農業政策が立てられなかった。世界的な傾向としては、米を主食とする国々は多く、米の世界的生産量は年々増えている。その中で日本だけが生産量が1960年代から増えるどころか、やゝ減少気味である。仮に1961年を基準に100%だったとして今では世界の生産量は400%近い。一番多いベトナムでは500%にも上る。他に生産量の多いインド、中国、タイ、アメリカでも400%近い。彼らは自国での消費の他に余剰米を国外へ輸出している。その一方で、日本では米の消費が減っている。ピークだった1962年度は、一人当たりの消費量が118.3㎏だったが、22年度には50.9㎏と半分以下に減少した。この米離れの原因として、各家庭でパン食が増えた食文化の変化が大きいことと、少子高齢化現象に伴い高齢者の米食が減少したことが効いている。農水省も長年米を主食としてきた日本人の米文化の消滅を恐れ、米食をある程度回復させるために、文部省とともに学校給食の場で米食を積極的に取り入れるよう指導し、ある程度効果は上げて来た。

 そこへ唐突にコメ価格が国内で高騰する事態が公表された。米が足りないというのである。2010年度から2023年度までの米価格は大きく変わることなく、5㎏997円(2014年度)~1,375円(2012年度)に収まっていた。それが、大きく動き出したのは2024年度に入ってからである。1,932円から始まり、9月には3,114円、今年1月に3,688円にまでなり、2月には4,000円を超えた。実に当初の4倍である。この間卸売り業者間の取引価格も3倍になっている。

 この事態に前記のように政府は備蓄米の放出に乗り出した。しかし、期待したほどの効果を上げていない。昨日農水省が公表したところに依ると、政府の倉庫から初回に放出された備蓄米が、集荷業者、卸売り業者の手を経て、小売店に届いたのは、僅か0.3%だそうだ。これでは不足分を到底賄いきれない。原因として2024年問題であるトラック不足による流通に想定以上の時間がかかったことがあるという。その後も試みたが、その都度それほどの価格メリットは現れていない。先日も関係者が国会周辺からデモを行ったところだが、政府の対策が生ぬるいのか、効果的ではない。

 それにしてもかつては農業国だった日本も、経済発展の間に農業政策を蔑ろにして農業に関しては何をなすべきかの命題を忘れてしまったのではないか。

 日本が米不足と捉えられたら、いま日本に対して関税交渉でトランプ・アメリカがアメリカ産米の輸入が不十分と圧力を賭けつつある過程で、願ってもいないチャンスと捉えてアメリカ産米の日本への輸出を要求してくるのではないだろうか。

2025年4月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6549.2025年4月18日(金) ホテルの話し合いは、違反のカルテルか?

 昨晩のテレビでホテル業界の宿泊代値上げが、カルテルにつながり独禁法違反に当たるとして公正取引委員会が近く警告を出すとの方針にはちょっと驚いている。これに都内でも有数の有名ホテルが名指しされた。それらはホテルオークラ、ホテルニューオータニ、帝国ホテル、第一ホテル、京王プラザホテルなど15ホテルであるが、中には新宿のハイアットリージェンシー東京のように、かつて勤務していた小田急の傍系ホテルであり、従業員の中には知人も多い。パーティや宴会の都度利用し、これまで開いた3度の出版記念会でも毎度利用したそのホテルが、その中に含まれていたのはショックだった。

 ただ、今回の「カルテル」と見做した警告は、一般的にいわれる「カルテル」のような強い協定ではなかったように思う。というのは、「カルテル」については、かつて学校で学んだ「複数の企業が商品の価格や生産数量などを共同で取り決める行為」だと理解している。今度のホテルのケースは、各ホテルの営業担当者が毎月の会合で客室の稼働率や、平均単価などを報告し話してお互いにゲストの志向、傾向などの情報を共有していた。それによって各ホテルが独自に宿泊料を決めていたようだが、これは独禁法が禁止するホテル間で統一価格を決めるような話とは筋が違うように思う。この種の会合が各社持ち回りで数十年間も実施されてきたことに加えて、公正取引委員会には実際に宿泊料金を一斉に引き上げることを決めたなどの行為は、確認されなかったようなので、結論としてはいわゆる正式な警告とはならないのではないかと思っている。実際にホテルマンはどう思ったのか、かつてハイアットに務めていた友人に訊ねてみようと思う。

