1238.2010年10月3日(日) 戦没者遺骨収集事業は曲がり角に

 昨晩NHKで「‘追跡!A to Z’重大疑惑! 日本兵の骨は偽物か? 遺骨収集の闇」と題するショッキングなドキュメント番組が放映された。私自身20年近くに亘って旧厚生省の戦没者遺骨収集事業に携わり、少なからず英霊の母国への奉還に協力させていただいたとの気持があり、また中部太平洋を始め、マーシャル・ギルバート諸島、東南アジア、シベリア、樺太、旧満州などの戦没地を歩き、ある程度遺骨収集事業の内情を知っているだけに、本事業の真意と主旨が少し別の方向へ歩み出している点に釈然としない気持と疑問を抱いた。

 当番組はフィリピンにおける遺骨収集事業を取り上げていたが、最大の問題点は、国家事業であるべき「戦没者遺骨収集事業」が、安易に「空援隊」というNPO法人に丸投げされ、その「空援隊」が現地において自らの裁量によりすべてを取り仕切っていること、そしてその遺骨収集の実施方法にあると思う。

 以前は国家事業として、決して民間の介入を認めなかった。例え民間人が遺骨を1片でも収骨したら厚生省遺骨収集団に引き渡すか、或いは地元警察署に預けるか、の選択肢しかなく、戦没者の遺骨に対する考えも崇高で厳しいものだった。

 それが、番組によれば、いとも簡単にフィリピン山中の部落で盗掘された現地人の骨を、日本兵の遺骨との確認もなく引き取り、持参した現地人に代金を支払っている感覚は、こと戦没者に関わることだけに戦没者を冒涜するものであり、とても尋常のことと思われず、その神経はまったく理解出来ない。この背景には、戦後長い時間が経過して関係者の多くが亡くなり、情報が得られなくなって異国の山野に散逸した遺骨も見つけにくくなった事情がある。結果的に年々収骨数は減少し、多くの費用を注ぎ込んだ割に成果が得られないとのジレンマもあったことは事実である。

 今から30年ほど前にこのまま巨額の国費を投じて遺骨収集事業をいつまでも続けるべきか否かの議論が沸騰したことがあった。当時はまだ多くの遺族、特に妻や子息が生存していたために、日本遺族会を挙げて猛烈な反対運動により継続されることになり、さりとて半永久的に続けることに、必ずしも全面的な賛成がなされたわけではない。その挙句苦し紛れに妥協して、「終了に近い継続」という意味合いで、「概了」という言葉を造り出して一部で話題になり、遺骨収集事業も毎年継続されてきた。

 結論から言えば、例え成果は乏しくとも以前と同じように厚労省主導のやり方で継続すべき事業だと思う。この事業を行うことは戦後生き残った日本人としての英霊に対する誠意であり、責任と義務であると思う。

 残念ながら、今や役所にもNPO法人にも戦場における悲惨さを知っている人が極めて少なくなった。件の「空援体」のように、どれほど厚労省から補助金をもらっているのか分らないが、東京都内の家賃の高そうなビル内に事務所を構えながら事業を請け負ったり、一方で厚労省係官が質問に対して率直に実情を開陳しようとしない点はいかがなものかと思う。

 折角NHKが取り上げたことでもあり、今1度改めて問題の本質と性格を検討すべき時であると思う。例え「概了」であってもよい。細々とであってもよい。遺族がまだ生きておられるうちは、厚労省が主導して半永久的に事業を続けるべきである。これについて事業仕分けで[NO]との判断が下されることはよもやあるまい。

 さて、今日は午後になって突然共著「そこが知りたい 観光・都市・環境」の拙稿に添える写真を撮りに行こうと思いついた。4枚の写真と2枚の図解を提供してすでに組版されているが、まだ1枚足りない。

