1229.2010年9月24日(金) 中国人船長釈放、指揮権発動はなかったか?

 国連総会へ出席した日中両首脳は総会演説後に会談するのを恒例としていたが、現在の日中間の現状を髣髴させるように今年は行われなかった。一方で、自民党政権時代に比べてスムーズではないとされている日米の首脳会談は、菅首相とオバマ大統領の間で行われ、同時に外相会談も前原外相とクリントン国務長官との間で行われた。

 外相会談では尖閣諸島周辺は日米安保条約の対象であることを確認し、前原外相は同海域が日本の領土であるとのアメリカ側の暗黙の了解を得られたとすっかり気を良くしている。

 ところが、日本がこれまで拠り所としてきた「尖閣諸島にわが国の領土であり、漁船侵入事件はあくまで日本の法律に則って粛々と進める」との政府見解を覆すような事態が起こった。今日になって沖縄地検は、拘留中の中国人船長を身分保留のまま釈放すると発表した。日本の国内法に則って処分を決めるとの前言を翻したのである。この判断では、下手をすると尖閣諸島は中国領であると受け取られかねない。案の定中国のテレビでは、尖閣諸島が日本領土ではないと日本が認めたとも報道されている。

 おかしいのは、沖縄地裁の次席検事が記者会見して、これ以上拘留し事態を悪化させるのは国民への影響上良くないとか、今後の日中関係を考えると船長の身柄を拘留して捜査を継続するのは相当ではないとか、検察が政治的、外交的なコメントを述べたことである。まったく異例であり、その発言は3権分立の精神に抵触するのではないかとの懸念もある。その裏には検察と政府の間で裏取引があったのではないかと邪推もされる。早速柳田法相は、あくまで検察の判断であり指揮権を発動したことはないと噂を否定した。それなら検察は法に基づいて判断を下すだけで済ませ、余計なコメントを述べる必要がないのに、守備範囲を逸脱する外交、政治状況について主観的な考えを述べて、混乱を引き起こす原因を作った。

 今後国内で議論を呼ぶだろう。すでに、名うてのタカ派である石原慎太郎・東京都知事が、釈放は間違った判断であると強く非難した。

 数日前表沙汰になった大阪地検・主任検事の押収証拠品の改ざん事件といい、今日の判断といい、検察組織全体に検察の仕事に対する真剣さが足りず、思い上がった考えがあるのではないだろうか。

 確かに中国による容赦のない仕打ちは強烈である。後から後から日本を苦しめようとボディ攻撃を仕掛けてくる。今日新たに明らかになった内外の事件は、中国河北省で日本人4人が軍事管理区域内に侵入したとして身柄を拘束された。天津では29日に予定していたイオン・ショッピングセンターの開業式典を延期することになった。日本にとってレアアースの最大の輸入国だった中国は日本へ向けた輸出を禁止したようだ。国内では明日から東京ビッグサイトで始まる「世界旅行博2010」に、中国は突如出展を断ってきた。よくもこれだけ立て続けに隣国へ陰湿な嫌がらせが出来るものだと思う。

 一連の中国式嫌がらせに日本が屈服したとのイメージだけは持ってほしくないものである。

 それに引き換え明るいニュースとして、大リーグのシアトル・マリナーズのイチロー選手が、今日前人未到の10年連続200本安打を記録した。日本国内のプロ野球記録ならまだしも、長い歴史を誇る本場の大リーグで誰も成し遂げられなかった快記録を達成したのである。多少もやもやが吹き飛び、すっきりした。

 日中間の険悪な対立を、イチロー選手のクリーンヒットが吹き飛ばしてくれたわけである。イチローさまさまである。

2010年9月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com