6549.2025年4月18日(金) ホテルの話し合いは、違反のカルテルか?

 昨晩のテレビでホテル業界の宿泊代値上げが、カルテルにつながり独禁法違反に当たるとして公正取引委員会が近く警告を出すとの方針にはちょっと驚いている。これに都内でも有数の有名ホテルが名指しされた。それらはホテルオークラ、ホテルニューオータニ、帝国ホテル、第一ホテル、京王プラザホテルなど15ホテルであるが、中には新宿のハイアットリージェンシー東京のように、かつて勤務していた小田急の傍系ホテルであり、従業員の中には知人も多い。パーティや宴会の都度利用し、これまで開いた3度の出版記念会でも毎度利用したそのホテルが、その中に含まれていたのはショックだった。

 ただ、今回の「カルテル」と見做した警告は、一般的にいわれる「カルテル」のような強い協定ではなかったように思う。というのは、「カルテル」については、かつて学校で学んだ「複数の企業が商品の価格や生産数量などを共同で取り決める行為」だと理解している。今度のホテルのケースは、各ホテルの営業担当者が毎月の会合で客室の稼働率や、平均単価などを報告し話してお互いにゲストの志向、傾向などの情報を共有していた。それによって各ホテルが独自に宿泊料を決めていたようだが、これは独禁法が禁止するホテル間で統一価格を決めるような話とは筋が違うように思う。この種の会合が各社持ち回りで数十年間も実施されてきたことに加えて、公正取引委員会には実際に宿泊料金を一斉に引き上げることを決めたなどの行為は、確認されなかったようなので、結論としてはいわゆる正式な警告とはならないのではないかと思っている。実際にホテルマンはどう思ったのか、かつてハイアットに務めていた友人に訊ねてみようと思う。

 しかし、これも昨日当ブログで取り上げたインバウンド業の伸展の陰であった事実であり、今後も繁栄するインバウンド業界には、新たな問題が発生する可能性はあり得ると思う。

 さて、期待と不安の中で注視していた日本を代表する赤澤亮正・経済再生相と、トランプ大統領以下ベッセント財務長官、ラトニック商務長官らの政権幹部との関税交渉は、アメリカ側には、トランプ大統領が大きな進展だと言うように、まずまず優位に話を進めたとの感触があるようだが、日本にとってはあまりすっきりした結果ではなかったようだ。国同士の外交交渉では、お互いが対等の立場の筈である。にも拘わらず赤澤大臣にとって相手が剛腕トランプ大統領のせいか、最初からへりくだり過ぎて自分は明らかに格下も格下なのでなどと言うようでは代表団の資格がない。元々強気のアメリカに対して腰が引けていた日本政府は、トランプ大統領が不意に交渉に出席すると言い出す心変わりに石破首相は出し抜かれた感があった。赤澤大臣は、一応日本の意向を伝えただけである。反面アメリカでは交渉はうまく行ったとの評価のようだが、日本の対応は各国からはあまり良く思われていない。中でもメディアは、日米交渉は日本が実験用のモルモットだとか、洞窟の中のカナリアだと、皮肉たっぷりに冷やかされる有様である。政府は一応まずまずと理解しているようだが、自民党関係者の間でも赤澤大臣の対応は、終始下手に回っていてアメリカのペースだったとの声が強い。東大出の財務官僚を経て衆議院議員となって、これまで散々交渉には手慣れていた筈であるが、相手が名うてのトランプとなると説得力のある発言も出来なかったようで、情けなくなる。また、これからの日米関係を考えると駐留米軍への支出が増え続けるのではないかと気になってならない。

2025年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com