307.2008年3月16日(日) チベット騒乱の行方

 チベットではやはり相当の死者が出ている模様だ。今朝の朝日によると、チベット亡命政府の発表として30人が死亡と報道されている。夕刻のテレビニュースでは、その数は80人を超えたと伝えていた。まだ、未確認情報ではあるが、中国政府の慌てぶりから察するとそれほど現実離れした死亡者数でもなさそうだ。天安門事件の二の舞ではないかとの声もある。

 大体中華人民共和国が1951年にチベットのラサへ中国軍を進駐させ、チベット民族を弾圧、支配したことがそもそも本事件の遠因である。その後チベットを中国政府の一行政区、チベット自治区として、漢民族による中央集権支配体制が確立させていった。その過程で、チベット民族の自治権の制限や、チベット文化の軽視に対して、チベット民族が反発し、それが59年の暴動となった。その後も表面的にはともかく水面下では、中国政府の強圧的な支配に対するチベット住民の反感が燻っていたようである。

 世界各国から中国政府に対して、人権面で充分配慮するように要望が出されているが、現時点でアメリカ政府が情報収集のために担当者をチベット自治区へ派遣する要請を中国側が即座に拒否したり、出来るだけ事件を外国人の目に晒さないよう、また中国政府の非人道的行為が報道されないよう、外国人のチベット自治区への立ち入りを制限し出した。すでにラサとの電話交信が出来ないとも言われている。これは明らかに中国政府の意図的な報道管制と言える。実際、私が先日ラサのホテルから日本へPC交信出来たくらい通信は、充分行き届いていた。

 これから少しずつ実態が明らかになるだろうが、下手をすると北京オリンピック棄権や、忌避の動きが、モスクワ・オリンピックに続いて持ち上がってこないとも限らない。いま中国政府は、住民弾圧とか、迫害という自由拘束の流れと受け取られないよう情報化社会の中で、何とか自国が傷つかないように処理しようと、懸命に隠蔽作戦を展開しているように思える。

 日本政府も漸く、中国政府に対して自制を促したとの小さなステートメントを発表したが、どれほどの効果があるだろうか。5月に来日する胡錦寿主席への遠慮があるせいだ。胡主席自身、チベット自治区の統治者としてデモを弾圧し、収束した実績を評価されて、国家主席の座を掴んだと言われている。触れられたくないアイテムである。

 しかし、中国は果たして世界の目をいつまでも欺き通すことが出来るだろうか。

2008年3月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

306.2008年3月15日(土) チベットの雲行きが怪しい。

 俄かにチベットの雲行きが怪しくなってきた。一昨日鎌倉でチベットについて話す機会があったが、ちょうどその頃インド北部ダラムサラでチベット亡命政府を支持する反中国デモがあった。デモ騒ぎについては一切知らなかったので、その時はチベットへの旅行について思うままに感じたことを述べた。高山病について話す一方で、健康ならぜひ一度行ってみることを薦めると結んだ。

 しかし、今日の報道をみると今度はラサ市内で大きな騒動になっている。せっかく青海チベット鉄道の開通により、チベット観光に光が見えてきた矢先だけに非常に残念である。すでにチベット地区への旅行を自粛するよう中国政府、チベット自治区、日本外務省から警告が発せられており、当分の間チベットへの旅行は難しくなるのではないかと気がかりである。

 最初にインド国内でデモが起きたが、その日のうちにインド政府はデモ隊を排除した。インドは以前からチベット亡命政府の政治的活動を制限している。今度のデモ騒ぎに対しても冷静に対処して中国政府に微妙な気遣いをしている。

 今朝の新聞は大々的にこの事件を取り上げている。先日訪れたジョカン(大昭寺)前広場に暴徒と化した群集によって、火をつけられ横倒しになった車の写真が載っている。新聞の見出しを見ると「チベット、デモ激化」「チベット、僧侶大規模でも」「チベット騒乱、中国『ダライ・ラマ派策動』」「チベット暴動『死者10人』」「騒乱拡大、五輪に暗雲」とチベットの先行きが懸念される記事ばかりである。

