993.2010年1月31日(日) クレオパトラの妹アルシノエの遺骨が発掘された。

 今月号のJN紙にトルコのエフェソス古代遺跡にまつわるエッセイを寄稿した。そのエフェソスが、タイミングよく今朝のNHK・BSで放映された、エジプト特集「妹を憎んだクレオパトラ」という1時間半の歴史ドキュメンタリー番組の舞台となっていた。上空からの映像を含めて懐かしい古代遺跡の周辺情景を映し出してくれたが、実はエッセイでは、偶々この史実と逸話に富んだ広大な遺跡エフェソスが、なぜ「世界遺産」として登録されないのか私自身現地を訪れた印象から判断して理解出来ないと、他にも個人的に訪れたハトシェプスト葬祭殿(エジプト)、ペルガモン古代遺跡(トルコ)、ナクシェ・ロスタム(イラン)、クノッソス神殿(ギリシャ・クレタ島)とともに、世界遺産としてすぐ登録されるべきではないかと推薦した、5つの古代遺跡のひとつだったのである。

 今日の番組でまた新たな事実を知った。何とあのクレオパトラの妹・アルシノエの遺骨がエフェソスで発掘されたという。高い地位にあった人のものと想定されるエフェソスの墓から人骨が発掘され、科学的に分析した結果、アルシノエのものだと断定されたという興味深いロマンである。しかも発掘された人骨が歴史的検証と科学的分析により、アルシノエの遺骨に辿り着くプロセスが、極めてミステリアスで下手なドラマなぞとても太刀打ち出来ない。まさに「事実は小説より奇なり」である。

 トルコ各地には今でもギリシャ文明のポリスが数多く存在した形跡があり、ギリシャ建築の名残が散見されるが、エジプトとの因果関係はあまり伝えられていなかったような気がする。それがアルシノエは姉・クレオパトラとの対立とプトレマイオス王朝の存続を賭けた攻防から、クレオパトラの盟友アントニウスと対立するオクタビアヌスの統治するエフェソスへ追放され、そこでクレオパトラの計略により一命を絶たれるというスリリングで波乱万丈な人生を送った薄幸の女性へつながるストーリーとなる。

 冤罪事件で話題になったDNA鑑定でも科学的な実験や分析により、近年高い確率で血液のつながりを判定しているが、2,000年以上も前の史実を人骨に含まれる炭素の濃度と頭蓋骨の形、墓の八角形の屋根から推察するテクノロジーのレベルには驚くばかりである。エフェソスにある倒壊したエジプト建築石材と、王都アレキサンドリア海中に沈んだ古代エジプト様式のファロス灯台を関連づけ、発掘された人骨がアルシノエのものだと断定し、アルシノエの身長、容貌まで推量する科学技術は素晴らしいと思う反面、空想して夢に浸る世界観をつぶしてしまうような気持ちにさせられ、そこまでやらなくても良いのではないかという気持ちもある。

 しかし、いつも思うことだが、古代の見果てぬ夢に多少の史実を交えて空想することは、実に愉快なことである。

2010年1月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

992.2010年1月30日(土) 米中間に新たな火種か。

 昨日と今日の2日間配水管、白蟻対策、そして火災感知器取り付け工事等で自宅から外出できない。その間月刊誌「選択」の新任編集長に書状を書いていた。1月号の記事に誤解を呼ぶような間違いを発見したので、事実関係とその原因を問い合わせたものである。

 それはともかく、1月号に載った「選択」新任編集長の紹介文が奮っている。新編集長は「選択」出版㈱のオーナー社長のジュニアであるが、父親の紹介文が息子をほめちぎる親ばかぶり丸出しなのである。しかも、公器とも言える雑誌上に新編集長が大学を出て日本テレビ報道局でビデオ・ジャーナリストとして数々の賞を授与されたとか、著書が朝日に取り上げられたとか、或いは4年半のパリ駐在経験から65カ国以上の国々を訪問したとか、よくもまあこれだけ「愚息」を誉められるものだとオーナー社長の異常とも思える親ばかぶりには開いた口が塞がらない。テレビ屋と雑誌作りとはまったく別物だと思うのだが・・・。

 出版業界はこのところ下降線を辿り、雑誌が次々休刊、廃刊となる厳しい時代を迎えているが、そんなことは意に介さず、まるでノー天気なのである。この世襲編集長がどんな回答を送ってくれるか、別の意味で楽しみでもある。