 実は中国人旅行者が日本国内を旅行している写真が欲しかった。出版社でも探してくれるという話だったが、まだ見つからないらしい。6日の打ち合わせまでに何とか見つけないといけない。明日は降雨の予想なので、一念発起して外国人が観光している場所として、デジタルカメラを手に銀座、浅草、秋葉原へぶらり出かけてみた。銀座は歩行者天国になっていて中国人を見つけにくく、浅草にはむしろ欧米人の方が多く、結局良い写真が取れず、最後の秋葉原でやっといくつかの中国人団体客に会い、何とかスナップを撮ることが出来た。これを編集者に気に入ってもらえるかどうかちょっと気になる。

2010年10月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1237.2010年10月2日(土) 「知の現場」電子書籍化は10月中旬へ延期

 中国が国慶節休みということもあり、中国に関する話題は暫し休憩でいま大きな問題となっているのは、検察の証拠改ざんに関連するスキャンダルである。改ざんした主任検事はすでに逮捕され、元の上司も2人が昨日逮捕されたが、その2人は逮捕した最高検に対して徹底抗戦すると強気に発言している。卑しくも逮捕された元検事とは、ひとりは大阪地検の元特捜部長であり、もうひとりは元特捜副部長である。そこには、残念ながら職務に対する厳正さも、国民への責任も見られない。

 証拠品であるフロッピー・ディスクを改ざんしたことは事実であり、それを元上司に伝えたことまでは間違いない。元上司が敢えて最高検の逮捕に対して戦うというのは、2人が改ざんの事実の報告を受けながら過失によるものと説明するよう指示し真実を隠蔽したことを、最高検が犯人隠微と判断したことに対して、事実とは違うと反論しているのだ。重要な問題を検察庁内の内輪の問題にしてもらいたくない。

 事実は深い闇の中で今後どれだけ解明されるのか分らないが、やってはならない証拠品の改ざんなどと不届きなことを検察庁内でやってしまい、国民に失望感を与えたことについては深く反省してもらいたい。そのうえで容疑者に関する証拠品を改ざんしたという本質的な過ちを、検察庁内の別の問題とすり替えないでもらいたい。

 さて、「知的生産の技術研究会」で仲間とともに出版に協力した「知の現場」が、9月中に電子書籍化されると承知していたが、その後10月に入っても連絡がなく知研・秋田英澪子事務局長に問い合わせたところ東洋経済新報社に問い合わせてくれて、結局予定より遅れて10月中旬ごろに具体化されるとの返事をもらった。今では電子書籍化という言葉が流行して、これからは電子書籍化の時代だとの空気も流れている。実際のところ電子書籍は、概念としては何となく分るが、現実にはどういうことなのか良く分らない。早く手に取ってみてみたいものである。そうすれば、知人に「知の現場」の電子書籍についてPRして説明するのでも説得力があるのではないかと思っている。

 別の意味で待ち遠しい。

2010年10月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1236.2010年10月1日(金) 年度の中間点を過ぎた。

 平成22年度も早やその半分が過ぎた。今日は4年半ぶりにNPO神田雑学大学の要請により、神保町の千代田ボランティアセンターで講師を務めた。「世界遺産152ヶ所を訪ねて」と題して、いつも通りUSBを持参してパワーポイントにより説明した。普段のようにレジュメを準備し、それに今日は自己紹介図解を添えた。早めに来られた人は、食い入るように図解を見てくれている。やはり嬉しいものである。

 パワーポイントはすでに他所の講義で使用したスライドに幾枚かを入れ替え、念入りに修正して興味を惹くように作り直したものである。いくつかあっと驚かせるような仕掛けをしたので、結構受けたようだ。「学長」の三上卓治さんから、吉祥寺の雑学大学も前回の最終講義以来大分時間が経過したので、来年早々にもやって欲しいと依頼された。年が明けたら考えてみたい。

 帰ってきて驚いたニュースは、今渦中の検察によるFD改ざん事件の大阪地検主任検事の上司だった、前大阪地検特捜部長と副特捜部長が最高検察庁によって逮捕されたことである。検察の権威の失墜が、ついにここまで来たかという感がする。容疑は、部下から証拠改ざんをしたとの報告を受けたのに、隠蔽したということから「犯人隠避」というのだそうだ。