 中国政府としては、一部のダライ・ラマ支持派の策略によるものだとアッピールすることによって、海外からの批判をかわしながら事件を早く押さえ込み収束させようと企てる魂胆がありありである。北京オリンピックを控え、中国としてはいま極力イメージダウンを避けたい。食物、大気汚染、と嫌なムードが流れているうえに、治安の不安が大きくなったら、オリンピック開催も危なくなってくる。中国の非民主化政策は、近年ではスーダンのダルフール紛争で実験済みである。過去の例を振り返ってみても、29年前のチベット紛争以来、中国はすべての紛争を力づくによって鎮圧してきた。チベット民族の権利、伝統、文化を重視することなく、ひとつの自治区として中央政府が力づくで統治することがどれほどチベット民族に幸福をもたらすのか。いつも外部の意見を斟酌しようとしない中国人だけに、チベット民族に対する中国政府の出方から目を放してはならない。

 アメリカ、EU各国はすでに中国政府に対して、チベット人の人権に配慮するよう慎重なコメントを発表している。

2008年3月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

305.2008年3月14日(金) ビルマ民主化に関するペン主催シンポジウム

 日本ペンクラブは昨年10月「ミャンマー政府による新たな言論弾圧、日本人ジャーナリストの殺害、僧侶、市民の拘束に抗議し、言論の自由の回復を求める声明」を発表した。

 今日この日を獄中作家(Writers in Prison=WiP)の人権を考える日として、毎年日本ペンクラブが開催しているシンポジウムは、今年「なぜこの国を伝えたいのか」―ビルマ報道とジャーナリストの眼―のテーマを掲げて日本プレスセンターホールで開催された。

 1部と2部に分かれていたが、第1部では元NHKのビルマ語ラジオ放送で活躍していた、田辺寿夫氏がリードしながら、在日ビルマ人のチョウ・チョウ・ソウ氏とトーク形式で、フォト・ジャーナリスト長井健司氏が射殺された昨秋来のデモの経過、在日ビルマ人のビルマ民主化運動、日本人がもっとビルマに熱い関心を抱くこと、等について話を進められた。

 第2部では、それぞれ写真、報道等で活動される3人のジャーナリスト、江川紹子氏、山本宗補氏、綿井健陽氏が、夫馬基彦・日本ペンクラブWiP委員会副委員長の司会進行で報道の自由、規制、大手マス・メディアの報道姿勢、等について意見を述べられた。

 これほどの関心があるとは予想外なくらい、多くの人が訪れ、時間が足りないほど充実したシンポジウムとなった。これだけ大勢の専門家がいて、トータルで2時間は時間的に無理がある。だが、中身の濃い説明に引き込まれた。

 実は、田辺さんとは35年ほど前にビルマ戦友会の故栗原さんのお宅でお会いして以来、何度かお会いしたことがある。私のことを憶えておられるか分からなかったが、最前席に着席していた関係で、田辺さんと隣り合わせに座ることになり、名乗り出て休憩時間に少々話をした。相変わらず流暢なビルマ語を駆使する田辺さんだったが、いまはビルマ反政府活動をビルマの外で行っていると軍政から厳しい眼で見られ、入国ビザが許可されず、近年ビルマには行っていないと仰っていた。時間があまりなかったので、懐かしい話までは辿り着けなかったが、高校の先輩、山口洋一・元ビルマ特命全権大使とウ・ミャ・タウンさんについては共通認識があった。

 聞けば、山口氏とはテレビ朝日の田原総一朗氏の番組で激しい議論を戦わせたと話されていた。当然山口氏とは真っ向から対立する意見を持っておられ、対極の立場におられる。私にとっても先輩とはいえ、山口氏のあまりに独善的で、事実誤認も甚だしい暴論にはとても与することが出来ず、外交官としての見識も疑われるような人間性に失望した。ウ・ミャ・タウンさんには、随分お世話になった。田辺さんも懐かしんでおられた。久しぶりにビルマの実態を理解しておられる人と、ひとときではあるが懐かしい話が出来て、楽しくもあり有意義なシンポジウムだった。

 拙著「現代・海外武者修行のすすめ」には、ビルマに関して大分ページを割いている。田辺さんにもその点をお話して贈呈したところ、大変喜んでいただいた。

2008年3月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

304.2008年3月13日(木) チベットについて講演

 鎌倉の「湘南話し方友の会」例会で講演を依頼され、JR鎌倉駅前の「鎌倉生涯学習センター」で「高地チベットへの旅」と題して1時間半あまりお話をしてきた。この会では、2年前にもお話したことがある。自宅で入念にパワーポイントをチェックしたところ、普段使っているPCとの接続がうまくいかず、止むを得ず、お蔵入りで以前使用していたPCを持参した。会場ではPCの画面が消えて若干当惑したが、プロジェクターからスクリーンには映し出されていたので、話を進めるに当っては特段の支障はなかった。代表者が高校同級生の小山清くんなので、私からも他の同級生にも声をかけたせいもあり、永嶋喜一郎くん、山田勝久くん、轟貞雄くんが参加してくれた。轟くんなんか会社の帰りにわざわざ寄ってくれた。高校時代の友人が一声かけただけでも駆けつけてくれるのは、有難く嬉しいことである。