 夕刊を見て驚いたが、アメリカが台湾に対して武器売却を決定した。米中関係が経済的に親密になりつつある中で、先般グーグルに対する中国政府の干渉が物議を醸した矢先だっただけに、中国外務省次官が即座に反応した。強烈な憤慨を表明し、両国の協力関係に深刻な悪影響を及ぼすと警告した。

 アメリカの言い分は、中国の急速な軍備増強に対して、中台間の軍事バランスを維持するために台湾への武器供与が不可欠と判断したというものである。しかし、少しは中国にも配慮して中国が警戒していたF16戦闘機の売却は見送られたようである。金額的に64億ドル(5,800億円相当)が、高いのか安いのか何とも言えないが、今回の武器売却問題は当分大きな話題を提供するだろう。

 発展途上の中国にとって、これまでは経済的発展を阻害されることはあまりなかった。それが本年中にアメリカに次ぐ世界第2の経済大国になると、今までのように世界がこれまで中国のペースでやっていたまま黙って見過ごしてくれるというわけにはいくまい。今後の中国は世界中の厳しい眼に晒されるようになるのではないか。

2010年1月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

991.2010年1月29日(金) 鳩山首相初の施政方針演説

 アメリカで昨日オバマ大統領が、初めて一般教書演説を行ったが、わが国でも今日鳩山由紀夫首相が就任後、初の施政方針演説を行った。内容にすべて目を通したわけではないが、「いのち」という言葉が24回使われたとか、演説時間51分は戦後2番目の長さだったとか冷やかし半分に揶揄されている。どうも野次も激しかったようだ。しかし、大切なことはその中身であり、それを実現する実行力である。

 面白いと思ったのは、昨年末にインドを訪問したせいだろうか、マハトマ・ガンジーの言葉を読み上げたことだ。私も知らなかったが、ガンジーの慰霊碑にはガンジーが言った「7つの社会的大罪」という戒めの言葉が刻まれているそうだ。

 因みに「7つの大罪」とは、

1.理念なき政治

2.労働なき富

3.良心なき快楽

4.人格なき教育

5.道徳なき商業

6.人間性なき科学

7.犠牲なき宗教

をいうそうである。

 なるほどと思うと同時に、どんな偉い人でもひとつぐらいこの大罪を犯しているのではないかと感じた。自民党のある有力国会議員のごときは、鳩山首相に対して「母親から労働なき富をもらっている首相が言っても説得力がない」と山葵の効いたきついコメントがあった。

 ところで自民党は党内規則で次の選挙から特例を除き、70歳以上の候補者を公認しないと決めている。ところが、前回の衆参議院選挙で落選した長老が、再び立候補したいと公認を求めて党本部へ公認申請を行っていた。今日自民党は原則通り70歳以上の候補者を公認しないと当事者に通達した。原則は原則として、決めた以上はルールを守り、みだりに壊すべきではないし、党幹部の判断は間違っていないと思う。インタビューの中で年齢的に次回公認がもらえそうもない長老議員が不平たらたらでわめき散らしていたが、良識を疑いたくなるほど低次元な発言には情けなくなった。

 しかし、案外筋が通っていると思ったのは、少子高齢化の時代に高齢者を何でもかんでも排除する傾向はいかがなものかとのつぶやきである。難しいことではあるが、わがままとか権力の乱用を除いて誰でも納得できるケースなら特例により、優秀な議員を失わないことも考えた方がよいと思う。実際一方的に年齢だけで締め出すのは、問題もあると思う。高齢者が使い物にならないとのイメージばかりが強まり、それが高齢者は社会の厄介者とのムードが広がりはしないかと少々心配になる。

2010年1月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

990.2010年1月28日(木) アメリカは景気低迷でもリーダーが頼りになる。

 就任2年目に入ったオバマ・米大統領が一般教書演説を行ったが、その最大の目玉は雇用創出と5年内の輸出倍増である。オバマ氏の支持率が1年前には70%近くあったが、医療保険改革の頓挫等で最近では50%前後にまで落ちている。更に、先日は追い討ちをかけるように、マサチューセッツ州の上院議員補欠選挙でも民主党の地盤でありながら共和党候補に敗れた。