 しかし、これも昨日当ブログで取り上げたインバウンド業の伸展の陰であった事実であり、今後も繁栄するインバウンド業界には、新たな問題が発生する可能性はあり得ると思う。

 さて、期待と不安の中で注視していた日本を代表する赤澤亮正・経済再生相と、トランプ大統領以下ベッセント財務長官、ラトニック商務長官らの政権幹部との関税交渉は、アメリカ側には、トランプ大統領が大きな進展だと言うように、まずまず優位に話を進めたとの感触があるようだが、日本にとってはあまりすっきりした結果ではなかったようだ。国同士の外交交渉では、お互いが対等の立場の筈である。にも拘わらず赤澤大臣にとって相手が剛腕トランプ大統領のせいか、最初からへりくだり過ぎて自分は明らかに格下も格下なのでなどと言うようでは代表団の資格がない。元々強気のアメリカに対して腰が引けていた日本政府は、トランプ大統領が不意に交渉に出席すると言い出す心変わりに石破首相は出し抜かれた感があった。赤澤大臣は、一応日本の意向を伝えただけである。反面アメリカでは交渉はうまく行ったとの評価のようだが、日本の対応は各国からはあまり良く思われていない。中でもメディアは、日米交渉は日本が実験用のモルモットだとか、洞窟の中のカナリアだと、皮肉たっぷりに冷やかされる有様である。政府は一応まずまずと理解しているようだが、自民党関係者の間でも赤澤大臣の対応は、終始下手に回っていてアメリカのペースだったとの声が強い。東大出の財務官僚を経て衆議院議員となって、これまで散々交渉には手慣れていた筈であるが、相手が名うてのトランプとなると説得力のある発言も出来なかったようで、情けなくなる。また、これからの日米関係を考えると駐留米軍への支出が増え続けるのではないかと気になってならない。

2025年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6548.2025年4月17日(木) 活気を取り戻したインバウンド業界

 このところ観光ブームが回復してきたが、中でも近年増え続け目立っているのがインバウンドである。テレビで紹介される市街風景を観ていると、歩行者の中にはほとんど外国人が写っている。実際インバウンドはコロナ渦以前以上の勢いで増え続け、先日観た場面ではこんな苦情もあった。一種のオーバーツーリズム現象である。

 外国人に人気がある隠れた観光地として近年知られるようになった、山梨県富士吉田市の新倉山浅間公園である。富士山と五重塔が並んで眺められ、そこに櫻が満開になると正に絶景となる。絵葉書の構図として文句なしの風景である。そこへ最近あまりにも多くの観光客が押し寄せ、近隣住民から苦情が出ているほどである。というのは、トイレは備わっているようだが、とても足りず、観光客の中には近くの民家でトイレを借りるケースがあり、ある住民の場合は1日に10人の観光客にトイレを使用させ、車で外出しようとしても自宅前の渋滞を抜け出るのに30分もかかったとぼやいていた。その住民は、観光客にこれ以上来てもらいたくないと言っていた。これもその土地に住む人たちにとって好まざるオーバーツーリズム現象である。

 事実インバウンド客が増加して嬉しい反面、オーバーツーリズムによる弊害が各地の観光都市で起きている。自然に起きるオーバーツーリズムと異なり、意図的に物価の高騰の中でホテル宿泊料金が値上げされ、その裏に都内の一流ホテル15社がカルテルとみられる価格協定を結んでいた疑いがある。遂には独禁法違反で公正取引委員会が警告を発したほどである。