 チベットは青海チベット鉄道開業以来、観光地として脚光を浴びつつあり、日本人旅行者の関心も高く利用者の数もうなぎ昇りである。しかし、昨年後半だけでも8人の日本人旅行者が死亡しており、そのほとんどが高齢者で、高地特有の高山病が直接の原因である。今日の受講生の中にも熱烈なまでにチベットへ行きたいと考えられている方がおられたが、高山病について警告に近い話をしたので、皆さんがどう受け取られたか。

 旅行中の血圧と脈拍の数値変化表を、スライドとレジュメに載せて説明したので、かなり関心を持ってもらえたと思う。特に、海抜4,000m前後と5,000m地点の脈拍の亢進を示すグラフ変化は分かりやすく理解していただけたのではないかと勝手に想像している。脈拍数がチベット滞在中は平常値のほぼ2倍にまで上昇したことは、私自身も驚いたくらいなので、初めて知った人たちにとっては新鮮な驚きではないかと思う。

 今日準備段階で感じたことだが、講演の機会が増えるに連れ、パワーポイントを使用するケースも増加しているが、しばらく時間が空くとついパワーポイントの起動が不安になる。情けないことに、まだ完全に習得したわけではなく、これなら絶対大丈夫というまでの確信が持てない。自信を持って取り扱えるようにしないとこれからも常に不安を抱えることになるし、何とかそのようにしないといけないと思っている。

 講演を終えてから夕食をご馳走になりながら、中心メンバーの方々と話をしたが、小山くんに聞けばこの趣味の会が出来てから、もう32年にもなるという。よくもこれほど長く続いたものだと、幹部の方のご努力に敬服するばかりである。また新たなテーマでお話出来たらいいと思っている。

 さて、このところアメリカの景気不安で日本でもドル安と円高が同時進行し、それが日本の株価まで大きく引き下げている。今日は帰宅した途端、妻から1ドル100円を割ったと聞いてびっくりである。円相場が1ドル=100円を突破したのは、12年ぶりである。8年前に妻とエーゲ海をクルーズした時には、1ドルが150円に近かったほどの円安に海外での物価の高さを痛感したものだ。それが現在はこの円高である。これで訪日観光客が減少しなければ良いがと願う。株価も下がりっ放しで、日経平均でも前日比427円安でお先真っ暗である。多分有効な術は打たないだろう。

 一方でわが国の愚鈍な政治家たちは、政局を絡ませつつ国家、国民のことを頭から忘れ去り、この緊急時に金融当局のトップ人事も決められない体たらくである。やはり、本当の意味で政治改革をやって政治家の質を向上させなければいけないと痛感する。

2008年3月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

303.2008年3月12日(水) もめる新日銀総裁人事

 JAPAN NOW観光情報協会理事会が開催された。最大の目的は、5月の総会に向けた予算・決算の報告と事業報告、それに役員改選である。私も理事のひとりとして再選されることになった。今年8年目を迎えるNPOが、多くの会員を集め、組織を発展させ、観光振興の一翼を担っていくためのアイディアのひとつとして、広い分野で講師紹介・斡旋をして、併せて手数料収入を得ようとの考え方も披露された。私自身も登録することになるが、うまくいけばよいと思う。

 今日参議院本会議で、次期日本銀行総裁人事案が否決された。これも衆参のねじれ現象のなせる業で、与党としては参議院では議員数において過半数を握っていないために、投票になれば負けるのは分かっている。これで日銀総裁人事は完全に行き詰まってしまった。まもなく福井現総裁の任期が切れる。そうなると総裁空席という異例の事態になる。世界的に金融市場が大荒れで、経済の舵取りが難しい時期に、金融のトップがいない未曾有の事態は避けなければならない。だが、現状は与野党の政局が絡んでにっちもさっちも行かなくなってしまった。各党の代表者がともに自己の都合ばかり主張して、国民不在の政治取引にうつつを抜かしているからだ。

 投票の結果では、総裁候補は否決され、副総裁候補は一人(白川方明氏)が同意され、もう一人(伊藤隆敏氏)が否決された。否決されたのは財務省OBで、財政と金融の分離がなされないという野党の主張通りとなった。