 国家輸出戦略の中でオバマ氏はアジアとの貿易関係を強めると語ったが、具体的に日本との関係には触れなかった。例えば、改革を進める国として挙げたのは中国、ドイツ、インドで、具体的にこれらの国は数学や科学を重視し、インフラ整備も進めて、雇用創出に向けて代替エネルギーに投資していると言及した。今のところ日米間は、沖縄の普天間基地移設問題が霧の中にあり、加えてトヨタの欠陥車問題により、アメリカ市場では一時販売を中止する難題も起きており視界は見難い。オバマ氏の頭の中には、日本地図があったのか、或いはあったが、敢えて触れなかったのだろうか。

 アメリカ経済も回復の兆しが中々感じられないが、オバマ大統領のしたたかなリーダーシップは、その演説の力強さと巧いパフォーマンスによく表れている。鳩山首相の元気もなく自信もなさそうなスピーチに比べると、頼りになりそうなのはどうしたってオバマ氏の方だろう。

 今日国会では漸く今年度第2次補正予算案が通過した。7.2兆円の巨額である。景気刺激も良いが、もう少し財政のアンバランスを解決するスキームとスケジュールをはっきり打ち出して欲しいものである。道楽息子の無駄遣いのように、ただ金を注ぎ込んで現状打開を図るだけの予算執行では、いずれ国家財政も破綻してしまう。

 JAPAN NOW観光情報協会の企画会議に出席したが、今年協会で出版する観光書について報告がなされた。先日質した書名について相変わらず「観光事典」のままなので、これから検討することにして、現状ではペンディングのはずではないかと改めて質問し、書名から堅苦しい「事典」を削除する方がベターだと話した。これでまた書名の決定は先送りとなり、他にも「事典」を使うことに異議を唱える執筆者もいて、さらに検討することになった。前回の「知の現場」の時も、若い人たちとコミュニケートすることの難しさを味わったが、今回は年齢的な問題ではなく、「観光」と「書物の内容」に関する考え方の相違を感じたものである。

 取りあえず、私の担当する章「観光」について、見出しを拾い出して検討することになった。

2010年1月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

989.2010 年1月27日(水) 韓国の民青学連事件で日本人無罪

 ハイチの大地震による犠牲者の数は、その後増え続け国連関係者の発表では死者が15万人を超えたという。倒壊した建物の瓦礫の下に埋もれた死体がまだ相当数予想されるところから、犠牲者の数は20万人を超えるのではないかと懸念されている。ほんの僅かな時間にこれだけの貴重な生命が失われるわけだから、やはり普段から防災意識として、備えと万が一災害に襲われた時の脱出について知識を持っていなければいけないとつくづく思う。

 過日わが家の配水管と白蟻駆除の工事屋さんに、住宅用火災警報器の設置について見積もりの作成をお願いしたところ、6箇所の電池式ワイヤレス連動型住宅用火災報知器の取り付けと工事費を併せてざっと8万円だった。煙と熱を感知するシステムで、来年度から法律で設置が義務付けられるので、設置することにしたが、結局のところ住人の防災意識がしっかりしていないと、設備ばかり充実させたところで効果がないということになりかねないので、日頃からその点には気をつけようと思っている。

 それにしてもハイチの人たちの悲しみとこれからも続く苦難を思うと気の毒でならない。日本は遅れがちだったが、日本赤十字社の救護医療班に続いて自衛隊医療支援部隊が現地入りした。新たに道路片付けのためのPKO部隊も出発する予定だし、追加支援として義捐金60億円を提供することにしたので、国連や現地では高い評価を受けることになりほっとしたところである。

 一方で、地震発生とともに救援活動に一番乗りした中国は、不幸にして8人の救援隊員の死亡事故の事後対応に大童だったが、結果的にその救援活動のあり方と対応が、現地で非難された点もあって音なしとなってしまった。つくづく国際貢献活動というのは難しいと感じる。

 折りも折り、世界遺産の中で最も人気のあるペルーのマチュピチュでは、昨夜大雨が大洪水を伴い、マチュピチュへの唯一の交通手段である鉄道が寸断し、観光客2千人がマチュピチュに立ち往生してしまった。その中で日本人観光客も60人ほどが取り残されているようだ。線路が流されてしまったので、ヘリによる搬送を行っている。20年以上も前に訪れた時、クスコとマチュピチュの間に逃げ道がないことを感じて、事故が起きたらどうするんだろうと気になったが、現実のものとなってしまった。