 さて、昨日北朝鮮で「キム・ジョンウン」なる世襲3代目が、金王朝の後継者と公表された。朝刊紙にはこれまで子どもの頃の写真しか公開されていなかったが、漸く最近の集合写真が掲載された。しかし、27~8歳と言われている割には、老けて見える。それに肥満体質で父親の金正日総書記にそっくりである。動画は代表者会で拍手をしている姿を除いてまったく紹介されず、提供されるのは集合写真ばかりで年齢も推測でしかない。どうして、ここまで国の最高スタッフの経歴を隠そうとするのか意図がよく分らない。

 「キム・ジョンウン」という姓名も漢字にはどういう文字を当てはめるのか、中国でも当て字が考えられず、先日「金正銀」と紹介していたようだ。ところが、今日の朝日夕刊には朝鮮中央通信社の発表を受けて、やっと「金正恩」と出した。加えて朝日は今後「金正恩」と表記することにするという。

 面倒な国である。一方の面倒な国・中国は今日が建国記念日、国慶節である。今日から7日まで祭日らしい。日本流に言えば、大型連休であるが、中国人はそんな悠長な気分でいるのだろうか。

 夜プロ野球セ・リーグで中日ドラゴンズの4年ぶりの優勝が決まった。最後まで混戦模様だったが、3連覇中の巨人が投手力の弱さで最後の最後に至ってこけてしまった。他のプロ野球関連ニュースによると横浜ベイスターズは、オーナー会社のTBSがテレビ局の中で唯一の赤字会社となり、チームを手放すことになった。後を引き受けるのは、住生活グループと言われ、同グループは現在諾否を検討中である。

 また、今日10月1日を期して、タバコが大幅値上げとなり、昨日から買いだめに走る喫煙者の姿や、禁煙に苦労している人々の涙ぐましい姿を紹介している。タバコはまったく吸わないのでその気持は分らないが、世界の大勢は完全に禁煙ムードである。昔は許容され大目に見られていた習慣も、段々窮屈になってきた。それも時代の流れというべきか。

2010年10月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1235.2010年9月30日(木) 国際ペン東京大会閉幕

 あれだけ暑かった夏も過ぎると急に涼しさ、肌寒さがやってくる。昨日もやや肌寒かったが、今日は全国的に雨模様で寒い。その中を国際ペン・東京大会フェアウェル・パーティに出席のため京王プラザホテルへ出かけた。

 まずは、国際ペンクラブ専務理事・事務局長に選出された堀武昭さんにお祝いを述べ、先日撮ったスナップを差し上げた。他にも国際ペンのジョン・ラルストン・サウル会長や、阿刀田高日本ペン会長、フランスから来られたマリー・フランス・コンド・レイさん、堀さんの親しい外人夫婦、大原雄さんに差し上げたが、皆さんからは思いがけないプレゼントと言って心から喜んでいただいた。堀さんの親しい友人に至ってはえらい感激ぶりで、外国人特有のオーヴァージェスチャーでお礼を言われた。些細なことではあるが、ほんの小さな心配りが素直に受け入れてもらえるのは嬉しいものだ。

 外国人参加者は誰もが今大会の運営についてお世辞を取り混ぜて賞賛してくれる。阿刀田会長とお話した時、一番良かったことは大会の運営が成功したことより大きな事故がなかったことだと仰っていた。残念なことに、今回早稲田大学で行っていた演劇や、その他のパフォーマンスは観ることが出来なかったが、26日の歓迎パーティにしろ、今日のフェアウェル・パーティにしろ、かなり盛り上がっていた。今日は26日に比べればやや参会者は少なかったが、内容的には今日の方がずっと良かったと思う。

 特に終盤になって、小学生を含め老若男女を繰り出した阿波踊りは、踊り手の身振り手振りもよくメリハリの利いた所作は外国人に大受けだった。私も一緒になって踊りまくった。参会者のほとんどが会場いっぱいに踊りまわるさまは、雰囲気も最高潮に盛り上がりアトホームで中々良かった。これで有終の美を飾り大会事務局は、海外の参加者から評価を高めたのではないだろうか。私にとっても印象に残る大会だった。