 それにしても新日銀総裁候補の筆頭だった武藤敏郎・現副総裁としてはやりきれない思いだろう。針のムシロだろう。夕べも「報道ステーション」で加藤千洋氏が、武藤さんはこれでもまだやりたいのでしょうか、などと発言していたが、本人も本音としてはもうやりたくない心境だろう。ただ、自民党が熱心に推してくれるのに、当の自分が自ら降りたのでは、自民党首脳の面子をつぶすので、止めるに止められない気持ちなのではないだろうか。

 ところで、金融の舵取りは当面どうするつもりなのか。

2008年3月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

302.2008年3月11日(火) 北京オリンピックで大気汚染は大丈夫か。

 今日エチオピアのマラソン世界記録保持者で、シドニーとアテネ・オリンピックの10,000m金メダリスト、エチオピアのゲブレシラシェ選手が北京オリンピックではマラソンに出場しないと宣言した。気管支喘息の持病がある同選手にとっては、北京市内の大気汚染は自分の健康を損ねる恐れがあるというのがその理由である。しかし、排気ガスの多い市内道路を走るわけではなく、競技場内の10,000mレースには出場するとも述べた。また、女子マラソン世界記録保持者で、同じように喘息の持病を抱えるイギリスのラドクリフ選手も何らかの対策を検討すると言い出した。二人ともマラソンでは有力な金メダル候補者である。これが口火となって、他の有力選手に引火しなければよいがと願う。

 五輪開催まで残り5ヶ月に迫ったところで、このハプニングに北京政府は慌てて環境浄化を宣言し、クリーンな環境を提供出来ると大気汚染説打ち消しに必死である。国際オリンピック委員会(IOC)では、以前から中国オリンピック委員会に対して、大気汚染を改善するよう注意を喚起してきたが、ついにゲブレシラシェ選手のような有力選手側から忌避する行動に出られて北京五輪のイメージダウンは免れない。

 最近の北京上空を見れば、空気があまりクリーンでないことは察しがつく。日本のマラソン代表・野口みずき選手も口ごもりながら、現地を下見して検討するとも話していた。

 それにしても、こんなことは前代未聞ではないかと思う。かつてのモスクワ五輪ボイコット問題のように、政治が絡んだ問題とは異なり、選手、つまり主催者側の人間から興行主に対して、きちんと興行出来るように問題を解決しろと釘を刺されたようなものだ。中国政府から、いくらきれいな環境に自信を持っているなどと抽象的に言われても、主催者であるIOCが心配だという不安を払拭する材料と、目に見える解決策を具体的に示さなければ、主催者の心配は募るばかりである。

2008年3月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

301.2008年3月10日(月) 64回目の東京大空襲記念日

 東京大空襲があったのは、63年前のまさに今日である。最近大東亜戦争の歴史的記念日に関する報道が少なく、戦争自体に対する反省すら希薄になっている。その中で東京大空襲に関するニュースが目立つようになったのは、当然とは云え、亡くなった方々への鎮魂であり、忌まわしい戦禍を伝えていくことこそが、生き残ったわれわれの責務でもあると思う。

 昨晩のNHKドキュメンタリー番組「小田実特集」の中で、小田さんが大阪大空襲に遭い、それが小田さんの思想と行動の原点だと言っていた。大阪大空襲は東京大空襲に遅れること3日後の3月13日をきっかけにして、度々繰り返され、最後の空襲は、実に終戦前日の8月14日だった。小田さんはこの爆撃の下に恐怖を体験した。しかも、大阪市内の被害者数は10万人を超えたと言われ、広島原爆犠牲者と同じで、長崎原爆犠牲者の7万人を大きく上回った。なぜ執拗なまでに米軍は大阪を徹底的な攻撃で殲滅しようとしたのか。国際法違反の疑念も消えていない。小田さんはテレビの中で言っていた。大阪大空襲は広島、長崎への原爆投下で日本政府がポツダム宣言受諾を決めていたにも関わらず、日本が国体の護持を主張してポツダム受諾に条件をつけたために、アメリカが日本の降伏を早めるため、空から絨毯爆撃を敢行し、日本の息の根を止めようとしたと。

 戦争に正義も正当性もない。ただ無闇に人を殺し、悲劇を生んでお互いに憎しみを増幅させているだけだ。「悪」である戦争を止めさせるためには、いつも戦争する愚を精査し反省する機会を持ちたい。そのためには戦争と関わりのある歴史を風化させてはならない。