 自然災害というのは、予告なしに不意に襲ってくる。怖いものだ。その被害から逃れる最大の術は、普段の災害に対する知識と備えである。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とはよく言われるが、いつも謙虚に拳拳服膺する心構えが必要だと思う。

 36年前に韓国で起きた「民青学連(全国民主青年学生総連盟)事件」で逮捕され、懲役20年の刑を宣告されていた日本人の再審請求が今日ソウル中央地裁で行われ、無罪が言い渡され名誉回復がなった。すでに韓国人8人が処刑されている。朴正熙軍事政権転覆を謀ったとして民主化運動関係者が多数逮捕された暗黒の事件だが、5年前に事件は朴政権による民主化運動弾圧のためのでっち上げとされ、今日晴れて無罪となった。まさに冤罪である。すっかりその日本人の名前を忘れていたが、新聞記事で思い出した。「太刀川正樹」さんだった。今ではニューヨークでフリーライターとして活動している。あの事件の2年前に初めて韓国を訪れ釜山からソウルまで車で移動したが、軍事国家体制の緊張感が国中に漲っていたのを怖いような印象で受け止めたことを思い出した。もうひとりの日本人の所在は不明だそうである。あんな暗黒事件はもう真っ平である。

2010年1月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

988.2010年1月26日(火) インドの嘘つき学者が世界を惑わす。

 「ウソ」も方便というが、常識的に考えて許される「ウソ」と、とても許し難い悪意に満ちた「ウソ」は余程TPOを考えないと周囲が甚大な迷惑を蒙る。小沢一郎・民主党幹事長の資金疑惑問題も岐阜の水谷建設の関係者は、小沢氏側へ資金を手渡したと改めて証言したようだ。一連の疑惑にどれほど真実があり、どれほどウソが隠されているのか、まだ捜査中の現段階でははっきり分からないが、納得出来る解決の仕方をして欲しいものである。

 政界の怪しい疑惑に対して、一般的にあまり疑念なぞないと考えられていた世界の気候に関する情報が「ウソ」で固められていたのには呆れかえった。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書に、科学的立証がないのに「ヒマラヤの氷河が2035年までに消失する可能性が非常に高い」と「ウソ」の記述をした愚か者がいた。この報告書を書いたのは、インド人研究者で「この部分を強調出来れば政策決定者や政治家に衝撃を与え、しっかりした対応を取るよう働きかけることになると考えた」と発言している。政治的な影響よりも自分が所属している気象学会にもより以上の不名誉と不信感を与えたことに気がつかない馬鹿者である。世界の気象を政治的な力により恣意的に変えようとしたもので、学者も信用されていることを逆手に取って、ここまでやるかと思うとうんざりである。

 実際地球温暖化の影響でヒマラヤの氷河も後退しつつあるが、2035年までに消失するなんてことは、余程のことでもない限り考えられないらしい。

 政治家もおかしいが、学者や文化人も地球温暖化の影響?で頭の中のボルトが弛み、少し頭がおかしくなっているのではないか。

 さて、2008年9月に観光庁が発足して、国は観光行政に本腰を入れ出したが、このところの不景気の影響を受けて訪日外国人数が急激に減少している。昨年の訪日観光客は前年より18.7%も下がり、本年中に1,000万人を見込んでいた観光客が昨年は679万人にしか達せず、2005年の水準に逆戻りした。元来観光は平和産業であり、世界の騒乱を考えると観光客が遠い外国へ行くのに二の足を踏むのも分かる。加えて昨年は不景気、円高、新型インフルエンザも影響を与えた。いくら努力しても外的条件に左右される観光産業は、ある意味で極めて不安定であるとも言える。長期的に見れば、観光産業は徐々に回復し、将来的には観光立国と呼べるに相応しい観光客の受け入れが期待されると思う。

 今書こうと考えている「観光事典」観光編では、このアップダウンの激しい観光業の本質というものについて、突っ込んで書いてみようかと考えている。

 夕刊を開いてびっくりである。有楽町の西武が本年内に閉店するという。百貨店業界が低迷しているが、銀座に近く、JR有楽町駅に近い絶好の地にありながら、逆風に抗しきれないということだろうか。