 近年の訪日外国人数は観光庁の報告によると累進的に増え、コロナ前の2018年には3,188万人にまで伸びた。しかし、コロナが流行り出した翌19年には412万人にまで落ち込み、その後は3桁が続いていたが、漸く2023年に2,507万人にまで回復した。そして昨年は一気に3,687万人と過去最多になった。今年の数字は、すでに3月までの3カ月で1千万人を超えている。中でも3月の訪日外国人数は350万人で、昨年3月に比べて13.5%も増えている。このまま行けば、今年は4千万人を超える観光客が訪れるものとみられている。いま開催されている大阪・関西万博の影響もあって、外国人がとりわけ増えている。現状のまま伸長し続けるとオーバーツーリズムが、全国的に拡大する可能性がある。

 どうしてこれほど外国人にとって日本が魅力的なのだろうか。ひとつの資料がある。それは、欧米人とは異なる台湾人の見方である。15日に日本台湾交流協会台北事務所が公表した世論調査の結果である。それによると「最も好きな国・地域」として日本を選んだ人は76%もいた。「台湾に最も影響を与えている国・地域」は、国の立場上当然ながらアメリカであるが、ここでも日本は2位だった。「今後最も親しくすべき国・地域」でも、日本は70%で断然トップで、2位のアメリカですら僅か13%だが、今後関税問題が台湾にとって厳しくなるならこの数字は更に低下することだろう。3位の中国は11%だった。やはり中国は台湾とは先祖様を同じとする国でもあり、国家としては独立性を保ちながらも等間隔で交流を望んでいることが窺い知れる。

 いずれにせよこの結果は日本人としては嬉しい。今後益々多くのインバウンド客から歓迎され、多くのインバウンド客が訪日されることを期待している。

2025年4月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6547.2025年4月16日(水) フェイクマン・トランプのやりたい放題

 アメリカのトランプ大統領の言動が、政治、外交、経済、教育面等で世界中に複雑な問題を拡散させ、今や「トランプの行くところトラブルあり」の状態である。日本もその煽りを食い関税、防衛、日本に対する浅薄な知識において、とんでもないとばっちりを食っている。

 そのトランプ旋風が、アメリカの教育界にも吹き荒れたが、先月政府機能縮小の一環として連邦教育省の廃止に向けた大統領令に署名した。今後は各州が管轄する教育担当部門が独自に指導すべきであると考えたようだ。しかし、広いアメリカ国土、多種多様な民族がいるアメリカを統一化し、一つにまとめる最も効果的な普遍的一貫教育を止めるというのはどういう意図だろうか。単に経費節減の対策とも思えない。

 奇しくも昨日バイデン前大統領がシカゴで退任後初めて演説を行い、トランプ政権が社会保障局の職員を大量に削減したことを大きな損害と破壊をもたらし、国家がこんなに分断されたことはかつてなかったと厳しく非難した。

 そこへこのほどトランプ政権が、大学教育界の名門ハーバード大学に対して、露骨な圧力をかけていることが分かった。その発端は、トランプ政権が学内でイスラエルへの抗議デモを理由に「反ユダヤ主義」や、「行き過ぎたDEI(多様性、公平性、包摂性)」があるとして、約90億㌦(約1.3兆円)の助成金や契約を見直す方針を表明した。最近のハーバード大に対する書簡では、反ユダヤ主義を警戒してか、人種などを考慮しない実力主義による職員採用、入学者選考、DEI取り組みの中止などを求めていたが、ハーバード大ではいかなる私立大学も連邦政府に乗っ取られることがあってはならないと、連邦政府の要求を毅然として拒否した。しかし、「改革」要求を拒否したハーバード大に対して、政府は約23億㌦(3千3百億円)分の助成金と契約を凍結すると発表した。大学教育や学問の自由が深刻な脅威に晒されているとの危機感が広がっているという。

 教育省は先月ユダヤ系学生の保護に関する調査対象として、60大学の名を挙げた。中でもトランプ大統領の母校、プリンストン大も「反ユダヤ主義」を理由に2.1億㌦(3百億円)の助成金を止められた。だが、イスラエル抗議デモの中心となったコロンビア大では約4億㌦(6百億円)の補助金の取り消しを示唆されるなど厳しい追及を受け、政権の要求を受け入れることになり、警備や中東関連の教育を見直すと発表して、反って学内外から批判も出ている。その点ではジョンズ・ホプキンズ大学など他のエリート大学に対しても同じような圧力をかけている。