 アメリカは日本軍による中国の重慶などへの無差別攻撃を、国際法上問題があると批判していた。では、昭和20年3月10日に始まった米軍機による日本国内各都市への無差別絨毯爆撃は、アメリカの理念や平和主義とは矛盾しないのか、また国際法上何ら問題はなかったのか。アメリカ政府、市民の間にも疑義がある。

2008年3月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

300.2008年3月9日(日) 小田実特集NHKで放映

 NHKのETV特集「小田実・遺す言葉」を夜1時間半に亘って観ていた。もう小田実さんが亡くなって7ヶ月余が過ぎた。いつも懐かしく感じる人である。余命数ヶ月に迫った病床における生の声、何度か見たことのあるフィルム、ベ平連時代のイントレピッド脱走兵救出会見、小田夫人から送っていただいたDVDにも収録されていた葬儀のシーン等が放映され、改めて小田さんの偉大さを感じた。

 小田さん自ら思想と行動の原点は大阪空襲だと声を上げていたこと、阪神淡路大震災で被災され、一般市民とともに震災被災者支援の市民立法を訴え、運動の先頭に立って行動され、法制化を実現させたこと等は心に残る。

 偶々昨日小中陽太郎さんから2通のメールをいただき、「これまでに出た小田追悼文のなかで最も愛情にあふれたものです。とりわけ近藤さん自身の受けた影響がしっかりと書かれています。奥様(玄順恵夫人)もお喜びでしょう」と、私が先日「知研フォーラム」に小田さんの個人的な思いを綴ったエッセイ「巨人小田実を追想する」を寄稿した内容について、嬉しいコメントを送って下さった。僭越であるが、ほかにも下山敏郎・元オリンパス㈱会長、ゼミの先輩である小松隆二・東北公益分科大学長、須藤甚一郎・目黒区議、岡村透・公認会計士、栗原恒夫・小田急電鉄常勤監査役、小橋隆三・茨城県鉾田市助役、山田不二雄・元文科省教科書検定官、坂倉満・三重県立亀山高校長、岸野彰夫・元兵庫県公立小学校長ら、多くの方々からご意見や反響があった。大変有難いことであり、嬉しく思っている。

 いま小田さんの「何でも見てやろう」を改めて読み返している。実に、64年、79年、88年、99年に次いで5度目だ。その著書に、日本人であることで外国人に対していばれるという件がある。日本は世界有数の工業国で、活力に富んだ国で、世界有数のインテリ国であると小田さんは旅行中世界各地で自慢するのである。そのインテリ国とは、超満員の電車の中でも人は本を、それもサルトルでもフロイトでもマルクスでも読むではないか、とまあこんな調子である。だが、残念ながら現代のインテリ?は、真面目なごく一部の通勤者を除き、電車内では漫画雑誌を読み、エロ週刊誌を読み、携帯でメール送信し、顔を塗りたくってお化粧に熱中しているのである。悲しいことに彼らは何も考えていない。初版発行以来半世紀近くを経て、小田さんも現実認識してがっかりしていたと思うが、本当のところは現代の日本人の知能をどの程度に思っていただろうか。

 それにしても番組は中々良い企画だったと思う。

2008年3月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

299.2008年3月8日(土) 悪い奴がほとんどで、良い役人はごく一部だ。

 役人の強欲、傲慢、無恥、無責任、隠蔽、不誠実、サボタージュ、不正義、無慈悲、等々の人間として最低と思われる行状がいまも堂々と繰り返されているのには、はらわたが煮えくり返る思いである。昨日公表された道路特定財源の使い道については、これまで度々その不明瞭な点が明らかにされてきたが、それも氷山の一角で、実は役所ぐるみで「悪の限り」を尽くしていると言ってもいい。

 特定財源がその所管の省庁によって自由に使える金庫となり、従来から入り口はチェックするが出口は監査せず、外部の監視も不十分だった。透明性なんかまったくない。特定財源には、一般会計と同じような予算編成時の査定や、その後の執行をチェックしないできた不明瞭さがあった。不届きな役人は、膨大な執行予算の中身をすべての使い方まで調査するのは限界だとぬかす。ならば、予算をつける必要などないではないか。予算の使い道をチェックさせないで、「金だけくれ」はないだろう。こういう悪弊をいままで見逃してきたから、この期に及んで怪しい言動や、いかがわしい「お小遣い稼ぎ」が、内部で暗黙のうちに続けられているのだ。