 20日に中国河北省・石家荘で逮捕された「フジタ」社員4人のうち、今日3人が釈放された。なぜひとりだけ解放されないのか、不明である。中国では明日が建国記念日に当たり以後7日間は休日になるので、この間政治的な動きはない。推測によると日本人ひとりを人質にして、じっと日本の対応を見守っているらしい。北朝鮮同様に昨今の中国政府のやることはどうも陰険で理解に苦しむ。相変わらず強気で高圧的な中国は、日本側の船長釈放に合わせるように、軍事基地へ侵入したとの嫌疑で件の4人の身柄を拘束した。流石に国際的に中国の強硬姿勢に対する反発が強まってきたことと、日本国内の反中国の空気を懸念したのか、やっとレアルアースの対日輸出を認めるようになったり、4人の釈放を行うようになった。ただし、依然として腹の内を明かさない中国の真意は図りかねる。これから当分の間お互いに神経戦を繰り広げるのだろう。

2010年9月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1234.2010年9月29日(水) 堀武昭さん、国際ペンクラブ専務理事・事務局長に

 朝日朝刊を見て日本ペンクラブ常務理事の堀武昭さんが、昨日国際ペン東京大会代表者会議で国際ペンクラブ専務理事・事務局長に選出されことを知った。欧米人以外で選ばれたのは初めてだという。3日前に国際ペン東京大会歓迎式の帰りに、小中陽太郎さんから役員選出についての裏話を聞いたばかりである。それにしても一大慶事であり良かった。専務理事は会長に次ぐ役職で3年間の任期であり、明日正式に就任する。ちょうど明日開かれるフェアウェル・パーティには出席する予定なので、直接彼にお祝いの気持ちを伝えたい。

 さて、海事センターで「そこが知りたい 観光・都市・環境」編集会議を行い2度目の校正を行った。他の執筆者の原稿について気がついた点や、アドバイスを伝えるのは難しい。こちらが良かれと思って、また間違いを率直に指摘しても相手はそう素直に受け取らないケースがある。挙句には人それぞれの考えがあるからと言われたり、粗探しをされても困るというようなことを言われることもある。しかし、間違いは間違いであり、良い本を作るためには超えなくてはならない、虚虚実実の駆け引きであり、嫌なことではあるが、やはり伝えなければならない。その編集作業も軌道に乗って漸く終盤に入った。一応今月末までには出来上がる予定である。

 それにしても共著というのは難しい。しばらく共著には関わりたくない。来年は単独で書き下ろしを書きたいものである。

 このところ大阪地検主任検事の証拠品改ざん事件で、検察全般に対する世間の風当たりが強い。駒沢大学の公開講座で冤罪に関するビデオを見せてもらった。昨年の講座でも観たもので、浜松市内の幼児殺人事件の冤罪の経緯を克明に追ったものである。平成3年に起きた事件だが、犯人とされた男性は、10年近い刑期を終えて出所した。幼児を殺害した真犯人は母親で、その母親と交際していた男性が一時自白したが、実は母親に罪を着せられていた。ところが問題は判決が出る前に母親が罪を認め、その自白場面が録音されていたにも関わらず検察側はその事実証拠を提出せず、刑が確定し、男性が満期服役したことである。

 母親が自白した証拠を検察が隠して、罪のない男性に罪を負わせたのである。理不尽極まりない。検察は無罪の人間を殺人犯に仕立て上げたことになる。新しい証拠が表れない限りは、再審出来ないというのも不条理である。明らかに冤罪であるが、権力に対抗して再審にまで持って行くのは並大抵のことではない。現実にこういう事態があったことを考えると恐怖をすら覚える。

 今回の証拠品改ざん事件にしてもさもありなむと思わせられる。深く考えさせられる問題である。

2010年9月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1233.2010年9月28日(火) 北朝鮮の後継者に金正日総書記の3男