 このところ関税についてトランプ大統領の強引なプレッシャーに対する各国の反対や、抗議などもあり、その発言が大分揺らいでいるが、対米貿易にかなりの比重を懸けている日本としても一大事であり、今日関税交渉役として赤沢経済再生大臣が訪米した。アメリカとの交渉によってどこまで日本側の主張を受け入れてもらえるか、難しい問題である。

 最近朝日新聞が、トランプ大統領の言行録につき、粗探しのように紙上に採りあげているが、中でも数字的に大統領は根拠なしに思い付きで日本にとって不利な数字を挙げる点を批判している。日米安保条約についてホワイトハウスの閣議で、「アメリカは日本を防衛するために多額を支払う協定を結んでいる。アメリカが全額を負担し、日本は一切負担しない」とデタラメを言い、不満を表明する有様である。これに対して朝日は、トランプ氏の主張は事実とは異なると反論した。在日米軍駐留経費の日本側負担額は、1978~2024年度予算累計で、約8兆5千億円計上したと事実を記した。うそつき大統領をどうやって黙らせるか、大変な作業になると思う。

 毎度思うことだが、このような気分次第で自己主張ばかりして、世界中を困惑させるような人物を、よくぞアメリカ人は大統領に選んだものである。いずれ全アメリカ人がそのしっぺ返しを受けることだろう。

2025年4月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6546.2025年4月15日(火) アウシュビッツの反省と再発の懸念

 昨晩NHKのドキュメンタリー番組「映像の世紀」(バタフライ・エフェクト)~アウシュビッツの生還者たち~を見て、身につまされ、つくづく考えさせられた。8年前の1917年バルト3国を訪れた後、ポーランドでこのホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)と呼ばれるアウシュビッツ絶滅収容所を訪れた。それまでに度々写真や映像でその姿を見てはいたが、実際に収容所内へ入ってみるとやはり臨場感から身体が落ち着かず、寒気がするような緊張感を覚えたような気がした記憶がある。ここは負の世界遺産として登録されてもいる。ここで罪のない110万人以上の人びとがガス室などで殺害され、その内9割がユダヤ人だった。昨日のドキュメントは、戦後生還した一部の人たちを追って取材したものであるが、皆収容されていただけで心に大きな傷を負っていることが分かる。

 中でもユダヤ人でありながら、チェコスロバキアに居住していた指揮者カレル・アンチェル(後にチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者)の人生は悲劇の連鎖だった。妻と息子はガス室で殺され、家族でアンチェルだけが生還することが出来た。1968年チェコへソ連軍が軍事介入した「プラハの春」事件でチェコは独立性を失いソ連の支配下に入った。この時アンチェルは偶々アメリカへ演奏旅行中だったために難を逃れて、そのまま亡命することになった。私も同年シベリア経由でチェコへ行く計画を立てていたが、この「プラハの春」事件により計画は白紙に戻されてしまった。

 また、イタリアのトリノに居住していたユダヤ人の作家プリーモ・レーヴィの行動録も興味深いものだった。作家として知られているが、一方大学で化学を学び化学技術者であったことが、ナチに殺害されることなく、逆に強制収容所内の化学工場で技術者として働かされることになった。しかし、収容所内の非人間的な空気ありきたりになった光景が我慢ならず収容所体験を記した「これが人間か」を著してこれが世界的なヒット作品となった。これは、アウシュビッツの古典記録文学として「アンネの日記」「夜と霧」と並ぶ評価を得ている。その後、ユダヤ人でありながら、自身の体験からイスラエルのパレスチナ占領政策に反対を唱え、イスラエル国内で物議を醸したこともある。

 他に印象に残っているのは双子の妹とともに人体実験の材料にさせられたエヴァ・コーである。ホロコーストを強く非難していたが、後にナチを許す発言をしたことによってユダヤ人から多くの批判も浴びた。しかし、晩年になってアメリカに渡りアメリカ人と結婚し幸せな生活を送り同地で亡くなった。今では自宅建物の壁に、自身の好みの青色の衣装を着て笑っている姿がペンキで描かれ、話題になったほどである。