 一昨日国会で取り上げられたのは、国土交通省所管の財団法人「公共用地補償機構」が、職員旅行の費用まで全額負担していたことだ。こんな財団があることなんか国民のうち、果たして何人が知っていただろうか。自分たちの慰安旅行に、国の金、つまり国民の税金を使って何ら悪びれない。これを内部で誰も咎めようともしない。この図々しさは普通ではない。一体この悪行はどこから来るのか。役人どもはどこかネジが狂っている。ぬけぬけと福利厚生の一環であり問題はないとまで言う。国民はこんな屁理屈を言う盗人猛々しい役人根性を誰も信用しないだろう。国民と役人の考えにはこれだけ大きなギャップがある。そして、詰問されるや居直って、問題ありとするなら今後止めるという。いかにもその場限りの浅はかさで国税を無駄遣いしていたかが明瞭であろう。これまでも公費を無駄遣いして健康器具を購入したり、大金を支払ってミュージカルを主催してきた。他にも道路財源を使った貸付金制度もあり、これは財団法人「道路開発振興センター」なる組織が運用している。ガラガラの駐車場整備に資金を貸し付けている、財団法人「駐車場整備推進機構」なる税金を捨てている組織まであるのだ。また、東京メトロ副都心線開業事業費のうち、道路特定財源から総事業費の2割(約530億円)もの資金を投入している。地下鉄網を整備すれば、道路渋滞が緩和されるからだという。完全に拡大解釈したこじつけ論理である。こういう構図を見ていると、「先に予算ありき」だということがよく分かる。

 ここには国会で論議する以前に役人の体質自体に問題がある。厚生労働省、社会保険庁、防衛省、等々散々税金の無駄遣いとサボタージュをやって、国民に対して何の痛痒も感じない。神経が麻痺しているとしか思えない。事件が起きると一部の人間だけが悪いのであって、他の大多数の役人は真面目に仕事をしていると自己弁護している。そうだろうか。これだけスキャンダラスな行為が表面化するのは、役所の体質と思い上がった役人根性に問題がある。

 敢えて言ってやろう。役人どもよ! 一部の人間だけが悪いのだと言って頬被りしているが、本当は役人のほとんどは悪い奴で、立派な役人なんてほんの一部だけじゃないか。

2008年3月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

298.2008年3月7日(金) 多摩大学公開講座に期待

 先月恒例の「知研セミナー」で寺島実郎氏の講演を聞いた折に、寺島講師から今春多摩大学で開講のリレー公開講座を社会人にも開放するとの話だったので、大学へ問い合わせ早速申し込んだ。寺島氏自身が直接関わった「寺島実郎監修リレー講座」で、「現代世界解析講座」春学期全12回と銘打ったもので、昨日そのパンフレットが届いた。中々講師陣が充実しており期待出来そうだ。カリキュラム内容を見ても興味深いタイトルばかりだ。4月から7月まで毎木曜日の午後2:40~4:10の1時間半の間に、各界の蒼々たる著名人の講義を受講出来て、春季全12回分の受講料が僅か12,000円というのも魅力的である。講師陣には、「知研」理事長・久恒啓一氏、東京外大教授で元アジア経済研究所研究員の酒井啓子氏、沈才彬・多摩大教授、金美徳・三井物産戦略研究所研究員、明石康・前国連事務次長、ジャーナリスト・江川紹子氏、浅野史郎・前宮城県知事、中谷巌・多摩大学長、弁護士・堀田力氏、そして寺島氏自身が3回も講座を持たれる。酒井氏はイラク問題の専門家でアジア経済研究所在職時にイラク戦争が勃発し、度々テレビで解説されておられたが、よくイラク情勢に精通していて、メリハリの利いた分かりやすい解説には随分教えられたものだ。それにしても、これだけ充実した講座は一寸珍しいのではないか。アカデミックな中に一服の清涼剤である。社会人枠が当初150人だったのが、すでに一杯になり枠を追加拡大したとのこと。頷ける話である。

 久恒「知研」理事長もこの三月をもって、永年務めた県立宮城大学教授を辞めて、4月からはこの多摩大教授に就任されるという。これから東京に腰を据えて「知研」の活動にさらに力を入れていただき、「知研」が一層活性化するようになれば嬉しい限りである。幸い「知研」でも本講座に参加される会員も多く、八木哲郎会長、秋田英澪子事務局長をはじめ、数名の会員がすでに申し込んでおられる。毎週ポジティブな「知研」会員が集い語り合う機会が増えるのも、「知研」として大きな起爆剤になるのではないか。

 とにかく4月から新たな楽しみが増えた。

2008年3月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com