 昨日と今日の2日間太宰治の「斜陽」を読んだ。昨年は太宰の生誕100年に当たり各種の催しが太宰の出身地・津軽金木町を中心に各地で開かれたが、恥ずかしながら「人間失格」以外太宰作品はまったく読んでいなかった。解説に文芸評論家だった奥野健男氏が、「ヴィヨンの妻」を勧めていたので、午後自由が丘へ行った序でに書店で新潮文庫の「グッド・バイ」と「ヴィヨンの妻」を買い求めた。自殺未遂を2回、その後に心中をやってのけたハチャメチャな人生を送った太宰だけにすべてが型破りで、われわれには考えられないストーリーを書き上げる太宰作品は、筆遣いはやわらかいが強烈なパンチを効かせる。

 ほかに日経が出した「梅棹忠夫 語る」と久しぶりに「ラグビーマガジン」11月号も購入した。前者は、先日読んだ「山をたのしむ」(山と渓谷社)と同じように梅棹先生に小山修三氏が聞き手となって、広い分野で功績を残された梅棹先生と四方山話をしながら梅棹哲学の片鱗と梅棹語録を聞き出そうというものだ。後者は高校ラグビー部の後輩、栗原大介くんが始まったばかりの関東大学対抗ラグビー戦に慶大ラグビー部の期待の星としてグラビア付きで取り上げられているので、期待を込めて買い求めたものである。

 さて、わけの分からない隣国・北朝鮮で今日44年ぶりに北朝鮮労働党代表者会と党中央委員会総会が開かれ、噂通り金正日総書記の3男キム・ジョンウンが朝鮮人民軍の「大将」、そして中央軍事委員会副委員長として正式にお披露目された。先に人民軍の肩書きで紹介されたところが一風変わっている。「先軍政治」として北で一番力を持っている軍部をバックに国際社会に名乗り出たというところであろう。これでジョンウンの地位を公式に発表、周知させたので、今後は彼の支援態勢を固めたうえで、着々と禅譲の方向へ動いていくのだろう。

 しかし、それにしてもこの人事には相変わらずカリスマ的な秘密性が漂っている。金正日総書記の3男であること以外は年齢や現在に至るまでの昇進過程もはっきり公表されず、突然のように国家のリーダー・グループの一翼を担うポジションに就くことになった。30歳にもならない経験もあまりないような若者が、あの複雑な国家体制、しかも経済破綻の国で一足飛びに最高権力者に近い地位に祭り上げられて、果たして指導者としてやっていけるのだろうか。社会主義国家としてはあってはならないことだが、北朝鮮はこれで金日成以来3代連続して世襲後継者が国の舵取りを担うことになる。

 この国はどこまでこういう不透明な国家体制を続けていくのだろうか。国際的に多事多難な中にあって、あまりにも経験のない若者が権力を握ったときには、「裸の王様」となって悲哀を舐めるのは国民である。金王朝は内外の危機に直面して表面的には一見きしみが見られないようだが、いずれ王朝が倒壊する危険をはらんでいるように思う。

2010年9月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1232.2010年9月27日(月) 横綱白鵬、4場所連続全勝優勝

 昨日大相撲秋場所が千秋楽を迎えた。すでに前日優勝を決めていた横綱白鵬が全勝優勝成るか、そして62連勝成るかと注目されていたが、大関日馬富士を組み止めて一気呵成に寄り切った。これで4場所連続全勝優勝を成し遂げたことになる。先場所は野球賭博問題のゴタゴタで、実況中継放送がされず、優勝しても天皇賜杯も授与されず、優勝した白鵬が涙ながらに悔しがっていた姿が同情を呼んだ。今場所は賜杯を授与され、菅首相からも総理大臣杯を授与され、流石に感慨無量の表情だった。まさに相撲界のために孤軍奮闘している様子だった。

 しかし、白鵬の圧倒的な強さもさることながら、些か他の力士が弱すぎるような気がする。特に、横綱を倒す最大のライバルであるべき、大関陣の不甲斐なさはあまりにも情けない。4人の大関は目標が優勝でないようなニュアンスすら感じる。琴欧州10勝、杷瑠都9勝、日馬富士と魁皇は8勝で優勝争いどころか、勝ち越すのがやっとというていたらくである。特に、魁皇のごときは13度目のかど番を何とか勝ち越して、辛うじて大関の地位を守っている不甲斐なさである。