 今年アウシュビッツ収容所が解放されて80年を迎え、数々の式典が行われた。1945年ソ連軍が収容所を解放した1月27日を記念してホロコースト「国際追悼デー」と呼んでいるが、犠牲者を悼む今年の式典には、イギリスからチャールズ国王も参列された。

 私にとっても衝撃的だったアウシュビッツで感じたのは、やはりナチの血が流れるドイツ人にとっては、悔やまれる同胞の前科であり、ユダヤ人に対してどことなく遠慮がちな態度が見られることだった。ホロコーストを繰り返すまいということは誰でも言える。だが、実際に繰り返さないと確約出来るかと問われれば、自分はしないが、いつか誰かがやるだろうという幻想はある。それは広島の原爆記念碑の碑文に刻まれた「安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから」も主語は一体誰なのかと長い間論争が続いていることからも推測できる。こんな残虐な行為があっても時が経てば、その悲しみは忘れられてしまうのだ。

 「これが人間か」

2025年4月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6545.2025年4月14日(月) 政権与党、油断すれば立場は直ぐ変わる。

 昨年10月の総選挙で自由民主党・公明党の与党勢力が、衆議院の定数465議席の過半数に達せず、その後は政府の法案実施に野党の力を借りる四苦八苦の対応である。その割には何とか政策を実行しつつあるようだが、それでもこの先を考えるとあまり明るい展望が開けない。

 そもそも自民党は前回の総選挙で過半数233議席を上回る247議席を獲得したが、昨年の総選挙でその内56議席を失って191議席に落ち、公明党も32議席から24議席に減らした。結果的に自民・公明の与党議席は279議席から215議席へと大幅に減少した。その一方で、野党1位の立憲民主党は98から148議席へ、国民民主党は7議席から28議席へ大きく票を伸ばした。これによって疑似自民党といわれる国民民主党は、自民党の方針に国民党の考えを強く主張し一部反映させることにもなった。

 この総選挙の結果を分析してみると、自民党敗北の最大の原因は、派閥の裏金などの問題であり、自民党党首である石破首相の責任論がないわけではないが、就任後まだ間もないこともあり、責任を取って辞任するというまでには至っていない。立憲民主党野田佳彦代表は、特別国会に当たり野党間の連携を図ると言うが、予想外に票を伸ばした国民民主党の玉木雄一郎代表は、自民党との駆け引きによる戦法がより自党の存在感を高めるうえで効果的と考えたのか、野田氏の要望には応じる姿勢を見せていない。結果的に石破政権の政策には国民色が籠っている。

 実は、野田代表の民主党政権退陣の要因となったのは、2012年12月に行われた総選挙で、野田代表があまり強く出られないのは、当時の野田民主党政権が安倍自民党に完敗を喫して退陣した悪夢が蘇ったからではないだろうか。

 この時の民主党の負けっぷりも酷いものだった。責任を取った野田氏は首相を辞任するとともに党代表の座からも退いた。一方自民党は実に323議席を獲得し、大幅に単独で過半数241議席を上回ったのである。こんなにドラマチックなことがあるかと思えるような民主党の惨敗である。選挙の争点もなく、ただ原発ゼロに拘る民主党に対して、自民党が原発ゼロ見直しを迫っていた程度で総選挙自体も盛り上がりに欠け、投票率も59%で戦後最低の水準となるほどの有様だった。

 その反面、これによって自民党はかつての勢いを取り戻し、第2次安倍内閣がその後安定政権を築くスタートとなった。因みに最近の自民党の凋落ぶりを知るうえでの参考上自民党の復活ぶりを取り上げてみる。民主党は230議席から57議席まで落とし、反対に自民党は118議席から175議席増やして、293議席となり、公明党も9議席増やして30議席となった。この結果により、自民・公明の与党が獲得したのは323議席となり、これにより定数の2/3を超えて、例え参議院で否決されても法案は衆議院で再可決できることになった。これによって懸念したのは、憲法改正論議に拍車がかかるのではないかということだった。幸い憲法改正は今も話題になるが、現状は難しい情勢である。

2025年4月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com