 もうひとつのニュースは、わが家の近くでも店舗展開をしている高級スーパー「紀ノ国屋」が、全株式をJR東日本に売却してJR傘下に入る。「紀ノ国屋」は西武同様に立地も良く、ブランドを考えると惜しい気もするが、これも時代の流れだろうか。

 経済回復の兆しも見えない中で、今日から労使の交渉が始まった。経団連と連合、それぞれに自分たちの立場を主張しているが、今年の春闘では最初からベースアップは諦め、定期昇給に的を絞った攻防戦になっている。早く景気が回復しないかなぁ。

2010年1月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

987.2010年1月25日(月) 普天間米軍基地移設問題はどうなるのか。

 沖縄・普天間米軍基地移設問題がもたもたしている間に、昨日普天間の移転先と考えられている辺野古海岸のある名護市の市長選挙が行われ、辺野古移転受け入れ反対派の稲嶺進氏が、激戦の末受け入れ容認派の島袋吉和・現市長を破って当選した。獲得シェアは52対48の際どい勝利だった。

 選挙の結果は、名護市に対してのみならず、全沖縄と日本中にも厳しい宿題を課した。日米合意で辺野古移転が決まってから、今回の市長選で名護市民の民意は初めて受け入れ反対、県外移設を示した。この時期に市民が下した「反対」の結果は重いものと受け止めざるを得ない。実は民主党が稲嶺氏を支援したことも、党の今後にとって悩ましいジレンマに陥れている。民主党は当初からマニフェストで海外、または県外移設を主張していた。いうなれば稲嶺氏、名護市民、民主党のそれぞれが、思惑と意見において一致したことになる。

 しかし、問題解決は複雑な様相を呈しつつある。仲井真弘多・沖縄県知事は移設容認派と見られているが、基地問題は200%政府の所管事項であるとして県知事としての行動に一定の距離を置いている。

 問題は民主党が県外移設を謳ったわりには、その線で動いていなかったからである。県外の予定候補地を真剣に探している様子が見えなかったうえに、移設を主張するアメリカ政府と沖縄駐留アメリカ軍から民主党政府に対して、日米合意案(辺野古移設)は譲れないと釘を刺されていたからである。民主党政権は5月までに候補地を決定すると言明しただけに難しい立場に追い込まれた。ひとり連立政権を組む社民党だけが、最初から県外移設を主張していたので、ニコニコ顔である。しかし、普天間問題が解決されたわけではないのに、パートナーである民主党の苦悩を嘲うかの如き笑顔はいただけない。

 それにしても鳩山政権は普天間基地移設について、どう決着をつけるつもりなのか。以前から地元民の意見を汲み取ることは当然と言っていたが、本当にそう思っているのか。それが本心なら沖縄住民の気持ちが分かっているはずだから、政権獲得後直ちに次の基地予定地を探す努力をすべきではなかったのか。こんな状態では5月末までの短期間に米軍も納得出来る候補地を探すことが出来るだろうか。

 決断力がない印象を与えている鳩山首相は、これまでのようにブレてばかりいないで、バサッと一刀両断に決める覚悟を固めるべきだ。さもないと時間が足りなくなるのではないか。

 小沢幹事長資金疑惑問題を抱えている上に、また民主党に難問が降ってわいた。

 今日遅ればせながら新型インフルエンザの予防注射を打ってもらった。保険で一部負担してもらっているからよいが、その全額を支払えば代金は36,000円だから、少々高額過ぎる。

2010年1月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

986.2010年1月24日(日) 東大寺には管長の上に長老がいる。

 昨日小沢一郎・民主党幹事長に対する任意の事情聴取がなされた。昨晩小沢氏は記者会見を行ったが、終始マス・メディアに追い回され、今朝も新聞・テレビはその件で大分ヒートアップしていた。