 これで白鵬にとって今後最大の目標である双葉山の連勝記録「69」が、益々現実味を帯びてきた。次の九州場所7日目に69連勝となり、8日目の勝ち越しが連勝新記録となる。

 条件面だけ比べれば、双葉山時代は1年がたったの2場所だった。その意味では現在の6場所制下の相撲と単純に比較は出来ないと思う。双葉山は現在の3倍も長い期間にわたって好調を維持していたわけである。

 もうひとつ寂しいのは、外国人力士の活躍に反して、日本人力士の元気のなさ、地盤沈下である。今や、横綱と大関を合わせた5力士の中で、日本人力士は勝ち越すのがやっとの大関魁皇ひとりだけになってしまった。この最大の原因は、ハングリー精神の違いだと思う。日本人で少年時代から将来相撲取りになろうと考えている子はあまり見当たらない。封建的な秩序と指導の下に長い期間苦しい稽古に耐えられる子どもはそう多くはない。裸でお尻を見せるのも現代っ子には受けなくなった。数多くあるスポーツの中で相撲部屋へ入門しようとする子の絶対数が減り、それに引き換え身体が大きく、力を発揮でき、我慢すれば将来の生活も安定したものが得られると考え、立ち遅れた旧社会主義国から若者が国技である相撲界へ続々入門するようになった。

 恐らくこの傾向に当分の間大きな変化はないだろう。身体の小さい日本人が、身体を使って闘う勝負はいくら伝統的なものであっても、段々部が悪くなってきた。はたしてこのままの状態で良いのだろうか。

 相撲以上に礼儀を重視していた柔道でも、礼を欠く選手が目立ってきた。勝負にあまりにも拘るようになったことと、柔道の歴史が浅い外国では柔道の精神と作法を教える指導者がいないからである。先般行われた世界柔道選手権大会の無差別級決勝で、日本の上川大樹選手に判定負けした、90キロ級優勝のフランスのリネール選手はその判定に納得せず、試合後も荒れ放題で礼をせず、側にあった道具を蹴飛ばして審判員に食ってかかり、それを誰も制止しなかった。

 礼儀を知らず、作法も知らないお行儀の悪い選手や関係者が増えたものである。

 柔道も相撲も外国人が入ったことにより、少しずつ状況が変わった。当事者は今後の発展を考えるなら1度原点に還って、問題点をよく検討してみることも必要ではないかと思う。

2010年9月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1231.2010年9月26日(日) 国際ペン東京大会開会

 23日から国際ペン東京大会が始まっている。今日は京王プラザホテルで催される歓迎会に出かけた。まあほぼ30年ぶりの日本における開催なので当時開催に関わった人はもう少ないと思う。亡父もペン会員だったので、前回の井上靖会長時代にばたばたしていたことを思い出す。

 会場には20分前に到着したが、ホールには6時以降入ることが出来るとのことだったので、西木正明さんに挨拶して待っていたら、須藤甚一郎さんと大原雄さんに会った。僭越だが須藤さんとは少し要領と手順が悪いのではないかと話し合っていた。結局ボールルームに入ったのは、定刻より30分も過ぎて6時30分になっていた。それから会場内で待っていたが、それとなく様子を見ているとどうもスムーズではないということが見て取れる。東京大会はかつて世界蘭大会でお世話になった日本コンベンション・サービス社に丸抱えで卸されているが、手馴れたはずの担当者が一所懸命今日に備えて準備を進めてきたことをとやかくは言えない。心配していたら、7時になってやっと進行係のスピーチを機にパーティが始まった。

 冒頭の挨拶は国際ペンクラブのジョン・ラルストン・サウル会長でお世辞もあるが、これだけ盛り上がった今日のパーティと参会者の多さを高く評価してくれた。その数ざっと1,000人だろう。その後に阿刀田高・日本ペンクラブ会長の挨拶、謡とお囃子があって、堀武昭・国際担当常務理事の乾杯が続いた。堀さんは慶応の1年後輩であるが、長らく国際関係に従事していたので、外国のペンクラブに知己が多い。小中陽太郎さんの話では、堀さんは国際ペンの事務局長を目指しているようだが、反対派も多いようで中々茨の道のようだ。

