今日から高齢者の年金天引き徴収が始まった。その「後期高齢者医療制度」の評判が頗る悪い。そもそもこの制度発足の発想と視点が良くない。高齢者に対する思いやりのない役人が考えたということが、随所に表れている。「後期高齢者」という言葉を何の抵抗もなく法律用語とする点を考えても、いかに高齢者を邪魔者扱いしているか。これを最初に聞いたお年寄りは怒った。高齢者にかかる医療費が高いのは当然だろう。それを高い医療費を全体の保険料で賄うのは大変なので、高齢者からは医療費に見合った保険料をいただくというのが役所の基本的な考え方である。保険というのは、そういうものだろうか。相互扶助的要素もあるだろうし、お年寄りだってこれまできちんと法の定めに従って保険料を支払ってきた。それが、突然高齢者の医療費が高くつくので、応分の負担をということで、しかも年金から天引きしてしまうという乱暴なやり方にははらわたが煮えくりかえっていることだろう。はっきり言って、血も涙もないぼんくら役人の考えることだ。取れるところから、確実にいただくという弱いものいじめの典型だ。財政も苦しいというが、それなら役所がもっと襟を正して、自分たちの無駄使いを止めるとか、医療という大切なジャンルへ他の部署で使っている経費を回すとか、出来ないものだろうか。「年寄りの冷や水」という言葉があるが、こういうのは「役所の冷や水」というものではないか。
今夕は「酒のペンクラブ」の集まりに有楽町の「爈端本店」へ出かける。この集会はいつも酒をくらって酒にまつわる話で盛り上がる。今月は会報に私も拙い一文を寄せた。いろいろな分野の人たちが、酒に関する薀蓄を傾ける。この店は大正年間に出来たそうで、戦災にも遭い、それを乗り越え今日まで続いてきた。しかし、内部は狭い部屋に出入り口は階段があるだけで、われわれの集まりは3階だったので、つい火災の最悪のケースを心配してしまう。店の亭主が挨拶に出て来られたが、こういう珍しいお店を紹介していただけるのも、会員の中に醸造会社の経営者が顔つなぎしてくれているからだ。ありがたい話である。帰り際1階を覗いたら外人がかなり入っていた。聞けば、彼らのガイドブックにこのお店が紹介されているという。