 しかし、やはりわれわれ一般人には「なぜだ?」と分からないことばかりである。大体任意とは言え、東京地検の建物内ではなく、どうしてわざわざ四谷のデラックスなホテル・ニューオータニの個室で検察側2人と小沢氏の3人だけで事情聴取をするようなことになったのか。前代未聞ではないだろうか。いくら民主党の大物国会議員にしろ、高級ホテルを借り切って長時間に亘り、たった3人だけで秘密めいた話をする。そのこと自体少々異常である。その後の小沢氏の記者会見にしてもご本人は意を尽くして説明したつもりかも知れないが、一向に疑念が解明されない。小沢氏本人、建設会社役員、秘書ら関係者の話の辻褄がどうしても合わない。逮捕された国会議員や元秘書の供述、ダム工事に絡んだ建設会社役員の説明でも資金のやりとりがあったことがはっきりしている。捜査は今後に待つしかないが、小沢氏の周囲は疑念だらけである。これでは政治改革以前の話で、いつになったら本来の政治を進めることが出来るのか。

 さて、偉いお坊さんが亡くなった。筒井寛秀さんと仰る88歳の奈良・東大寺長老である。東大寺で一番偉いのは管長だと承知していたが、この筒井さんは17年前に長老となったが、その前に管長だった。更にその前は東大寺執事長だった。今年は平城京遷都1300年祭が奈良周辺を中心に開催される予定であり、奈良の各寺院も大分力が入っていた矢先だった。

 筒井長老は、祖父、父に続いて1990年に東大寺別当・華厳宗管長に就任したが、それが何と212世だというから、その長い歴史には驚く。

 私自身いずれ遠からずお迎えが来るのに、恥ずかしながら宗教心がやや薄いせいだろうか、あまり宗教行事に関心を抱くことが少ないが、それでも時折珍しい宗教行事があったり、お寺を訪れる機会があると殊勝に拝礼して願いごとをすることもある。昨年インドを旅行した時には、ヒンドゥー教に興味を抱いていたが、短い滞在ではそれほど驚くようなイベントにも会わず、インドの宗教に触れず仕舞いだった。

 ビルマをよく訪れていたころは、仏塔パゴダへお参りすることが多くビルマ人の信仰心というものを感じさせられ、「ビルマの竪琴」についても深く考えることがあった。近年ビルマへ行く機会がなくなり、そんなこともなくなってしまった。

 しかし、まったく宗教への関心がないわけではなく、まだ訪れていないネパールへは近い将来に一度訪れてみたいと思っている。チベットでラマ教と呼ばれるチベット仏教に触れる機会があったが、その時ラマ教がネパールでもかなり普及していると聞いた。ネパールでは大半の90%の人びとがヒンドゥー教を信仰しているというから、ラマ教とヒンドゥー教との関係はどうなのか興味がある。

2010年1月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

985.2010年1月23日(土) WHOがアルコール規制

 不透明な資金で土地を購入したとされ、先日来東京地検から再三任意出頭を求められていた民主党・小沢一郎幹事長が漸く地検へ出頭して資金の出所を説明したようだ。東京地検に対してどこまで納得出来る説明をしたのか外部にははっきり伝えられていないが、いずれもう少しすれば、はっきりするだろう。しかし、どうして普通の人間にはおかしいと思える錬金術や資金の管理方法が、政治家にはおかしいと感じられないのか。まったく不思議な話だし、まったく不思議な人種である。

 さて、これまで知らなかったが、現在世界保健機構(WHO)ではアルコール規制について具体的な試案を検討中なのだそうである。従来喫煙による健康被害については各国でも真剣に取り組み、国によっては喫煙追放運動をやっている。禁煙の動きは野火の如く広がり、公共の場所ではタバコは今では吸いにくい空気になってきた。実際アメリカ国内では喫煙場所を探すことが難しいくらいである。日本国内でも禁煙運動が徐々に浸透し、日本タバコ産業では販売量の伸び悩み、また減少に危機感を抱き、イメージの悪い「タバコ」という名前を社名から隠すために通称で「JT」と呼んでいる。

 ところがアルコール類については、その飲み過ぎの弊害は叫ばれても注意を喚起しあって飲み過ぎに注意するとか、場所を弁えるという啓蒙活動が進んでいるような気がする。

 先年ロシアを訪れた時、気になったことのひとつにロシア人男性の平均寿命が図抜けて短いことだった。何せ58.6歳である。女性は世界的にみてもそれほど低いわけではない。男の若死にの4大要因として、麻薬、アルコール中毒、交通事故、自殺が挙げられている。寒い国でアルコール度数の強いウォツカなどを飲んで酔いつぶれ、そのまま路上に寝込んで凍死するケースが多いらしい。