 スタートは今ひとつぱっとしない感じだったが、会場の雰囲気も和んできて日本人同士、また外国人との交流をあちこちで楽しんでいる姿も見られて会場内がひとつの和になってきたようだ。 阿刀田会長、吉澤事務局長、柏木隆雄さんにも挨拶したが、柏木さんが伊能忠敬の遠縁だとは初耳である。

 私もカメラを手に知人に会っては写真を撮っていた。時間が経過するにつれ皆さん結構楽しんでいる様子だったので、これで良いのかなと思った。ただし舞台で折角謡をやるなら、立派な屏風も準備したことでもあり、和服姿の日本女性による日本舞踊を見せてもらえればなお良かったように感じた。

 個人的にも小中さんが紹介してくれたポーランドの女性、ジュワフスカ・梅田・アグニェシカさんとフランスのエスペラント会の女性、マリー・フランス・コンド・レイさんと交流することが出来た。ジュワフスカさんはワルシャワ大学日本語科助教授で日本語もお上手である。連帯のワレサ議長について尋ねたら、彼は3度も来日して今では表舞台からは退いたが、元気に活動しているとの話だった。

 国際ペンの行事に初めて参加することが出来たが、大体雰囲気が分ってきた。これからも機会があればこの種のコンベンションに参加してみたいと思う。

2010年9月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1230.2010年9月25日(土) 日本の政治家は外交問題を解決出来ない。

 昨日沖縄地検が下した中国人船長の釈放について、懸念していたように各界から批判的な意見が多数浴びせられている。海外のメディアでも日本の弱腰を指摘する意見が多い。アメリカでは「他のアジア諸国とも同様の係争を続ける中国をつけあがらせる危険性を高めた」とし、韓国では「日本の降伏宣言で幕を下ろした」「中国・無差別報復、日本事実上の白旗」と手厳しい。日本と同じように中国と領土問題を抱えているベトナム、フィリッピン、マレーシアなどでも同情する声もある反面、首を傾げる声があがっている。中国では外交の勝利と喜び、あまつさえ日本に対して謝罪と賠償を要求すると相も変わらず鼻息が荒い。わが国では船長の釈放について学者や専門家が疑問視する一方で、野党からはともかく民主党内はひっそりして賛否の意見が表に出てこない。みんな世論が怖くて自らの意見を言うことも出来ないのだ。なんてだらしない国会議員だ。結局民主党議員には、内輪もめになると声高な意見が発せられる反面、不得手な外交問題になるとしぼんで何ひとつ持論が出てこないのはどういうわけだろうか。

 今の政治家の動きを見ていても勉強をして、実地検分をして自分の意見や信念をしっかり固めている腰の座った政治家らしい政治家は極めて少ない。こういう人たちにわれわれの将来を託して本当に大丈夫なのかと心配でならない。

 国連総会における傲慢な温家宝首相のスピーチや日本に対して見くびったような態度を始めとして、尊大な中国の嫌がらせと、日本側の関係者の稚拙な対応は、見ているだけで不愉快になり不満が募ってくる。

 しかし、われわれ国民はどうすることもできない。癪に障るが政治家を頼りに出来ないのだから、しばらく放っておくより仕様がない。だが、今回の一連の経緯を見ていて、中国の大国意識と中国人の「われすべて正しい」式の傲岸不遜なパフォーマンスには、改めて中国人の人間性と品位に疑問を抱いた。

 さて、近年のNHK朝ドラの中で比較的評判の良い放映中の「ゲゲゲの女房」が、今日で終った。大体観ていたが、最近の同種のドラマの中では愉しく観ることが出来た。昨日漫画家水木しげると原作者である妻布枝さんがNHKスタジオ・パークへ出演されて個性的なトークを繰り返していた。最後にアナウンサーが水木しげるに対して、現代の若者に伝える言葉を伺ったところ「とにかく若者は働くことだ。文句を言わずに働くことが重要だ」との発言にはつい喝采した。短い言葉の中にエッセンスが詰まっている。やはり戦地で苦労されてきた体験から自然に生まれた言葉である。今の若者に理屈っぽい点があることを見抜いた至言だと思う。まさに同感である。

2010年9月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1229.2010年9月24日(金) 中国人船長釈放、指揮権発動はなかったか?

 国連総会へ出席した日中両首脳は総会演説後に会談するのを恒例としていたが、現在の日中間の現状を髣髴させるように今年は行われなかった。一方で、自民党政権時代に比べてスムーズではないとされている日米の首脳会談は、菅首相とオバマ大統領の間で行われ、同時に外相会談も前原外相とクリントン国務長官との間で行われた。

 外相会談では尖閣諸島周辺は日米安保条約の対象であることを確認し、前原外相は同海域が日本の領土であるとのアメリカ側の暗黙の了解を得られたとすっかり気を良くしている。

 ところが、日本がこれまで拠り所としてきた「尖閣諸島にわが国の領土であり、漁船侵入事件はあくまで日本の法律に則って粛々と進める」との政府見解を覆すような事態が起こった。今日になって沖縄地検は、拘留中の中国人船長を身分保留のまま釈放すると発表した。日本の国内法に則って処分を決めるとの前言を翻したのである。この判断では、下手をすると尖閣諸島は中国領であると受け取られかねない。案の定中国のテレビでは、尖閣諸島が日本領土ではないと日本が認めたとも報道されている。

 おかしいのは、沖縄地裁の次席検事が記者会見して、これ以上拘留し事態を悪化させるのは国民への影響上良くないとか、今後の日中関係を考えると船長の身柄を拘留して捜査を継続するのは相当ではないとか、検察が政治的、外交的なコメントを述べたことである。まったく異例であり、その発言は3権分立の精神に抵触するのではないかとの懸念もある。その裏には検察と政府の間で裏取引があったのではないかと邪推もされる。早速柳田法相は、あくまで検察の判断であり指揮権を発動したことはないと噂を否定した。それなら検察は法に基づいて判断を下すだけで済ませ、余計なコメントを述べる必要がないのに、守備範囲を逸脱する外交、政治状況について主観的な考えを述べて、混乱を引き起こす原因を作った。

 今後国内で議論を呼ぶだろう。すでに、名うてのタカ派である石原慎太郎・東京都知事が、釈放は間違った判断であると強く非難した。

 数日前表沙汰になった大阪地検・主任検事の押収証拠品の改ざん事件といい、今日の判断といい、検察組織全体に検察の仕事に対する真剣さが足りず、思い上がった考えがあるのではないだろうか。

 確かに中国による容赦のない仕打ちは強烈である。後から後から日本を苦しめようとボディ攻撃を仕掛けてくる。今日新たに明らかになった内外の事件は、中国河北省で日本人4人が軍事管理区域内に侵入したとして身柄を拘束された。天津では29日に予定していたイオン・ショッピングセンターの開業式典を延期することになった。日本にとってレアアースの最大の輸入国だった中国は日本へ向けた輸出を禁止したようだ。国内では明日から東京ビッグサイトで始まる「世界旅行博2010」に、中国は突如出展を断ってきた。よくもこれだけ立て続けに隣国へ陰湿な嫌がらせが出来るものだと思う。

 一連の中国式嫌がらせに日本が屈服したとのイメージだけは持ってほしくないものである。

 それに引き換え明るいニュースとして、大リーグのシアトル・マリナーズのイチロー選手が、今日前人未到の10年連続200本安打を記録した。日本国内のプロ野球記録ならまだしも、長い歴史を誇る本場の大リーグで誰も成し遂げられなかった快記録を達成したのである。多少もやもやが吹き飛び、すっきりした。

 日中間の険悪な対立を、イチロー選手のクリーンヒットが吹き飛ばしてくれたわけである。イチローさまさまである。

2010年9月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com