 WHOでは、アルコールの販売や広告の規制を求める指針案が執行理事会で採択された。これまでの飲酒に対する健康面の影響だけでなく、社会への「害」として捉え、各国の自主規制で減らすことを目指すという。

 問題はお酒に甘い日本人の倫理観を考えると果たしてすんなりと受け入れることが出来るか。国内ではメーカーや、業界団体がすでに自主規制で自動販売機の撤去などを進めてきた。だが、タバコ税の値上げと同じように酒税値上げとまではいくだろうか。

 ワインが文化とまで思い込んでいるヨーロッパでは、果たしてどこまで自主規制が徹底出来るか。かつて、フランスでディズニーランドがオープンした時、園内レストランでワインを飲めないのでは行かないという意見が多く、ディズニーランドと対立して結局ワイン販売を認めさせたお国柄だけにワインの本場であるフランスあたりがどのように対応するだろうか。注視してみたい。

2010年1月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

984.2010年1月22日(金) 日本は世界一の借金大国になった。

 かねてから懸念されていたわが国の借金財政の実態が経済開発協力機構(OECD)から発表された。国内総生産(GDP)に対する純債務比率が今年先進国の中で最悪の水準になると見通されている。総債務残高から資産を差し引いた純債務のGDP比率が、2010年に初めて大台の104.6%に乗ることになる。

 そもそも日本の「総債務残高」のGDP比率が先進国で最悪になって借金財政が話題になったのは、20世紀末のことである。ただ、当時はイタリアの「純債務残高」のGDP比率が100%台だったのに対して、日本は50%台で他の先進諸国とほぼ同水準だった。しかし、欧米が同じ水準で推移する一方で、日本の比率は右肩上がりに拡大していった。その結果ついに日本の財政は世界でも稀なほどアンバランスな状態に追い込まれてしまった。

 これでいよいよわが国財政の借金漬け体質が国際的にも明らかにされた。今のところ逼迫した財政問題を解決するメドは立っていない。当面民主党政権には消費税増税を真剣に論議する気はないようだ。かつて、橋本政権、小泉政権時代に行財政改革を志したが、政権交代によりその目標も頓挫してしまった。今日わが国経済は不況の真っ只中にあり、二番底景気も襲ってくるやも知れず、むしろ財政出動を期待される板ばさみの厳しい状況にある。

 何と言っても最大のガンは、現政権の経済政策が将来展望を欠いて、常に目先の対策に追われていることである。ぐずぐずせずに政府、民主党は借金を減らすための基本政策を検討し、場合によっては消費税問題を真正面から捉えて真剣に議論して国民の理解を得ることが重要ではないかと思う。

 さて、先日「知的生産の技術研究会」(知研)八木哲郎会長からコンサルタントで矢矧経営研究所を経営しておられる矢矧晴一郎氏と会食するので一緒にどうかとお誘いをいただいた。他に知研監事の杉沢達也さんも同席されるということだったので、喜んで新宿の会食に加わらせていただいた。

 杉沢さんは高校の3年先輩でラグビー部の先輩、水野勇右さんと同級生でもあり、以前から親しく話をさせていただいたが、意外だったのは矢矧氏が慶応大経済学部の先輩だったことである。千種義人教授のゼミで学び、富士銀行に入行し支店勤務を経た後、岩佐凱実頭取の下でひとり特命的な業務をやっておられたという。独立されてから多忙な時期には、1年に120回ほど講演をされていた。著書も200冊以上書かれて、販売価格4万円の大著を2,000冊も販売したこともあると伺いびっくりである。現在80歳というが、とてもそうは見えない。しかも歯はすべて自分の歯で、入れ歯はなく、老眼鏡も必要としない。背筋はぴんと伸びて、威風堂々として恐らく180㎝は充分ある偉丈夫である。すべてにおいてつくづく凄い方だと思う。話の内容は一般的な世間話だったが、とにかく面白かった。偶々矢矧氏の講義を杉沢さんが聴講したことがあって、その時ひとりの若者が矢矧氏のお説に反論するような質問があったが、悠然と応答され、その内に会場内から講師に賛同する声が上がったというから、よほど説得力があったのだろう。

 それにしても場を作ってくれた八木会長の幅広い人脈、向上心と好奇心には頭が下がる。喜寿にしてこのバイタリティには、一昨年やっと古希を迎えたばかりの私などはとても及びもつかない。

2010年1月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com